巨蟲ハンター ~ハンターで死んだら現代で何故か巨大虫と戦う羽目に~   作:紅鬼

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結局発売日に4話あげる、心の弱い指揮官です……。


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現在俺達は繁った場所を織部さんの指示する隊列にて進行中だ、これに関しては織部さんが言うには、

 

「蟲はうっそうと繁った場所にいるイメージがあるけど、本当は開けた場所の方が沢山いるんです。特に蝶なんかはこういう場所にはあまり来ません。」

 

っとの事だ。因みに俺は伊能さんを背負って両サイドに神野さんと三浦さん、前には白川さん、後ろに殿の織部さんと女子高生に囲まれています。この陣形にリーダー君、上條君と神野さんが難色を示したが、伊能さんの怪我と万一俺が伊能さんを降ろした後に全体のフォローが出来る位置だと、織部さんが説得、松岡さん、伊能さん、白川さん甲斐君が賛成してジガバチの巣を目指した。

 

暫く進むと先頭の松岡さんが集落を発見、しかし集落は既にジガバチが巣を作っていた事が解り……。

 

「まさか……、あの中に入るなんて言わないよね?」

 

神野さんがそう言ったのを織部さんが入ると答え、ゴキブリが巨大化は絶対しないと聞いた上條君も突入を決意。松岡さんと三浦さんと白川さんと伊能さんを外に残して民家に入って行く。1階を全員で警戒しながら調べ、2階に上がって行くと、上がってすぐ右側の部屋から物音が聞こえる、それにランゴスタやネルスキュラの巣に入り込んだような空気を感じた。

 

「俺が開けて様子を見てくる、何か有ったら合図を送るから、そのまま俺が殿になって家屋から脱出しよう。」

 

織部さんが開けようとするのを止め、自分が先ず開けて様子を見る事を提案すると、上條君、神野さん、甲斐君が頷き、織部さんは不安そうな顔で此方に何か言いたげな顔をしていたが、最終的に頷いてくれた。多分だが織部さんは中がどんな状態か、想像が出来ているのだろう。想像していても実際に部屋の中を見るのはかなりショックになるだろう、俺は何度か経験がある。織部さんに気付かれないようにポーチの中から毒煙玉を取りだし、襖をゆっくり開けて中に侵入する。

 

「……やはりか。」

 

部屋の中は土で新たな部屋が作られ、その中に未だ上半身や胸部より上だけの状態で、恍惚の表情を浮かべる男女とその肉を貪るジガバチの幼虫、既に骨と内臓の一部に変わってしまった食べ残しが部屋に散乱し、更に異臭が満ちていた。ジガバチの親が幼虫に与える餌として複数の人間を捕まえ、麻痺毒を撃ち込み、幼虫が餌を快楽状態にして生きたまま新鮮な餌を貪っていたのだろう。ランゴスタやネルスキュラも、幼虫を育てる際に人間やモンスターを生きたまま捕獲して巣に保存するのと同じだ。俺は幼虫を払い除けながら部屋の中を調べ、先程連れ去られた少女を捜すが見つからず、部屋を出る際にポーチから出した毒煙玉を投げ込み、部屋から出て行った。

 

 

織部睦美said

 

「……あの甲冑野郎に任せて大丈夫なのか?」

 

「少なくとも、蝶の化け物を倒した以上、簡単にはやられないと思うぜ。」

 

古宮さんをジガバチの巣に様子を見に行かせて数分、未だ古宮さんからの合図等は来ない、さっきは古宮さんの言葉に甘えてしまったけど、部屋の中、ジガバチの巣には幼虫の餌さとして他にも捕まった人がいる可能性がある、ジガバチが千歳ちゃんを運んで余り時間が立ってないといえ、千歳ちゃんがジガバチの幼虫に何時食べられてもおかしくない。私の中でじわじわと焦る気持ちが積もっていると、襖が開く音が聞こえた。すぐに襖の方を見ると古宮さんが襖を閉めて此方に近づいてくる。

 

「あのっ!古宮さん!委員長は!千歳ちゃんは見つかりませんでしたか!!」

 

私は古宮さんに近づき、焦る気持ちも抑えきれずに古宮さんに向かい大きな声を出してしまった。私に続いて他の皆さんも古宮さんに質問をしている、けど彼は私達に落ち着くように促し、一度外に出る事を提案した。すぐに話さない彼に私も皆さんも少し不満げな顔をしてしまったかも知れない。家屋から出るとジガバチの巣から紫色の煙が出て……?

 

「あの巣に彼女の姿は見つからなかった。巣の中には大量の蟲の幼虫が居た為、幼虫を殺す毒を撒いて出てきた。彼女を探すならまた別の巣を探す必要がある。」

 

……毒を撒いて来た、中には幼虫がいて、つまり、部屋の中から音を出した千歳ちゃんと同じように『餌』になった人が居たはず、……彼は、その人と抵抗出来ない幼虫を毒を撒いて殺した?彼は、蟲も人も、容赦せず殺す?千歳ちゃんが……彼に……?

 

私の中の、妄想かも知れない考えは答えを出さず、皆さんが彼の話を聞いているときに聞こえてきたジガバチの羽音によって考えが中断されてしまった。

 

said古宮大地

 

ジガバチの巣の中で委員長の少女が居なかった事、幼虫を殺す為に毒煙玉を撒いた事を話したら甲斐君からは「ケータイとかは落ちて無かったすか?」とか「本当に見つからなかったのかよ!?」って言われ、織部さんから懐疑的&恐ろしい人を見るような視線がありました。とりあえず一度待機している4人と合流して次のジガバチの巣を探そうとして居たら、またジガバチが近づいてくる羽音が聞こえてきた。

 

羽音に気付いた上條君と神野さんが慌てた様子だったが、すぐに織部さんの指示に従い、近くの茂みに座り込む。少しするとジガバチと捕まった人の姿が見えてきたが、ジガバチに捕まった人の姿をみた上條君がいきなり立ち上がり、ジガバチを追い掛けて「アキラアア!!」と叫びジガバチが上條君に反応して上條君目掛けて迫り……、顎に挟み込まれる寸前で俺と織部さん、二人で無理矢理体を伏せさせ、織部さんに口を抑えられた。

 

「古宮さん、上條さん、動かず、静かにしていて下さい。」

 

織部さんの指示に従い、その場から動かず、大人しくしているとジガバチは俺達を探すように真上を飛んでいるだけで、此方に襲い掛かってこない。

 

「ジガバチは、俺達を見失っている?」

 

「……あの子から私達はみえてません、大型の肉食バチの多くは前後左右に敏感に反応できるけど、上下が見えていない種類が多いんです。目標の獲物が真下に消えたために見失ったんです。少しの間だけ動かないで下さい…。特に古宮さん、絶対にジガバチを攻撃しないで下さい。」

 

織部さんは俺に念を押して注意した。織部さんはジガバチの行動を見るのに忙しい、俺も二人を守りながら人を抱えているジガバチに攻撃するのはリスクがあるのは解る、そう言う意味もあるから念を押して注意したと思うが。暫くするとジガバチが1件の家屋に飛んでいき、織部さんがそれを見ていると、上條君が自分を奮い立たせるように自分を激励している。ジガバチが抱えていた人は、上條君の知り合いのようで、彼はジガバチを追い掛けて走り出してしまった。俺も彼を追い掛けて走り出そうとすると織部さんが止まるように言っているが、彼等を連れ戻してくると言って俺は上條君を追い掛けて走り出した。

 

 


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