GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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12話 武器を手にする理由 前編

 

贖罪の街。

かつてここには、約一万五千人の人々が暮らしていたという。多くのテナントを持つビルの集合体。テーマパークを連想しそうな、中心にそびえ立つ城のような総合デパート。

大人はその忙しさに必死に働き、子供達の笑顔が溢れていたのであろう、・・・・・・・・・荒神が現れるまでは。

 

 

かつての賑わいを忘れた街。

見降ろしながら煙草に火をつけるリンドウ。少しだけ目を閉じ、何か悼むように胸に手を当て、しばらくしてから目を開け、自分の仲間達に振り返る。

「さて!今日も楽しいお仕事の、始まりだ!」

 

 

「とりあえず、今日の任務を説明する。この近辺を根城にしているシユウの討伐だ。確認されただけでも、11体」

「11体っ!!そんなにいるんですか?」

リンドウの言葉に、初任務で緊張を隠せないコウタが思わず声を上げる。それに対し、リンドウは首を振りながら答える。

「いやー、おそらくもっといる。下手したら20・・30はいるかもしれん。だから全員、最新の注意を払って動くように」

「は、はい!!」

「了解!!」

「了解しました」

「オッケー♪」

「わかりました!」

「・・・了解」

皆の返事を聞き、満足気に頷いてから煙を吐く。

「それでー、昨日の話だが、二人共良いな?」

呼びかけられた二人は、それぞれ対照的な反応を示す。

「構いません。それで、勝負の内容は?」

「聞いた通り、ここはシユウの大量生産工場みたいな場所だ。単純に数で、競うってのは?」

リンドウが煙草を投げ捨て、踏み消しながらユウの方に顔を向ける。その悪戯小僧のような悪い笑いに、ユウは溜息を吐き手を挙げる。

「不本意ですが、了解です」

「私も、構いません」

二人の返事を、「うんうん」と頷くリンドウの無線に、ヒバリからの抗議も飛ぶ。

『リンドウさん!私は反対しましたからね!こんなこと許しちゃうとか、フェンリルの上層部に知られでもしたら・・』

「わーってる、わーってる!お互い、貝になろうや♪」

『はぁー。聞くんじゃなかった』

頭を抱えるヒバリを容易に想像出来たのか、リンドウは口を押さえて静かに笑う。その様子にサクヤも「気の毒に・・」と、額に手を当てる。

「あー、それじゃあそろそろ時間だから、今日の編成を言い渡す。ツーマンセルで行く。空木、お前はサクヤと組め。ユウに優秀と聞いてるから、期待してるぜ〜」

「ユウさんが、俺を⁈ありがとうございます!頑張ります!」

深く頭を下げるレンカに、ユウが肩を軽く叩く。

「大丈夫。訓練通りに、いつも通りにね!」

「はい!荒神を、今度こそ!」

「うん、無理はせずにね」

かなり素直になったレンカの様子に、少し不安に思っていたサクヤはフッと笑い、レンカの隣に立つ。

「指示は私が出すわ。落ち着いて行きましょう」

「はい!お願いします、サクヤさん!」

「うん♪素直でよろしい♪」

サクヤに軽く小突かれ、照れるレンカをコウタは羨ましそうに見る。

「良いな〜、レンカ〜。俺もサクヤさんと組みたかったな〜」

「あっ、何か悪いな」

軽く拳でレンカの肩を小突くコウタに、微笑みながらリンドウは次のコンビを口にする。

「藤木、お前はソーマと組んでもらう。落ち着いて行け〜。ソーマも構わないな?」

「うえっ!ソーマさん・・・、です、か?」

「・・・・・悪かったな、俺で」

相変わらずの無表情で、ソーマが答えたものだから、コウタは爪先から頭に抜ける寒気を感じ、顔を若干青くする。

