GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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25話 メテオライト作戦

 

 

一陣の風が、砂を巻いて荒野を吹き抜ける。

これから始まる、大規模な戦闘を演出するかのように・・・。

 

 

本日行われるメテオライト作戦の概要はこうだ。

まず楕円状に50メートル間隔に設置された5つの誘導装置を作動させ、荒神を強制的に集結させる。ある程度集まった所に、作戦名にも使われた特殊バレット、『メテオライト』をヘリに乗った銃型神機のゴッドイーターが発砲。命中確認後、ヘリに控える第一陣が空から強襲。第一陣投入5分後に、地上から第二陣を投入し応戦。そして、不測にも突破を図った荒神を、ユウが赴きそれを排除・・という、三重構えで挑む作戦だ。

それを踏まえて、各担当のゴッドイーター達は、開戦の連絡を今か今かと緊張を走らせていた。

 

 

『各配置、完了しました』

司令室に、作戦本部からレンカの連絡が入る。それをツバキも巨大モニターにて確認する。

「わかった、ヒバリ」

「はい!誘導装置、作動!」

その声と共に、モニターに映し出された装置が紫色に発光しだす。ツバキはモニターを切り替え、装置の誤作動がないかチェックをし、再びモニターを現場映像へと切り替える。

ヒバリは手元の画面でオラクル反応を確認する。前回、レンカとアリサの位置確認が出来なかった事を反省に、榊博士が新たに腕輪のビーコンを別ポインタでチェックできる様に改良したので、今は荒神の動きしか察知してないことが見て取れる。

 

オラクル反応が徐々に各誘導装置に集まってきた頃を見計らって、ヒバリはツバキに目で合図を送る。ツバキもそれを受け取り、無線の回線を繋ぐ。

「これより、オペレーション・メテオライトを発動する!『メテオライト』、構え!」

それと同時にモニターをオラクルレーダーへと切り替える。

(・・・4・・・3・・・2・・・1・・っ!!)

「撃てーーーっ!!!」

 

 

ダァァーーーンッ!!!

 

ヘリから打ち上げられた『メテオライト』は、ある程度の高度で止まり、そこで大きく発光し・・・、

 

パァーーーン!!!

 

弾け、拡散し、地上の荒神へと降り注ぐ。

 

ドドドドドドドドォーーーーン!!!!

 

大きく煙を巻き上げ、暫くの沈黙。

「す、すげぇ・・」

自分で撃っておきながら、コウタはその威力に驚いて息を飲む。

そして無線から、ツバキの声が入る。

『着弾確認!第一陣、降下!』

ヘリのゴッドイーター達は一斉に飛び降りる。右からコンゴウ種を第五、第六部隊、シユウ種をイタリア、グラスゴー支部、ボルグカムラン種をマルセイユ、シンガポール支部、サリエル種を第二、第三部隊の防衛班、そしてヴァジュラ種担当は第一部隊。

着地と同時に、再びツバキの声が耳に響く。

『第一陣、戦闘開始!荒神を殲滅しろ!!』

《了解!!!!》

 

 

