「ユウさん!お疲れ様です!」
大きな声で挨拶をされ、少し驚いた気持ちを落ち着けながらユウが後ろを振り返ると、レンカがクソ真面目な顔をして立っていた。
「な、なに?」
「はい!ユウさんの時間が空いた時に、また訓練に付き合って貰おうかと思いまして!お願いします!」
やたら深々と頭を下げられ、微妙な気分でレンカを見る。
前回のレンカ命令違反事件から、早1ヶ月。幸いにも上層部のお咎めは1週間の謹慎に収まり、それから毎日の様にレンカはユウに訓練を申し出ている。
ユウも嫌ではないのだけど、周りの目が痛いから、ちょっと・・・という気分なのだ。
そんな様子を隣で見ていたソーマが、相変わらずの無表情で、
「大変だな」
と淡白に言うだけで、やっぱり助けてはくれない。
「今日は、これからソーマと任務だから、また今度ね」
「くっ!わかりました!またお願いします!」
なんだか従順な態度で、颯爽と去っていったレンカが見えなくなってから、ユウは大きく溜息を吐く。
「邪魔なら、邪魔と言え」
「言えないよ!てか邪魔って言葉のチョイスなに?ソーマは周りに悪印象でもばら撒きたいの?」
「ふん。邪魔な奴には、俺は邪魔という」
「なに、その無駄な男らしさ!少しタツミさんに分けてあげたら?」
「なんでだ?」
「いや、意外なギャップにヒバリさんもタツミさんにコロリと・・」
「・・・・おまえの色恋の感覚もおかしいと思うぞ」
そんな二人が任務に向かう様子を、覗く数人の影。
1つずつ会話を拝借。
〜リンドウ サクヤ〜
「いや〜、あの新入りマジで大丈夫か?完全にユウを信奉してるぞ。むしろストーカーみたいで、軽くひくな」
「何言ってるの!これ、すごいわ!レンカも中々の美男だし、あぁ〜、美男の三角関係?ユウを取り合うソーマとレンカ!ヤバっ!マジでヤバっ!」
「あ〜〜、サクヤ君?なんかキャラ変わってないか?これ大丈夫なのか?」
「良いじゃな〜い!あぁ、・・・・すっごい。ねぇ、リンドウ?ユウがどっちを選ぶか賭けない?」
「俺はユウを心の友と思ってるから、止めとくわ」
〜リッカ カノン〜
「うー!ユウ君、本当にBLってことないよねー?ないよね?」
「まぁ、サクヤさんとジーナさんが面白がって触れ回ってることですし、ユウさんに限ってないと思いますよ?それによりによって、相手がソーマさんとレンカ君だなんて・・・ないですよー!」
「でもさ、最近いっつも二人だしさ?なんか、・・・最近、あんまり顔出してくれないし」
「・・・・・・・」
「ね、ねえ、カノンちゃん?・・・あのー、今、私結構恥ずかしいこと言ったんだけど」
「わ!わ!リッカさん!見て下さい!ほら、あの影の!リンドウさんとサクヤさん!わぁ〜、やっぱり憧れちゃいますよね〜、あのお二人」
「て、聞いてねぇのかよ!!」
「わわ⁈どうしたんですか?」
「もう良いよ!このデンジャラスビューティ!弾丸でも喰らってろ!!」
「え〜、なんですか〜?」
〜タツミ ジーナ〜
「お、おい?どういう事だ?これは!」
「ふふ。これは結構おいしい展開ね。サクヤさんもこれは見逃せないって感じで、ガン見してる。ふふふっ」
「これは、つまりー・・・・そうなのか?」
「そうね。そ・れ・はー、」
「今のユウの台詞、つまり、ヒバリちゃんはソーマみたいな言葉の棘に魅力を感じるって事か?」
「え?・・・、あー、そっちに食いついたんだ」
「意外なギャップにコロリと、・・・そうか。俺に足りなかったのはギャップ!」
「ん?うーん、間違っては、いないわね」
「それすなわち、ソーマのような飾らない言葉!棘!」
「・・・それは、タツミは絶対に使ってはいけないギャップだと思うわよ?」
「よし、よーーーし!今度こそ!ヒバリちゃんと・・・!!」
「ちょっ、ちょっと?」
「ヒバリちゃんと食事に行くぜー!!」
「あっ、そこは意外と低い目標なのね。初心な中学生並ね」
〜レンカ コウタ〜
「・・・くっ、ソーマさん!いつもいつも、ユウさんと一緒に!」
「・・・・」
「・・・・・ん?どうした、コウタ?」
「いや、どうしたってあんた、もうこの状況なら120%俺の台詞でしょ?てか、ごめん!ほんっと〜にごめん!俺、ついていけないっす。BL、怖い。本当、勘弁して下さい」
「何言ってるんだ!コウタ!お前だって、サクヤさんに訓練されたいって、毎日言ってるじゃないか⁈」
「いや、マジで一緒にしないで!同じ物差しで、ぜってー計っちゃ駄目なことだよ?」
「何いってる?実はあれは、嘘だったのか?見直していたのに!」
「えぇ?普段なら「へへへっ」ってな感じで友情深まりつつの冗談ネタが、なんでこんなガチ・スポ根!みたいな熱い展開に?」
「お前、サクヤさんが良いんだろ!」
「そりゃ、良いよ!」
「だったら、わかるだろ?俺の気持ち!」
「わかんねぇよ!てか、わかりたくねぇよ!第一・・・ユウさん、胸ないだろう!!」
「当たり前だろ!ユウさんは男で、サクヤさんは女だ!」
「うえええぇぇぇ!!!そこまで、言い切るのに?」
「だが、ベテランな二人に、背中を預け合えるような、そんな信頼関係を築いて、実戦に出たいだろ!!」
「・・・・・・ん?・・ん、ん、ん、んんんん??」
「・・・どうした、コウタ?」
「・・・・・・・・・・・・いえ、なにも」
そして、最後にこんな方も。
「ふ〜む、・・・・・・・・・・うん!ユウ君、君は・・・本当に興味深いね!!」
星の観測者は、全てを見ている。
〜おまけ〜
「おい、ヒバリ」
「?・・・えっ?タツミさん?」
「ふん」
「あ、あの〜」
「俺は、言う事はビシッというヤツだから」
「は、はぁ。そうなんです、か?」
「お前、そこにいても、邪魔だからさ、俺と、食事に行けよ」
「・・・・・プチッ」
「どうよ、俺って言うときっべふっ!!!」
「・・・・・もう、近付かないで下さい」
「えっ?あれ?ヒバリちゃん?あ、あれ?何処に?あ、待って、ねー、ヒバリちゃ、ヒバリ様ー!!!」
「・・・・・実に、興味深いね」
はははははは!!
榊博士バンザーイ!!