最近は艦これ以外にMTGの対戦動画を見たり、巷で人気のけものフレンズにハマったりと、あちこちに目移りしてしまってます。
一応、まだ小説書きたいという気持ちはあるんで、これからも自分の投稿した話を見てもらえればありがたいです。
ある朝の鎮守府。 執務室の椅子に腰掛ける男性、提督は誰もいない部屋で一人黙々と執務をこなしている。
ペンを走らせる音と外にいる艦娘たちの声だけしか聞こえてこない穏やかな空間に、突如別の物音が聞こえる。
それは、バタバタバタという音で、誰かがここに駆けつけてくる音だった。
そんな騒がしい音に目もくれず、提督が執務をこなしていると、突然バタンという音とともに扉が開き、中に数人の艦娘たちが押し掛けてきた。
「おはようございます、しれぇ! 今日も一日、よろしくお願いします!」
部屋中に響き渡る元気な声であいさつする艦娘、雪風。 そして雪風と一緒に来た天津風と時津風の三人に目を向けた提督は、穏やかな口調で挨拶をした。
「ああ、おはよう雪風。 天津風と時津風も一緒か、仲がいいな」
「うん。 本当は時津風と雪風の二人で行くつもりだったんだけどね、なんか天津風が二人だけじゃ心配だから一緒に行くってくっついてきたんだよ」
「そ、それはそうでしょ! さっきだって廊下を走った挙句、ノックもしないで扉を開けるんだから…!」
「確かにな… 雪風、元気なのはいいが、次からドアを開けるときはちゃんとノックをしてから入るんだぞ。 いいな?」
「はいっ! 了解です、しれぇ!」
雪風の元気な返事に提督が肩をすくめていると、隣にいた時津風がせがむように提督の袖をつかんできた。
「ねえ、しれぇ。 時津風たちね、これから朝の遠征に向かうから、またいつものあれをやってー」
「分かった分かった。 やってやるから、そんな裾を引っ張るなって…」
提督は時津風をなだめると、そっと彼女の頭に手を置き優しく撫でた。 時津風は気持ちよさそうに撫でられ、それに続いて雪風も自分も撫でてほしいと駆け寄り、天津風はもじもじしながら二人が撫でられるのを見ていたが、提督に呼ばれると嬉しそうに近づき、同じように撫でてもらったのであった。
「えへへ~♪ やっぱりしれぇに撫でられると落ち着くなー。 じゃあしれぇ、時津風そろそろ行くね」
「ありがとうございました、しれぇ! 今日も一日頑張ります!」
「じゃあ、私たちこれで失礼するわ。 司令官も、お仕事頑張ってね♪」
お礼を言って、三人は楽し気にその場を立ち去っていき、提督もまた手を振ってそれを見送っていた。
そして、三人がいなくなったのを確認した提督は、手を下ろすと小さくため息を吐き、
「そのまま戻ってくるな! クソッ…!」
顔をしかめながら、悪態をついた。
彼は望んで提督になったわけではなかった。
元々一般人だった彼は規律の厳しい軍隊などの仕事を嫌い、そういったものには極力かかわらないようにしようと考え、生活していた。
だが、ある日彼のいる職場に海軍が提督の適性があるものを探しにやってきた。
通常の提督なら艦隊を指揮する指揮能力が求められるが、艦娘たちの提督には指揮能力より妖精が見え、彼らと意思の疎通ができる者の方が重要とされていたからだ。
彼の職場の中で適性がある者を調べた結果、唯一彼だけが適性があることが判明し、そのまま海軍へと引き抜かれてしまったのであった。
そのうえ、彼は軍だけでなく艦娘も嫌っていた。
彼女たちは人の姿をしているが、その本質はあくまで人の形をした軍艦。 言わば人外の存在だった。
そんな艦娘たちは、彼にとって得体のしれない薄気味悪いものであり、できることなら関わりたくなどなかった。
だが、自分は今ここにいる。 偶然適性があることが分かってしまったせいで、こうしてなりたくもない軍人になり、関わりたくもない艦娘たちの提督にされてしまった。
彼からすれば、さっさと軍も提督もやめてここを去ってしまいたかったが、大本営曰く、適性があるものは数少なく希少だと言われている。
その適正者をそう簡単に手放すはずがなく、艦娘たちも提督である彼のことを慕っている。
どうも、皆は彼を無茶な作業をさせず、自分たちの分まで提督として作業を頑張ってくれている、良き上官だと思っているからだ。