第一陣の戦闘開始を遠目で確認してから、ユウは後ろに控える第二陣の仲間達に声をかける。

「今から5分後に、皆さんにも突撃してもらいます!皆さんはここ極東への進入を防ぐ壁の役割も含めていますが、決して無理をせず、自分の命、仲間の命を優先して下さい!」

《了解!!!》

返事に頷くと、ユウは再び戦場の様子を伺おうと前を向こうとする。そこでふと、おどおどしながら手を挙げる女の子の姿を見て、視線を戻す。

「どうしたの?」

「あの、・・・壁になれって言っても、後ろに通しちゃったら、どうしたら・・・」

「っ!!馬鹿!始める前から、そんな気構えで挑むな!」

「で、でも・・・私、トロいから、もし後ろに通して、ここが襲われたら・・・お母さんが・・」

そういって縮こまる女の子に、隣で叱った同じ部隊であろう男性が厳しい声を再びあげる。

「それを守るのが俺達の仕事だろ!それをはなっから駄目と!・・ユウさん、本当にすみません!」

「いいんですよ」

謝ってくる男性を手で制してから、女の子の肩をポンッと叩く。

「大丈夫だよ、心配はいらない」

「ど、どうして・・・」

その返しに、ユウは笑顔で答える。

「その為に、僕がいるんだよ」

「あっ・・・」

そんなユウの笑顔にキュンッときたのか、女の子は顔赤らめポーッと見つめ、それを見た隣の男性は苦い顔をする。

それからユウはもう一度皆を見回し、声をかける。

「皆さんも余裕がない時は後ろを振り返らず、目の前の荒神に集中して下さい!例え後ろに逃したとしても、僕がこの壁を越えさせません!」

その言葉に、他にも同じ事を気にしていた人がいたのか、歓喜の声があがる。

それを見て胸を撫で下ろしたユウは、手元の時計を確認し改めて戦場を確認する。そして、ツバキから第二陣に無線が入る。

『第二陣、突入!荒神を一歩も通すな!極東を守れ!!』

《了解!!!》

 

第二陣が戦場に向かっていくのを見つめるユウに、個人回線でツバキから話しかけられる。

『さっきの演説、なかなかのものだったぞ。ユウ』

「うぇっ!聞いてたんですか?」

『迂闊だったな。お前の回線、皆に繋がっていたぞ』

「ええぇ!!」

焦り無線を確認すると、回線ボタンが「ALL」の照明を照らしていた。急に恥ずかしくなって顔を赤らめるユウに、リンドウからも無線が入る。

『いやー、実に男前な発言だったぜ〜、ユウ。流石は第一部隊のエースだな〜』

「リ、リンドウさん!・・勘弁して下さいよ」

リンドウが無線越しに笑っていると、ツバキが叱咤する。

『リンドウ!いいからお前は戦闘に集中しろ!』

『おぉー、怖い怖い。了解です』

「まったく」と呟きながら、ツバキは改めてユウに話しかける。

『ユウ。今の所作戦は順調だが、必ずしも予定通りは存在しない。もしもの時は、お前が頼りだ。頼んだぞ』

「了解です。一応『眼』で確認してますが、不測の事態はすぐ連絡下さい」

『あぁ。その際は私か、作戦本部の空木から連絡が行くと思う。なので、回線はそのまま繋いでおけ。ただ、マイクは必要な時まで切っておけ。ではな。武運を祈る』

ツバキの回線が切れてから、ユウは溜息混じりにマイクをオフにして、遠くの戦場に目を向ける。

 

 

ザシュッ!

 

「・・・ふぅ」

突き刺した刃を引き抜き、リンドウは加え煙草の煙を吐き出す。群がってくる荒神を薙ぎ倒しては、捕食。もう数えるのも面倒になる程狩った事により、徐々に攻めてくる荒神は減ってきている。他の誘導装置に目を向け、問題ないと判断し改めて自分の持ち場に目を戻す。

そこへまた一体、ヴァジュラが突っ込んでくる。

「あらら・・」

呑気に声を洩らしてから、神機を構え直したところ、

 

グシャァッ!!

 

