巨蟲ハンター ~ハンターで死んだら現代で何故か巨大虫と戦う羽目に~ 作:紅鬼
そして伊能ちゃん可愛いです、伊能ちゃん可愛い、ヤッター
「なんなんだよこりゃあ!!一体どーなってんだよっ!?お前知っているなら説明しろよっ!」
「アンタ!さっき委員長を助けた時、それでバケモノアゲハを殺したわよねっ!じゃあこの島の島民なのっ!?」
「てか何だよその格好っ!お前本当に人間なのかっ!?」
「何処か安全な場所はないのですか!?三日あればきっと救助が来る筈なんです!」
ポニーテールの女の子の様子を見に行こうとしたら、絶賛少年少女達から質問責めにあっている、とりあえず四人とも少し興奮しすぎだ、酷いと思うが、幾ら騒いでも死んだ人間は生き返らないし、状況は変わらない、むしろ騒ぐとまた蝶や他の虫が、……居るならよって来るかも知れないし。
「あー……。一つずつ答えて行こう、先ずは鉢巻きの少女、悪いが俺はこの島の人間じゃあ無い、そして反り込みの少年、俺は人間だ、これは甲冑みたいな物だ。モジャモジャの少年、説明はできない、俺も先程何も解らないままこの島に落ちたからな、しないではなくできないのだ。んでもって最後に帽子の少女、安全な場所は俺も探している途中だ、良ければ君達と一緒に安全な場所を探したいが、君だけには聞けないな、君達全員で決めてくれ。」
少女少年達にそう言って(反り込みの少年が何か騒いでいたが、無視しよう。)先程の蝶から助けたポニーテールの女の子が踞っている木の陰に行く、ちゃんとジャージのズボンを履いて踞っていた、最初見た時はお尻を丸出しだったから、ある意味蝶よりビックリしたけどね、とりあえず声を掛けてみよう。
「……刺された傷の具合は大丈夫か?」
「………コクン。」
俯いて静かに頷いている……。相当ショックだっただろうな、俺も初めてランポスやアプトノスを殺した時はショックを受けたし……。
「……怖い思いをさせてすまなかった。」
「……助けてくれた以上、僕に謝るのはおかしいじゃないかい?」
「……そうかもな、……昔、俺も似たような経験をしてショックを受けたからな、それと重なったのかも知れない……。」
正直、その時は幼馴染み(♂)が必死に声を掛けてくれたから、俺も納得、いや、割りきったんだな。兎も角、女の子も口数が少し増えて来ている、やっぱり誰かと話をするのは良い事だよな。
「……謝るのはおかしいけど、……僕を助けてくれて、……ありがとうね。」
「………あぁ。」
女の子の微笑みと感謝の言葉、プライスレスだね。やっぱり女の子は明るい方が良いけど、前世も前前世もお腹黒い女の人が結構いたからな。うん、だから前世も結婚しなかったんだよ!だって怖かったし。けど目の前の女の子の微笑みはグッジョブです。
「あ、自己紹介がまだだったよね?僕は伊能愛、鳳翔高等学園の2年2組、ワンダーホーゲル部に所属して、簡易地図を委員長、あ、さっきいた、眼鏡の女の子と作っていたんだ。……で、命の恩人さん、……貴方は?」
確かに自己紹介とか、さっきの少年少女達にもしてなかった、てか、質問責めにあってそれどころじゃなかったけどね。てか、簡易地図?前世みたいな大雑把な地図でも有れば嬉しいな、てか、ワンダーホーゲル、って何だ?そう考えていたら凄い期待した瞳で女の子改め、伊能さんが此方を見ています。……簡単に自己紹介をするか。
「古宮大地、一応、危険生物の駆除や間引きの仕事をしていた、この島に来たのは帰りの飛行機が墜落したからだ、仲間は居ない……。」
うん、間違いではないな、モンスターをハントする仕事とか洒落でも言えない、言ったらきっと危ない薬やっている人か、頭のおかしい奴と思うだろうし。
「古宮、大地さん、だね。うん、大地さん。危険生物の駆除……、だから閃光手榴弾とか持っていたんだ。けど、危険生物専門のエキスパートなら、さっきの鉈?とかあるし、僕がさっき刺された傷もすぐに直す魔法みたいな薬もあるから、さっきのアゲハが来ても大丈夫だね。」
そう言って立ち上がり、ズボンについた砂ホコリを払う伊能ががブラキX装備の冷たく、硬い腕に抱きつく。え?何これ?凄い笑顔だし?本当に何これ?
