「いよいよだ!楽しみだなぁ。」
これから高校生活を送ることになる少女、瀬戸愛羅は待ちに待ったこの時をずっと楽しみにしていた。
「お父さん、お母さん、おはよう!」
彼女は早々自分の両親に朝の挨拶をする。愛羅の声を聞いた二人が目を擦りながら言う。
「愛羅、まだ5時だぞ?早すぎないか?」
「いいの。だって私は高校生活を合格発表されてからずっと楽しみにしていたんだもん!早く高校に行って新しい友達をたくさん作りたいしね。」
「愛羅らしいわね。あっ、ちょうど良かったわ。出掛けるまで時間あるから食器洗ってきてちょうだい。」
「はーい。」
「あ、そうだ愛羅。お前の通う高校ってなんて名前だっけ?」
「私立響原学園だよ。」
「響原学園ねぇ。これからお世話になるからシャキッとしなくちゃね。」
そして一時間が経過し、愛羅と彼女の父親、母親が起き、朝食をとる時間になった。
「いただきます!」
その瞬間、愛羅は物凄い勢いで食べ始めた。それを見た二人が口を開く。
「こら、愛羅。ご飯はゆっくり食べなさい。」
「はーい。」
そう言うと愛羅はゆっくりと朝食をとる。そして食べ終わった瞬間、三人は同時に声を発する。
「ご馳走さまでした。」
その瞬間、愛羅は制服に着替え、鞄を速攻で用意した。それを見た愛羅の父親が言う。
「準備が出来たみたいだな。そろそろ行こうか。」
「うん!早く行こうよ!」
「そういえば響原学園ってどの辺りにあるんだっけ?」
「確か徒歩10分の場所だったわね。」
「そうだよ。だから早く行こうよ!」
そう言うと三人は家を出て、学園のある場所へ向かう。10分ほど歩いていると3つの建物に分かれている校舎が見え始めた。それを見た瞬間、愛羅の顔に笑みが浮かび始めた。それを見た二人が口を開く。
「楽しみだな、これからの高校生活。」
「たくさん友達を作らないとね。」
そのまま三人は正門の前に立ち、中へ入っていく。と、三人の元へ一人の教師が近づき、言う。
「おはようございます。入学式は体育館で行われますのであちら側の通路をお通り下さい。」
そう言うと教師は体育館のある方向へ向かう通路を指差した。それを見た三人はその方向へ向かっていく。と、愛羅があることを呟いた。
「なんか臭くない?」
それを聞いた二人は臭いを嗅ぎ始める。その瞬間、父親が言う。
「確かに何か臭うな。」
「あまり嗅いだことのない臭いね。」
「なんか心配になってきたなぁ。」
そう不安を言う愛羅だがそれが二人に聞こえることはなかった。
体育館の中に入ると既に中は大勢の人で一杯だった。髪の毛を金髪に染める人とか常に教科書を手に持っている人など、個性溢れる人がたくさんいた。そんな中、母親が愛羅に言う。
「愛羅は1年5組15番ね。席は真ん中辺りにあるからそこに座ってなさい。私達はお母さん達は後ろの席で座ってるから。」
「うん、分かった!」
そう言うと愛羅は自分の番号の席に腰を下ろした。彼女が荷物を足下に置き、顔を上げた瞬間、愛羅は隣を見て目を大きく見開いた。そこには鮮やかな黒髪に青い瞳、背は170cmくらいの青年がいた。愛羅にとってこんな人は見たことない。愛羅が見ているのに気づいた青年は愛羅を見て口を開く。
「君も5組なんだ。俺は田中健人、よろしくな。」
「私は、瀬戸愛羅って言うの。よろしく。」
そう言うと愛羅は健人に右手を差し出した。それを見た健人は彼女の手をとり、言う。
「愛羅って呼ばせてもらうよ。」
「じゃあ私は健人って呼ぶね。」
「入学式を始めますので席に着席を願います。」
入学式始まりのアナウンスが流れた瞬間、話していたりしていた新入生やその保護者の人達が一斉に席に座り始める。全員が座った瞬間、再びアナウンスが流れる。
「まず始めに、校長先生のお話しがあります。」
アナウンスが言い終わったのと同時に何処の学園でもよくいる、老けたおじさん校長が教壇の前に立ち、話を始める。
「新入生の皆さん、おはようございます。今年この響原学園に入学してきた生徒の数は950人です。そして、2、3年生を合わせると生徒の数は2419人です。これは実に素晴らしいことです。私達の学園にこれほどたくさんの生徒がいるということはそれほどこの学園の印象が良いことに値します。単刀直入で言いますが我々は保護者の皆さまのお子様を大学に進学させたいという思いがありますので精一杯頑張って行こうと思います。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。」
校長の話が終わった瞬間、保護者席の方から盛大な拍手が送られ、それにつられて他の生徒も拍手を校長先生に送る。と、アナウンスがなった。
「新入生の皆さんは、それぞれの教室に移動して下さい。」
教室の中に入った瞬間、5組の人達はざわざわ騒ぎ始める。健人と愛羅もその様子を見て唖然となる。教室の床、天井には血が飛び散ったような跡が残っている。しかし机、椅子には何も起こっていない。そんな中、健人が愛羅に言う。
「これ、なんかヤバくね?」
「見た目からして絶対なんかあったよね。」
そう言いながらも5組の人達は自分の出席番号の席に座っていく。しばらくすると教室に一人の教師が入ってきた。正門で案内してくれた人ではなく、禿げていてメガネをかけていてあまり怒らなさそうな柔らかい表情をした教師だった。教室は教卓の前に立つと笑みを浮かべながら言う。
「皆さん、おはようございます。私はこの高校の教師を勤務して3年目になります、山村徹と申します。担当教科は数学なので数学で分からない点がありましたらどんどん聞いて下さい。それと、この学園は携帯電話の使用は可能ですが授業中での使用は辞めましょう。それともう1つ、当たり前のことなのですが、授業中は寝ないようにしましょう。そうするとどうなるのかは皆さんは知っていると思いますのでよろしくお願いします。なお、明日の授業は3時間で主にホームルームを行っていきますので筆記用具を忘れないようにして下さい。それでは皆さん、これからもよろしくお願いいたします。」
そう言うと山村先生は深々と頭を下げた。それに合わせて他の人達も頭を下げる。
家に帰ると愛羅は早速健人のことを話した。
「それでね、健人って人がすごい格好いいの!」
「へぇ、良かったじゃない。クラスにイケメンがいるなんて。」
「でももしかしたら悪いやつかもしれないから気を付けろよ、愛羅。」
「うん、分かってる。」
「明日も学校あるんでしょ?だったら寝る前に明日の支度してから寝たら?」
「そうだね、そうする。」
そう言うと愛羅は自分の部屋に戻り、明日の支度を始める。と、愛羅が独り言を呟いた。
「後で健人のLINE教えてもらおーっと!あとクラスの女子とも仲良くなろう♪あー、楽しみだなぁ。」
そう言うと愛羅は布団に潜り、すぐに眠りについた。明日が楽しみなので彼女は早く寝た。
今後、学園で悲劇が待ち構えていることに気づかずに。