ヴァジュラは頭を潰され、沈黙する。その上からソーマが神機を担ぎ直し、リンドウを見下ろす。

「ボーッとしてんじゃねぇよ」

「ははっ、すまんすま〜ん」

軽く手を挙げ応えるリンドウに、「ちっ」と舌打ちをしてからソーマは飛び降りてくる。

「ソーマ、後どのぐらいで片付く?」

「・・・目に見える範囲で終わる。空木の連絡に間違いが無ければな」

その答えに、リンドウは吸っていた煙草を捨て、踏み消す。

「そうかそうか〜。案外楽な仕事だったかもな」

「ふん、言ってろ・・・っ!!!」

「ん〜?どうした、ソーマ?」

急に目を見開き緊張したソーマに、リンドウが声をかける。しかしソーマはそれに答えず、無線の回線を繋ぐ。

「こちらソーマ!空木!オラクル反応が・・!」

『ソーマさん!後方のヴァジュラが、一斉に方向転換!何故か近隣の山岳地帯に向かってる!!』

「山岳地帯だと?」

その言葉に反応し、リンドウも回線を作戦本部に繋ぐ。

「こちらリンドウ!レンカどういう事だ?何が起こってる?」

『リンドウ!後方に接近していた・・・、これは⁉︎』

「何だ⁉︎何があった⁉︎」

声色を変えたレンカに、リンドウが無線越しに詰め寄る。

『山岳地帯の一点を中心に、多数のオラクル反応を確認!いったいどうなってるだ・・・。雨宮三佐!』

『聞こえていた!何なんだ、いったい・・。あそこに何かあるのか?』

「・・・くそっ」

リンドウは山岳地帯に目をやる。持ち場のヴァジュラはサクヤ達が粗方討伐を済ましている。後方の大半が山岳地帯に向かったからだ。

(何であそこに・・・。このままじゃ、まずいな)

リンドウは歯軋りをした自分を一旦落ち着け、再び無線に向かって喋り出す。

「雨宮三佐!偵察の許可を!このままじゃ大量の荒神を逃す事になります!」

『お前一人でか?』

「はい!ここらは粗方片付いています!サクヤに指揮権を引き継ぎ、俺が様子を見てきます!」

『しかし・・!』

「な〜に、ヤバくなったらすぐ逃げやすよ」

『くっ・・・』

ツバキはしばらく黙ってから、意を決して口を開いた。

 

 

「わかった。しかし危険と見なせば即撤退するように!いいな⁉︎」

『了解!』

回線を閉じてから、ツバキは即座に対応に移る。

「ヒバリ、榊博士を呼べ。それから周辺のオラクルレーダーを最大限広げてくれ」

「はい!」

モニターにレーダーを呼び出し、状況を把握しようとした時、ツバキは驚きに声が洩れた。

「な、んだと・・・」

殆ど狩り尽くしたと思われた戦場に、再び大量のオラクル反応が出たのだ。

ツバキは即座にユウに繋ぐ。

「ユウ!応答しろ!現場はどうなっている!」

『こちら神薙!戦場から約130メートル後方に、新たに荒神を確認!しかも、これは・・・』

一瞬口籠ったユウに、ツバキはその答えを急かす。

「どうした⁉︎早く報告しろ!」

『恐らく荒神は・・・、極東支部を目指しています!』

「何だと⁉︎」

ツバキは再びモニターへと視線を移すと、ユウの言う通り誘導装置を通過したオラクル反応は、極東支部に向かって移動していた。

「そんな馬鹿な・・。誘導装置はちゃんと作動しているのか?」

「はい!異常は見られません!ですが・・!」

ヒバリの言う通り、誘導装置は変わらず正常な信号を刻んでいる。ツバキは唇を噛み、近くの椅子を蹴り飛ばす。それから呼吸を整えてから連絡回線を全てに繋ぐ。

「全ゴッドイーターに告ぐ!作戦変更!交戦中であろうから、そのまま聞け!」

それから変更した作戦を頭で構築しながら、喋り始める。

「第二陣は一旦装甲壁まで退がれ!それから壁を背に防御陣を展開しろ!少々の損壊は目を瞑ってやる!荒神を極東の中に入れるな!」

『《了解!!》』

「第一陣はそのまま交戦しつつ、第二陣との距離を50メートル程に詰めろ!お前達の判断で後方の援護も含め、荒神を駆逐しろ!」

『《了解!!》』

「ユウ!今度はお前が最前線に出ろ!少々は後ろに任せて構わん!可能な限り荒神を叩きのめせ!」

『了解!!』

作戦を伝えきり、ツバキは大きく息を吐く。そこに榊博士が駆けつける。

「榊博士!」

「ツバキ君!大体はヒバリ君から伺っている!現状況を・・」

「これはっ!ツバキさん!」

「今度は何だ!」

ヒバリの叫びにツバキが答え振り返った時、新たな不測が発生していた。

 

