やっぱタツミっちゃんでしょ!
いや、全員嫌いじゃないけどね!
『中型種、侵入確認しました!グボログボロ二体です!気をつけて下さい!』
「ソーマ!」
「見えてる!」
ソーマは迫ってきたグボログボロに対して神機を持ち替え反転、斬りつけた反動で後ろに飛び上がり、捕食形態に切り替えそのまま、
「くたばれ!!」
喰い千切り、グボログボロのコアをもぎ取った。
「ユウ!お前の方は・・・!」
そう声をかけたソーマの目に入ったのは、グボログボロの真上に飛び上がってるユウの姿。そのまま捕食形態の口が大きく開き、
「はあああぁぁぁぁ!!」
グボログボロの背ビレごとコアを喰い尽くした。
周りをソーマに警戒してもらいながら、ユウはヒバリの声に耳を傾ける。
『荒神、全滅しました。お疲れ様です!そのまま帰投して下さい』
「了解です。ソーマ、コアごともぎ取ったからもう大丈夫だよね?」
「あぁ、問題ない」
確認の声に答えが返ってきたので、ユウも改めて周りを再度確認し、問題なしと判断しソーマに顔を向け、神機を肩にかつぐ。
「じゃあ、帰ろうか?」
「あぁ」
帰りの車を走らせるユウの隣で、ソーマは外の景色を頬杖をつき眺めていた。廃ビルなどの建築物が無ければ、ただの更地が水平線まで続く。もう街とは呼べない瓦礫の散乱した場所を通り抜ける時は、少しは暇つぶしになるのだが。
「・・・おい、ユウ」
「ん?なに?」
「おまえ、俺と2人で楽しいか?」
「えぇ?んーーー、まぁ、仕事楽だよね」
またトンチンカンな事をと、ソーマが溜息をつくとユウは笑い出す。
「ほら!リンドウさん的に言うと、僕とソーマは『マブダチ』ってやつだよ!」
「ちっ、また下らない事をリンドウに聞きやがって。俺にあんまりひっついてると、『死神の呪い』とやらに取り殺されるぞ」
「あっ、やっぱ気にしてるんだね、それ!」
「うるせぇ」
ソーマには、一緒に任務に行くと高確率で死ぬという噂がまとわりついている。そのせいで、誰もソーマとは任務に行きたがらない。第一部隊を除いてではあるが。
「大丈夫だよ」
「あ?」
「だって、僕死なないし」
「・・・・ふん」
その台詞は、かつてリンドウが言った言葉と被って聞こえた。
『まぁー、あれだ。俺は死にたくないから、本当にヤバイ時はすぐ逃げるから。そん時は無敵のソーマ君に全部お任せってことで。ほら、俺は死なないだろ?』
「・・・・・・・ふん」
「ん?なに?」
「じゃあ、せいぜい約束を守ることだな・・・・・ま・・・ち」
「えー?ごめん!ここら辺、道が悪くて聞こえないんだけど!」
ガタガタッという音にかき消され、ソーマの言葉が聞き取れなかった事が気になって、ユウは大声で聞き返したのだが、
「・・・なんでもない」
それっきり結局ソーマは喋ってはくれなかった。
「任務、ご苦労様です!」
「うん、これ今日の回収物だけど、確認してくれる」
「はい、少々お待ちを」
極東に戻った2人は、ヒバリに任務達成の報告をしていた。
任務で回収した物は、一度フェンリルに提出し、その中から神機の素材となる物、装甲壁の素材となる物、居住区や施設に回されるものへと分別されていく。ゴッドイーターは任務によって其れ等を回収し、提出。任務達成の際に給与を取得。単純ではあるが、ゴッドイーターはそうやって生活を成り立たせている。
ただ、ゴッドイーターでも特殊な任務も存在するが。
「はい、確認終わりました!でも、また任務外のコアや素材が回収されてますが、ユウさんもソーマさんもあまり無理をしないで下さいね」
いやー、と凝縮するユウと「ふん」とそっぽを向くソーマ。対照的だが、反省はする気は無いらしい。それをわかっていてか、ヒバリも溜息をつきつつ無駄とわかっている言葉を繰り返すのである。
「もう、お二人共全然反省する気無いですよね!とにかく・・・!」
ビーッビーッビーッ!!
