New Styles ~桜井夏穂と聖森学園の物語~ 作:Samical
ここまでのあらすじ
紅白戦も終え、本格的に夏へ向けて動き出す聖森学園野球部。夏穂は少し気になることがあって・・・?
紅白戦も終え、聖森学園野球部は夏の大会を目指し練習の日々を送っていた。
いよいよ夏で引退となってしまう3年生、昨年は不参加だったために初めての夏となる2年生、紅白戦で2年相手に好勝負をした1年生・・・。それぞれが個人の課題を持って取り組んでいた。いたんだけど・・・。
「白石くん! 1アウト1,3塁のピッチャーゴロはセカンドでゲッツー狙うんでしょー! 何回言ったらいいの!?」
「す、すいません・・・」
「し、白石・・・、またやったの・・・」
紅白戦で投打に渡り、強烈な印象を残した白石は最近の練習・・・、特に投内連携やバント練習などの小技ではミスを連発していた。バッティングやブルペンでは相変わらずすごい実力を見せているのだけど・・・。
その日の練習が終わってから私は白石を探していた。少し聞いてみたいことがある・・・、というか気になったことがあった。だから聞いてみようと思ったんだけど・・・、
「! いた! おーい、しら・・・」
「おっ! いたいた! 白石―!」
「って、トモッ!?」
「うわっ、なんで夏穂が!?」
「・・・桜井先輩と松浪先輩? どうしたんですか?」
「いや俺は少しお前の話が聞いてみたいなーと思って」
「私も聞いてみたいことがあったから・・・」
「これから寮で夕食なんですけど・・・」
「あれ、ねーちゃんと松浪さん。どうしたんすか?」
そこに現れたのは満だった。そう言えば満も寮生だった。
「すこし白石の話を聞いてみたいなって思っただけだよ」
「じゃあ、来ればいいじゃん! 寮生の夕食は食堂で食べてるんだよ」
「なるほどな。・・・でも食費とかそれで大丈夫なのか?」
「・・・寮生は夕食で食堂利用時は特別に安くなるんです」
「「マジか!」」
で、食堂に来たわけだけど・・・、
「女子が多いね」
「俺が聞いた話では女子と男子は7:3ぐらいだってさ」
「確かに、野球部の男子は俺と白石ぐらいだけど女子は全員入ってますね」
「全員?」
「あっ、桜井さん、松浪さん。こんばんは」
「・・・こ、こんばんは、です」
久米と雪瀬がやってきたみたいだ。
「どうしてここに?」
「いや、後輩たちの話も聞いてみようかなって」
「なるほどそういうことですか」
「そーそー、で単刀直入に聞きたいんだけど・・・」
トモはここまでの会話を一度切ると、本題に入った。
「白石。お前・・・、中学時代は野球やってなかったんじゃないのか?」
「「「えっ!?」」」
「・・・はい、そうです。俺は中学時代は帰宅部でした」
「だよな。いくら調べてもあれだけの速球を投げる記録も噂は無かったんだ」
「本当に!?」
粗さが残るとはいえ、あれだけの速球と打撃を見せていた白石が初心者?
