GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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26話 陰謀を暴く知恵

 

「つぁぁっ!!」

 

ザシュッ!

 

迫り来るヴァジュラの群れを一歩も寄せ付けぬという気迫で、リンドウはまた1体沈黙させる。しかし数は中々減らず、流石のリンドウも少し息が乱れてくる。

「ったくよー、少しは休ませろってんだ・・よっ!」

 

グシャッ!!

 

独り言に興じながらも、確実に1体ずつ斬り倒すリンドウ。が、その僅かな隙を突かれて、別のヴァジュラに間合いを許し、

 

ガァァンッ!!

 

「がぁっ!!」

前足に体を吹き飛ばされる。

かろうじて反応し盾を展開したが、地面を転がった際に石で切ったのか、額から血が流れてくる。

「こりゃ〜、ちっとばかしマズイかな〜」

近場のヴァジュラが膝をつくリンドウを取り囲み、ジリジリと迫ってくる。そんな時、一機のヘリがリンドウの頭の上を通過する。そして、

「リンドウーーーー!!!」

「っ!!おっ?」

空からレンカが降って来る。

降下しながらレンカは銃形態にし、ブラスト砲をヴァジュラの群れに撃ち込む。

 

ズガァァンッ!!!

 

その威力にリンドウは驚いたが、撃ったレンカも目を丸くしていた。

着地した後に確認すると、リンドウを取り囲んでいた10体近くのヴァジュラは、完全に沈黙していた。

「よぉ〜、何だ今の?ちっとばかし派手過ぎないか?」

「す、すまない!リッカさんに『カノンちゃんと同じバレットにしたよ♪』と言われてたが・・こんな威力とは」

「おいおいおいおい、リッカは俺を殺す気か?」

リンドウは苦笑しながら煙草に火をつける。すると、レンカが手を差し出してくる。

「大丈夫か?」

その行為にリンドウは懐かしさを覚え、グッと手を握り立ち上がる。

「ま〜だ、介護される歳じゃねぇぞ〜」

「・・ふっ」

軽口を叩くリンドウに安心したのか、レンカは笑みを浮かべる。立ち上がったリンドウは煙を吐きながら、レンカに笑みを返しながら口を開く。

「あん時のガキが、随分立派に成長しやがって」

そんな台詞が出てくるとは思わず、レンカはまたも目を丸くする。

「覚えて、たのか・・」

「ったりめぇだろ。・・・強くなったな、レンカ」

「・・・いや、まだまださ」

そう笑い合った二人は、ヴァジュラの呻き声に顔を向ける。

「思い出話は帰ってからにしろってよ〜」

「そのようだな」

神機を構えて、二人は臨戦態勢に入る。

「確実に1体ずつだ。無理はすんなよ?」

「わかった!」

飛びかかって来るヴァジュラに、二人は神機を振り下ろす。

 

 

