よっしゃ〜!
僕等のユウ君、いや、私のユウ君!
荒神ヌッコロせ!
「本日より、第一部隊に配属となった神薙ユウだ。以後は隊長の雨宮リンドウに従うように。以上だ!」
張り詰めた声が響く極東支部のエントランスで、ユウは自分の配属される第一部隊の面々と対面していた。
「本日よりお世話になります、神薙ユウです。よろしくお願いします」
「おう、よろしくな〜」
「よろしくね♪」
「・・・ふん」
三者三様の反応に、どうしたものかと戸惑うユウを見て、ふぅーと溜息をつきツバキが言葉を発する。
「お前達、自己紹介ぐらいはしてやらないか」
「はっ!了解であります、姉上!」
「リンドウ、ここで姉上と言うなと何度も・・」
「あ〜、すいません。雨宮三佐」
再度溜息をつき、全員に目を向けながら、リンドウに目を戻し、
「では雨宮隊長、後は任せる」
と言い、その場を離れた。
ツバキが去ったのを確認してから、リンドウは大きく背伸びをし、息を吐く。
「よーし、新入りー。早速任務だから、手短にすますぞー。俺は雨宮リンドウ。この第一部隊隊長なんてモノをやってる。今後は俺の指示に従って貰うがー・・・、まっ、気楽に行こうや」
と、軽く肩を叩きニッと笑ってみせる。
「はい!よろしくお願いします!」
「真面目だね〜」
「貴方も少しは見習ったら?」
リンドウの後ろから落ち着いた雰囲気の女性が顔を出した。
「初めまして新人君。私は橘サクヤ。この部隊の副隊長をやってるの。訓練の段階で凄い成績を残したって聞いたけど、実践でも期待して良いのかしら?」
「はい!頑張ります!」
「ふふっ。よろしくね♪」
軽く手を振りながら、笑顔で答えるサクヤから後ろに目を向けたリンドウが、頭を掻きながら手招きする。
「おーい、お前も自己紹介しろソーマ。任務に遅れるだろ?」
チッと舌打ちをしながら、数歩前に出てユウを睨むように見つめる少年。彼こそ、単体では最強のゴッドイーターと言われている、ソーマ・シックザール。逃げるのが得意なリンドウとは対称に、喰い尽くすのが得意と言われたゴッドイーター。人の命さえも、という悪い噂も・・。
「ソーマだ。別に覚えなくていい」
「え?」
「おーい、ソーマー」
リンドウの注意に知らぬ振りをし、再び口を開く。
「お前は、どんな覚悟でここに来た」
「ソーマ!もう、あんたって子は!」
「ふん」
そんなやり取りの中、取り残された子供のような状態になっていたユウが答える。
「みんなの、明日を切り開く為です」
呟く様に発した言葉に、ソーマとサクヤは目を丸くし、リンドウはフッと笑みを浮かべた。
「ふん。じゃあ、せいぜい足を引っ張らず、死なないことだな。なるべく俺に近付かない事を、お勧めしてやる。別に期待もしてないしな」
「ソーマ!」
「はい!じゃあ近付かない様、頑張ります!」
その言葉に、一瞬場が凍りついた。ユウは、緊張していたのである。
一息間があった後、急にリンドウが声を上げて笑い出した。
「そうかそうかー!いやー、愉快な新人で良かったなー、ソーマ」
「ちょ、っと、・・くく、・・笑わないでよ、リンドウ。・・ふふ」
「・・・・・ちっ、どいつもこいつも」
「あ、あれ?・・・あっ!いや、違っ、・・そうじゃなくて!」
オタオタする様が余計に可笑しかったのか、いっそうリンドウとサクヤが笑い出す。
「いやー、場も和んだ事で、任務に向かいますか?その調子で、期待してるぜー、新入りー」
「は、はい!・・・ん?あ、あれ?」
笑い続けるリンドウを先頭に、新生第一部隊は初任務に向かった。
『本日の任務は、近辺の荒神掃討です。今のところ、小型しか確認していませんが、中型以上の潜伏も注意しつつ任務に当たって下さい』
「了〜解。ヒバリ、任務外の荒神出現の際には、即座に連絡頼む」
『はい、リンドウさん』
無線の応対を終わらせ、後ろに控えた部隊に向き合う。
「まぁ、当初の予定通りの任務で問題ない。そいじゃ、新入りに隊長としてありがたい言葉をやる。心して聞けー」
「はい!」
ユウの返事に満足気に頷くと、リンドウは目の前に指を3本立てて胸を張る。
「命令は3つだ。死ぬな、死にそうになったら逃げろ、そいで隠れろ、そして隙を見てブッ殺せ、以上だ」
「はい!ん?・・あれ、それ、・・・・・4つじゃあ?」
「ん?そうか?」
ユウの答えに、自分の出した3本指に目を向ける。そんなリンドウに、サクヤが大きく溜息を吐く。
「気にしないでユウ。こういう人なの、リンドウは」
「・・・いつものことだ」
「はぁ・・」
「おいおい」と、頭を掻きながら誤魔化すリンドウの目にこの近辺に巣食うオウガテイルが目に入る。
「お客さんのお着きだ。派手に喰い散らかすか。新入り!お前は俺と一緒に来い!ソーマは反対の通路を塞いでくれ!サクヤ、バックアップ頼む!」
「「「了解!」」」
返事を合図に、見降ろしてた高台から一気に飛び降りる。
「1匹残らず食い尽くせーー!」
ザシュッ!グシャッ!!
振るう神機に、シミュレーションとは違った重みがかかる。実践では生き物を切る重みや、舞う血飛沫に吐き気をもよおし、戦場でもどすのはしばしばあるのだか、ユウは訓練同様、襲い来る荒神を斬り捨てては捕食し、撃ち殺す。そこに躊躇いはなかった。
「ヒュ〜♪やるなー」
「これが、、新型の力」
「・・・ふん」
第一部隊は精鋭揃い。その強さは最前線の極東支部の中でも目を瞠るモノがある。
過信してる訳ではないが、そんな実力者達にとっても、神薙ユウという存在は畏怖を感じる程だ。
(一体、ニ体、そして、・・・三体)
ユウは次へ次へと標的を移し、荒神を殲滅していく。その速さは、ソーマと良い勝負である。
「これは・・・、バックアップしがいがないわね」
サクヤが漏らした声に共感するように、リンドウも目の前の荒神からコアを回収後、神機を肩に担ぎ笑みを浮かべ、煙草に火をつける。
『ソーマとユウの殲滅合戦』
そんなチープな題名も笑って許せそうな戦場で、飛び退いた2人が背を合わせ、目の前の荒神を叩き伏せた瞬間、任務は終了した。
うーん。戦闘って難しい。
もっと精進します。