突然の警報に、ヒバリは声を飲み込み緊急無線を繋ぎ、極東全域のセキュリティを呼び出す。
「B地区の装甲壁、破られました!荒神、大型2体、小型15体!防衛班、至急B地区に向かって下さい!」
『こちら防衛班第二部隊、了解!』
『第三部隊了解!おっしゃー、稼ぐぜー!』
連絡を受けた防衛班がB地区に向かった事を、目の前で聞いていたユウとソーマは、しばらくお互いを見て黙っていた。
「・・・・なんだ」
「いや、別に。ただ、行くのかなーって」
また暫く黙って見つめ合う。
「・・・・だから、なんなんだ」
「えっ?行かない?」
そんな、やり取りに少し可笑しくなって、ヒバリが吹き出しそうになった所で、
ダンッ!!
と大きな音を立て、鬼司令官ツバキが額をヒクヒクさせながら仁王立ちしていた。
「あ」
「ちっ」
「お前達、そんな下らない児戯に興じる程暇なら、」
「あ、別に」
「暇じゃな・・」
「さっさと行かんか!!この大馬鹿者共ーーー!!!」
物凄い声が木霊したせいか、その場にいた全ての人が直立していた。
「任務扱いされたいのなら私がしてやる!ユウ!ソーマ!さっさとB地区に行ってこい!!」
「はい!!行ってきます!!」
「・・・ちっ」
結局二人も防衛班に合流するのであった。
そしてご立腹な雨宮ツバキ大明神がさるまでエントランス中全体が緊張していた。
グオオオオォォォ!!!
大型種ヴァジュラを担当した第二部隊は、2体相手に手間取っていた。正直3人でやるのがキツイと感じる部隊長の大森タツミは、ヒバリからの連絡でユウとソーマの到着を待ちたいところだ。
しかし、そうも言ってられない状況ではある。
第三部隊は完全に小型15体に付きっ切り。こちらのフォローには回れそうに無い。更にヴァジュラに詰め寄られ、住民の避難シェルターに手が届きそうだ。
そして、1番最悪なのが、
「ふふ、ふふふ、ふふふふふふふふ。たかが、ライオンが電気帯びた位で、人間様に逆らうと。ふふふふ、勘違いも甚だしい。もう、やっちゃう?やっちゃいましょうよ、タツミさ〜ん」
防衛班、いや、ゴッドイーターNo. 1デストロイヤー、台場カノンさんがキレかかってる。
(やべー!マジでやべーよ!ユウ、ソーマ!早く来てくれー!)
今にもぶっ放しそうなカノンが怖くて、タツミも、もう一人の第二部隊員ブレンダン・バーデルは、正直目の前のヴァジュラ2体よりも後方のデンジャラスビューティの方が恐ろしくて上手く動けない。
「あ、・・・・・」
「えっ?なに?」
「カノン?どうした?」
「・・・・・・・・もう無理・・!!!!!」
「「えええーーーー!!」」
焦りの声を叫んだ二人。そこへ、
ザンッ!!!!!!
「はああぁ!!」
「フッッ!!」
突然上から降ってきた2つの影が、それぞれヴァジュラに喰いつき、捕食しながら地面に降り立つ。
「すいません!タツミさん!遅くなりました!」
「ふん、生きてたか」
「ユウ!ソーマ!」
ユウとソーマは同時に神機を構え直し、ヴァジュラと睨みあう。隙を突いたお陰で、相手は戸惑い膝をついて焦っている。
「タツミさん!一気にやりましょう!早く!」
「とっととやるぞ」
「違う!二人共逃げろーー!!」
タツミの叫びに、突撃の構えを取っていた二人は、出鼻を挫かれ振り返る。
「え?なんで?」
「あ?」
そんな二人が見たものは、・・・・・ピンクの魔物でした。
「あーっはっはっはっ!!くたばれ!!このゴミカス猫ーーー!!!」
ドーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
「あの、本当にすいません!!本当に!!」
ヴァジュラだったっぽい2つの消し炭から、コアを回収したタツミはそのまま無線を繋いだ。
「あー、ヒバリちゃん?任務は完了したよ!被害者なし。《いつも通り》の結果なんで、問題ないよー」
『そうですか!お疲れ様です!』
その言葉に普段なら小躍りするところだが、タツミは苦笑しながらプスプスと煙を上げながら仁王立ちしている二人に目を向け、そのまま目線を下げ土下座しまくるデンジャラスビューティを見て溜息をつき、
「その言葉は、ユウとソーマに言ってあげて」
と心の中で拝むのであった。
デンジャラスビューティ台場カノン最強伝説!