司令室では、榊博士が誘導装置の不具合をチェックしている。その間にツバキは、改めてレーダーで荒神の動きを確かめていた。そんな中、1つの仮説に辿り着く。

「・・・似ている」

「ん?どうしたんだい、ツバキ君」

ツバキの呟きに、榊博士が作業の手を止めて聞き返す。

「榊博士、ちょっと・・」

呼ばれた榊博士はツバキの元に行き、ツバキの視線の先を見上げる。

「この荒神の動き、誘導装置に惹かれてきた時と似てませんか?」

「・・・確かに。しかし、誘導装置は5台だけだと聞いているが?」

「はい、間違いありません」

「それに、もしその仮説が正しいなら・・・・誘導装置はこの極東支部内にある事になる」

「・・・まさか」

二人が仮説を立てたものの、立証出来ずに悩んでいたところ、ヒバリが声を上げる。

「博士!リンドウさんの通信傍受を行っていた場所、判明しました!」

「どこだね?」

「・・・極東支部内の医療棟、・・・大車先生のところからです」

「っ!!!」

それを聞いたツバキは、仮説の信憑性を自分の中で引き上げ、ヒバリに指示を出す。

「すぐに支部長に繋げ!それから警備兵を集めろ!」

「はい!」

指示を飛ばした後、ツバキは無線をユウへと繋ぐ。

「ユウ!こちら司令室!応答しろ!」

『・・・はい!こちら神薙!どう・・』

「いいからそのまま聞け!まだ確実とは言えんが、荒神が極東に寄ってきた理由がわかった!極東の中に誘導装置がある!」

『なっ!!本当ですか⁉︎』

ユウの返事に答えるため、ツバキは榊博士に目をやる。博士も仮説を信じたのか、レーダーのある一点を指す。

「おそらくこの辺りだ。あるとすれば、それを破壊すれば一時的に荒神の動きを乱せる。目的を見失う訳だからね」

「位置は外部居住区A地区近辺!ユウ!中に入って特定しろ!破壊の指示は、私が支部長から取り付ける!」

『了解しました!』

回線を閉じ、ツバキは再びレーダーへと目を向ける。隣で顎に手を当てていた榊博士は、レーダーをもう一箇所指差す。

「もしこの仮説が正しければ、リンドウ君の向かった先の・・あの辺りかな。そこにも装置が存在している可能性が高いね」

「そういうことか。くそっ!」

ツバキが怒りに体を震わせていると、支部長との回線が繋がる。

『ツバキ君、どうしたのかね?』

「支部長、御報告があります」

 

 

脚力を最大限使い、無理矢理内側に入ったユウは、居住区を駆け抜ける。さほど複雑ではないにしろ、居住区にはそれ程足を運んでいないので地理には疎く、どこを探せばと迷ってしまう。そこへ、榊博士が無線で連絡してくる。

『聞こえるかい、ユウ君』

「榊博士ですか?はい、聞こえます!」

『君のいる今の位置から、もう少し西に行ってみてくれないか?』

「西ですか?わかりました」

位置を確認しながら、ユウは慎重に進む。でも、よくよく考えればあんなデカイ物は、早々に報告が上がってきてもおかしくないはずなのにと、ユウは疑問を抱きながら走っていく。そこへ、榊博士が再び連絡してくる。

『ユウ君、その辺りにないかな?』

「ちょっと探してみます」

見回せど、それらしい物は視界に入らず、ユウは徐々に焦りを感じる。

そこへ、居住区に暮らしているであろう子供達がやってくる。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「ん?ちょっと、探し物をね。というか、君達外に出ちゃ駄目じゃないか!今日は大規模な作戦の為、居住区の人は家から出ちゃ駄目だって言われたでしょ?」

そんなユウの言葉に、子供達は笑顔で返す。

「大丈夫だよ!だってゴッドイーターが、いるもん!」

「そうだよ!強えんだよ!ゴッドイーター!」

「・・・ははっ」

そんな返しが意外で、ユウは思わず笑ってしまう。そこで、一人の子供が気付いたのか、ユウに聞いてくる。

「ねぇねぇ、もしかしてお兄ちゃんもゴッドイーターなの?」

「え?あぁ、うん!そうだよ!」

「マジで!」

そう言うと、子供達は途端にはしゃぎ出す。

「すっげぇ!マジでゴッドイーター?かっけぇー!」

「それなに?武器?」

「神機って言うんだぜ!すげぇ、本物!」

「あー、触っちゃ駄目だよ!お兄ちゃんしか触っちゃ駄目なんだから!」

「えー!ケチー!」

苦笑いを浮かべながら頬をかいていたユウは、ふと子供達を見ていて思いつく。

「ねぇ。みんなはいつもここら辺で遊んでるの?」

「そうだよ!」

「俺達の庭なんだぜ!」

子供達の元気な返事に頷きながら、ユウはさらに続ける。

「じゃあここら辺で、変な機械とか見なかった?」

その問いに、子供達は首を傾げる?

「変な機械〜?」

「機械自体、少ないもんね?」

「そうだよな〜」

「そっかー」

ユウはやはり仮説なのかと考え出した時、一人の子供が手を挙げる。

「でも〜、結構前に、夜に変なの埋めてた」

「埋めてた?」

「うん!ここら辺」

と、ちょうど自分達がいる足元辺りに大きく円を描きながら指差す。それによって、ユウには合点がいった。

「・・・そういうことか」

そう呟いた時、無線から今度はツバキの声が入る。

『ユウ!支部長の許可を取った!破壊しろ!』

「了解!!みんな下がって!」

疑問符を浮かべながら後ろに下った子供達を確認してから、ユウは高く飛び上がり銃形態に切り替える。そして、地面に向かってバレットを数発撃ち込む。

 

ガガガガッ!!!

