New Styles ~桜井夏穂と聖森学園の物語~ 作:Samical
本作は基本、夏穂の主観であり、時折第三者や他の人物の主観が入ります。
作品作りの初心者なので優しく見守ってください。
また、パワポケ、パワプロキャラももちろん出てきますが、キャラ崩壊があるかも(できるだけ原作に従いますが)しれないのでご了承ください。
P.S. 携帯版で見にくい箇所、その他一部を修正しました
1 Start~始まり~
春、それは始まりの季節。多くの人たちが新たな出会いをして、新たな舞台に立つ。
私、桜井夏穂(さくらいなつほ)もその一人。私が入学する私立聖森学園高校は創設2年目の高校でまだ校舎も体育館もピカピカだ。私の実家からは少し離れていたため一人暮らしをすることになったが、それでも私はここに来たかったのだ。母さんも学生の内はやりたいことやりな、って送り出してくれたしね。
「・・・。それでは入学式を終わります。新一年生の皆さんはクラス毎に教室へ向かってください」
・・・あっ、入学式終わっちゃった。何一つ話聞いてなかったよ。ま、いっか!
私は人の流れに乗って体育館を後にして教室に向かった。
* * * * * *
クラス発表と簡単な自己紹介、担任の佐川先生の話が終わると、ホームルームは終了、今日は解散となる。さて、じゃ、今日のメインイベントだね!
終わりの挨拶をするや否や、私は荷物をまとめて教室を飛び出した。目当てとする場所はただ一つ! ・・・だったんだけど。
「ねね、新入生ね! 料理に興味ない?」
「おお、かわいいね! 君! ぜひ、わが演劇部へ・・・」
「おい、何言ってんだ。こんなに活発そうな娘が文科系なんてもったいねえ! な、サッカー部のマネージャーとかどう?」
って、恐ろしい勧誘の嵐! 教室から出たらいきなりこれはびっくりしたよ!
「ちょ、すいません! 私入る所はもう決めてて・・・」
「そんなこと言わずに!」「体験でもいいから!」「クッキーあるよ!」
む、クッキーか・・・。いやいや、露骨に釣られてるって!
「とにかく・・・すいません!!」
そういって私は大きな荷物を抱えながらも勧誘の嵐を突っ切ろうと走り出した。
* * * * * *
「はあ、疲れた・・・」
なんとか新入生勧誘の嵐を突破した私は目当ての場所にたどり着いた。
野球部グラウンドだ。なぜか新入生勧誘の群衆の中にはいなかったんだよね。だから、自分で来てみたんだけど・・・
「あら、あなた、新入生?」
「うわお、健太の言うとおりだったね」
グラウンドの入り口から少し離れたところにに立っていたのは何人かの制服を着た生徒――おそらく新入生だろう――と黒いロングヘアをポニーテールにして、ユニフォームを着た先輩であろう女性と同じくユニフォームを着た優しそうな人が立っていた。
「ええ、はい新入生ですけど・・・。どうして勧誘してないんですか?」
尋ねるとポニーテールの先輩の方が答えてくれた。
「健太・・・、あ、うちのキャプテンのことね。彼がね『ここの野球部に来たい奴ってのはだいたいがこの学校にわざわざ来るんだから勝手にここに来るから待ってりゃいいだろ』って勧誘はいらないって」
「ああ・・・、なるほど」
随分と豪快な人なんだね、そのキャプテンの健太って人は。
しばらく待ってると、ちらほらと入部希望らしき一年生がやってきて総勢12人ほどになった。ポニーテールの先輩は新入生を見渡してから言った。
「だいたい揃ったかな。まだ来るかもしれないけど話を始めよっか。じゃ、みんなグラウンドに入ってって」
そう促され新入生一同はグラウンドに入っていくと、そこには練習途中であることがうかがえるグラウンドと11人ほどの選手がいた。つまり総勢13人ってことか。
「はいはい、みんな、いったん集まって。・・・うん。それでは改めて、新入生の皆さん、入学おめでとう。それから、ここにきてくれてありがとうね。勧誘も無しにこれだけ集まってもらえてうれしいわ! そうそう、自己紹介が遅れたわね。私は副キャプテンをやらせてもらってます、木寄久美(きよりくみ)、ポジションはキャッチャーよ。よろしくね!」
キャッチャー! やっぱりこの人、マネージャーじゃなくて選手なんだ! 聖森学園高校野球部は共学の学校の野球部ではあるが、女子選手の入部を推進してるって聞いたけどほんとなんだね。数年前に恋々高校の早川あおい、って人がチームメートと協力して高野連のルール変更に成功した。それからは女子選手の数も増えたそうだ。
「じゃ、次は僕。御林達己(みばやしたつみ)です。ポジションはピッチャー。よろしく」
御林さん、か。優しそうな人だな~。
「んじゃま、俺も挨拶しますか」
そう言って出てきたのは精悍なよく焼けた顔と体の人だ。
「俺がキャプテンの岩井健太(いわいけんた)。ポジションはサードだ。さっきも言ってもらったけど、わざわざウチに来てくれたこと、感謝してるぜ。入るかどうかは別に今日決めるわけじゃねえだろーけど、入部するならよろしくな」
この人がキャプテンの岩井さん・・・、いかにもって感じだね。
「じゃ、一年生。一人ずつ名前と希望ポジション、それから一言。お願いね。右にいる君から順番にどうぞ」
そう木寄さんが言うと、新入生の列の右端の男子から自己紹介を始めた。
「はい! 初芝友也! 希望ポジションは外野です! 打撃には自信あります! よろしくお願いします!」
「村井綾です! 希望は・・・」
新入生が次々と自己紹介をし、私に回ってきた。よーしっ!
