GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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48話 炎舞う戦場 後編

 

 

「はあぁぁっ!!」

ザンッ!!

ギギガァアッ!!

ソーマの放った1撃で、ハンニバルは体を捻って後ろへと距離を取る。そこに、バレットが数段当たり顔を覆って身構える。

「ソーマさん!フォローするっすよ!!」

「ふん。・・外すなよ!」

「了解!」

二人は連携をとりながら、ハンニバルを追い込む。

 

ソーマとコウタが敵を引き離している隙に、サクヤ達もレンカの側へと駆け寄る。

神機を手放したからか、オラクル細胞の侵食が止まったレンカ。しかし、今だ肩を押さえて苦しみの声を上げている。

「レンカ!レンカぁ!!」

「アリサ!レンカの容体は⁉︎タツミ、医療班を要請して!」

「了解!本部!こちらタツミ!至急医療班もこちらに・・・!!」

タツミが連絡をしている間に、カノンが持ってきた携帯医療道具から鎮静剤を取り出し、レンカに打ち込む。

「レンカ!我慢して!・・今私達が出来る事は、こんなことしかないの⁉︎」

サクヤが苛立ちから地面を殴りつける。皆それに同意なのか、唇を噛み目を伏せる。そこへ、交戦しているソーマがこちらへと叫ぶ。

「手の空いてるやつは手を貸せ!今ここで、こいつを殺るぞ!」

医療班が来るまで時間がかかる。それを理解したサクヤとタツミは、お互いに目で合図をし、自分の隊へと指示をする。

「アリサ!あなたはレンカを連れてここを離れなさい!医療班と定期的に連絡をとりながら、出来るだけ早く合流しなさい!」

「ブレンダン!お前車出してやれ!こっちは俺とカノンが残る!榊博士にも要請かけたから、レンカを頼むぜ!」

「わかった!アリサ、空木を運ぶぞ!」

「はい!後はお願いします!」

アリサとブレンダンがレンカを運び去るのを背中に、サクヤは口を開く。

「タツミ。ソーマとは常に対角の位置を取って。どちらかが惹きつければ確実にもう片方が攻撃出来る。カノンちゃんは私と一緒に。私の合図で、確実に相手の顔を狙って。いい?」

「「了解!」」

二人の返事に頷いてから、サクヤは標的を見据える。

「さぁ、いくわよ!」

その声に合わせて、三人は戦場へと走り出す。

 

 

車に乗り込んで走り出したアリサとブレンダン。

今だ苦しむレンカを気にしながら、ブレンダンは回線を本部へと繋ぎ、話しかける。

「こちら第二部隊、ブレンダン・バーデル。本部、応答願います!」

『ブレンダンさん?こちらヒバリです!どうされました?』

「今空木を連れて、そちらへと向かってる。医療班と回線を繋いでくれないか?」

『わかりました!お待ちを!』

ヒバリの返事を待ちながら、ハンドルを人差し指でコツコツと叩く。運転席からも、後ろで苦しむ声は耳に入ってくる。ブレンダンにとって、この待ち時間程苛立ちを覚えた時は無いだろう。

少しの間があいてから、無線から声が入る。

『こちら医療班です。廃工場跡まで、約10分です。そちらの位置をお教え願えますか?』

「こちらは廃工跡B区域。もうすぐ外に抜けるから、そこでお願い出来ますか?」

『了解!後程合流を・・・え?・・あ、はい。榊博士が代わってくれと。良いですか?』

「繋いでくれ」

ガチャガチャと音がしてから、榊博士が声をかけてくる。

『ブレンダン君?私だよ。レンカ君の様子はどうだい?』

「空木は肩を押さえたまま、まだ苦しんでいます。サクヤさんが鎮静剤を打ってはくれたんですが・・」

無線の向こうで考えているのか、少ししてから返事を返す。

『後はレンカ君の気力次第だが・・・。とにかく、合流したら・・ザザッ・・す・・に・・ザァー・・』

「博士?・・博士⁉︎」

急に無線の感度が悪くなったのか、榊博士の声が途切れる。大体の会話の内容は理解出来るが何故と、ブレンダンが首をかしげると、荷台に寝かされていたレンカが立ち上がっている。

「え?・・・レンカ?」

丁度廃工場跡の区域から抜け出したので、車を止めたブレンダンもアリサに次いで声をかけようと後ろを振り返った時、

 

ガンッ!ガラガシャァンッ!!

