電撃Fiting Cross of Rider   作:蒼乃翼

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仮面ライダースペクター 凍えて、開眼

 

「ん…、」

 

 

倉庫のような場所で少年が起き上がると制服のポケットからもぞもぞと這い出てきた眼魂(アイコン)から半透明の女子も現れた。

『智春(トモ)…、大丈夫?』

「あぁ、若干頭はくらくらするけど…」

黒のミッション系の制服を着た少年・・・夏目智春と、半透明の幽霊少女・・・水無神操緒は状況を確認した。

「ゴーストと技が激突した影響で空間に歪ができたのか…」

『ここは…、っ智春(トモ)!』

積み上げられたコンテナの隙間にいた智春と操緒の周囲には、いつの間にか大量の殺人人形(ウィジェット)、機巧護衛機(カスタス・マキーナ)が潜んで二人に狙いを定めていた。

「くっそ…」

智春はスペクター眼魂(アイコン)を取り出したが・・・

『ダメ!もう変身しないで!』

しかし、それを操緒が必死に止める。

「けど…」

今の智春は魔精霊(サノバ・ジン)も召喚できず、操緒も眼魂(アイコン)になっているので黑鐵も呼び出せない。

 

 

その時、紅の炎が智春達に襲いかかろうとしていた殺人人形(ウィジェット)と機巧護衛機(カスタス・マキーナ)を燃やし尽くした。

 

 

「ペルセフォネ」

『ペルペルありがと~』

高月奏との契約により生まれた、華鳥風月四名家高月家の使い魔(ドウター)、春の女神の名を冠する火蜥蜴、ペルセフォネが顕現し、地獄の業火で敵を焼き尽くしたのだ。

 

 

『仮面ライダースペクター、ようやく起きましたか』

 

 

「誰だ!?」

突然、謎の女性の声が倉庫内に響いた。どこかから通信してきているようだ。

『そうね、あなたの脚長お姉さん、とでも名乗っておきましょう』

「は…?」

『あの~、脚長お姉さん?ここは一体どこなんですか?』

『ここはスペース・ワールド。そしてここは軌道エレベーターエンデュミオン』

『う…、宇宙?』

『ここの中心部に来なさい。そうすれば貴方が欲しがっている眼魂(アイコン)があるわ』

「何っ!?本当か」

『えぇもちろん』

『でも脚長お姉さん、私たちここの道とか分からないんだけど…』

『心配しないで、案内役をつけます。では、待ってますね』

通信が切れると、突如、二人の前に黒い人型ロボットが転送されて現われた。

「…こいつが案内役?」

『えっとね…、【BLACK KNIGHT】って機体に書いてあるよ』

ブラック・ナイトは何も言わず歩き出した。智春と操緒は慌てて後を追う。

 

 

軌道エレベーターの中継ステーション内を、ただひたすらに歩くロボット一体、人間一人、幽霊一人、そして火蜥蜴一匹。

「………喋らないな」

無言で無機質な足音をさせているブラック・ナイトに、智春は思わず突っ込んでしまう。

『…そういう智春(トモ)だって、スペクターになってから全然操緒と話ししなくなったじゃん』

智春の隣に浮かぶ操緒は口を尖らせた。

「それは…、俺はお前のために」

『それ、自分のこと“俺”とか言っちゃって…、どういう心境の変化なわけ?』

「…ルゥ~…」

そんな二人に挟まれて、ペルセフォネはどうしたらいいかと焦っていた。

「とにかく、今は先を急ぐぞ」

智春は早足になりブラック・ナイトを追い越した。

 

「うわっ…!」

 

途端、ブラック・ナイトが智春の制服の襟を掴んで引っ張った。

「なにす…」

ブラック・ナイトは智春の抗議を無視すると、指先から霧を噴出した。すると、前方に赤外線のセンサーが視認できるようになった。

『あ…、もしかして智春(トモ)があのまま進んでいたらセンサーに引っ掛かってた?』

ブラック・ナイトは何も言わず、指先から氷の弾丸を発射し、センサーを破壊し、再び進んだ。

 

 

 

 

エンデュミオン某所

「兄者…、センサーが破壊された。それに偵察に行かせていた殺人人形(ウィジェット)に機巧護衛機(カスタス・マキーナ)も全滅したようだ」

「そうか、どうやら我ら兄妹でかかるしかないようだな」

 

 

 

 

「結構歩いたな」

『あ、でもなんかあそこのエレベーター乗れば中心部まで行けるっぽいよ』

操緒の指差した方向、エレベーターの前に、突如、二つの影が降ってきた。

「なんだ!?」

ブラック・ナイトにも似た機体、青と赤の二体のロボットは智春達の前に立ちはだかった。

「我は宇宙鉄人グランダイン!」

「同じく、スカイダイン!」

「エレクトリック・ショッカーのため、この世界の眼魂(アイコン)は我らキョーダインがいただく」

「邪魔をするなら容赦はしない」

「………すかよ…」

『智春(トモ)…?』

「渡すかよ!眼魂(アイコン)は俺が貰う!」

智春はゴーストドライバーを装着すると操緒が止める間もなくスペクター眼魂(アイコン)を起動させた。

 

ア~イ!  バッチリミロ~!

