TABOOTATTOOの世界で王子様 作:クルス@アルマゲドン
他の作品を読んで下さった方はお久しぶりです。
タブータトゥーがアニメ化ということでそれに便乗して二次作を書きたいなぁと思い投下しました。
是非、楽しんでいってください。
目を覚ましたら知らない天井が目の前に広がっていた。
……知らない天井だ
テンプレと言えばコレだね!
……まあ、それはいいとして、本当にここはどこなんだろうか。
起き上がって周りを見渡すがどこかの豪邸のような部屋で、俺の部屋ではない。
俺の部屋はもっと、シンプルな質素な部屋だからな……自分で言っててなんか悲しい。
とりあえず、起き上がって人を探すか。
……ん?
俺は、違和感を覚える。何故が視点が低くなっているのだ。確か、俺の身長は175㎝でまだまだ、伸びる予定のはず。なのに
……縮んでいる……だと?
いや、待て待て。そんなわけあるはず無い。……そうだ!鏡だ。そこにある鏡で自身の姿を見れば──
へ?誰…このイケメン
そこに映っていた自身の姿は、昨日までの自分とは全く異なる姿だった。
膝を付いて項垂れているとガチャっと言う音が聞こえてくる。自然とそちらの方に顔を向けると一人の少女が驚きの表情で立っていた。
◇◇
妾の名前はアリヤバータ。新興国家『セリニスタン王国』の姫である。
まぁ、姫であると言っても現国王との血は繋がっていない。妾は実験の成功作。他の……失敗作とされる妾の姉妹もいるのだが彼女らは一部を除いて『サンサーラ』の中でしか暮らせない。
妾たち姉妹はみんな私を基点として魂レベルでリンク──部分融合している。しかし、実際に会える時間は、余りない。姉妹なのに会えない。
そんな寂しい思いをしている中、私に優しく声をかけてくれたのは、現国王の実子、妾の義理の兄にあたる一人の男の子だった。
最初は拒絶した。妾たちを作って道具として扱おうとしているアイツの息子など許せるはずがない。
けれど、アイツは…兄は優しかった。呪紋を使って拒絶しようが、優しく接してくれた。
──何故、そこまでするの?
そう問う事があった。
兄は難しい顔をして考えて言葉を絞り出そうとする。
難しい顔から笑顔で、でも少し悲しそうな表情で兄は口を開いた。
──兄妹だから。それに寂しいって辛いから。
そう答えた。兄は妾が寂しいということを感じ取っていた。決して表情に出さずに心の内にしまっていたものを。
私を見てくれている兄に少し、気を許してもいいだろうか。そんな思いが芽生える。
それから、妾は兄と接する機会が多くなった。
楽しい時間。
姉妹たちにも筒抜けの嬉しいという感情。
兄に心を奪われていく。
そして、歯車が軋み始めた。
…兄は呪紋を起動させた。
突然だった。兄の胸に呪紋が突然浮かび上がったのだ。
呪紋とは、それぞれ固有の物質──『トリガー』を充填して起動する。兄は、なにがトリガーになったのかは分からないけれど……有り得ない。
なぜ、呪紋を与えられていないのに起動するなんて。
兄が印者(シールド)となったことを国王に知られる。すなわち、実子である兄の教育というなの訓練が始まった。
息子ということがあったのか、かなりの危険な事をやらせていた。
いつ、壊れてもおかしくない訓練だ。骨が折れるのは当然、内蔵を潰されることや体に穴を開けられる事もある。いくら、兄の呪紋による回復が他の者より異常でも心が壊れる。
止めようにも今の妾は動けない。ここで動いてしまうと後の計画に響いてしまう。
──…ごめん。ごめんなさい
妾は泣きながら言い続けるしかなかった。
後悔し続けるしかなかった。
そして、事件が起こった。
兄が倒れたきり、意識が戻らなくなったのだ。
兄が意識不明になり1ヶ月経った。
本当に人をこんなにも憎いと思ったのは初めてだった。
必ず、アイツを殺し、兄を───
ガタッ。
兄の部屋から何か物音がする。今、兄の部屋には誰も居ないはず。それなのに物音がする。
「っ!兄さん!?」
もしかしたら、何者かが侵入したのかもしれないという可能性と兄が起きたのかもしれない。2つの不安と今にも飛び跳ねそうにもなるごちゃ混ぜな感情で扉を開ける。
妾の視界に入ってきたのは膝を付いている兄だった。
兄は私のことを見つけると
「……ア…リヤ?」
「…兄さん。兄さん!兄さん!!」
掠れていても妾を高揚させてくれる麻薬のような声。凛々しい顔。何よりも吸い込まれてしまいそうな黒い瞳。
あぁ、やっぱり───
───兄の全てが欲しい。
◇◇
現在、美少女に肩を貸してもらってベットに向かっている俺氏。
それにしても驚いた。自然と美少女の名前が口から出てきたんだ。恐らく、俺はこの体の子に憑依してしまったようだ。
思い出そうとすればある程度は思い出せるけど。詳しくは思い出せない。
さらに、驚くことはこの美少女は俺の妹ということだ。
全く俺の妹がこんなに可愛いなんてけしからんぞ。
「兄さん私の顔を見てどうしたの?」
むむ、どうやら妹ちゃんをガン見していたようだ。やっぱり、兄といえどジッと見られると嫌だよな。
「…すまない」
とりあえず、素直に謝るのが正しいだろう。イケメンがクールに謝る。うん、いいものだ。
「っ!…いえ、兄さんが謝ることはないのよ」
お、どうやらお許しがもらえたようだ。これは良いことだ。
ベッドに着くと2人並んで座る。
妹ちゃんが何か言いたそうにしているけど…待つのがイケメンだろうと俺のコスモが叫んでいる。
「…ねぇ、兄さん…大丈夫なの?」
「大丈夫だ。問題ない」
「っ!?……わかったわ。けれど、何か合ったときは私を頼ってね」
妹ちゃんは、そう言い残し、部屋を出て行った。
……そういえば、何が大丈夫って聞かれたんだろう?
まあ、いっか。
◇◇
やっぱりの一言に尽きる。
感情豊かだった兄。
今はどうだ。心が壊れているのは一目瞭然だ。
さっきの表情だって、全然かわっていなかった。
表情筋が無くなってしまったと言ってもいい、無表情。
「……許さない」
心が温まる日だまりのような笑顔を奪った。
喜怒哀楽全てが魅力的な兄をこんな目にあわせた。
アイツだけは──
「──許さない」
まずは、この王国を乗っ取ることにしましょう。