「桜井夏穂です! 希望ポジションはピッチャー! バッティングもそこそこできます! よろしくお願いします!」
なにかインパクトを入れたかったけど思いつかなかったな。ま、おいおいアピールして行こう。
自己紹介も残り3人となったところでその一人が自己紹介を始めた。茶色がかった髪の優男風の男子だ。
「梅田風太(うめだふうた)って言います。ポジションはショート、足と守備がウリっす。よろしくお願いします!」
その名前を聞いて新入生たちがざわめきだす。続いてその横の坊主頭の男子が自己紹介を始める。うわっ、でかい! 180後半はありそうなうえに岩井さんに負けないぐらいごっついし!
「竹原大(たけはらだい)、希望ポジションはファースト。長打力が武器です。よろしくお願いします」
それを聞くと新入生のざわつきも大きくなる。どうしたんだろ? もしかしてすごいやつなのかな? その二人に続き、最後の一人が話し始めた。
前二人に比べたら見た目は地味だ。身長こそ180あるかないかだけど線は細い黒髪の男子だ。
「松浪将知(まつなみまさとも)と言います。ポジションはキャッチャー、それから・・・」
その松浪ってやつは一息おいて言った。
「ここの野球部で甲子園を目指したいと思います!」
甲子園、堂々と口にした。他の新入生が騒いでる理由がわかんないな。横の・・・、えっと、あ、そうそう。杉浦君だ。彼に聞いてみよう。
「ね、あのさ。あの3人って何者なの?」
「え、お前知らないのかよ!? あの3人は去年のシニアリーグで全国ベスト4に入ったチーム、『夢尾井シニア』の主力、その中でもずば抜けた実力の持ち主だぜ!?
特に松浪ってのは『夢尾井の知将』の異名を持つ名捕手なんだ」
「え、そんなすごいやつなの!?」
マジか、そんなすごいやつらが・・・ってなんでそんなやつらがここに来てるのかな? そんなにすごいなら名門校からお誘いがあっただろうに。
松浪の言葉を聞いて、岩井さんが豪快に笑った。
「あっはっは、おいおいマジかよ。大したビッグマウスが入ってきたもんだな。それに夢尾井シニアのやつが3人来るたぁ驚いたぜ」
でもな、と岩井さんは一息置いて言った。
「いいか、中学の時どうだったとかはここじゃ関係ねえ。どれだけここで頑張るかだ。いいな? 全力でこの3年を戦って見せろ!」
「「「はいっ!!」」」
こうして私、桜井夏穂の高校野球生活が幕開けたのだった。
* * * * * *
入学してから数日は部活にはまだ参加できない。なんでも、先ずは学校生活に慣れろってことらしい。あーあ、じれったいなあ。
「じれったいなあ、って顔してるでやんすね」
「そうそう・・・って、うわっ!?」
ビックリした! 机に突っ伏してて急に声かけられたと思ったら眼鏡かけた男子がいた。
「ええっと、君は・・・」
「同じクラスかつ、同じ野球部の矢部川昭典(やべかわあきのり)でやんすよ! 覚えておいてほしいでやんす!」
「あはは、ごめんごめん。次はちゃんと覚えとくよ。で、なんか用?」
「いや、特にないでやんすけど・・・。早く部活に出たいのはオイラも同じでやんすよ」
「そうだよねえ。ま、明後日からは行けるし。ああ~楽しみだなあ~」
明後日には部活解禁である。そのことを思えば体がウズウズして仕方ないんだよね!
