GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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46話 感応現象

 

これは、夢。

記憶という名の、夢。

・・・・

 

 

「おおぉぉぉっ!!」

キィンッ!

 

グアァァァッ!!

ガンッ!!

「くっ・・・そがっ!!」

 

ザンッ!!

ギギッ!!

ドォーンッ!!

ズザザザッ!

 

靄がかった映像の中で、一人のゴッドイーターと1匹の荒神が、お互いその力を振るい戦っている。

少年は手を伸ばし声をかけるが、その言葉は届いていないようだ。

 

何度目かの攻防を繰り返した後、男は荒神から横へとそれて走り出す。

後を追って来てるのを耳で確認しながら、ポケットから閃光弾を取り出して安全ピンを抜き、後手に放る。

 

カッ!!!

 

辺りへと光が走り抜けるのを背中に感じながら、男は走る速度を上げる。

「どうせくらってねぇんだろうが、ちょっとした足止めには十分だ!」

そう叫びながら開けた場所へと抜け、別のポケットから取り出したモノを地面へと落とす。背中の離れた所にある崖を気にかけながら、追いついてきた荒神から一っ飛びに距離をとる。

さっきまで男がいた所へと飛び込んできた瞬間、

ババッ! バババッ!!

グガァァッ!!

荒神の足元から電流が立ち登り、その体を包み動きを止める。

相手の状態を認識してから、男は一気に距離をつめ、肩口へと刃を突き立てる。

ザシュゥッ!!

ガガッ!ガァーッ!!

「最初に入れた一撃、見逃すかよ!終わりだぁ!!」

叫んだ声に合わせて、チェーンソーに似た神機は、まさにその様に刃を回転させる。それに合わせて、男は手に力を込める。

「ぬおぉぉぉぉおっ!!」

ギュィィィィンッ!!

異質な音を立てながら、神機を標的に減り込ませる。その光景を見せられてる少年も、『勝った』と内心思った時、

 

ズシュッ!!

「・・ん、がはっ!!」

 

伸びてきた尻尾の先が男の腹へと突き刺さり、手の離れた神機はその動きを止め、男は地へと落ちた。

「がっ・・はっ!!・・・うっ、・・・くっ・・そぉ・・・・!」

相手の尻尾への警戒を怠っていたのか、男は拳を握りながら苦言を口にする。

残る力を振り絞り立ち上がった彼の前へ、荒神はいやらしく笑いながら近付いてくる。

知っていた事実を思い出したのか、少年は今までとは比べものにならない程の力で、男へと叫ぶ。しかし、声は彼には届かない。

 

グルルルルッ!!

 

喉を鳴らしながら近付いてくる恐怖に、男も笑いながら相手を待つ。

「俺を喰おうってのか?さっきは見向きもしなかったのに、今はどんな味か興味津々かよ。・・まったく、色々と不快な野郎だな〜」

男は悪態を吐きながら、目の前へと到達した荒神をゆっくり見上げる。目が合ったその時、荒神は口を大きく開き、男へと顔を持って行く。

ガブュッ!!プシャーー!!

閉じた目をゆっくり開いた少年の目に映ったのは、体を庇うように右手を噛ませた男が立っている。力負けせぬ様足を踏ん張りながら、左手に持ったそれを、荒神の口の隙間から中へと投げ入れる。

「・・・へっ。俺が黙って殺られると思ったか?・・・まだ、死ぬわけにはいかねぇんだ、よ!!」

タイミングを計ったように後ろへと体重をかける男。それに合わせるように、

 

ドォォォーーンッ!!!

 

腹の中に投げ込まれた"バレット"が破裂した。

その衝撃に負けてか、荒神は噛み付いていた口を開く。そして男は自分のかけた体重と、爆発の衝撃によって後ろへと飛ばされる。

「・・・・・・・サ、クヤ・・・」

そのまま男は、近くの崖へと転げ落ちていく。

姿を見失った対象に興味を無くしたのか、荒神はその場を離れ、来た道を戻っていく。

 

不可思議な映像の世界からゆっくりと抜け出し、少年・・・神薙ユウは、眠りから覚める。

 

 

「・・・・・・・・あ・・」

「・・ユウ君?ユウ君⁉︎もう!やだ!こんなのぉ・・」

「・・・リッカ・・」

目を覚ましたユウは、医務室のベッドにいた。

泣きついてくるリッカの頭を撫でながら、自分の置かれてる状況と、何故こうなったのかを一気に考えを巡らせた。そこへ、扉が開く音に合わせて、榊博士が一瞬驚いてから笑顔を浮かべる。

「やぁ。本当に君は無茶を止めてくれないね、ユウ君。まさか不適合の神機を持つなんて、ゴッドイーターとしては自殺行為だと、自覚してくれたまえ?」

「あ、・・・はい。反省してます」

俯き加減で謝ってくるユウを見て、満足気に頷いてから、榊博士は話を続ける。

「まぁ、お叱りの方は、後でツバキ君にたっぷりして貰うという事で・・・、リッカ君。少し席を外して貰っても?」

「へ?・・・・あ・・・、ひゃっ!!・・あ、あのあの、その・・・はい!」

人前で抱きつき、泣きすがっていたのを思い出してか、リッカは元気よく返事を返してから、部屋から飛び出す。その光景にまたも笑顔で頷いてから、榊博士は少しを間を置き、真剣な眼差しでユウへと問いかける。

