GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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44話 歩き出す思い出

 

倒れた荒神からコアを摘出し、レンカは離れた場所にいるサクヤへと声をかける。

「サクヤさん!回収終わりました!」

「了解よ!今から本部に連絡するわ!」

サクヤが連絡をとっている間、レンカは神機を地面へ突き立て、近くの瓦礫に腰を下ろす。

(・・・俺は・・、残された時間を使う時が、来たのかもしれない)

もう長手袋では隠し切れない痣を眺めながら、自分の使命を決める。いずれ朽ち果て荒神となる体を、労わるようにソッと撫でる。

しばらく続けたところで顔を上げると、サクヤが血相を変えて走って来る。即座に何かあったのかと、レンカは立ち上がり神機を引き抜く。

「どうしました?サクヤさん!」

「レンカ!急いで!今、本部から緊急の追加任務が入ったの!」

「緊急の、任務ですか?」

サクヤは息を落ち着けながら、真剣な顔でレンカへと伝える。

「ユウ達が未確認のオラクル反応と接触したみたいなの!おそらくは、例の新種!」

「っ!!」

その言葉を聞いてから、レンカは一気に体中を熱くする。自分の命の使い道を、再確認しながら走り出す。

「くそっ!」

「急ぐわよ!」

後をついて走り出すサクヤは、仲間の安否に心穏やかではいられずにいた。

 

 

「はぁぁっ!!」

ザンッ!!

ユウの放つ1撃に、白い荒神左腕を斬り裂く。そこへアリサが銃形態から剣形態へと変形させ、喉元から腹へと斬りつける。

グギャァァッ!

痛みに仰け反った荒神の背中に、待ち構えていたコウタが炸裂弾を撃ち込む。

その反動で倒れ伏したところに、ソーマが大きく振りかぶった刃を顔面へと叩きつける。

「くたばれぇ!!」

ゴシャァァッ!!!

軽くバウンドしてから、白い荒神は動きを止めて静かになる。それを皆は確認し、大きく息を吐いた。

 

ガリュウッ!!

 

沈黙した荒神の背中から喰い込ませ、ソーマがコアを回収する。

「・・・・レア物か。やはり、新種か」

「思った程じゃなかったかな」

「そうですね」

回収を済ませたソーマの周りに、ユウとアリサも集まって確認する。コウタは物珍しいのか、神機の銃口で倒れた荒神を突ついていた。

「うり、うり♪ウチの最強コンビに、敵うわけな〜いじゃん!」

子供じみた行動に、アリサは溜息を吐いてから声をかける。

「そんな遊んでないで、帰りますよ⁉︎」

「えぇ〜、良いじゃんよ〜。もう少しだけさ〜」

そんな姿にユウは苦笑するが、アリサとソーマは冷たい目を向ける。付き合いきれなくなったのか、ソーマは神機を肩に担ぎ歩き出す。

「さっさと行くぞ」

「ほらっ、行きますよ!」

ソーマに次いで歩き出すアリサに、ユウも後から付いて行く。それに流石に焦ってか、コウタも慌てて立ち上がり後を追う。

「わかったってー。待って下さいよ〜、ユウさんまで」

笑いながら走って来るコウタに視線を向けて、アリサが愚痴を零す。

「まったく・・・っ!!コウタ!!」

そんなアリサが突然叫んだのに驚き、ユウとソーマも背後へと振り返る。

「なんだよ〜。今更脅かそうって・・」

軽口を叩きながらコウタも振り返る。そこには、

 

ググ、ググガガ、グオォォォッ!!!

 

起きるはずのない白い荒神が、背中に炎の翼を背負い浮いていた。

「バカなっ!コアは回収したんだぞ⁉︎」

その言葉には皆が同意する。本来コアを摘出、もしくは破壊された荒神はその体を霧散し、一時的ではあるが『死』を迎える。だが目の前の荒神は死んだのは嘘の如く、悠々その身体を浮かせている。

「うわ・・、うわぁぁぁあ!!」

突然の事に足が縺れたコウタは、情けなく声を上げてその場に転がってしまう。そんな目の前の敵に、白い荒神の容赦なき一撃が襲いかかる。

「コウタ!伏せて!!」

その声に従って伏せるコウタの前に、飛び込んできたユウが盾を展開して代わりに攻撃を受ける。その瞬間、

 

バキィンッ!!

 

「しまっ・・ぐぅっ!!!」

 

ドッ!ザザザザァッ!!