「にしても、桜井さんみたいな美少女と野球ができるのなんて超ラッキーでやんす!」
「ふふ、お世辞はやめなよ矢部川くん。それに私のことは夏穂でいいよ」
「じゃあ、私も夏穂、って呼ばせてもらおっかな!!」
「「うわっ(でやんす)!?」」
急に会話に入ってきたのは薄い金髪のショートカットの小柄な女子だった。えっと、確かこの娘は・・・
「椿さん、だよね? セカンド希望の」
「お、夏穂! 覚えててくれたの! いや~嬉しいな~」
彼女は椿姫華(つばきひめか)、野球部の一人でいかにも元気そう、っていうかやんちゃそうだし、新入生の中でも1番小さかったから覚えていた。
「ふむ、椿さんもなかなかの美少女でやんす! いやあ、野球部の女子メンバー、レベル高いでやんす!」
「む、ちょっと矢部川。アンタ、まさか女子目当てで入ってきたんじゃ・・・」
「誤解でやんす! オイラは生粋の野球人でやんす! ここに来たのは家から近いうえに設備が整っている野球部だったからでやんす。部員もまだ少ないしここでなら活躍できると思ってきたのでやんすよ!」
「なるほど、確かにここは設備は揃ってるね。でさも、矢部川くん、」
ここに来た理由を必死に語る矢部川くんに私は言った。
「私、誰かにスタメンを譲る気ないから。覚悟しといてよね!」
「わ、私だって負けないしっ!」
「オイラだって負けないでやんすよ!」
ふふっ、なんだかここのメンバーとなら、強くなれる気がしてきたよ。すると、授業開始を告げるチャイムが鳴った。
「あ、そろそろ授業だよ」
「そうみたいでやんすね」「わ、急いで戻らないと!」
慌てて二人は席に戻っていった。
* * * * * *
そしていよいよ、部活解禁日。真新しい練習用ユニフォームを着てグラウンドに新入生が集まっていた。いや~、にしても流石だね。女子選手を推進してるだけあって、ロッカールームも男女別でシャワーまで完備してあるんだもの。これだけの設備は高校にはそうそうないだろう。しばらくして新入生を前に木寄さんが話始める。
「新入生のみんな、改めてようこそ、聖森学園高校野球部へ! まあ、先ずは実力を確認させてもらいたいんだけど・・・」
テストか、どうするんだろうね。ま、自主トレは欠かしてないしいつでも実力は見せる準備はあるけどね。すると、御林さんが言った
「では、今日はそれと歓迎を兼ねて・・・『新歓紅白戦』を行いま~す!」
「「「・・・えっ?」」」
・・・マジで。え、試合だって? いきなり?
そんな新入生たちの戸惑いを余所に岩井さんも話を進める。
「ま、ケガしない程度に様子を見つつ全員が出られるようにそっちには監督に見てもらおうと思ってる。監督! 来てください! 」
すると、ユニフォームを着た中年の男性、ユニフォーム越しでも分かる引き締まった体の人がやってきた。それにもう一人、若い女性もそれに続きやってきた。
「どうも、監督の榊原勝也だ。君たちの実力を確かめさせてもらう。やはり試合でしかわからんものもあるからな。主審はコーチ兼トレーナーの花﨑コーチにやってもらう」
「どうも、コーチ兼トレーナーの花﨑紗耶香(はなさきさやか)です。よろしく」
うわあ、美人さんだなあ。年は大学生くらいだろうか? そんなことを考えていると監督が告げる。
「1年のオーダーは俺が決めておく。岩井はああ言ったが残念ながら今の判断基準は外見と実績しかないからな。だが、それだけじゃ分からない強さを見せてもらいたい。では、各自アップを開始してくると良い」
「「「はいっ!!」」」
1年、2年共にアップをして(キャッチボールは姫華とだ)から再び集合した。
監督はオーダーを発表、同時に2年のオーダーも教えてくれた。
1年チーム オーダー
1番 ショート 梅田風太
2番 センター 矢部川昭典
3番 キャッチャー 松浪将知
4番 ファースト 竹原大
5番 サード 田村信
6番 レフト 初芝友也
7番 ピッチャー 杉浦智也
8番 ライト 元木久志
9番 セカンド 椿姫華
2年チーム オーダー
1番 センター 小道拓斗
2番 レフト 花川麻紀
3番 ピッチャー 御林達己
4番 サード 岩井健太
5番 キャッチャー 木寄久美
6番 ファースト 野村太一
7番 ライト 大木太
8番 セカンド 里田信二
9番 ショート 山田美紀
あっ、スタメンじゃなかった。うう、分かってたけど仕方ないな~。どうしても1年チームは男子が多い。1年チームのベンチには私とサード希望の田中くん、そして背の高い女子で外野希望の空川恵さんと村井さんだ。
「う~ん、残念だけどスタメンじゃなったね」