「さて、ユウ君。・・・君は、眠っている間に、何か見たんじゃないのかい?」

「え?・・・どうして・・・」

反応を伺ってから、榊博士は息を吐いて続ける。

「やはりか・・・、うむ。実はね、君には・・いや、レンカ君にアリサ君もだね。君達新型には、ある特殊な"能力"と言っていいものが備わっていると今確信したよ」

「特殊な"能力"、ですか?」

「そうだね。二人には説明を済ましているんだが、君にもこの機会に話しておこうか」

「・・はぁ」

色々と聞きたいことがありそうな表情のユウに、榊博士は順を追って説明する。

「実は以前にレンカ君とアリサ君から相談された事があってね。『お互いの記憶や感情が、見えた』という事なんだよ」

「お互いの・・・記憶や、感情・・」

「うむ。それはお互いに感情が昂ぶっていたからか?はたまた、相手の事を強く思ったことによってか?・・・現象自体をどうやって引き起こすかは、多少個人差があるようだけど、大体は今言った事によるものだと思うよ。二人の協力の元に色々と調べてみたんだが、その時に興味深い事がわかってね・・」

「・・・・」

黙って聞き続けるユウの前に、あるグラフを記録した紙を見せる。そのグラフに書かれてる文字を幾つか読み、ユウはゆっくりと顔を上げる。

「・・・これ、"脳波"ですか?」

「流石に理解が早いね。そう、このグラフに表されてるのは、脳波だよ。君達新型が、能力を発動した時のね。レム睡眠時に見られるものに似ているね」

「つまり・・・、僕が寝ている時にも、同じ能力が発動していたんではないかと?」

「・・・後は、君が私の問い掛けに対しての反応かな?少しだけカマをかけたというやつだよ♪」

「なるほど・・」

してやられた感に苦笑しながら、ユウは榊博士へと溜息を吐く。それに応える様に、榊博士は椅子へと腰を下ろす。

「君達特有の能力。私はこれを、"感応現象"と名付けた。ユウ君、君は感応現象によって、何か見たんではないかい?よかったら、教えてくれないか?」

「・・・・どうして、聞きたがるんですか?」

少し前のめりになっていた自分の姿に落ち着きを取り戻し、1度目を閉じてから開き、ユウへと答えを返す。

「・・・・聞いた状況の中で、君の中のオラクル細胞に反応するものは・・・・・・・、リンドウ君の・・神機しかありえないからだよ」

「・・・・・・さすが、博士ですね」

内容はわからずとも、榊博士が察しているのに感心しながら、ユウはゆっくりと口を開き、自分が見たものを話し出す。

「・・・・リンドウさんの、最後・・・かもしれない映像です」

 

 

静寂に包まれる部屋の中で、話し終えたユウと、聞き終えた榊博士は、暫く口を閉じたままでいた。

そんな状況を先に破ったのは、榊博士だった。

「・・・・今の話、本当かい?」

「はい・・・」

ユウの返事を確認してから、榊博士は立ち上がってからユウへと声をかける。

「ユウ君。もう動いても平気かな?」

「えっ?あ、はい」

「ならばこれ以上の話は秘匿にしたい。私の部屋でいいかな?」

「・・はぁ」

返事を待ってから、榊博士は扉を開ける。そこには、見舞いに来たツバキが立っていた。

「榊博士?・・どうされたのですか?それに、ユウ!まだ休んで・・!」

「丁度いい。ツバキ君も、私達と共に来てくれるかい?大事な話があるんだ」

「大事な話、ですか?」

戸惑うツバキに、榊博士は耳元で囁く。

「・・リンドウ君の、事だよ」

「っ!!」

その言葉で理解してか、ツバキも黙って後へと着いて行った。

 

「・・・さて。部屋に来てもらったところで、話に戻ろう。ツバキ君はまだ色々とわからないと思うが、私の考える結論を先に言おう」

「博士、一体何が・・」

「リンドウ君は、生きているかもしれない」

「なっ⁉︎」

「それ、本当ですか?僕が見たのは、ピターとの戦闘の決着までですよ?」

「見た、だと?」

研究室に着いてから、話の展開についていけずにいるツバキ。そんな彼女に、榊博士は話の筋を話す。

「実はユウ君に備わっている新型特有の能力によって、リンドウ君の生存している可能性を確認したのだよ」

「リンドウが、生きている可能性・・」

「まだ、確信の域を出ないがね。・・・しかし、私は可能性がある事を諦めたくはない」

その言葉を自分自身で噛み締めて、榊博士はユウへと顔を向ける。

「ユウ君、今の情報では皆に明かすには不足している。だからこそ、君にだけ頼みたいんだ!受けてくれるかい?」

「はい!僕は構いません!・・・ツバキさん。ツバキさんの感は、当たってたんですよ!」

「・・・まだ、希望程度にしか、すぎんがな」

少しだけ目を潤ませ笑顔を浮かべるツバキを見て、ユウもまた笑顔を見せる。

新たな可能性に胸を踊らせる三人の不意をついた様に、研究室の扉が突然開く。驚いて目を向ける皆に「ちっ」と舌打ちをしながら、ソーマが中へと入ってくる。

「ソーマ・・」

「話は聞いていた。・・・俺も探すぞ」

仲間外れに拗ねた子供の様に、ソーマが睨みつけてくるので、榊博士は苦笑いする。

「そうだね。聞いてしまったからには、ソーマ君にも共犯になって貰おうか。くれぐれも、秘密に頼むよ」

「俺が誰に喋るんだよ?」

その返しに目を丸くしてから、三人は声を出して笑い出す。その反応にソーマは、顔を背けて悪態を吐く。

「ふん・・・。どいつもこいつもムカつくぜ」

ユウに肩を叩かれながら、リンドウの生存している仮説に、フッと笑みを浮かべた。




遅くなりましたが、更新です!
甲子園が面白くて〜、つい(笑)

次は2、3日以内に更新します!
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