GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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31話 揺れる天秤

 

瓦礫の散乱する道を、ソーマは一人周りを警戒しつつ歩く。携帯端末のレーダーを見ながら、近くの隙間から遠くの影まで目を配り、諦めたのか無線を繋ぐ。

「こちらソーマ。それらしいものは見当たらない。もう良いだろ、帰投する」

『了解したよ、ソーマ君。帰り道気をつけて』

「・・・ふん」

無線を切ってから息を吐き、歩みを進めたその時、

「っ!!!」

何かを感じたかの様に後ろを振り返る。

しかし、特に変わったものはない。

「・・・・・気のせいか」

そう口にしてから、ソーマは再び歩き始める。

 

ソーマが立ち去った後、瓦礫の上に小さな足が降り立つ。そしてソーマの歩んで行った先、フェンリル極東支部を見つめる。

 

悲しい事件にまだ間も無く、GOD EATER達の新たな始まりが幕を開ける。

 

 

 

極東支部の支部長室。そこに神薙ユウは呼ばれていた。

メテオライト作戦から2週間が経ち、皆辛くとも変わらぬ日常を歩き始めている。ユウも、コウタとの確執も無く、第一部隊で日々任務をこなしていた。

そこへ今回の支部長からの召集。少しずつ気持ちに整理がついてきたユウも、今支部長には会いたくなかった。まだ、信用してないからだ。

「突然の呼び出し、申し訳ないね」

「いえ、任務ですから」

相変わらずの対応に、支部長は目を細めて笑う。

「まだ、・・・私のことが、嫌いかね?」

「・・・それを聞くために呼んだんですか?」

「いや・・・ふふっ。まぁ、いいだろう」

心の内が読めない支部長に、少し苛立ちを覚えるユウ。別に知りたくもないが・・・。

「今日君に来てもらったのは、新たに君に頼みたい事があってね」

「・・・任務ですか?」

その言葉に頷きながら、支部長は立ち上がる。

「君の実力は、この極東・・・いや、全ゴッドイーターの中でも最強と言っていいだろう。そんな君にだからこその、任務と言っていい」

「・・・はい」

表情を崩さないユウの何が面白いのか、支部長は笑みを浮かべたまま続ける。

「君にはリンドウ君に頼んでいた特務を、引き継いでほしい」

「・・・リンドウさんの?それって、エイジスの為の任務ですか?」

「話が早くて助かる。そうだ。強力な大型種や、新種の荒神。それらを討伐しコアを回収する。私から直々に君へ任務を発行する」

「・・・・・」

黙って聞き続けるユウの元に、支部長はゆっくりと足を進める。

「リンドウ君は、実に優秀な人材だった。彼を失ったのは、私も惜しい。しかし、極東にはまだ、君がいる。君もリンドウ君に・・」

「わかりました・・」

支部長の言葉を遮り、ユウは顔を向ける。

「その任、僕が引き継ぎます。ですから・・・、もういいですか?」

「・・・あぁ。結構だよ。頼もしい限りだ」

今だ笑みを絶やさぬ支部長の言葉を受け入れ、ユウは1礼してから部屋から出て行った。

閉じられた扉を満足気に見ながら、支部長は目を閉じる。

「やはり君は最高だよ。・・・神薙ユウ君」

 

 

退室し暫く歩いた所に、ソーマが壁に背を預け立っていた。

「ソーマ」

「・・・・特務の件か」

ソーマの言葉に頷きながら、止めた歩みを再開する。ソーマも背を預けていた壁と別れ、それについて歩く。

「うん。ソーマの言った通りだったね」

「ふん。あいつの考えそうな事だ。利用出来るものはとことん利用する。人も、物も、あいつにとっては大差ないんだろ」

「・・かも知れないね」

ユウもまた、ソーマと同じ考えだった。支部長にとっては、人もまた自分の為に使う道具に過ぎないのだと・・・そう、リンドウも。

「・・・受けたのか?」

「まぁね。・・・リンドウさんの分まで、お金をふんだくってやる」

「・・・・ふっ。お前らしいな」

少しずつ調子を取り戻したのが嬉しいのか、ソーマは静かに笑う。それから、ユウに目を向けながら口を開く。

「・・リンドウを引き継ぐなら、もう1つ引き継いで見る気、あるか?」

「え?」

思わぬ発言にユウは目を見開き、不敵に笑うソーマを見つめる。

「・・・来い」

「あ、・・・うん」

事情がわからぬまま、ユウは先を行くソーマを追いかけた。

 

 