「だいぶ委員長達を待たせたし、そろそろ向こうに戻って大地さんの事を紹介しよう?きっと委員長と織部さん、帽子を被った委員長の友達だね。後は織部さんと一緒に居た松岡さんは心配していると思うんだ。あ、皆には僕から大地さんの事を説明しておくよ?」
確かに、考えてみれば自分達が知らない人間と学友が一緒に居ればマトモな人間なら心配するだろうな、うん、最悪助けたお礼に悪戯しているとか、やっぱりあの人は変態で学生に手を出す性犯罪者、とか思われるかも知れない……。うん、そんなのは断固として嫌だ!……ん?何か音が聞こえるな?アルセルタスみたいに高速で薄翅を動かすような音が……。
「……ん?なんか皆のいる方からすごい音が聞こえるね?あ、もしかして救助のヘリコプターかな?」
「いや、……虫の羽音に似ているように聞こえるな。急いだ方が良いかも知れない…。」
「え?……そ、それってもしk 「いやああぁっ!睦美っ睦美っ助けてっ!?」委員長っ!?」
当たりみたいだ、声の主はきっと眼鏡少女こと委員長さんが襲われているようだ、とりあえず伊能さんを問答無用でだっこして走り出す、其れほど距離が無いためすぐに少年少女達と合流し、踞る少女以外の全員が見上げる方を見ると、デカイ蜂?クイーンランゴスタよりデカイ、アルセルタスよりちょっとデカイ蜂が眼鏡少女の背中に針を撃ち込んで飛び去って行く光景だった。
「い、委員長が、……蜂に刺された?」
「何してんだっ!助けに行くぞっ!!」
鉢巻き少女の声に少年少女達が再起動を始めたみたいだ、しかし、蜂かぁ、大抵の毒なら漢方薬で打ち消せるけど、あの蜂の行動、ちょっとネルスキュラに似ている気がするし、さてどうするかな……?そもそも巣がどんな場所にあってどんな感じの物か、それが解らないとちょっと怖いk「居場所は大体見当がつきますっ!!」あ、帽子の少女、あの蜂知っているのか?
★★★★★
織部睦美said
「三日もすれば救助隊とか来るんだろ?」
神野さんの言う事を聞いて、ジガバチの生態を知る私は焦ってしまう。そんな悠長に三日後に来るかも知れない救助隊を待つ時間はないのに!
「3日も待てませんっ!千歳ちゃんを連れ去ったのはジガバチの仲間っ!!3日経ったら千歳ちゃんに産みつけられた卵が孵化して食べられちゃうんですっ!巣を探して助け出さないと!!」
「いやぁぁぁぁっ!!」
私の説明を聴いた皆が絶句、三浦さんだけは絶叫している。あぁ、もうっ!私には説明をしている時間すら勿体無いのにっ!
「睦美……、こんな薄情なヤツらはほっといて早く助けに行こう!!」
「は……、はいっ!!」
絶句している皆さんと違い、千歳ちゃんが連れ去られた時から助けに行くのに賛成していたキャプテンさんが私に行こうと声を掛けてくれました。少しだけ希望が見えた気がしましたが……。
「行かせねぇよ。」
先程から千歳ちゃんが死んだとか、自分はリーダーだからと言っていた、……仮称としてリーダーさんがキャプテンさんと私の進路を塞ぎ、睨みを利かせてきました。
「ここは頭である俺の言う事を聞いてもらおうかぁ?俺たちが分裂すると生き残る確率が低くなんだろぉ、ケンカでもなんでも頭数が多けりゃ多いほど、有利に働く、ってモンだ!」
「まぁ確かに、睦美ちゃんの知識はバカに出来ないよねぇ。」
「普通この訳分かんねぇ状況で助けになんか行かねぇよ。」
「人食い蜂の巣に行くなんて、賢い人間のすることじゃないよね~。」
「同~感~。」
「私達だけで助けに行く!」
リーダーさんの言葉に賛成するように甲斐さんと神野さんが言います、唯一キャプテンさんだけは助けに行くと言ってくれますが……。
「じゃあ皆に訊くが……、命を賭けてまで委員長を助けに行きたいのか?」
「当たり前だっ!」
「……わ、…私も……。」
「真美ちゃんは怖くて助けになんか行けないよね~?」
「!! は、……はい。」
「ほら、みんな俺と同意見だ。」
「……た……、助けてあげないと……、ダメだと思います。」
「それでも4対3で決まりだな。」
「そ……、そんなっ!!」
三浦さんだけは助けに行かないとダメ、そう言いましたが、リーダーさんはそれでもダメだと言います、すぐには命を奪われない筈ですが、千歳ちゃんの身体には巨大化したジガバチに刺された傷もあるのに!