「俺の地元の中学には野球部が無かったんです。でも、野球は子供のころから見てて、クラブチームに入る勇気もなくてずっと壁当てしていたんです。あと、素振りも・・・」
「誰かに教えてもらってたのか?」
「いいえ。ネットで動画見て真似してました。毎日毎日一人で・・・」
「ひ、一人で・・・」
「でも、3年の時にたまたま球技大会で野球をやったんです。その時に思いっきり投げたんですけど・・・。近所のシニアに通うクラスメートが捕ることが出来なかったんです。その時にそのクラスメートに言われたんです。『お前は野球をやった方がいい。でも、強すぎるところでも、弱すぎるところでもダメだ。ノビノビやれそうで実力もある高校に・・・』って。選んでくれたのが・・・」
「ここ、だってわけね」
「そうです。俺はそいつに感謝してます。そいつのおかげで今の俺があるんで・・・」
「なるほど、何かと納得したよ」
「お前も苦労してんだな」
「・・・いえ、そんなことは」
「意外ですね、白石にそんな過去があったとは」
「確かにな~」
「で、でもいいお友達、だよね」
「・・・ああ、あいつは最高の友人だと思う・・・」
「よしっ! いい話が聞けたし、飯も食ったし、帰るか!」
「そうだね、長居も良くないだろうし・・・」
「もう少しゆっくりしていかれたら良いんじゃないですか?」
「ま、それはまた今度ね! よしっ、じゃねっ!」
「じゃあ、また練習でな」
そう言って私とトモは食堂を後にした。
* * * *
時が過ぎるのも早いもので季節は6月・・・、来る夏の予選に向けて熾烈なメンバー争いが始まっていた。サードの岩井さん、捕手のトモ、エースの御林さんはほぼ確定としても、ファースト、セカンド、ライト、レフト、そして控えの投手は激しいアピール合戦が続いていた。
そして、あっという間に大会のメンバー発表となった。
「ではメンバー発表に行きます。各自夏の大会を目指してやってきたと思うけど、これからはメンバーをメインとしてやっていくことになると思うわ」
花﨑さんがそう言うと監督が前に出て話し始めた。
「・・・メンバーを発表する。実力面、精神面でも充実していた選手を選んだつもりだ・・・。では発表する。呼ばれたら返事をして背番号を取りに来い!」
そして発表されたメンバーは次の通りだった。
背番号1 御林辰巳 (投 手、3年)、副主将
背番号2 松浪将知 (捕 手、2年)、
背番号3 竹原大 (内野手、2年)
背番号4 里田信二 (内野手、3年)
背番号5 岩井健太 (内野手、3年)、主将
背番号6 梅田風太 (内野手、2年)
背番号7 花川麻紀 (外野手、3年)
背番号8 小道拓斗 (外野手、3年)
背番号9 大木太 (外野手、3年)
背番号10 金村剛 (投 手、3年)
背番号11 桜井夏穂 (投 手、2年)
背番号12 木寄久美 (内野手、3年)副主将
背番号13 野村太一 (内野手、3年)
背番号14 倉木由奈 (内野手、3年)
背番号15 中野理恵 (外野手、3年)
背番号16 山田美紀 (内野手、3年)
背番号17 小島祐樹 (外野手、3年)
背番号18 久米百合亜(外野手、1年)
「・・・以上18名。このメンツで夏を戦う」
「! え、選ばれてる・・・!?」
「やったね~、夏穂ちゃん~」
「ていうか久米ちゃんもベンチ入りしてるっ!? 先越されたっ!?」
「くそっ、外された・・・!」
秋から変わったのはトモが正捕手になったこと、木寄さんは一塁手ということで登録されたこと、そして田中くん、杉浦くんに代わり私と久米ちゃん(最近こう呼ぶようになった)が選ばれたことだ。なお久米ちゃんは外野手登録だ。
「選ばれたからには・・・、頑張らないとね・・・!」
「そうだぞ桜井! 俺の代わりなんだからな! 気張ってけよ!」
「僕の分もね・・・」
「とーぜん! やってやるよ!」
程なくして抽選会が行われ、1回戦の相手が決まった。その相手は・・・、
「清貧高校か・・・」
「これといった戦績は無いし、いつも通りやれば負ける相手じゃないな」
「なるほどね」
名前の通りに地味な高校でこれといった進学実績もスポーツ成績もない普通の学校である。どこが相手でも負ける気は無いし、特に激闘第一にはリベンジを果たさなくちゃいけない!
