GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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38話 最奥の闇

 

ガシャンッ!

極東の最奥。地下へと続く階段の先に、違反行為などで捕らえられた者を隔離する牢が存在する。鉄の格子には特殊な施しがされており、ゴッドイーターの力を持ってしても破ることは出来ない。

だがそれも、神機があれば別である。

「ユウさん!」

牢の扉を神機で斬り破り、レンカがユウへと手を差し出す。

「・・レンカ?・・どうして・・・」

「話は後です!今、アリサも他のみんなを解放しています!早くここから出ましょう!」

レンカに立たされてから、ユウは朦朧とした意識を振り払い、外へと飛び出す。外にはソーマ、サクヤ、榊博士も既に解放され、アリサと共に待っていた。

皆の無事を確認してから、榊博士は口を開く。

「君達はすぐに神機を取りに行ってくれ!私は研究室・・・は危険か。ならばリッカ君の所へ向かう!君達の行く先は、私が切り開く!」

《了解!!》

地下から上がったところで榊博士と別れると、一同神機保管庫へと向かう。

 

 

「リッカ君は・・・、いないか。申し訳ないが、君のを使わせてもらうよ!」

誰もいない開発局のデスクに並ぶPCから一台電源を立ち上げる。それからクローンプログラムを立ち上げた榊博士は、研究室にある自分のPCにリンクさせる。

「よし!・・・後は、・・・」

そこから予め設定していた、ハッキングプログラムを呼び出し、極東支部全域の開錠システムを『off』へと切り替える。

「これで、よしと・・。ここから先は、君達に任せる・・・なんて、言ってられないな!」

そう言ってから榊博士は立ち上がり、携帯端末からマップデータをユウへと送りながら、行くべき場所へと走り出した。

 

 

神機保管庫に着いてから、捕まっていた三人は認証をし、神機を取り出す。皆状態を確かめているところで、ユウの携帯端末に榊博士からマップデータが届く。

「これは・・・、エイジス?」

そのマップが正しいなら、この極東の地下からエイジスに繋がる通路があることが示されている。それを出来るだけ頭に叩き込んでから、ユウは顔を上げる。

「みんな!エイジスへの近道を、榊博士が教えてくれた!僕についてきて!」

皆が頷き準備も出来たと確認してから、ユウを先頭に走り出す。と、そこへ・・・。

「・・・ユウ君」

「リッカ・・・」

保管庫の出口前にリッカが立っている。しかし、こちらの邪魔をすまいと道を空ける形で横に避ける。

ユウはそのまま駆け抜けようとスピードを速めた時、目の前に何か浮いているのを目に止め、それを掴む。走りながら手の中のそれを確認すると、それは何やら模様の入った金属に紐がついたペンダントだった。金属の先には針の様に尖った出っ張りがある、少し変わったオブジェだ。

「絶対に!生きて帰ってきてー!!」

通り過ぎた先で、リッカが叫んでいる。それを胸にユウは受け取ったそれを首にかけ、戦場への道を走り抜けた。

 

 

地下に降りる道は2つあり、1つは最奥の牢へ。もう1つはエレベーターから資材倉庫に降り、そこから物資運搬車のレールを辿った先にある別のエレベーターを使ってから降りる。そこから先は、極東支部でも支部長に許可を得た者以外は、誰も知らない未知の領域だ。表向きの資料では、新しい食糧開発施設とされているが、実際は・・・。

「エイジスへの通り道、ということですか・・」

アリサがユウの携帯端末でルートを確認しながら、言葉を洩らす。そのまま奥へと進んでいくと、大きな扉の様なものが見えてくる。

「・・アリサ!」

「間違いありません!あそこから、エイジスへ入れます!」

「よし!・・っ!!あれは・・」

レンカの声に皆が目を凝らすと、扉の手前に人影が見えた。

「コウタ!」

「あいつ・・・ここで何を・・」

その人物をコウタと認め、その目の前で足を止める。神機を手に俯いたコウタに、レンカが声を掛けようとしたところで、コウタは深く頭を下げる。

「みんな、ごめん!俺・・・、みんなのことを・・・もう少しで裏切りそうになって・・だから!・・その」

どう説明しようか目を泳がせ戸惑うコウタに、サクヤは優しく微笑み肩に手を置く。

「・・ありがとう・・・、コウタ」

「サクヤさん・・・俺・・!」

もう一言と口を開こうとしたコウタを、サクヤは手を前に制してから、エイジスへと続く扉を睨む。

「話は後よ。まずは、私達の家族を、取り戻しに行きましょう!」

その言葉に皆頷き、扉の前まで走り出す。

 

 

「なんで・・なんで開かないんだよ!くそっ!」

セキュリティを破れない事に苛立ちを口にするコウタ。それを見兼ねてか、ソーマが1歩前に出て構える。

「・・・どけ」

「へ?」

大きく振りかぶった神機に、黒いオーラが集まりだす。そして・・。

「ふぅっっ!!!」

 

ゴォォーーンッ!!!

