GOD EATER 〜神無き世界〜   作:死姫

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9話 届かない剣

 

 

「これは・・・」

外部居住区D地区に到着したレンカは、場の無惨さに愕然とする。

襲い来る荒神に、なす術もなく喰われる人々。その圧倒的な力でねじ伏せられる、貧しくも暖かな家。瓦礫に巻き込まれた親を必死に助け出そうとする、泣きじゃくる子供。

「・・・くそ、くそくそ、くそーーー!!」

持ち慣れてない真新しい神機で、レンカは荒神に向かって走り出す。

「おおおぉぉおぉ!!!」

心からの怒りを叫び、握り締めた神機で悠々飛び交うザイゴートを叩き伏せる。その反動のまま、近くにいたオウガテイルを横一線に斬りつける。

「お前らなんか、お前らなんかーー!!」

抑えきれない激情に、無我夢中に神機を振るう。

しかし、その気迫とは裏腹に、荒神の数は一向に減らない。荒神は唯の獣ではない。そもそもに荒神の脅威は、形成するオラクル細胞の異常なまでの学習能力。少々の傷に関しては即座に抗体を作り、人間の持ち得る兵器すらも、その体に取り込み自らの武器と化す事が出来る。

いくら小型の比較的弱い荒神であっても、頭に血が上り、ただ振り回してるだけのレンカの攻撃など、当たりはしないのだ。

「くそ!なんで・・・!!」

「退がれ、新人君!」

その声と共に、

 

ドンドンドンッ!!!

 

数発のバレットがレンカを囲んでいた荒神を撃ち抜いた。レンカよりも先に現場で奮闘していた、エリックだ。

「新人君!今は退け!住民の避難を優先に動いてくれたまえ!ここは、僕が引き受ける!」

「くっ・・、だが!」

「迷ってる暇は無いんだ!早く!はっ!!ぐぁ!!」

レンカとの会話に気を割き過ぎたのか、エリックが横腹を抉られ、陣取っていた瓦礫の上から叩き落とされる。

「はっ!!」

自分が迷っていたせいで、エリックが殺されると思ったレンカは即座にエリックの前に立ち塞がる。好機と見たのか、散会していた荒神がエリックとレンカを囲みにかかる。

「この野郎!!」

焦って振り下ろした神機は、

 

ギィンッ!!!

 

いとも容易く弾き飛ばされてしまった。

絶対絶命。その言葉が脳裏にかすめ、ありとあらゆる打開策を絞り出そうとするが、神機が手元に無いという焦りから上手く考えをまとめられない。そんなレンカに、後ろで倒れていたエリックが声をかける。

「逃げろ」

「えっ?」

「君だけでも逃げろ。僕は、もう、クフッ・・・!う、・・ダメだ。だから、君だけでも・・・!!」

その言葉に、エリックのその気持ちに、上っていた血が一気に下がってきたレンカは、足下に転がっていた材木を拾い上げ構えた。

「逃げねぇ」

「な、に?」

「俺はもう、逃げない!そして、あんたも死なせない!」

「君は・・・」

その覚悟を手の力に込め、近付いてきた荒神に、

「はあぁぁ!!」

振り下ろしたが、

 

バキッ!!

 

さも当たり前のごとく、折れ吹き飛んだ。

同時に、大口を開き迫りくる荒神の脅威。

(くそ、くっそーー!!!)

殺られると、手を前にかざしたところに、

 

グシャッ!!!

 

一瞬何が起こったのかわからないと、目を見開いたレンカが見たものは、自分に喰いつこうとしていた荒神がそこに霧散している事。そして、それをやったであろう、大剣使いのゴッドイーターが冷めた目で自分を見下ろしていた事だった。

「あ、・・・あんたは、」

「ようこそ、クソッタレの職場へ」

褐色肌に白髪の少年、ソーマはそう言った後どんなタイミングを計ったのか、周りを取り囲んでいた荒神を一閃薙ぎ払い、吹き飛ばした。

その時になってやっと、真上にヘリがホバリングしている事に、レンカは気付き、見上げた。そこから更に、三人の影が飛び降りて来た。

「新人君!まだ生きてる?」

「大丈夫そうだね!エリックも!」

そう声をかけて来た二人もすぐに荒神の群れに向かい、今までの劣勢が嘘のように荒神を駆逐していく。

「・・・・」

「おい、新入り。戦う気があるなら、そいつを拾え」

「え?」

そう言われて振り返ると、雨の中にも関わらず煙草をふかす男が立っていた。

そして、その指差すそれは・・・。

「俺の、・・・・神機」

「そうだ。それは俺達ゴッドイーターにとっては、大事な命綱であり、自分が守りたいものを護るための武器、相棒だ。それを握る根性が失せちまってるなら、エリックと一緒に隠れてろ。後は俺らでカタをつける」