 

すると、地面から誘導装置のあたまが出てくる。そして、

 

ギィンッ!!

 

地面に降り立ち剣形態に切り替え一閃。

ズズズッと音を立て、誘導装置の頭の部分は斜めに地面に落ちる。漏電した電気がパチパチいってから、低くなっていた音がしなくなったのを確認してから、ユウは回線を繋ぐ。

「神薙です!破壊完了!どうですか?」

『よくやった、ユウ!荒神が混乱を起こしている!これで戦況が変わるぞ!』

「よかった・・」

『お前はそのままA地区の監視塔に登れ!ヘリを行かせるから、リンドウ達の応援に迎え!』

「了解!!」

回線を切ってから振り返ると、子供達はポカンと口を開けてユウを見上げている。それに笑顔で応える。

「ありがとう!助かったよ!」

それからユウは監視塔に向かって走り出した。後に残された子供達は、打ち合わせたように同時に呟く。

「「「「かっけぇ〜〜」」」」

 

 

撃てども撃てども迫り来る荒神に、サクヤは苛立ちを感じ始めていた。

無線で聞いていた限り、偵察に向かったリンドウがかなり危険な目にあっている。そんな状況に、ここから動けないでいるのが、もどかしくて堪らないのだ。

(早くリンドウの元へ、行きたいのにっ!)

そう考えていた時、ツバキから連絡が入る。

『聞こえるか、サクヤ!』

「三佐?」

『そこにある誘導装置を破壊しろ!』

「えっ?・・・しかし」

その指示に驚き、戸惑っているとツバキはさらに続ける。

『構わん!支部長の許可は取った!そのポンコツを破壊しろ!』

「っ!!わかりました!!」

言うが早いか、サクヤは躊躇いなく装置に向かって貫通バレットを撃つ。

 

ドォォーーンッ!!

 

その音に何事かと振り返った皆を無視して、サクヤはツバキに報告する。

「破壊しました!」

『よし!荒神の様子は?』

「それは・・・」

視線を向けると、荒神達は他の誘導装置に誘われて離れていく。それを不思議に思ったのか、交戦していた仲間達がサクヤの元に集まる。

「他の誘導装置に向かいました」

『わかった。では第一部隊はリンドウ達の応援へ。残った誘導装置の荒神は防衛班が引き継ぐ』

「了解です!!」

『それと、伝えておく事がある』

「何でしょう?」

サクヤの問いに、ツバキは一呼吸置いてから、話し始める。

『今回の作戦、外からの介入があった』

「えっ?」

『犯人は大車大吾。アリサの担当医として、ロシア支部から来た男だ』

「なっ!!」

思わずアリサに目を向けたサクヤに、当のアリサは首を傾げる。無線の向こうのツバキは構わず続ける。

『どうやって手に入れたかは知らんが、奴は誘導装置を2つ秘密裏に仕掛け、作戦を混乱へと陥れた。ここ極東と、リンドウが偵察に向かった山岳地帯のどこかだ』

「それで、荒神の動きに変化が」

『どういう思惑での行動かはこれから捕らえて吐かせる。お前達はリンドウ達と合流し、その誘導装置も破壊しろ。極東の方はユウが破壊した。混乱している今の荒神なら、お前達を抜いた戦力でも充分鎮圧可能だ』

サクヤはツバキの声に意識しながら、山岳地帯を見据える。

『先にユウをヘリで行かせたが、オラクル反応は今だ数が衰えない。コアの数も充分過ぎる程に回収した。後はお前達が生きて帰るだけだ!わかるな?』

「はい!」

返事に満足したのか、ツバキは今一度指示をだす。

『では第一部隊長橘サクヤ!隊員を引き連れ、雨宮リンドウ、空木レンカ、神薙ユウと合流し、不当に持ち込まれた誘導装置を発見次第破壊しろ!』

「了解!!」

『私は大車大吾を拘束しに行くので、暫く通信は出来ん。なので第一部隊全員に伝えよ!必ず生きて戻れ!』

通信を終えて、サクヤは皆を見回す。

「リンドウ達のところへ!詳しいことは移動中に話すわ!」

その言葉に吸い寄せられるように、四人は一斉に走り出した。

 