 

シンとした支部長室で、シックザール支部長は手を組んで戦場の様子を眺める。それからレーダーへと切り替えて、静かに目を閉じる。

「・・・アイーシャ・・」

今は亡き愛しい人の名前を口にし、ゆっくりと目を開ける。そして、あるプログラムのウィンドウを立ち上げ、モニターの真ん中に持ってくる。

(・・・君の為にも、この計画は成功させるよ)

そう改めて心に誓いをたて、キーボードのEnterキーに指を添える。そして・・・。

「さぁ、始めよう」

 

タンッ

 

 

ビーッビーッ!!

ヒバリにツバキが答えたと同時に、警報が鳴りだす。そして、第一部隊担当の誘導装置が、異常信号を表示しだした。

「何だと!!」

「・・・これは」

ツバキと榊博士は、その異常にそれぞれ驚きを隠せないでいる。そんな中、無線からサクヤが連絡を入れてくる。

『三佐!』

「サクヤ!!状況は⁉︎」

『突然ヴァジュラ種以外の荒神が、こちらにも集まって来てます!このままでは、私達は退がれません!』

「くそっ!こちらで新たな対策を練る!それまで交戦を続けろ!」

『了解!!』

次から次へと起こる問題に、ツバキは眉間を押さえ苦悶の表情を浮かべる。早く次の手をと、目を開いた時に、追い打ちをかけるように問題が飛び込んでくる。

「ツバキさん!リンドウさんと・・・リンドウさんと通信が途絶えました!」

「っ!!!」

こんな事がと、リンドウのビーコン反応をレーダーで確認すると、30以上のオラクル反応に囲まれている。それにさしものツバキも顔を青くし、無線をリンドウに合わせて個人回線を繋ぐ。

「リンドウ!!応答しろ!リンドウ!!」

『・・・・・』

ヒバリの報告通り、リンドウとの回線は繋がらず、ツバキはテーブルを力一杯殴りつける。

「ツバキさん!どうすれば・・・!ツバキさん!!」

泣きそうな顔で訴えてくるヒバリに、ツバキはなす術なく膝を折りそうになる。が、そんなツバキの肩を、榊博士が力強く掴む。

「ツバキ君、諦めるのは早い」

「っ!!しかし、あの数ではリンドウでも!こんな状況では、援軍も・・」

「まだ、一人いる」

その言葉に目を大きくしたツバキに、榊博士は笑みを浮かべ、レーダーのある一点を指差す。

そこは・・。

 

 

作戦本部では、レンカがレーダーの様子を拳を握りしめ見つめる。その表情は悔しさに歪み、自分の力のなさを呪っているかのようだ。そこへ、ツバキから無線が入る。

『空木!』

「三佐!」

『雨宮リンドウの救援に迎え!』

その言葉にビクッと体を震わせる。

「しかし、俺の神機は・・まだ」

整備が完了していないのか、神機はまだレンカの手元には届いていない。そうレンカが落胆していると、臨時テント入り口の幕をめくって、リッカが呼吸を乱しながら入ってくる。

「っ!!リッカさん!」

「レンカ君!お待たせ!神機、持ってきたよ!」

それを聞いた瞬間、レンカの瞳に力が宿る。

『届いたようだな』

「はい!!」

レンカの返事に応えるように、ツバキは力強くその命を下す。

『今動けるのはおまえしかいない!出撃しろ!空木!」

「っ!!!」

返事を返さずインカムを取り、現場用の無線と上着を取り、レンカはテントの外へと走り出る。

「ヘリを回してくれ!」

外に控えていた一般隊員に指示を出し、レンカは戦場に目を向けた。

(リンドウ・・・!)

 

 

 




いよいよアニメ編のクライマックス突入です!

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