GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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13話 武器を手にする理由 中編

 

「・・・・おい」

「はっ、はいー!!」

「いちいち声をかけたぐらいで喚くな。しばらく待機してろ。ある程度は片付けたからな」

「はい!!ありがとうございます!!」

「・・・・気は抜くなよ」

「はい!!!藤木コウタ!!!気は、抜きません!!!」

「ちっ」

舌打ちしながら、離れるソーマにゆっくりと肩の力を抜き、コウタはその場にへたり込んだ。

(あーっ、怖ええぇぇ!!)

コウタにとって初めての戦場は、阿鼻叫喚の地獄絵図に見えたようだ。

訓練プログラムのソリッドビジョンの荒神にすら、最初ビビりまくっていたコウタにとって、戦場で初めて目の当たりにする本物の荒神は、想像以上の化物だった。

序盤はエリア内のオウガテイルを掃討するのだったが、予定より早くシユウが2体乱入。戸惑ってスコープがブレる中、懸命に撃ち続けるも、シユウの動きは抑えきれず、コウタは間合いを詰められ吹き飛ばされる。体制を整えようとした時、自分に影を落とすシユウが、ヨダレを垂らし、今にも喰いかかろうとしていた。その時に、

 

 

シャアァァァッ!!

「うわっ!うわあぁぁぁあ!!!」

 

グシャッ!!!ゴリッ!!

 

恐怖に閉じてしまった目を、ゆっくり開くと、

 

カジュッ!カジュッ!カジュッ!パキッ!

 

先程まで自分を喰らおうと飛び掛かってきたシユウは、片腕を切り裂かれ、腰があらぬ方向にへし折れている。更に、それをやったであろうソーマの、神機に喰われていた。

「あ、あ、あのあの、あの・・」

「ビビってんじゃねぇよ」

「へっ、・・・・あ・・・、りがと・・」

「これが、ゴッドイーターだ。死にたくなければ、殺せ」

「・・・はい・・・・・」

 

 

その後も、ソーマの無双は留まることを知らず。最初の2体に続き、再度乱入してきたシユウを頭から叩き割り、残ったオウガテイルも、その刃に黒いオーラを溜め、振り下ろし、落とした卵のようになったソレを再び食い尽くす。コウタにはそれが昔のアニメで見た悪魔の晩餐のように見えたのだ。

(怖えぇよー。荒神も怖えぇけど、ソーマさんはもっと怖えぇよ!何!あれ!もう人間の動きじゃねーし!はああぁぁ!)

塞ぎ込むコウタは、一人あらぬ妄想にまで耽り出した。

(食われる。その内、俺も食われるよ。喰われちゃうよ。頭からボリボリと、いや、腹を裂かれて内臓から・・・。あっ、父さん!待ってくれよー!俺、ゴッドイーターになって楽しく喰われてるんだよー!はははははーっ!)

妙な笑いをが低く響くが、ソーマは無視を決め込んでいた。

 