「うん、仕方ないよ。9人しか出られないし…」と、村井さん。
「ああ、ポジが被っちゃったからしかたないよ」と、田中くん。
「でも、出番はあるよ~、って監督さんも言ってたから大丈夫だよね~」と、空川さん。なんだかのんびりした娘だな。
そうしてメンバーが発表されると間もなく試合は開始された。
* * * * * *
1回の表、先攻の2年チーム。ピッチャーは杉浦くん。相手は2年だが怖気付くことなく強気にストレートを投げ込み1,2番をファーストゴロ、ライトフライと打ち取った。打席には3番の御林さんが左打席に立った。キャッチャーの松浪くんは外角低めに構えた。杉浦くんも頷き、ストレートを投げ込んだ、が。
「よっと」
いとも簡単にその球をレフトに弾き返し、出塁した。ここで右打席にはキャプテンで4番の岩井さんが立った。どっしりとした構え。ここからでも威圧感を感じる。松浪君のリードも慎重になった。外に1球ストレートを外し、次に要求したのは初めて投じたカーブだった。そのカーブは緩やかな軌道を描きキャッチャーミットに・・・収まることはなかった。
カキ――ンッ!! と快音を響かせ打球はフェンスに直撃、スタートを早めに切っていた御林さんがホームに帰って来てあっさりと先制された。
「・・・初見のカーブをあそこまで・・・コースも悪くなかったのに」
「あれが岩井の強さだ。スイングスピードが速い分、ギリギリまでボールを見ることが出来る。そのうえ、体重を残して打つ技術もあるからな」
監督が私の言葉に答えるように言った。あれが4番。あの人が味方ならどれだけ頼もしいだろうか。その後も木寄さんにも浮いたストレートを弾き返され結局初回で2点を失った。
1回の裏、1年チームの攻撃だが夢尾井トリオの一人、梅田くんはセンターライナーに倒れ、続く矢部川くんはセーフティーを仕掛ける。
「オイラの俊足、見せてやるでやんす! 」
そういって矢部川くんは快足を飛ばしたが・・・
「どらあっ!!」
猛チャージを仕掛けていた岩井さんの流れるようなバント処理で惜しくもアウト。続くのは『知将』松浪くん。しかしストレートを数球ファールにした後、投じられたのはややストレートより遅い球速から沈みながら大きく横に滑る変化球。
(まさか、スラーブ!?)
松浪くんのバットは空を切り空振り三振。1年チームの攻撃は3者凡退に終わった。
私は松浪くんが防具を付けるのを手伝いにベンチを出た。
「いやあ、あれは簡単に打てなさそうだね」
私が声を掛けると松浪くんは笑って言った。
「・・・ああ、やっぱこうでなくっちゃな野球ってのは。さて、こんどこそ杉浦には抑えてもらうぜ。手伝いサンキュな!」
そういってグラウンドへ駆けて行った。三振したのにあんなに楽しそうだった。
「・・・変な奴」
私は率直にそう思った。
* * * * * *
試合は5回終わって6-0。2年チームとはいえやはり人数の関係もあるのか、スタメンの実力差を感じた。上位打線には悉く打たれるが、下位打線には打たれていない。
杉浦くんもいい投手なんだろうがこの上位打線はなかなか凶悪だった。一方で打線はスラーブとそれと似たような軌道から縦に大きく割れるドロップカーブに苦しめられてきた。
そして6回表には杉浦君は遂に下位打線にも連打を浴び始めた。疲労のせいかボールが全体的に浮き始めたし、初回ほどの球威もない。だが、杉浦くんは気合と根性を見せ、なんとか6回を乗り切った。
しかし6回裏の姫華からの攻撃は3人で終わった。だが、あまり細かく見てられなかった。
なぜなら・・・、7回からは私の出番。そのために投球練習をしていたのだから。
相手は2番の花川さんから・・・。いきなりクリーンナップに回る。でも、相手がどうだろうと私が出来ることはただ一つ。全力で自分の実力を見せるだけだもんね!
そう気合を入れていると松浪くんが話しかけてきた。
「おう、桜井だったか。ここから頼むぜ」
「ふふっ、いわれなくても頑張るつもりだよ!」
「へっ、そいつは頼もしいや。よっしゃ、行こうぜ!!」
松浪くんと共にグラウンドへ走り出した。
読んでくださった方、ありがとうございます。この作品は前々から考えていたものです。パワプロでも再現しようとしてみたりしてました。
感想とかアドバイスとかあったらお願いします。
つたない文章ですが、頑張って早めに、更新していきたいとおもってます。
これからもよろしくお願いします!
この作品の中で好きな登場人物は?(パワプロキャラでもオッケー)
-
桜井夏穂
-
松浪将知
-
空川恵
-
久米百合亜
-
ここに上がってる以外!(コメントでもオッケー)