「い、いいいいいいいいいえいえいえ、滅相もございません!スゲー頑張ります!」

「ふん・・・」

それからアリサの方に顔を向け、リンドウは少し息を吐き告げる。

「アリサは俺とだ。勝負があるからな、ヤバイと思ったら手を貸すので、問題ないか?」

「構いません。一人でも問題ありませんので」

その答えに、苦笑いを隠せず、リンドウは頭をかく。

「まぁ、新型さんの足を引っ張らないよう、気をつけるわ」

「旧型は・・・・、旧型なりの仕事をすれば、いいと思います」

その言葉に、場が凍る。

なんとも空気の読めない言動に、コンビの人選を誤ったかと、リンドウはまたも頭をかく。

「あー、じゃあ、・・・ユウ!」

「あ、はい」

「お前は何時も通りに遊撃で。勝負であっても任務だからな。全体を常に把握できるよう、『眼』を使ってくれ。後は任せる!編成は以上・・」

「ちょっ、待って下さい!」

リンドウが喋り終わる前に、アリサがツカツカとユウとリンドウの前にやってくる。

「どうしてこの人だけ、一人なんですか?納得行きません!」

「あー、それはな・・」

「いくら新参者の私に負けて欲しいからって、彼に優位な方法とらなくたって!!」

その言葉に、リンドウは急に真面目な顔になり、アリサに一歩踏みよる。そんな行為に気圧されたのか、アリサは逆に一歩たじろいでしまう。

「アリサ、お前、なんの為にこの編成にしたか、わかるか?」

「えぇ?」

「なんの為に、ユウを、こんな死の臭いしかないような場所で、一人遊撃に走らせるか、わかるか?」

「そ、それは・・!」

口籠るアリサに、フゥと小さく息を吐き、リンドウは真剣な目で続けた。

「お前らを、誰一人として死なせない為だ」

「・・・え」

それから周りを見回し、リンドウは一人一人に伝えるように話し出す。

「遊撃ってのは確かに好きに動ける。危ないと思えば退けばいいし、刺せる時にはガンガン攻めれる。そんなイメージだよな?でもユウに俺からいつも伝えてる、遊撃としての指示は違う。全体を把握し、必要な場所に行き、必要に応じて武器を振るう。用が終わればさがり、また全体を観察、危うい仲間がいれは最優先でそこに参戦、終わればさがり、また観察、誰の目にも止まらない敵を見つければ排除、また観察・・・、ただ目の前の敵を倒せばいいだけのお前と、どっちが有利だ?それと、・・・・・おまえに、それが出来るのか?」

「う・・・、出来、ない・・・です」

思わず「出来る!」と豪語しそうになったアリサだが、寸でのところで、考え直した。

「冷静だな。理由は色々あるが、まぁ〜、今はおまえさんの実力が不透明だからとでも思ってくれて良い。この編成に、問題ないな?」

「・・・ありません」

渋々といった感じで、アリサはそっぽを向くが、言葉での了承を得ると、リンドウは全員に目を向ける。

「よし!それじゃあ、第一部隊はいつも通りのもっとうで行くぞ〜。新入り共も、覚えとけ〜」

「はい!」

「あっ、は、はい!!」

「・・・・」

そしてリンドウはいつものスローガン(?)を口にした。

「死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そんで隠れろ、隙を見つけてぶっ殺せ!いいな!」

そうして大量シユウとの、長い1日が始まる。

 

 

「レンカ!!一度後退!」

「はい!」

瓦礫の山を一飛びで後退したレンカ、それに合わせてサクヤの貫通弾がシユウの腹を射抜く。

「レンカ!捕食!」

「はい!」

レンカはプレデタースタイルに切り替え、その暗黒の口を膝をつくシユウに喰いつかせる。

「はぁっ!!」

 

ガリュッ!!

 