もちろん、彼女たちのためとは微塵も思っていない。 彼が必死に仕事に励むのは、少しでも秘書艦である艦娘と一緒になるのを避けるためだった。
しかし、その行為が返って彼女たちの好感を上げてしまい、大本営にも仕事熱心な提督というイメージを植え付けてしまった。
このままじゃ、自分は死ぬまでここに縛り付けられてしまう。
提督が一人頭を抱えうなだれていると、扉をノックする音が聞こえ、彼は慌てて平静を装う。 少し遅れて扉が開き、秘書艦の高雄が部屋へ入ってきた。
「お疲れ様です、提督。 こちら、今回の出撃に関する報告書になります」
「ああ、ありがとうな高雄。 秘書艦業務に加え、新人の指導まで行ってくれて、本当に助かるよ」
「いえ、とんでもない…! 私たちの為に頑張ってくれている提督のためなら、これぐらいお安い御用ですわ♪」
にこやかに笑いながら話す高雄に、提督も無難に愛想笑いを返す。
外見はモデル顔負けのグラマー美女である彼女も、彼にとっては化け物と変わらない存在。 提督からすれば、さっさと出て行ってほしかった。
そんな彼の本心を知ることなく、高雄は急にもじもじした様子で声を潜める。
「…ところで、提督はもうお決めになられたのですか?」
その質問に、提督は眉をひそめた。 何がについては聞かなかったが、その答えを言う必要はなかった。 もう知っているからだ。
「やっぱり、高雄も気になっているのか? 俺が誰をケッコンカッコカリの相手に選ぶのかが…」
「正直に言うと、少し………いいえ、すごく気になります! だって、提督は皆からとても慕われておりますから」
「そうかねぇ? 俺なんかとケッコンしたいなんていう物好きな奴は、まずいないと思うんだが?」
提督が肩をすくめ自嘲気味に言うが、高雄は声を荒げてそれを否定する。
「そんなことありません! 提督はとても素敵な方ですし、現に提督とのケッコンを望んでいる子は大勢いますよ! 私だって、提督に選んでいただけたらとても嬉しい………って、すす、すみません! つい、興奮して…!」
思わず本音を口走ってしまったのが恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながらしどろもどろになる高雄。 そんな彼女に、提督もひきつった笑みで言葉を返す。
「そ、そうか… まあ、俺をそこまで慕ってくれているっていうのは素直にうれしいよ。 ありがとう、高雄」
「い、いえっ…! 提督からそう言っていただけた、その気持ちだけで十分です。 では、私はこれで失礼します」
両手を左右に振って、慌てた様子のまま高雄は部屋を出て行った。 ただ、さっきの提督の言葉がよほど嬉しかったのか、扉の向こうで彼女の鼻歌がかすかに聞こえていた。
だが、ご機嫌な彼女とは裏腹に、提督はますます頭を抱え込む事態となってしまった。
「くそ、冗談じゃないっ! このままじゃ、本当に俺はあんな化け物と一生を共にしなきゃいけなくなる。 それだけは真っ平ごめんなんだよ…!」
半ばパニック気味になりながら、提督は何か打開策はないかと必死に考える。
しかし、冷静さを失った頭ではいい案が思い浮かぶはずもない。 提督が頭をかきむしっていると、机に体がぶつかりその拍子に置いといた報告書を床にぶちまけてしまった。
それを見た提督は慌てて書類を拾い集めると、ふと一枚の書類に目が留まった。
それは、高雄が報告書と一緒に持ってきた任務書で、提督はその書類の内容を見た瞬間、
「これだっ!!」
と叫びながら、目を輝かせるのであった。
それから数日後。 鎮守府の会議室には主力艦隊の艦娘たちが集合していた。
なんでも、提督から新たな任務についての説明があるとのことで、ここに集められていた。
少し遅れて提督がやってくると、艦娘たちは皆足並みをそろえて提督に敬礼をする。 みんな集まっているのを確認すると、提督は彼女たちの方へ顔を向け、任務の説明を始めた。
「皆、今回集まってもらってもらい、礼を言う。 実は、今回行われる任務についてなんだが、少々面倒なことがあってな……」
「…と、言うと…どういうことですか?」
「実は、大規模な深海棲艦の軍勢がこの鎮守府近海に攻め入っているとの報告があり、その敵艦隊を迎撃するのが今回の任務なんだが…」