 

強大なエネルギーをぶつけた音が、辺りへと響き渡る。地面から舞った砂埃がゆっくり晴れていき、扉がゆっくりと姿を現す。

「ちっ・・・頑丈に作りやがって!」

扉には多少の傷は付いたものの、破壊までには遠く及んでいない。

「くっ!・・・榊博士に、来てもらうしかないのかしら・・」

刻一刻と時間が過ぎていくのを、もどかしく感じていたその時・・。

「その必要はない」

声のした方へ顔を向けると、雨宮ツバキが立っていた。

「・・ツバキ、さん」

サクヤの声を合図に、ツバキは前へと進み出る。その顔には、どこか喜んでいる様な感情を読み取れる。

「ツバキさん、これは・・」

「みなまで言うな。事の成り行きは、榊博士から伺っている。そもそもにメテオライト作戦の時点から、私は支部長を疑っていたのだからな」

「雨宮、三佐・・」

ツバキは目を閉じてから、ゆっくり息を吐く。

「・・・本当ならば、私自ら支部長を拘束に向かいたいのだが・・・私は引退した身だ。もう荒神を相手には戦えない。・・だから、お前達に託したい!」

そう言ってツバキは、手に持っていたカードをリーダーに通す。すると、ビクともしなかった扉が大きな音を立てながら開き始める。

「これは・・・、ツバキさん!」

「私が出来るのはここまでだ。後の事は、お前達に任せる!」

「ツバキさん・・・」

ユウの声にツバキは微笑み、頭をクシャクシャと強く撫でる。

「心配するな。お前達の帰ってくる場所は、私が守ってみせる。だから、思い切りやってこい」

「・・はい!」

力強いユウの返事に頷き、ツバキは上司としての鉄仮面を、その顔に貼り付ける。

「改めて命を下す!第一部隊はその武力を持って、恐慌に走る極東支部長ヨハネス・フォン・シックザールを捕縛し、その背後を守る巨大荒神を叩きのめして来い!そして・・・、誰一人欠けることなく生きて戻れ!わかったな⁉︎」

《了解!!!》

 

死地に向かって走り行く背中を見つめ、ツバキは拳を握り、強く願いを口にする。

「頼んだぞ、ゴッドイーター!」

 

 

 

扉の奥に進んで行くと、道が2つに別れていた。

「こういう時、手分けした方が良いように思うけど・・」

「少数の武力を分散したくないですね・・・今は」

ユウの意見にサクヤも頷き、どちらに向かうか多数決を取る。右に4、左に2。

「決まりね。右に行きましょう!」

サクヤに続いて右の道に向かって走り出す。その時・・・。

ガーーンッ!

「なっ⁉︎か、壁?」

「どうして⁉︎」

前を走っていたサクヤ、ソーマ、ユウと、後ろを走っていたレンカ、アリサ、コウタのグループに、突然出てきた壁によって分断される。

「はぁっ!」

キンッ!

ユウがすぐに斬りつけたが、壁にはなぞったような傷しか残らなかった。

「これ・・・装甲壁・・」

「ちっ!時間がねぇってのに!」

ソーマが悔しげに壁に拳を叩きつけていると、その肩に手を置きサクヤが前へと進み出る。そして、壁に手をついて向こう側のレンカ達に叫ぶ。

「レンカ!二人を連れて、反対の道を行って!ドーム状になっているから、必ず中心へと辿り着くはずよ!」

『・・・わかりました!俺達は左の道を進みます!』

「後で・・・必ず合流しましょう!」

『はい!』

『サクヤさん達も、気を付けて!』

『絶対、辿り着きますから!』

返事の後、足音が遠のいて行く。それを確認してから、サクヤはユウとソーマを交互に見つめる。

「・・・行きましょう。今は、進むしかないわ」

「はい!」

「・・ふん」

三人もまた、前へと駆け出す。

 