「やぁ!来てくれたね!」

着いた先は榊博士の研究室。着いた矢先に顔を近づけられ、ユウは仰け反り手を前に出す。

「はい、まぁ・・後、近いです」

「おっと、失敬」

眼鏡をクイッと上げながら、榊博士は自分のデスクに戻り、手を前に組む。

「ここに来たという事は、支部長の特務・・・リンドウ君を引き継いだということで、間違いないかな?」

「えぇ、まぁ。それで、ソーマの言ったもう1つの引き継ぎって・・」

「あぁ、そうだね。じゃあ、早速・・・これを、見てくれるかな?」

「・・・?」

榊博士の出した画像に、ユウは首を傾げる。多少ボヤけてわからないが、何か人に見えるようなものが写っている。

「何です?これ?」

「うん。少しブレててわかりにくいだろうけど、・・・ユウ君には何に見えるかな?」

ここでクイズの意味がわからないとユウは思ったが、もう一度よく確認してから、慎重に答える。

「・・・人・・ですか?」

「そう!!人だ!!」

「はぁ、だから近いですって」

「おや、失礼」

乗り出してきた榊博士を押し戻してから、ユウはソーマにも視線を移す。ソーマは事の成り行きを、ただ黙って見守っている。

「実はね、リンドウ君には私からのお願いごとも聞いてもらっていたんだ」

「はぁ、それがこれですか?」

「そうとも言えるし、違うとも言える」

「んん?」

用途を得ないユウを見てから、「ちっ」と舌打ちをしてからソーマが口を挟む。

「おい、話が長ぇ。要点だけ言って、さっさと済ませろ」

「おっと、そうだね。じゃあ細かい事は横に置いて・・」

1つ咳払いをしてから、榊博士は本題に移る。

「ユウ君にはこの画像に写ってるものを探して欲しい」

「人探し、ですか?だったら探索班にでも・・」

「いや、おそらくこれは人じゃない」

「は?・・・」

ユウの疑問に応えるように、榊博士は画面を指さす。

「この写真は探索用の小型ロボットで撮影されたものを抜きとった物なんだけど、どうしてブレてると思う?」

「そりゃ・・故障してたとか?」

「そうじゃない。この時間にこの小型ロボットがいた場所の、半径500メートル近くの範囲で強力な電磁パルスが検出された」

「え?・・・なんでまた」

その疑問に答えるべく、ソーマが後ろから写真を指す。

「原因は・・おそらくこいつだ」

「これ?この人っぽいのが?」

驚きの中、1つ仮説が浮かんだユウは、再び榊博士に目を向ける。

「まさか・・・荒神、ですか?」

その答えに満足気な表情を見せる榊博士は、椅子に背を預けてから喋り出す。

「まだ断定は出来ないがね。だからこそ君と、ソーマ君に探索をお願いしたいのさ。内密にね」

「・・・それは、支部長にも、ですか?」

少しの間を取り、榊博士は頷く。それから打って変わって真面目な顔を作り、話を再開する。

「もし、これが荒神だったとしたらだ、支部長もこれを欲しがっている」

「支部長も?荒神を?」

「まだ、詳しい事は言えないが、私と支部長の計画にはどうしてもこれが必要なのさ。君に新たに支部長が頼む特務も、これを見つけるのが最終目的と言っても過言ではない」

「これが、支部長の最終目的・・・」

呟きながら改めて画像にめを向ける。その様子を伺いながら、榊博士はユウに喋りかける。

「どうだろう、ユウ君。支部長ではなく、私に手を貸してくれる気はないかい?」

「・・良いですよ」

「・・即答だね〜」

その反応を予期していたのか、榊博士は続ける。

「では、改めてお願いするよ。ユウ君とソーマ君には、この画像のものを発見し、連れて来て欲しい」

「っ!!連れて来ちゃって良いんですか?」

ユウの返しに、笑顔で応える榊博士は、ソーマにも目をやり頷く。

「そう。私の計画には、生きたままのこれが必要なのさ。支部長は、どうかわからないけどね。とにかく、情報が入り次第君達にお願いすることになるから、そのつもりでよろしく頼むよ。それまでは、支部長のご機嫌を取っておいてくれたまえ」

「ん〜、わかりました。・・・いずれ、全て教えて下さいよ?」

「あぁ、いずれね」

そう言って榊博士は、楽しそうに微笑んだ。

 

 

暗い部屋で、サクヤは一人部屋に飾られたサボテンを眺めていた。ゴッドイーターになった時に、どこから手に入れたのかリンドウがプレゼントしてくれたものだ。・・・正確には、置いていっただが。

『トゲトゲしいところが、お前に似てないか?』

持ってきた時のリンドウの言葉を思い出し、少し可笑しくなり微笑む。

「本当・・・、失礼な」

独り言を洩らしながら、少し前に咲いた花を優しく撫でる。

「綺麗な花が・・・咲くんだぞ〜・・・」

返ってくることのない返事も気にせず、サクヤは愛しい人との思い出を振り返る。

少し感傷に浸りすぎたのか、サクヤの頬を涙が伝う。それに気付いてから、少し焦ったようにそれを拭う。

「こんなんじゃ・・・、あなたから託された事・・・守れない」

そうしてリンドウのくれた、言葉を1つずつ思い返す。どんな言葉も、彼女にとっては綺麗なもののように感じられた。

そこでふと、ある言葉を思い出す。

『悩んだ時は、サボテンにでも聞いてみろ?なんか答えが、見つかるかもな?』

(サボテン・・・・か〜。本当に、話しかけてる。・・・サボテン)

暫く考えた後、サボテンの鉢植えをゆっくり持ち上げる。

「・・・これ」

そこには、情報端末の記録ディスクが隠されていた。

「どうして、こんな物・・・、リンドウ・・」

それを手にし、胸の前で握りしめていると・・・。

トンットンッ

「サクヤさん、アリサです。そろそろ任務の時間ですけど・・」

「あ、アリサ?うん、わかった!すぐ出るわね!」

咄嗟に持っていたディスクを枕の下に隠し、サクヤは深呼吸する。そして頬を軽く叩いてから、部屋の扉へと向かう。

「お待たせ!ごめんね、迎えに来てもらって」

「いえ、それは良いんですけど・・・、寝てたんですか?」

「う、うん。ちょっと!」

「?・・そうですか」

疑問を浮かべるアリサを促し、サクヤは任務の為にエントランスに向かう。しかしその頭の中は、さっきの記録ディスクの事でいっぱいだった。

 

 

 

 




ここからは完全にゲームそっての話です!内容は既に違うところ多いですが!

次は完全なオリジナル話てす!
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