そして1回戦当日。両行のオーダーが発表された。
先攻 清貧高校
1番 サード 井上
2番 ライト 大塚
3番 ピッチャー 中野
4番 ファースト 加藤
5番 キャッチャー 中村
6番 レフト 西野
7番 セカンド 大野
8番 レフト 佐藤
9番 ショート 杉山
後攻 聖森学園高校
1番 ショート 梅田
2番 レフト 花川
3番 キャッチャー 松浪
4番 サード 岩井
5番 センター 小道
6番 ファースト 竹原
7番 ライト 小島
8番 セカンド 倉木
9番 ピッチャー 金村
こちらのメンバーは下位打線3人が10番代を背負うメンバーだ。監督も調子を見て決めると言っていたからそういうことなのだろう。実際、小島さんと倉木さんはバッティングが好調だった。御林さんは次の相手が相手なので温存ということになった。
「いいかっ! 今までとは違って負けたらそこで終わりだ! グラウンドにいる奴は全身全霊込めて戦うぞ! 背番号も関係ねえ! 今出てる奴がチームの代表としてプレーしてること忘れるなよ!!」
「「「「おおっ!!!」」」」
「っしゃあ!! 行くぞーーー!!!」
「「「「おおおっ!!!!」」」」」
こうして私たちの夏が始まった!
* * * *
初回、先発の金村さんは得意のカーブで相手を上手くかわし、サードゴロ、ショートフライ、センターフライときっちりと3人で締めた。一方の聖森学園の攻撃。先頭の風太はいい当たりを放つもライトライナーに倒れた。続く2番の花川さんは・・・
「それっ!!」カ――ン!!
「「おおっ!!」」
外角のストレートを待ってましたとばかりに叩きレフト線へと強烈な一打を放った。フェンスにまで到達した打球を見て花川さんは悠々2塁へと進んだ。さらに続くトモはカウントを取りに来た変化球を見事に捉えこれもツーベースヒットになり、あっさりと先制。
「うおらっあ!!」カキ―――――ンッ!!
さらに岩井さんの放った打球はあわやホームランとなるツーベースになって1点追加。結局この後も猛攻は続き1回だけで5点を奪った。
2回以降も金村さんは5回を被安打4に抑え無失点。打線は大量16点を奪い、5回コールド勝ち。2回戦進出を難なく決めたのだった。
全国高校野球選手権大会 県大会1回戦
清 貧 00000 0
聖森学園 5254× 15 (大会規定により5回コールド)
* * * *
聖森学園は2回戦の相手、武南北(ぶなんきた)高校にも危なげなく9-1の7回コールド勝ちを収め、3回戦に駒を進めた。そして、3回戦の相手が・・・、
「流星高校ね・・・。トモ、対策はできてるの?」
「当然。去年の秋以来の再戦だけど勝つのはウチだ」
「へえ、随分と言ってくれるな!」
すると声をかけてきたのは流星のエース、阿久津だった。
「秋は負けたがあれから特訓に特訓を重ねたんだぜ! 今日は勝つ!」
先攻 聖森学園高校
1番 ショート 梅田
2番 レフト 花川
3番 キャッチャー 松浪
4番 サード 岩井
5番 ピッチャー 御林
6番 センター 小道
7番 ファースト 竹原
8番 セカンド 里田
9番 ライト 大木
後攻 流星高校
1番 センター 速水
2番 キャッチャー 光原
3番 セカンド 風間
4番 ピッチャー 阿久津
5番 ファースト 星野
6番 サード 長谷川
7番 ライト 石井
8番 ショート 木村
9番 レフト 加藤
阿久津が9番から4番に変わったこと以外は同じオーダーみたい。随分と格上げされたんだね・・・。
「いいか。流星は走りに走ってくる! だが俺たちは俺たちの野球をするぞ!」
「「「おおっ!!」」」
1回表、聖森学園の攻撃だけど先頭は風太。相手投手の阿久津は前回打ち崩しているのだけど・・・、
「おりゃっ!!」
「くっ!?」カキン!
今回はどうやらカーブに磨きをかけてきたのか、その緩急にやられて風太は詰まらされてサードゴロ。花川さんはフォークにやられて三振。そして次は前回の対戦でホームランを放っているトモ。
「(来やがったな・・・! 松浪と岩井。おまえらにリベンジすべく、必死で腕を磨いてきたんだ・・・!) うおおっ!!」
「っと!」カツッ!
前と比べて、直球も変化球も共にキレが段違いに見える。ストレート、カーブのコンビネーションでカウント2-2としたところで阿久津が投じたのは高めの球。
「(甘い! もらっ・・・!?)」カキンッ!!