 

「なっ?アリサ⁉︎」

アリサが荷台から吹き飛ばされた。

目で追っていたアリサから、ゆっくりと荷台へと目を戻したブレンダンは、黒い爪を構えたレンカを見つめた。

 

 

ジュバッ!

タツミが尻尾を斬りつけたところで、ハンニバルは後ろへと顔を向ける。その隙を見逃さずに、反対位置に構えていたソーマが、空いた胸元へと神機を叩きつける。

グシャッ!

ギガャァァァッ!!!

声を上げたハンニバルは、やられた胸を庇いながら縮こまる。その背中へサクヤとコウタはバレットを乱射し撃ち込んでいく。

ドンッドンッドォンッ!!!

舞い上がった砂煙が晴れると同時に、飛び上がっていたタツミは背中の砕けた部位へ神機を突き刺す。

ザシュッ!

ギャギャッ!!

「お前はここから翼を出すんだろ?塞いだぜぇ⁉︎」

刺した刃を1度捻り、抜いてから飛び退いたタイミングで、サクヤが叫び合図する。

「カノンちゃーん!!」

その声を待っていたと言わんばかりに、低く笑っていたカノンは、顔を上げて言い放つ。

「死ねぇ!出来損ないの、トカゲ野郎!!!」

 

ドォォォーーンッ!!!

 

顔面に撃ち込まれた勢いで、上体を浮き上がらせたハンニバルの前からソーマ、背後からはタツミがプレデタースタイルを展開する。

「ソーマ!俺が背中から心臓部を!」

「頭は、貰う!!」

 

ガリュリュゥッ!!!

 

二人同時にコアを摘出し、やられた相手はその場に崩れる。

完全に沈黙したのかと、皆警戒を解かずに少しずつ距離を詰めていく。

「・・・・おい」

「ん?」

声をかけられたタツミが差された1点を見る。そこから徐々に広がりながら、荒神は体を霧散させている。皆も確認したのか、一斉に息を吐く。

「何とか、倒せたみたいね」

「ですね〜。私も、誤射しないで良かった〜」

カノンの言葉に、タツミは苦笑しながら肩を押さえた竦める。

「今度からも、そのように頼むわ」

「はい!任せて下さい!」

それをきっかけに、皆は笑い出す。何とか倒せた、最も厄介な敵。気を張り詰めていた分、抜ける時には盛大に抜かしたのだ。

喜びも区切りがついた頃に、ソーマが口を開く。

「そういえば、珍しく野郎は間に合わなかったな」

「おっ!そういえば、そうっすね!ユウさんが遅れるなんて・・・自慢しようっと。ユウさんいなくても、俺等は強いって!」

派手にガッツポーズを決めてから、顎を突き出し叫ぶコウタを見て、口を押さえて静かに笑ってから、サクヤも口を開く。

「私達も強くなっているって事よ。さぁ!そろそろ私達も帰投・・」

 

ピーッピーッ!

 

無線のブザーの音が聞こえてから、ソーマが手を耳に当ててから喋り出す。

「こちらソーマ。・・・お前かよ・・・・あ?」

 

 