そう言って煙草捨て、改めて神機を担ぎ直し、飛びかかってくる荒神を虫を払うがごとく斬り払っていく。

レンカはゆっくり立ち上がり、今まで絶望的だった戦況が、たった四人にひっくり返される様を、ただ黙って見ることしか出来なかった。

 

 

 

「えー、こちらリンドウ。D地区安全確保。装甲壁の被害は甚大。至急改修班を寄越してくれ」

『了解しました!リッカさんがそちらに向かっていると思うので、もう少々、そこで待機をお願いします!』

「あいよ、了解」

報告を終えたリンドウは大きく伸びをしてから、煙草に火をつける。

「リンドウさん、コアの回収作業終了しました。ヒバリさんからは何と?」

ユウの質問に深く煙を吸い込み、吐き出してから、リンドウは苦笑しながら手をヒラヒラ動かした。

「待機、だとさ」

「あらら、大好きな配給ビールはおあずけですね」

「そうなんだよ〜。ユウ、お前別に飲まないだろ?おじさんに譲ってくんない?ジャイアントトウモロコシ今度譲るからよ」

「あー、それじゃあ譲れませんね」

笑いながら受け流したユウに、「おいおーい」と訴えるリンドウ。見兼ねたサクヤが医療班から離れて、二人に近付いて来た。

「ちょっとリンドウ!ユウにばっかりたからないの!」

「じゃあ、サクヤ。俺に全部譲ってくれ」

「いやよ!後、ジャイアントトウモロコシは、本当にもういらないから」

「なんだなんだ〜、隊長にみんな冷たいぞ。じゃあ、ソーマー!」

離れた場所に座っていたソーマは、声を掛けられ、「ふん」と鼻を鳴らすと立ち上がる。

「勝手に持っていけ。冷蔵庫が嵩張って邪魔だ」

「おっ?ほらー、ソーマは話がわかる奴だよ?よし、今度ジャイアントトウモロコシを・・」

「それはテメェで処理しろ」

興味なさげにそっぽを向くソーマに、「ブーブー」と抗議するリンドウを見て、サクヤとユウが顔を見合わせ笑い出す。

 

一方そんなやり取りを遠い世界のように眺めていたレンカは、自分が如何に弱い存在かと思い知らされていた。自分は殆ど荒神を倒せなかったにも関わらず、第一部隊は最低でも一人40体近く倒し、まだあれだけの余裕を持っている。

(こんなにも、力の差があるのか)

落ち込んでるレンカが目に付いたのか、リンドウは煙草を消して、レンカの前に立った。

「よぉ、新入り。名前なんていうんだ?」

「・・・空木、レンカ・・・・・です」

「俺は雨宮リンドウ。よろしくな」

手をさし出したが、握手は得られず、少し面倒くさそうな顔を浮かべながら頭をかく。

「あー、あれだ。雨宮三佐からの伝言だ。お前、命令違反したんだって?それについて、上層部から査問かけられるそうだ。色々面倒だから、戻ったら覚悟しとけよー。まぁ以上だ。迎え来るまで、ゆっくりしとけ」

「・・・だったら、」

「んあ?」

「だったら、どうしたら良かったんだ!」

急に逆上したレンカに、周りの人間の目は否が応でもレンカに集まった。抑えられない葛藤が、叫びとして口から吐き出してしまったのだ。

「あの時、命令に従って、一人安全な場所で大人しくしてれば良かったのか!沢山の人達が命の危険に晒されているのに。抗う力を持っているのに!」

「・・・・・」

そんなレンカを、リンドウはただ黙って見ていた。真剣な訴えに、真剣な眼差しで。その時、

 

パンッ!!