 

「変身!」

 

開眼!スペクター!レディゴ覚悟ド・キ・ド・キ・ゴースト!

 

智春は青い鬼の形相の仮面ライダー、スペクターに変身すると宇宙鉄人キョーダインに向かって行った。

「ッァ!」

スペクターのパンチをグランダインは軽々と受け止めた。

「トァッ!」

グランダインの強力なパワーから繰り出されたパンチはスペクターを反対側の壁まで吹っ飛ばした。

「くっそ…、操緒!」

『…うん!』

操緒はクロガネ眼魂(アイコン)となり、スペクターはそれを手にすると起動させた。

 

ア~イ!  バッチリミロ~!

 

開眼!クロガネ!科學・重力・魔神相克!

 

クロガネ魂となったスペクターは互角になったパワーでグランダインと殴り合った。

「兄者!」

しかし、そのスペクターの背後から妹のスカイダインが襲い掛かる。両腕のスカイカッターを展開するとスペクターを背後から切り裂いた。

「が…、」

スペクターは背後にパンチを繰り出すが、スカイダインのスピードには追いつけなかった。

「喰らえ!」

スピードで圧倒するスカイダインの刃がスペクターに迫った。

 

その時、ブラック・ナイトが胸部装甲を開き、そこから機関銃を露出させるとスカイダイン目掛け一斉掃射した。さらに、ペルセフォネがグランダインに火炎放射を放った。

 

「何っ!?」

「くそ…」

キョーダインはスペクターから距離を取った。

「助かった…」

ブラック・ナイトは細剣、ブラッケスト・リーパーを構えるとスカイダインの前に立った。「そっちは任せていいんだな?」

スペクターの問いかけにブラック・ナイトは頷いた。

「よし、行くぞ!」

スペクターは再びグランダインとのパワー勝負に、ブラック・ナイトは細剣を振るいスカイダインの二刀流を捌き、的確に攻撃を与えていった。その動きは、佐伯玲士郎のサーベル捌きにも通じるものがあった。

「…小癪な、スカイダイン!」

グランダインの呼びかけに、スカイダインはすぐさま戦闘域から大きく離れた。

「グランブラスターX!」

グランダインの胸部から発射させたビームがスペクターたちに直撃した・・・・

 

 

・・・ように見えた。

 

 

「…?」

直撃を免れたが、衝撃でクロガネ魂が解けてトランジェント状態になったスペクターは防御体勢を取った腕の間から状況を確認した。

「ブラック・ナイト!?」

その前には自慢の強固な装甲をぼろぼろにしたブラック・ナイトが両手を広げてスペクターを庇うように立っていた。

「どうして…」

ぼろぼろになったブラック・ナイトはその場に崩れ落ちた。下半身は朽ち果て、上半身も辛うじて原形を留めている状態だった。

 

『………な…つ……め、くん…』

 

ブラック・ナイトが始めて言葉を発した。それは見た目と反したか細い少女の声だった。

「え…?」

智春も、クロガネ眼魂(アイコン)から現われた操緒も、その声を知っていた。

 

その時、二人は音楽を聴いた気がした。

 

モーツァルト第十三番セレナード

 

 

アイネ・クライネ・ナハトムジーク

 

 

 

 

『哀音…ちゃん…?』

ブラック・ナイト、その中心部には翡翠色の眼魂(アイコン)が埋め込まれていた。

「どうして…」

『……あなたは、……ひとり…じゃない………、眼魂(アイコン)の力に………飲み込まれないで…』

ブラック・ナイトはその言葉を残すと同時に、機体が完全に崩れ落ちた。

「………ぁ、あああああああああ!!!!」

スペクターはトランジェント状態のままキョーダインに怒り任せに突っ込んで行った。

しかし、グランダインのパワーにも、スカイダインのスピードに手も足も出ずに返り討ちにあってしまった。

「どうした仮面ライダー、それで終りか?」

「かつて我ら兄妹と戦った仮面ライダーは決して諦めず、仲間との絆で勝利を掴んだぞ」

ブラック・ナイトの残骸の所まで吹っ飛ばされたスペクターは歯を食い縛り自分の不甲斐無さに床を殴った。

そんなスペクター、智春に操緒が現われて寄り添った。

 