トモはフルスイングしたが放たれた打球は力なく上がり、レフトのグラブに収まった。今の詰まらされ方は・・・。
「・・・シュート?」
「だったみたいだな。やられた」
成長したのはこちらだけでなく向こうもだということを思い知らされる内容の投球をされ、迎えた1回裏。先の試合も7回完投の御林さんは今日も快調で先頭の速水、続く光原も抑えたが・・・、
「ていっ!」カキ―ン!!
3番の風間が出塁。そして当然のように・・・、
「・・・またあんな大きなリードを・・・」
走るぞ、と言わんばかりの大きなリードに御林さんは2球牽制を入れたけど、それでも初球スチールを仕掛けてきた。
「させるかっ!!」
「なんだと!?」
2塁へとトモの鋭い送球が飛び、盗塁失敗! それだけじゃない。御林さんも流星対策としてクイックモーションを練習していた。サウスポーの御林さんのクイックに、トモの正確な送球。いくら流星でもこれはきびしいはずだ。
2回表の聖森学園の攻撃であったけど、岩井さんはヒットを放つも、御林さんは三振。小道さんはフォアボールを選び、1死1,2塁のチャンスを作るも大がショートゴロゲッツーに倒れてチェンジ。またしてもシュートにやられた・・・。
2回の裏、先頭は今日4番に入っている阿久津。
「(盗塁を封じた、って訳か。だがそんなんじゃ俺たちは止まんねえ!)」
御林さんとトモが立てた策の一つとして、四球のリスクを下げるべく極力ストライクで勝負するというのがあったんだけど・・・、それが裏目に出ることになった。
「(俺たちは! 強くなったんだあ!!)」カッキ――――ン!!
「「なっ!?」」
阿久津は入ってきたスラーブにフルスイングで食らいつき、バットを振り抜いた。快音を残した打球はグングン伸びて、ライトスタンドへと飛び込む先制ホームランとなってしまった・・・。
「見たか! 俺たちはもう、走るだけのチームじゃねえ!」
その後の御林さんは無失点で切り抜けたものの、ピンチは背負ってしまった。ここまでの打者を見ても一目で秋よりも打撃を磨いてきたことが分かるほどの成長を見せる流星高校。このままじゃ前のようには行かない・・・!
全国高校野球選手権大会 県大会3回戦
聖森学園 00 0
流 星 01 1 (現在2回裏終了)
試合の描写、難しい・・・。
なんだか躍動感がもう少し欲しい・・・。
今回の紹介は1年生の美田村と2年生になった松浪です。
美田村知秋(みたむらともあき)(1年) 右/右
一見、かわいい女子にしか見えない男子部員。女子部員の多いこの野球部でも女子と言われても違和感0である。本人は男らしくありたいそうだが・・・。
選手としては緩急で遅い球とより遅い球を使い相手をかく乱する。
球速 スタ コン
123km/h G D
⇘ スローカーブ 1
⇓ パーム 1
⇙ シンカー 2
弾 ミ パ 走 肩 守 捕 守備位置
1 G G F F E F 投E
クイック〇 逃げ球 根性〇 低め〇 変化球中心 テンポ〇
サヨナラ男 意外性
松浪将知 (2年) 右/右
木寄のケガにより正捕手となった。周りからは何事も上手くいって見られがちだが、松浪自身にも司令塔として機能できているかなどの悩みは常に抱えている。後輩からは意外と頼りにされているらしい。一時期は内野の練習もしていた。
好きな食べ物は牛丼などの丼物、嫌いな食べ物は納豆(別に大豆がダメな訳ではない)。趣味は夏穂と同じくゲームだが、松浪はボードゲームやトランプが得意。
弾 ミ パ 走 肩 守 捕 守備位置
3 D C E C C D 捕C 一F 三F
チャンス○ 送球◎ キャッチャー○ 逆境○ 盗塁△ 選球眼 強振多用
以上です。次の話もまたお願いします!
この作品の中で好きな登場人物は?(パワプロキャラでもオッケー)
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桜井夏穂
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松浪将知
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空川恵
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久米百合亜
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ここに上がってる以外!(コメントでもオッケー)