異変に気付いたブレンダンは即座に車から飛び降り、妙な声で唸るレンカから距離をとる。

「空木!どうしたんだ!空木⁉︎」

声に反応を示さないレンカを睨みつけていると、離れた場所に飛ばされていたアリサが体を起こす。

「くっ・・・ぅぅ・・っ、うぅ」

「アリサ!平気か⁉︎」

「平気、です!・・あれ、レンカなんですか?」

お互いの距離を詰めて話しやすくし、ブレンダンはアリサの質問に答える。

「まだ人間の部分が多いんだ。お前ならわかるだろ?」

「・・・そんな・・・」

レンカは息を荒げながら、焦点の合わない目を光らせ、顔をゆっくり上げ、アリサとブレンダンを睨む。

彼を誰よりも理解したいと側に居続けたアリサ。彼女の瞳に映る、こちらを明らかに敵視している仲間。愛する人。

それを理解しても、現状を打開しなければと考えるブレンダンは、アリサを見ずに声をかける。

「アリサ・・・、空木は俺が惹きつける。お前は自分の神機を取りに行け」

「っ!!どうして神機が必要なんですか!彼は、レンカは人間です!神機なんて必要ありません!さっき私を吹き飛ばしたのも、苦しい痛みを紛らわす為に・・!!」

「アリサ!!」

大声を上げて遮ってきたブレンダンに、アリサは体をビクッとさせ、1歩退く。彼女が口を止めたのをきっかけに、ブレンダンは苦しげな表情で言葉を発する。

「お前もゴッドイーターなら、わかるだろ?あいつはもう、人間じゃない」

「うっ!!」

「・・・荒神化しようとしてるんだ。あいつの為にも、俺達はこの手を汚さなければならない。あいつを、殺すんだ」

「いやっ!」

受け入れられない言葉に、苛立ちを隠さずそれを吐き出す。

「アリサ・・・」

「彼はまだ人間です!私は・・・彼を、諦めません!」

「しかし!」

「わかっています!わかっているんです!・・それでも・・、私は!」

 

『うぅぅぅぅっあぁぁぁぁあぁぁっ!!!』

 

レンカが声を上げる。それは荒廃した世界に、恨み言を言うかの様に。

そして荷台から飛び降りたレンカは、長く伸びた黒い爪を引きずりながら、アリサとブレンダンへと近付いてくる。それを機と捉えてか、ブレンダンは足元の石を蹴り上げ手に取り、横へと走りながら的確にレンカの変化した腕へと当てる。

それに意識を向けてか、レンカはブレンダンの方へと走り出す。まだ完全に荒神したわけではないので、先に走り出したブレンダンには追いつけない。それを確認しつつ、ブレンダンはアリサへと叫ぶ。

「アリサー!!神機を取れ!!」

「くっ!」

咄嗟に反応した戦闘特化の体は、神機のある車まで2息で辿り着く。自分が飛ばされた衝撃で落ちていた自分の神機を拾い、そのまま銃形態に切り替えスコープを装着し覗き込む。

「アリサ!!そっちの射的範囲へと引き込む!頼むぞ!」

「そんなこと・・・言われても・・!」

体を切り替えしたブレンダンは、アリサの方向へとレンカを誘導する。アリサの方も、スコープへとレンカを収め、引鉄へと指を当てる。その瞬間、

 

『見れないの!怖くて目を開けられない!!』

『大丈夫だ!お前は強い!!』

 

"あの日"の思い出が蘇り、かけた指がカタカタと震えだす。

あの時の恐怖に似た光景。代わりに引鉄を引き、自分に勇気をくれた愛しい人に、涙が零れだす。

「今だ!撃てぇ!」

「・・・・無理・・」

「アリサ!!」

「嫌です・・・無理です!私には、撃てない!!」

予想をしなかった訳ではなかった。しかし、いざ起こってしまうと、作戦を立案した自分を笑うしかない。ブレンダンは足を止め、レンカへと振り返る。

「・・・ブレンダンさん・・駄目ーーーー!!」

「アーク計画・・"あの時"逃げようとした俺に罰を与えるなら、第一部隊のお前が相応しい。・・・空木、すまなかった」

ブレンダンが頭を下げ、そこに飛び込むレンカ。長く伸びた黒い爪が、彼を切り裂こうとした時、

 

キィンッ!!

 

その爪は斬り落とされ、レンカは一飛び後ろへと距離をとる。

「・・・いつかと同じ状況で、今度は君が敵なの?・・・レンカ」

ブレンダンの前に降り立った、新型最強の少年。

「・・・神薙・・」

「ユウ・・・・、お願い。・・・レンカを斬らないでぇ!!」

再び爪を再生し睨みつけてくるレンカの前で、ユウは目を閉じて歯を軋ませる。

「・・くっそぉ・・・・!!」

かつての仲間を・・・、慕ってくれた後輩を見る。

そしてユウは、無線を親友へと繋ぎ呼び出す。声が返ってくると、苦しげに声を返す。

「・・・ユウだけど。・・・・今廃工場のB地区出入り口。そこに来てくれる?・・・・レンカが・・荒神化した」

 

 

 

 

 




ハンニバル・・・。
まぁ、こんなもんでしょ!(笑)


レンカを入れたからめっちゃオリジナル〜!
次回もお楽しみに!
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