「俺は頭としてみんなを危険な目にあわせられない……、そうだろ?」
「女相手にナニむきになってんだよ?」
「女だから殴られないとか思ってんじゃねぇよな?」
「リーダー、頼りになるとこみせてよっ!」
「ソフト部なめんなっ!!」
リーダーさんとキャプテンさんが一触即発の雰囲気になって、こんなことしてる場合じゃないのに、……なんとかしなきゃ……、なんとか。そうだ!携帯のGPS!上手く行けば千歳ちゃんを助ける理由になる!
「また何もめているの?織部さんと松岡さんはともかく、さっき僕が言った助けあいしなきゃ行けないって話、聴いてなかった?」
私が携帯の電源を切るのと伊能さんと甲冑の人が戻って来たのは同時でした。
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Said古宮大地
騒ぎを聴いて伊能さんと少年少女達の所に戻ったら一人居ないし、かなり険悪な雰囲気だ、どうやら先程蜂に拐われた少女を助けるか助けないかで意見が別れてしまい、帽子の少女、織部さんと鉢巻きの少女、松岡さんが引き下がらないらしい。と、伊能さんが説明してくれた。
「……正直言うと委員長を助けた方が良いと思うんだよね、僕が作る地図、委員長が分りやすくまとめてくれないと正確なの出来ないからね……。」
伊能さんがそうみんなに伝えると全員の視線が俺に集まる、つまり俺の意見を聞きたいのか?ふむ、助けに行かないと思う人が四人、助けに行きたい人が四人、助けに行くと言っている人の方が知識がある人が集まっているんだよね、だから上手く行けば委員長さんを無傷で助けられる可能性がある、けど一歩間違えたら無防備な姿を蜂に晒して全滅か……、何かリーダー君を納得させる物があれば良いけど……。
「あ、あの、私の携帯壊れちゃったんですけど、誰か使えるの持っていますか?」
「あ~?海に落ちた瞬間壊れただろ?」
「スーパー防水加工とかついてないよ。」
「僕の携帯も壊れちゃったね。」
「そんなのあっても仕方ないだろ?」
「……すまない、持っていない。何かに必要なのか?」
携帯か、前々世ではスマホ持ってたけどね、耐水耐圧対衝撃の奴。
「携帯はGPS機能で現在の居場所や標高が分かったりするから。」
「そんなの分かってなんになるんだよ?」
「地形でそこに生息している蟲たちを、ある程度想定することが出来る更に標高が分かれば蟲たちの種類を絞り込める。」
「そんなことがなんで分かるんだ!?」
「蟲はとても温度と湿度に敏感なの、山を歩いていると少し標高が変わるだけでさっきまで沢山いた蟲たちが居なくなり別の種類に変わる、だからあらかじめ生息している蟲たちを予想できれば急には襲われない。」
「更に言うと標高が分かれば正確に地図が書けるよ。」
「は?そういうモンなのか?」
確かに蟲の生息圏が解り、種類も判別でき、急に襲撃されなければ全員の生存率はぐんと上がる。織部さんの言葉を聴いて使える携帯があるかリーダー君が聞くがないようだな。と、思っていたら話を始めた織部さんの口から委員長さんの携帯が壊れてないと告げられ、甲斐君の口からも肯定の声がでる。
「おい、結論出す前にお前も意見言えよ!助けに行くか!?行かないのか!?」
「……全員の生存率が上がるなら取りに行くべきだろう、幸いにも帽子の少女は蟲の知識に詳しいのなら蜂の居場所も検討がつくんだろ?」
「……織部です、はい、ジガバチは獲物を捕まえたらまっすぐ巣に持ち帰ります!さっきのジガバチはあっちの方向へ飛んで行ったから、あっちに真っ直ぐ行けば千歳ちゃんが居るはずですっ!!」
「よし!今リーダーとして決断した!委員長を捜しに行くぞっ!!」
こうして俺と8人の少年少女達は、蜂に拐われた少女を助けるために移動を開始した。
その先で自分と少年少女達との違いがはっきり分かってしまうこともわからず、ジガバチの巣を目指して森の中を歩き始めた。