 

ユウの盾は真っ二つに割れ、伸びてきた拳で地面へと吹っ飛ばされる。

「ユウ!!」

「あぁ・・ユウさん!」

「ちっ!!クソが!!」

慌てて駆け寄るコウタを隠すように、ソーマとアリサが神機を構える。

「おい!そいつを抱えて後ろへ退がれ!撤退するぞ!」

「コウタ!早く!!」

「わ、わかった!!」

コウタがユウを抱えて走り出したのを確かめてから、ソーマはポケットに手を突っ込み、閃光弾を取り出しピンを噛み抜く。

「いいか⁉︎やるぞ⁉︎」

「いつでも大丈夫です!!」

その言葉を合図にソーマは閃光弾を投げ、それと同時に二人は一気に後ろへと駆け出す。そして、

 

パァァンッ!!

 

グァオォォォ!!!

 

相手が怯んだことを前提に、ソーマとアリサは足を止めない。そのままコウタへと追いつき、三人は後退し続ける。

そこへ、一台の車が滑り込んでくる。

「みんな、無事⁉︎」

「サクヤさん!!レンカ!!」

本部からの連絡で駆け付けた仲間の車の荷台に、ソーマ達は飛び乗ってからユウを寝かせる。

「ったく。神機を握ったまま気絶しやがって。そんなに働きたいのかよ」

「サクヤさん、出して下さい!」

「わかったわ!とばすから振り落とされないでよ!!」

バックミラーで1度確認してから、サクヤはアクセルを踏み込み急発進する。追っ手がないかを気にしつつ、車は極東へと向かった。

 

 

 

『私は、花になりたいかな・・』

「花?」

『そう!そんで、あんたにずっと大事に見守ってもらうの!』

「なんか、ミコのイメージとは全然違うね」

『いいんだよ!今と違った感じに、なりたいんだよ!・・・だけどさ』

「ん?」

『ユウは、ずっとそのままでいてくれよな!』

 

 

 

「・・・・・あ・・」

目が覚めたら天井・・・というありがちなパターンで、ユウは意識が回復する。

「あぁ、良かった。気が付いたんですね・・」

「ユウさん・・・良かった」

ベッドの横に座っていたアリサとレンカが、ユウに気付き声をかけてくる。出入口あたりの壁にすがって腕組みをしていたソーマも、目覚めたユウの顔を見てから、フッと笑みを浮かべる。

「・・ふん、生きてたか」

「・・・・心配したとか?」

「言ってろ」

ユウの軽口を流してから、ソーマは腕を解いて歩き出す。

「ソーマ、ありがとう」

「・・・おまえは、もうちょっと自分の身体を大事にしろ」

そう言ってソーマは部屋を出て行く。何気なしに視線を近場へと戻したユウの目に、寝ているコウタが入ってくる。

ユウが庇ったお蔭か、当人はいたって健康である。

たまに寝言も交えながら、豪快にいびきをかきだすコウタに、アリサが「ちょっと待って下さい」とユウとレンカに断ってから、左手を大きく振り降ろす。

「何時まで眠ってるんですか!」

バシッ!!

「あたっ!!え?え?えぇ?・・・あぁ、俺、寝てた?って、ユウさん⁉︎目ぇ覚めたんっすか⁉︎」

叩かれてバタバタ騒ぎ立てるコウタに、ユウは優しく微笑む。その笑顔に落ち着いたのか、コウタはもち上がった腰を再び椅子へと下ろす。

「良かった。俺の代わりにブン殴られてから動かなくなったんで、すげぇ心配したっすよ」

「あぁ、ごめんね心配かけて」

「折角なんで、貸しにでもしたらどうですか?」

「すぐに余計な事言うのやめてもらえますかーー⁉︎」

少し和んだ空気の中、皆で笑いあう。ユウ自身も手を何度か握っては開き、生きているという実感を得る。

 

『ご連絡します。新種の荒神の対策会議を行います。各部隊のゴッドイーターは、至急大会議室に集まって下さい。繰り返します。新種の荒神の・・』

 

放送を聴いてから、レンカ達は順に立ち上がる。

「すいません。俺達はそろそろ・・」

「ユウはゆっくり休んで下さいね」

「俺、お気に入りのアニメ全巻持ってきますよ!」

それぞれが気にかけるよう声をかけてから、医務室から出て行く。三人が去った後、ユウは浮かべていた笑みから真剣な表情へと切り替え、ちょうどレンカが座っていた隣へと視線を動かし口を開く。

「ところで・・・、君は誰?」

「あれ?気付いてました?」

誰も触れなかった存在。黒髪に飴色の瞳の女の子が、満面の笑みを浮かべてユウに答えた。

「初めまして。僕はレンっていいます。よろしくお願いします、神薙ユウさん」

 




タイミング的には早めにレンを登場させました。
これにもそれなりの意味を含ませてみます!
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