翌日、神機保管庫にやってきたユウは、修理工房で作業するリッカの元へとやって来る。
作業に集中してると思って、ユウは少しの間待つことにした。
オイルや金属の匂いが充満するその場所は、どこかカンパニーを思い出させ、待つという時間を忘れさせる、魔法のような感じがした。
「・・・・ふぅ」
一段落ついたのか、リッカの声を聴いてから、ユウは立ち上がり近付いていく。
「リッカ」
「ふぇ!?あ、え?ユウ君!?」
「うん」
笑顔で後ろに詰められたリッカは、ユウに会えたことを喜ぶ半面、昨日思ったことが引っ掛かり少し複雑な表情をしてしまう。
そんな様子に気付いてか、ユウは優しくリッカの頭を撫でてから、少し目を伏せてから口を開く。
「リッカ・・・、聞いて欲しいことがるんだ」
「え・・・・。うん」
まさか付き合ってから1年も経たないうちに、別れ話かとビクつくリッカに、ユウは真っ直ぐその目を見て伝える。
「僕ね、しばらく極東を離れることになる」
「へ・・・・、えぇ!?なんで?聞いてない!」
「そりゃ、正確な辞令は降りてないし、君にも今話したから」
「そ、そうだけど!」
それを理由に別れ話かと、だんだんリッカは腹を立てだす。それに首をかしげながらも、ユウは話を続ける。
「どこかに転属って訳じゃないんだけど、結構な期間、リンドウさんとツバキさんとで、あちこち回るようになるんだ」
「そう。それで?」
「うん。それが全部片付いたら・・・、僕と結婚してくれないかな?」
「そう。それで?」
予想と違う答えに、今度はユウの方が戸惑ってしまう。
「それでって、返事を聞かせてくれない?」
「そう。それで?・・・・・・・なんの?」
「だから、結婚してくれないって」
「誰が?・・・・私が!?」
突然大声を上げるリッカに驚いて引いてしまうユウ。だが理解してもらえたのかと思って、ユウは続ける。
「まだまだ僕のことで話さなきゃいけないことあるけど・・・。多すぎるから、ゆっくり話していくよ。だからさ・・」
「する。待つ!ずっと待ってる!!」
「そう?」
「うん!ユウ君大好き!」
飛びついてきたリッカを受け止めてから、ユウは優しく抱きしめる。
目を閉じてみると、ミコが笑っているような気がして、少しだけ嬉しくなった。そんな中、胸の中のリッカが、ガバッと顔を上げてからユウを見てくる。
「じゃあ、さっそく聞かせて。昨日会いに行ったのは誰?」
「昨日?ユノとサツキ姉さんのこと?」
「また・・・、女!」
「え・・・、そりゃまぁ・・」
ザシュッ!!
最後の1体を沈黙させてから、ユウはコアを回収する。それから振り返ると、リンドウが近付いてくる。
「おうお~う。流石ユウ先輩だ。俺なんかじゃ、足元にも及ばない」
「リンドウさん。いい加減それ、やめません?」
「お前さんの反応が面白いうちは、続けようかな」
『出戻りだから』という理由に託けて、リンドウはユウのことを先輩付けで呼ぶ。当然面白いからだが・・。
そこへ溜息を吐きながら、ツバキが速足でやってくる。
「無駄口は良い。次の目的地に移動するぞ」
「了解!」
「了解です、姉上」
「リンドウ。貴様何度言ったらわかる。仕事中は、姉上と呼ぶな」
苦笑しながらツバキに対応しているリンドウ。それを横目に、ユウは笑いながら移動の準備をする。
そこへ、近くで見ていた少年が駈け寄ってくる。
歳は14,5だろうか・・・。
「あの・・・!」
「ん?どうしたの?」
ユウが優しく聞き返すと、少年はもじもじしながら話しかけてくる。
「僕も・・・、将来ゴッドイーターになって、その・・・。僕でもなれますか?」
質問に目を丸くしてから、ユウは優しく微笑んでから、頭を撫でる。
「僕の名前は、神薙ユウ」
「ぼ、僕は・・・、ヒロです!」
緊張した面持ちで名乗るヒロに、ユウは頷いてから伝える。
「なれるよ・・。君が、世界と戦う勇気があればね」
「あ・・・・・・、はい!」
嬉しそうに笑うヒロの頭を撫でていると、リンドウが呼びに来る。
「ユウ、時間だ」
「はい。・・・じゃあね、ヒロ。もし神機を握る時が来たら、大切なものを守るために使うんだよ」
「はい!!」
ヒロの手を振る姿を見送ってから、丁度ユノぐらいの歳かなと考えるユウ。少し嬉しそうなユウに、リンドウが声を掛ける。
「なぁ、ユウ。何か良いことでもあったか?」
その言葉に、ユウは空を見上げてから、返事を返す。
「はい・・・・。未来を託せる子に、出会いました」
走る車のラジオから、シオの好きだった歌が流れる。
世界中の痛む心を抱える人達へ。
『歌姫 葦原ユノ』からの贈り物・・・。
いつか誰にも訪れる さよならは泣かないで
美しく きっと 言おう・・・
祈る神無き世界で、人は・・・生き続ける。
ここまで読んで下さった皆様に、心より感謝します。
ありがとうございます!
これを書き出して約半年。入院したりなんだりで、中々先に進まぬ時がありましたが、ここに完結できたのは、呼んで下さる皆さんがいたからだと思います!
まぁ、結構良いペースで書けるようになったんで・・・・・、調子に乗って2も書くかな?
当初から言ってましたし!
また色々構想練ったりしますんで、時間が空くかもしれませんが、「読んでやろうか」と思って下さる方、お待ちください!神威ヒロの物語を、神無き世界を引き継いだ状態で、お送りしたいと思います!
長くなりましたが、GOD EATER~神無き世界~完結です!!