一旦言葉を区切ると、提督は話しづらそうに口を紡ぐ。 その姿を、艦娘たちはどこか心配そうに見つめていた。
「…正直に言うと、敵の規模を見る限り、向こうもかなりの数の鬼や姫級を投入しているらしく、さすがにお前たちにとってもこの任務をこなすのは厳しいんだ。 俺としても、今回の作戦は断りたいというのが本音だ」
窓に顔を向け、ぐっと唇をかみしめる提督に、皆も大丈夫かと声をかけようとする。 しかし、次の瞬間提督は彼女たちの方へ向き直った。
「だが、この作戦を成功させなければ、この鎮守府だけでない! 近海に暮らす人々にも危害が及ぶ…! 俺も、提督としてそれだけは見過ごせないんだ。 だから、皆… どうか、不利を承知の上で、この作戦を引き受けてもらいたいんだ。 頼む…!!」
深々と頭を下げ、提督は必死に艦娘たちに頼み込んだ。
そして、それを見た彼女たちは、皆声を揃えて言った。
「頭を上げてください提督! 私たちは、貴方のためならどんな敵とも戦って見せます!」
「元より、深海棲艦から人々を守るのが私たちの役目です。 この国のため、提督のためにも、この作戦は必ず成功させて見せます!!」
艦娘たちの決意を聞いた提督は、頭を下げたまま小声で「……ありがとう」とだけ言った。
下を向いた彼の表情は、ニヤリと笑うように口角が少しだけつり上がっていた。
作戦当日。 艤装を構え敵艦隊を待つ艦娘たちは険しい顔で水平線を見つめている。
その日の海は穏やかに凪いでおり、深海棲艦の大群が来なければこのままのんびり出かけに行きたくなるような状態だった。
だが、今回ばかりはそうはいかない。
報告が確かなら、もうすぐ連中はここへ現れるはず。
皆は構えを解くことなく、じっとこの場で待機していた。
そして、東の空から上った太陽が真上に差し掛かったころ、それは現れた。
「…っ! こちら、敵艦隊を補足! 情報通り、初めに戦艦棲姫を旗艦にした水上打撃部隊が進行しています」
艦載機を放ち偵察を行っていた赤城が、無線を介してほかの艦娘たちへ情報を伝達する。
噂にたがわぬ敵の数に圧倒されながらも、作戦通りまず空母が攻撃機を飛ばし、敵艦隊の数を減らしていく。
それに気づいた敵艦隊も攻撃を回避すべく散開し、戦闘は始まったのであった。
初めは敵を待ち構えていた艦娘たちが順当に敵の数を減らしていったが、向こうは数の暴力でそれを押し返していく。
敵の数を減らそうにも、こちらが攻撃をした瞬間を狙ったかのように相手も砲撃を仕掛け戦える艦娘たちの数を減らしていった。
おまけに後続に控えているのは姫級の強力な者たち。 空母棲姫の飛ばした艦載機が飛龍を中破させ、またしても一人攻め手を減らされてしまっていた。
「ま、まさかここまで敵の勢力が大きかったなんて…」
「…それでも、私たちは負けられない。 提督の為にも、ここは死守してみせるぞ!!」
武蔵の砲撃が空母棲姫を仕留め、どうにかこちらも持ちこたえようと体勢を立て直す。 だが、その瞬間が命取りだった。
「大変です! 敵艦隊がこちらの隙を付いて、防衛線を突破してしまいました!」
皆は驚き振り向くと、そこには艦娘たちを再配備しようとして手薄になった箇所を乗り込んでいく深海棲艦たちの姿。
この先にあるのは海辺の町々と提督がいるはずの鎮守府。 このままではまずいと皆は乗り込んできた深海棲艦たちの後を追うが、こちらが仕留めるより先に向こうは海辺へたどり着きそうになっていた。
「いけません…! このままでは連中が提督たちの元へたどり着いてしまう、早く何とかしないと…!!」
大鳳の言葉に、皆も焦りの色を隠せなくなっていた。
そんな時、突然無線から通信が入る。
聞くと、なんと通信の相手は提督からだった。
『皆、大丈夫か!? 先ほど、深海棲艦がこちらの防衛線を突破してきたと報告を受けたが…』
「すまない、提督…! 私たちが油断したせいで、敵がそちらへ向かって…」
『…心配するな。 俺もこうなる可能性は考えていたし、その時のための策もすでに実施済みだ。 とにかく、お前たちはその深海棲艦を追ってくれ』
その言葉に、報告を受けた艦娘たちは怪訝な表情を見せる。
提督の言う対策とは一体何なのか?