コウタが愉快な夢想に走っている頃、ソーマはコウタから離れすぎぬよう周りを警戒しつつ、回線を繋ぐ。

「こちらソーマ。近辺の荒神は排除した。ユウ、そっちからも確認頼む」

『了解、少しだけ待って』

「あぁ」

返事を待つ間、コウタに視線を戻したソーマは、変な笑い声を口から吐き出してるコウタを見て、再び目線を前に戻す。

『うん、オッケー!ソーマのエリアも問題ないよ。さっき乱戦になってたから、サクヤさんとレンカに合流を頼んだんだけど、必要なかった?』

「ふん。どうせヤバくなればお前が介入して来るんだろ?わざわざ寄越さなくても良いものを・・・」

そんな、投げやりな言い方に苦笑しながら、ユウは言葉を投げ返す。

『まぁまぁ、僕が動けない時の保険だよ。もっとも、ソーマなら一人でも切り抜けそうだけどね』

「ちっ、言ってろ。本部にはお前が連絡してくれ。サクヤ達が来たら、そこに転がってる新人を引きずって、リンドウ達に合流する」

『了解!向こうのレーダーに反応があれば、緊急で連絡入るだろうから、電源だけは落とさないでよ?』

「わかってる。・・・ところで、お前は何匹狩った?」

『えっ?』

その返しに、溜息を吐きソーマは少し呆れたように話す。

「えっ?じゃねぇ。お前、負けるつもりじゃないよな?」

『あははっ、意外にも応援してくれてる?』

「ちゃかすな」

笑いながら、「ごめんごめん」と言いながらユウは答える。

『ついさっきので、7体目ってとこかな?ちょっとオウガテイルの数が多くてね。まぁ、負けてないと思うよ。負ける気も、ない!』

その言葉に満足し、ソーマは笑みを浮かべる。女に花を持たすかと気を揉めたが、取り越し苦労だったと安心したのだ。

「そうか。まぁ、寝首はかかれないようにな」

『そうするよ!あっ、それとソーマ!』

「んっ?」

急に真面目な声を出したユウに、ソーマは身構える。

『今ヒバリさんにも確認して貰ってるんだけど、すでにコア回収が済んだ報告の数が、17になってる。もしかしたら、ここで産まれてる可能性があるから、サクヤさん達と合流したら、リンドウさん達のいるE地点に合流して。僕も少し確認したら、すぐ向かうから!』

「わかった。丁度来たから、リンドウの所に向かう」

『よろしく!』

無線が切れたのを確認し、こちらに向かってくるサクヤ達に目を向ける。

「あら?援軍は必要なかった?」

「ソーマさん!荒神は?」

「片付けた。ここはもういい」

ソーマは到着を確認し、コウタの方に向かって歩き出し、サクヤとレンカもそれに続く。

「じゃあ、もうユウから連絡は来てるのよね?」

「あぁ。今本部のモニターで確認を取ってるようだ。面倒になる前に、リンドウと合流するぞ。おい、起きろ新入り!」

軽く脳内麻薬でトリップしていたコウタを、ソーマが軽く蹴飛ばし起こす。

「あたっ!って、え?サクヤさんとレンカ?どうしてここに?」

「ユウさんからの連絡で、お前が苦労してるから合流してくれと頼まれたが、大丈夫か?」

その言葉にハッとして、コウタはサクヤに目を向ける。すると駄目な子供を見るような生暖かい目で笑っている事に気付き、ガクッと肩を落とす。

「マジか〜。初任務で良いとこ見せようと思ってたのに、ユウさんに見られてたのか〜。クッソー!」

「まぁまぁ、良いところこれから見せて頂戴♪」

「はい!実は真の実力、隠してました!」

そんな反応にサクヤとレンカは微笑んでいたが、ソーマは完全に冷めた目で呆れていた。

そんな視線を感じたのか、ギギギギッと壊れかけの機械のような動きで、コウタはソーマに顔を向ける。

「あ、あの・・・」

「真の実力、か」

「ほんっと調子に乗って、すいませんっしたーー!!マジ、次は、マジでしっかりやらせて頂きまーす!!」

そんな反応に更に呆れたのか、ソーマは神機を担ぎ直し、

「とっととリンドウのとこに行くぞ」

と走り出した。

 

 

クァアァァ!!

 