 

 

大きく開けた場所に出たサクヤ達は、辺りに注意しながら中央へと歩みを進める。そこでソーマが立ち止まり、視線を上に移動させながら口を開く。

「・・・どうやら、俺達が当たりを引いたみたいだな」

「・・・・そのようだね」

ソーマに合わせて、暗い部屋の中目線を上げたユウは、返事を返しながらそれを睨む。

その巨大な生き物の横をゆっくり動く移動足場、そこに立つ者が手を振ると、部屋の明かりが一気に照らす。

「・・・シックザール・・支部長!」

悠々上から見下ろすその者の名を、サクヤは憎しみを込めて呼ぶ。

支部長は不敵に笑みを浮かべながら、巨大荒神の額に位置する箇所に視線を動かす。そこには・・。

「っ!!シオ!!!」

金色に光を帯びたそこに、シオがいた。その姿は、まるで巨大荒神に取り込まれたように、額の穴に埋まっている。

ソーマの必死な叫びに、支部長は静かに笑いながら反論する。

「そんなに、この荒神がお気に入りなのかい?ソーマ。それは愚行と知るべきだ、我が息子よ・・」

その言葉にソーマは怒りを露わに、支部長へと食ってかかる。

「うるせぇ!!てめぇを親なんて思っちゃいねぇ!」

「ふふっ。事実は何者にも曲げられないと、知らなくてはな。お前が望まずとも、私はお前の父親だよ」

「くっ!・・ごちゃごちゃと!」

飛び込む寸前にソーマを止め、ユウは支部長に目を向ける。その表情は、怒りに満ちている。

「・・極東支部長ヨハネス・フォン・シックザール!数々の恐慌、暴挙による多大なる罪により、あなたを拘束します!抵抗するなら、武力を持って!!」

強い口調で凄むユウに、支部長は笑みを崩さずに問い返す。

「その数々の罪には、どういったものがあるのかな?」

今更逃げない意思表示なのか・・、そんな問いに、ユウは強い意志をもって答える。

「決まりに乗っ取った罪なら、お偉方に聞けばいい。僕達が提示するあなたの罪は・・、リンドウさんとシオ!僕達から家族を奪った事だ!」

「・・・・・」

黙ってこちらを見下ろす支部長に、ユウは2、3歩進み出てから、神機を持ち上げ突きつける。

「まだ、間に合う。・・・シオは、返してもらう!」

それに呼応し、ソーマとサクヤもユウの両隣りに立ち、罪深き悪の権化を睨みつける。それを一身に受けながら、支部長は満足気に笑い続ける。

 

 

左へと進んだレンカ達も、ある場所へと行き当たる。

「ここは・・・、何なんだ?」

薄暗い通路から見渡すと、何本もの柱のような物が立っている。その大きさは10階建のビル相当のもので、根元には幾つものパイプが繋がれている。

「これ、もしかして・・・宇宙船、ですか?」

柱の側面を触りながら、アリサが言った言葉に、レンカとコウタは顔を見合わす。

「そうか。これでリストにのってた人達を、宇宙に逃がすのか・・」

「じゃあさ、これに繋がってるのを引っこ抜いて、そこの機械ぶっ壊せば、この計画事態オジャンになるんじゃね?」

コウタの何気無い一言に反応したレンカとアリサは、黙ってパイプに近付き、それに向けて神機を振り下ろす。

バスッ!バツッ!!

「ちょ、ちょっとー⁉︎行動早くないです⁉︎こういうの慎重にやんなくていいの⁉︎」

急な行動にコウタが騒ぐと、二人は1度手を止めてからコウタに振り返り、悪い笑みを浮かべて応える。

「コウタが言い出した事ですし・・」

「・・何かあったら、頼むな」

言いたい事だけ言ってから、レンカとアリサはそれぞれ別の柱へと駆けて行く。それを呆然と見ていたコウタは大きく溜息を吐き、神機を抱えて機械の並ぶ場所へと足を運ぶ。そして神機の照準をそれらに合わせ引鉄に指をかけて叫んだ。

「もう、どうにでもなれーーーーっ!!!」

 

ガガガガガガガッ!!!

 

 

 




エイジス編終盤です!
次から戦闘開始!
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