ともかく深海棲艦を見失うわけにはいかないと追跡を続けるうちに、彼女たちは提督が何の策を講じていたのかを知った。
「……提督?」
彼女たちの視線の先。 深海棲艦の向かう先には小型のボートに乗った提督の姿があった。
提督は深海棲艦の姿を確認すると、まるで深海棲艦をおびき寄せるかのように堂々と姿をさらし、そのまま沖の方へとボートを走らせた。
「提督、何をしている!? そんなところにいては敵に狙われるぞ!!」
長門が叫んだ通り、深海棲艦は提督の姿をとらえると、そのまま提督の乗ったボートを追って攻撃を仕掛けた。
敵の砲弾をかいくぐる中で、提督は無線を手に取り皆へ呼びかける。
『…これで、いい。 言ったろ、今回はこちらが不利な戦い。 この程度の代償で勝利を収められるのなら、安いものだ』
『これが、俺の考えうるだけの策だ… 皆、後は頼んだぞ…!!』
無線越しに聞こえる艦娘たちの声を尻目に、提督は無線を置き舵を手に取る。
そして、深海棲艦が放った砲撃がボートにあたり、そのまま提督はボートの破片とともに海へ吹き飛ばされたのであった。
大本営が管理する軍病院。 その病院の一室では、体のいたるところに包帯を巻かれた提督の姿があった。
腕と足を固定され、提督は何も言わずに窓から外を眺めている。
そこへ、控えめなノックとともに海軍の将校が中へ入ってきた。
「今回は、君の機転で大勢の人々が助かった。 君の艦娘たちも奮戦してくれたおかげで、どうにか深海棲艦たちを迎撃することができた。 本当に、感謝しているよ」
将校はお礼の言葉とともに、深々と頭を下げる。 提督は、将校へ振り向くと穏やかな口調で言った。
「…自分は、ただ提督としての務めをこなしただけです。 それに本当に頑張っていたのは、俺じゃなく俺の部下たちです。 お礼なら、自分でなく彼女たちに言ってあげてください」
「ただ、この体で提督業を続けるのはさすがに無理そうです… もし自分のような男の頼みを聞いてもらえるのなら、どうか彼女たちの為に俺に代わる提督を着任させてください」
提督の言葉を聞いた将校は、「分かった…」と短い返事を返すと、改めて彼へ頭を下げ、病室を後にしていった。
提督一人になり、病室には再び静寂が訪れる。
だが、一人になったのを確認した提督は、
「…やった。 ようやく、ようやくここまでこぎつけた…! やったー!! これで、俺も自由の身だ―――――!!」
その静寂を破るかのように、高らかに声をあげて笑い始めた。
全ては、軍を抜け出すための作戦だった。
まずは、彼女たちにこなすのは難しいこの任務をあえて受けさせ、深海棲艦を攻め込ませる。 そして、敵がこちらに攻めこんだのを見計らい、自分が囮となることで敵の攻撃を受ける。
そうして負傷することで、これ以上提督をつづけられないという口実を作り、軍を退役する。 それが計画の全貌だった。
とはいえ、さすがにこのまま攻撃を受けてしまえば死んでしまうのは百も承知。 そこで、提督は妖精たちに頼んで、敵の攻撃を受けきれる特性のプロテクターを作ってもらっていた。
おかげで、しばらく安静が必要なものの、命に別状はない程度に負傷し、体が治れば晴れて自由の身になれる。 軍や艦娘たちからおさらばできることを思えば、これぐらいのケガも、安静にしなければならないことも安いものだ。 まず、ここを出たら何をしようか? 今まで軍に束縛されてた分、自分の自由な時間を過ごそう。 そんな先のことに心を躍らせながら、提督は布団の中で横になるのであった。