紅の神機でシユウに止めを刺したアリサは、そのままプレデタースタイルに移行し、コアを回収する。

「ふぅ、4体目。当初の数的には、これで勝負がついたんじゃないんですか?」

「んー?あぁ、ちょーっと待ってろー」

リンドウが無線で連絡を取ってるのを横目で確認し、アリサは肩にかかる髪を軽く払い、返事を待つ。

少し経った後、リンドウが近づいて来たのに気付き、アリサはリンドウに顔を向ける。

「どうですか?もう任務は・・」

「あぁ、それなんだがな・・・、ちっとばかし厄介な事になってきた」

「・・どういうことですか?」

アリサが怪訝そうに聞くと、リンドウはいつものごとく面倒くさそうに頭をかく。

「さっき確認したところ、俺たちの回収したシユウのコアの報告、今のお前ので18だそうだ」

「なっ!予定の数をかなり上回ってるじゃないですか!それってつまり、・・・!!」

「ただ単に増えただけなら問題ないんだが、取り敢えず本部の報告待ちだが・・」

『リンドウさん!!』

話を遮るように、無線からヒバリが叫んでくる。

「どうしたー」

『リンドウさん達のいるE地点の地下から、複数のオラクル反応、これは・・・、中型種3体、小型種6体です!』

地下というワードに下を見るリンドウに合わせて、アリサも即座に無線を繋げる。

「ここの地下に何がある?」

『わかりかねます。恐らくはこの辺り一帯の、荒神の発生源かと・・』

「荒神の・・・、発生源」

アリサの呟きに、リンドウが小さく舌打ちをし、煙草に火をつけ煙を吐き出す。

「アリサー、お前荒神がどうやって産まれるか、知ってるか?」

「それは、・・・地面に浸透したオラクル細胞が、結合を繰り返しコアとなり、それを中心に数千、数万、何十万のオラクル細胞が集合し形を形成、する」

「博識だな。他にもいくつかの事例が確認されてはいるが、今回は今言った事で、間違い無いだろう。つまりは、ここの地下にオラクル細胞が溜まってるって事だろう」

「どうにか出来ないんですか?」

アリサの問い掛けに、煙をひと吹き上に吐き、再び口を開く。

「枯渇するまで、荒神を形成させ、それを排除する。時間が経てば、またオラクル細胞が集まり、またこういった発生源が出来るかもしれんが、しばらくは大丈夫だろう」

リンドウの答えに納得したのか、アリサは神機を握り直し、地下への階段を探す。リンドウもそれに続こうと、煙草を投げて踏み消そうとした時、

 

ズーンッ

 

小さな地響きに投げ捨てた煙草が、コロコロと横に転がる。

(・・・今の揺れで、このビルも少し傾いたか?)

今の異変に、アリサも立ち止まって周辺に目を配る。その時、

『リンドウさん!!』

「なんだ?もう地下に向かうところ・・」

『そこから離れて下さい!巨大なオラクル反応あり!大型種が・・・!!』

「!!!!」

「えっ?なにを・・・」

「アリサーー!!」

 

 

ドドーーーーーーンッ!!!!!

 

 

「きゃっ!!」

「!!っ、くっそ!!!」

二人が立っていた荒廃したビルの4階フロアが、爆撃で吹き飛んだ。

「くぅっ!アリサー!飛べー!」

「っ!!!はい!!」

割れ飛び散ったビルの破片を飛び移りながら、リンドウは隣のビルへ、アリサは地面に降り立つ。顔上げた二人は今まで自分達がいた場所に目をやる。もうもうとわきあがる煙の奥に、赤く光るモノが二つ・・・。

「おいおいおい、こりゃー予想外だなー」

「これは・・・」

二人が驚愕してると、無線から声が流れ込む。

『リンドウさん!アリサさん!ご無事ですか⁉︎』

「あぁー、何とかな」

「こちらも無事です」

『良かった!先程複数のオラクル反応が一瞬にして消失したので、 何かと思ったら、突然大型種が!!』

「あぁ、確認してる。こいつは、前のよりデカイなー」

「これが、大型種」

鉄を擦り合わせるような嫌な機械音と共に、煙を切るようにその荒神が、前へと進み出て来る。

「クアドリガだ!!」

 

 

グオオォォォオオンッ!!!

 

 

けたたましい鳴き声をあげ戦車のような姿の化物が、リンドウ達の前に立ちはだかる。

 

 

 

「あれは・・」

先頭を走っていたソーマが見上げた先には、クアドリガの頭がビルの上から覗いていた。

「さっきの叫び声、あいつのものなのか!ソーマさん!」

「あぁ、クアドリガだ。だが、あれは・・」

「大きい・・・」

「え、ええぇ⁉︎」

サクヤの呟きに、コウタが思わず驚きを口にする。極東最前線を切り抜けてきた第一部隊の精鋭にとっても未知の荒神。

現場のリンドウとアリサは・・。

「おい!急ぐぞ!」

「えぇ!」

「了解!!」

「え、は、はいぃ!」

止めた足を再び動かし、四人は仲間の待つ現場に向かう。

 

 

「くそっ!予想外だな、これは!」

一人ビルを足場に走るユウは、自分の至らなさを責めながら現場に向かっていた。

(あのデカさじゃ、いくらリンドウさんでも危ない!!)

そう思ったユウは更に速度を上げ、ビルの間を飛び越えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第一部隊頑張れ!

と言うわけで、次はいよいよ大型種との対決!!
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