そのまま横に薙ぐと、シユウの頭を千切り、レンカの神機の中に戻ってくる。レンカは神機のコアシステムに目を落とし、コア回収を確認する。

「サクヤさん!回収完了です!」

「うん!お疲れ様、レンカ」

高台に陣取っていたサクヤが、レンカの元に降りてくる。

「これで、3体目か。レンカの動きが思った以上に良いから、楽できるわ♪」

「そんな⁈サクヤさんのバックアップあってこそです!」

「謙遜するのね。以前の尖った感じが、抜けてきてる?」

「そ、それは・・・!!」

少し慌てるレンカを見て、微笑ましく思ったサクヤは、路地裏であった場所を改めて見回す。

「ここも随分荒れてきたわね。脚元悪いのに、良い動き出来るのは、コツでもあるの?」

そんな質問にレンカは少しだけ笑みを浮かべ、しゃがんで瓦礫の欠片を拾う。

「俺は、外で生活してましたから。こういう場所で立ち回るのには、慣れてますから」

「そう」

ここ2、3年のゴッドイーターへの士官者は、9割が外で生き抜いて来た者である。フェンリル各支部の居住区の大半の人間は、パッチテストを済ませており、フェンリル職員、現役ゴッドイーターの庇護下の元、居住権利を得ている一般人でしかないのだ。その為、フェンリルは定期的に外で暮らす人達に有志を募って、パッチテストを合格した者からゴッドイーターを選出し、その家族を出来るだけ受け入れる体制はとってはいる。

しかし、様々な理由、事情から、その身一つでやってくるゴッドイーターは多い。ユウも、一人。

そして、レンカも。

「あ、気にしないで下さいサクヤさん。俺は大丈夫ですから!」

「ごめんなさいね。少し無神経だったみたい」

「いえ、本当に!俺はちゃんと前を向いて走るって、向かう方向は見えていますから」

そう言って、レンカはポケットから使い込まれたコンパスを出して、穏やかな気持ちで眺める。

「・・・・・それ」

「えっ?どうしたんですか?」

少し驚いた顔をしたサクヤだったが、すぐにいつもの優しい顔へと戻る。

「ううん、何でもないの。良いコンパスね」

「俺の・・・大切な家族の形見なんです」

「そう・・・大事にすると良いわ。あなた、良い顔してるわよ」

そう言われて、照れ臭そうにコンパスをしまい立ち上がるレンカに、昔のリンドウを重ねたサクヤは、少しだけ懐かしい気持ちになった。

「よっし!休憩終わり!この辺りには反応ないのかしら?ユウ!聞こえる?」

『はい、サクヤさん!』

「この辺りに荒神を目視で確認出来る?」

しばらく間があり、再び無線が繋がる。

『大丈夫そうですね、そのエリアから離れてソーマ達と合流して下さい。コウタが色々と困ってるみたいなんで・・』

それを聞いて、サクヤは「あ〜」と納得したようだ。レンカも無線の回線を繋げていたが、二人の会話に要領得ない顔をしている。

「わかったわ。可哀想な新人君を助けに行ってきます。そっちも気を付けてね」

『了解です!なにかありましたら、こちらからも連絡します!』

無線が切れた後、今度は違うボタンで回線を繋ぎ、再びサクヤは喋り始める。

「第一部隊、サクヤより本部へ。ヒバリちゃん、聞こえる?」

『はい、サクヤさん聞こえてます。先程ユウさんからも連絡入りました。そのエリアのオラクル反応無し、移動して結構ですよ』

「流石ユウは仕事が早いわね。じゃあ、緊急時に備え回線をこのまま、ソーマ達と合流するわ」

『了解しました。お気を付けて』

会話を終わらせ、神機を持ち直すと、「いつでも」という顔をしたレンカに頷き、

「じゃあ、移動しましょ」

と声をかけた。

「了解!」

レンカの返事と同時に、二人はソーマ達と合流すべく走り出した。

 

 

移動中、ふと気になったレンカは先頭を行くサクヤに声をかけた。

「あの、サクヤさん」

「んー、なにー?」

「さっき、ユウさんに俺達のエリアの確認して貰ってましたけど、ユウさんは何処に?それに、リンドウの行っていた『眼』って?」

リンドウは呼び捨てなところに、思わず笑いが出たサクヤは、片手を上げて上を指差す。

「・・・?上、ですか?」

「そう。あの子がどうして内のエースなのか、あなたにも直ぐにわかるわ♪」

「・・はぁ」

楽しそうに笑うサクヤに頷き、レンカはもう一度上を見上げる。

(ユウさんが、エースの訳・・・)

 

 

 

 




ちょっとどころじゃない長さになりそうなので、この舞台の話は分断します!

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