提督が目を覚ますと、辺りは暗く、時刻はすでに深夜になっていた。
どうやら、自分は気づかぬうちに眠っていたらしい。
どうして急に目を覚ましたかはわからないが、まあそんなことはどうでもいい。 このまま起きてても仕方ないし、また眠ろうとしていた時、提督はあることに気づいた。
「…えっ?」
見ると、ギプスに固定された自分の手を誰かがそっと握っている。 ゆっくりと首を向けると、そこには自分の顔を見ながら微笑む榛名の姿があった。
「あらっ? 提督、起きられたのですね」
「は…榛名……? お前、なぜここに…!?」
「もちろん、提督が心配だから来たのです。 ほら、他の皆さんもいますよ」
提督は驚き辺りを見回すと、そこには榛名の言う通りほかの艦娘たちも穏やかな顔つきで提督を見つめていた。
「提督… 貴方はその身を挺してまで人々のため、そして私たちのために頑張ってくれた。 だから、私たちは最後まで貴方の傍にいることにしたんだ」
「提督、これからは私たちが日替わりでお見舞いに参ります。 もし何かあれば、遠慮なくおっしゃってくださいね」
「は…はは…… そうか、それは…ありがたい、な…… じゃあ、俺がここを退院するまで、よろしく頼む」
ひきつった笑みを浮かべながら、どうにか提督は返事を返す。 まさかここまで艦娘たちに追われる羽目になるとは思ってなかったが、それも退院するまで。
提督は必死に自分にそう言い聞かせたが、艦娘たちはきょとんとした顔になり、同時に笑い出した。
「全く、何を言ってるんだ? 言ったろ、私たちは最後まであなたの傍にいるって」
「は……?」
「たとえ提督が軍を抜けたとしても、私たちはこれからも貴方のお世話に参ります。 ここまでしてくれた提督のためにも、これぐらいしなくては私たちの気が済みません」
「お、お前ら…? 一体、何を言ってるんだ…!?」
「あっ、もちろん私たちは軍で働いているから、お金のことでしたら心配いりませんよ。 提督が働けなくても、私たちがちゃんと工面します♪」
「違う…! 俺が言いたいのはそういうことでなく…!!」
「提督の体が動かなかったら私たちが提督のお世話をしますし、望むものがあればご用意します。 ……ただ、ちょっと欲を言うのであれば、提督との赤ちゃんが欲しいかなーって… キャッ、言っちゃった///」
「だから…お前ら……! 俺の話を聞けと……!!」
周りの艦娘たちがはしゃぐのを見ながら、提督はどうにかやめさせようとするが、絶対安静のため体を動かせない。 提督はとっさに言葉でやめるよう叫ぼうとしたが、陸奥が提督の前に顔を出すと、人差し指を提督の口に当て黙らせた。
「提督… 貴方は最後まで私たちを見捨てないでくれた。 だから、私たちも最後まであなたの傍にいるわ。 貴方が何と言おうとも、ね……」
妖艶な微笑を浮かべながら、陸奥はそっと提督を諭す。
その静かな気迫に、提督は何も言えずに冷や汗を流した。
「だから、これからも私たちの傍にいてね。 お願いよ、提督……」
提督の姿が映りこむほど黒くよどんだ笑みで、陸奥はくすくすと笑う。
絶望の色を浮かべる提督を他所に、皆はこれからのことについて楽しく語り合うのであった。