『智春(トモ)…、智春(トモ)は1人じゃないんだよ。私だって、奏っちゃんも朱浬さんもニアちゃんも、洛芦和のみんなも、哀音ちゃんだってついてるんだよ』

操緒のその言葉に、ずっと智春の心を縛り付けていたものが解けた。

「………ごめん、操緒………、僕…、焦ってた」

 

智春はブラック・ナイトの残骸の中に遺された眼魂(アイコン)を握りしめた。

「哀音…、力を貸してくれ………」

智春はヒスイ眼魂(アイコン)を起動させた。

 

ア~イ!  バッチリミロ~!

 

開眼!ヒスイ!翡翠の氷、哀音の祈り!

 

 

美しい翡翠色のパーカーを纏い、スペクターはヒスイ魂となった。

「新しい眼魂(アイコン)を使ったところで、」

「我ら兄妹には敵いはしない!」

キョーダインは手を繋ぎ合わせるとエネルギーを集束させた。

「「グラヴィトンXブラスター!!」」

キョーダインから放たれた重力光線は、先ほどのグランダイン一体よりも遥かに威力が上だった。しかし、スペクターに当たることは無かった。

「何…!?」

「兄者…、これは」

キョーダインは周囲に氷霧が発生していることに気がついた。光線技はこれによりエネルギーの集束がバラけて、本来の威力を発揮できなくなっていた。

「…決めるよ」

スペクターヒスイ魂は静かにゴーストドライバーのデトネイトリガーを引いて押し込んだ。

 

ダイカイガン! ヒスイ オメガドライブ!

 

スペクターヒスイ魂を中心に、哀しく澄んだ音色が響きだした。

 

 

それは、機巧魔神(アスラ・マキーナ)《翡翠》の能力。

 

 

共鳴するもの全てを凍らせる【凍てつく波動(オト)】

 

 

「ぐ…、おのれ…、仮面ライダー………」

「兄…、者………」

キョーダインは二人揃って永遠の凍結に囚われてしまった。

 

 

 

 

智春と操緒、ペルセフォネはエレベーターに乗り、エンデュミオン中心部へと到着した。

「よくぞここまで来ました、仮面ライダースペクター」

中心部の部屋は何もなく、ただ中央に車椅子に座った優美な帽子とワンピースを着た空色のF型アバターが居るだけだった。

「私はスカイ・レイカー。このエンデュミオンで眼魂(アイコン)を守っていました」

『守っていた、って誰から?』

「エレクトリック・ショッカー。貴方達が倒したキョーダインはこの世界の眼魂(アイコン)を奪うために送り込まれた刺客だったんです」

「そのエレクトリック・ショッカーってのは…」

智春の問いに、しかしスカイ・レイカーは答えなかった。

「詳しいことはゴーストから聞きなさい」

「…げ、」

『智春(トモ)、ちゃんと謝んなよ。女の子にいきなり襲い掛かったんだから』

「…わかってるよ…、つーか女の子ってあいつ刀で銃弾斬っちゃうような奴だぞ」

そんな二人のやり取りを見てスカイ・レイカーは微笑んだ

「スペクター、約束通り眼魂(アイコン)を差し上げましょう」

スカイ・レイカーは白い眼魂(アイコン)を智春に差し出した。それは、フォーゼ眼魂(アイコン)だった。

「仲間との絆、それを忘れなければ大丈夫です。これはそういう眼魂(アイコン)ですから」

「…はい」

『ありがと、脚長お姉さん』

スカイ・レイカーは部屋の隅のポータルを指差した。

「あれでゴーストの母船に一気にワープできるわ」

『ほ~い、じゃあ智春(トモ)、ペルペル、いくよ』

「ペルゥ~」

「わかったよ…、じゃあ、スカイ・レイカーさん、ありがとう」

スカイ・レイカーは手を振り二人と一匹を見送った。

 

 

 

「………頼んだわよ、さっちゃんやカラスさんを…、どうか助けて………」

 

 

 

 

 





現在のスペクターの眼魂(アイコン)
スペクター眼魂(アイコン) クロガネ眼魂(アイコン)
ヒスイ眼魂(アイコン) フォーゼ眼魂(アイコン)


《仮面ライダースペクターヒスイ魂》
機巧魔神(アスラ・マキーナ)《翡翠》の眼魂(アイコン)
凍結系の能力を使うことができる
オメガドライブ【凍てつく波動(オト)】
絶対零度の高周波により相手を凍らせる
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