 

響き渡るその音に、誰もが目を疑った。意固地になってるレンカを思い切り叩いたのは、1番やりそうにないユウだったからだ。

「君、少し落ち着きなよ」

「くっ!・・なにを!」

即座に睨み返したレンカを、ユウは今まで見せた事のない怒気をはらんだ目でレンカを睨み返していた。

「君は、正義の味方にでもなったつもりなのか?力を持ったから、荒神と戦えるから、神にでもなったつもりか!図に乗るな!」

「あ、・・えっ・・・」

余りにも勢いよく気圧され、レンカは次の言葉が見つからなくなっていた。いや、気圧されただけではなく、ユウの言葉が胸に刺さったのだ。

「君が、どんな経験をし、どんな残酷な現実を目の当たりにし、どんな覚悟でゴッドイーターになったのかは、僕は知らない。でも自分の価値観だけで、自分の思いだけで、勝手に周りの人達を巻き込んで・・・。そんな本能に赴くまま、自分のルールを他人に押し付け、自分の価値観が理解されなければ暴れて、荒神と何が違うんだ!」

「!!!!」

その言葉に完全に打たれたのか、レンカは完全に消沈した。その様子を見て、ユウも一度深呼吸をし、レンカの肩に手を置いた。

「荒神は、突然現れて、突然この世界を捕食し始めた。人の大切なモノも、人も、ありとあらゆるものを。そこにどんな都合や目的があろうとも、こちらの意見なんて御構い無しだ。時には同じ荒神さえも、捕食する。でも、僕達人間は違うだろ?ちゃんと分かり合える。少なくともこんな世界になってしまった、今は!」

「・・・はい」

「皆、生き残る為に必死なんだ。荒神なんかに負けたくないんだ。こんな理不尽な世界が許せないんだ。君もそんな世界に、荒神に負けない為に、守りたいモノがあるから、ゴッドイーターになったんじゃないの?」

「くっ・・・!」

レンカの目から、一筋の涙が流れた。

(そうだ、俺は、俺は、こんな世界を、覆す為に・・!)

「ツバキさんは、雨宮三佐は、君の事を、君の思いを踏みにじったの?」

「ち、違います!」

涙が止まらないレンカの背中をさすりながら、ユウは優しく言った。

「じゃあ、ちゃんと謝って、反省して、今度はみんなで、荒神と戦おう」

「・・・はい!!」

「うん」

レンカはただ震えて、涙が溢れて、そして、・・・大切な人を思い出した。

(・・・・・・姉さん・・!!)

そして俯いた顔を上げれず、そのまま深く腰から折り曲げ、今日迷惑をかけてしまった全ての人に、心の底から声をあげた。

「す、・・すいませんでした!!!」

 

 

 

帰りの車の中、ソーマは横目でユウの事を見た。

(こいつも、色々あったのか)

レンカを説得したあの言葉の数々が、ユウのゴッドイーターとしての根幹ならば、ユウは一体どんな過去を背負って生きてきたのだろう。

(俺も、・・・・・拗ねた、ガキだな)

そう思い、視線を逸らし、今日自分が守った小さな世界を眺めた。

「ねぇ、ソーマ」

「あん?」

急にユウに話しかけられ、ソーマは少しだけ驚き目を向けた。

「今日配給ビールの味を、一緒に覚えてみない?」

「・・・・・なんだ、それは」

相変わらず突拍子のない事を、平気な顔をしていうと思い、でもそれも悪くないと少しだけ穏やかな気持ちになったソーマだった。

 

 

「言っとくが、かなりあるぞ?」

「良いんじゃない?普段飲まないからまたすぐたまるし。あー、何?全部飲む気なの?」

「冷蔵庫が嵩張るからな」

「良いねー!リンドウさんには一本も残さない感じで行こうか?」

「ちょーっと待て待て!ユウ!ソーマ!お前ら俺にくれるんじゃ、て言うかお前ら昔は20歳まで酒は法律違反だったんだぞ?」

「いや、貰ってるから大丈夫でしょ?飲もう!」

「ふふ、良いわね♪リンドウを除け者に、全部空けちゃう?」

「おーい、お前らー。隊長は大事だぞー。大事にしろよー」

「ふん、くだらん」

「ソーマ!この野郎!」

「ば、バカよせ!リンドウ!」

「リンドウさん前!前!ぶつかる!」

「ちょっとリンドウ!運転中に!」

「うるせー!俺も、酒盛りにまぜろー!!」

 

 

 

 




うーん。支離滅裂してない?
意味わかんないことない?


確認ちょくちょくします!
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