 

「街が、ある?」

ヴァジュラと対峙しながら、レンカはリンドウの言葉に顔を向ける。

「あぁ。街って程、上等なもんじゃないけどな」

1度距離をとってから構え、リンドウは話を続ける。

「そこにはフェンリルに入れなかった人達が暮らしてる」

「でも、どうしてそんな人達のことを。その街のことを、あんたが知っている?」

「・・・俺がそこを暮らせる場所にしたからだよ」

「なっ⁉︎」

驚きの表情をしたレンカを横目に、リンドウは目の前のヴァジュラを斬り伏せる。レンカも戦闘中なのを思い出し、銃形態に切り替え撃ち殺す。

「フェンリルを頼って来た人達が門番に追い返されるのを長いこと見てると、上の事情とかそういうのがバカバカしく思えてな。ゴッドイーターになったのに、目の前で困ってる人を助けれないのは癪だろ?だったら暮らせる所、作っちまうかってな」

「だからと言って、こんな場所すぐに・・・」

そんなレンカの疑問を遮るように、

 

グチャァッ!!!

 

嫌な音が辺りに響く。

同時に二人が音のした方を向くと、

 

グアォォォォッ!!!

 

大気を震えさせるような叫び声をあげ、絶望を纏った黒い化物がヴァジュラを踏みつけていた。

「・・・こいつが、例の・・」

「・・ディアウス・ピター!」

静かに怒りを込めて、レンカが呟く。

そんな事は御構い無しの様に、ピターは自分の足下に転がる肉片を貪り出す。

「こいつは、確かに厄介だな。自分の同族種を喰う為に殺したのか」

「あぁ。そのせいかあいつは、ヴァジュラよりも広範囲で強力な稲妻を起こす事ができる」

「そりゃ、なお厄介だ」

今のところ見向きもしないピターに都合がいいと踏んだのか、リンドウは腰のポケットから閃光弾を取り出し、口でピンを抜く。

「全員、目を瞑ってもらう、ぜっ!!」

言葉尻を合図に、閃光弾をピターに投げ付ける。すると、カッ!っと音がなったかの様に辺りを強い光が走り抜ける。それを喰らわぬようリンドウとレンカは目を遮り、光が晴れたのを確認し前を見る。

「なっ!こいつ!!」

目を晦ましてその場に伏せているかと思いきや、ピターは暗黒の翼で顔を覆い、ゆっくりとその隙間から顔を出す。

「閃光弾をかわした、だと?」

「こいつの情報に、頭も良いとか追加しとけ〜」

餌に飽きたのか、今の行為に腹を立てたのか・・・。ピターは、標的をリンドウとレンカに定めゆっくり近づいて来た。それを迎え討とうと構えてから、リンドウはレンカに喋りかける。

「他にあいつの事で言っときたい事、あるか?」

「あいつは・・・疾い!」

「なに?っ!!!」

リンドウの疑問に応える様に、ピターは地を蹴って突っ込んでくる。それを寸でのところで受け流してから、リンドウは斬りつけにかかる。

「はぁっ!!」

が、黒い翼が盾となり、リンドウの体を思いきり弾き飛ばす。

「がぁっ!くっそ、またかてぇのかよ!」

「リンドウ!」

レンカの声にハッとなった時には遅く、ピターの鋭い爪がリンドウに襲いかかり、切り裂かれた・・・

 

ギィンンッ!!

 

と思ったのだが、落ちたのはリンドウの首ではなく、ピターの爪だった。そして、それを成した男がリンドウの前でゆっくり立ち上がる。

「ディアウス・ピター、だったっけ?会いたかったよ」

黒い化物は不敵に笑みを浮かべ、神機を肩に担いだ神薙ユウはそれを睨みつける。

 

 

 




ユウとピター初対面!
これから戦闘が激化していきます!予定です!
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