(旧)『スイッチ』を押させるな――ッ!   作:うにコーン

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さぁついにやってきたニグン!
紹介する曲はニグンの宗教つながりで、アーティスト Tubular Bells からの紹介だ!

チューブラーベルズはジョジョSBRで出てきた世界だ!
彼らが作曲した世界は、映画エクソシストのメインテーマとして使われた世界だ!
曲名は The Exorcist Theme そのまんまの世界だな!


私はニグン その1

 偶然自由になったベリュースは、死が渦巻く村から脱出すべく全力疾走していた。

 目標は前方の丘陵(きゅうりょう)の向こうへ。 地形のアップダウンを利用して、敵からの視線と射線を塞ぐためだ。

 切り裂かれた手首は少々深手で、結構な量の血が流れているが、今すぐ失血死するというわけではない。 だが、放置してよい負傷でもなく、何も道具が無い今は手で圧迫止血するしかない。 早いうちに根元で縛るか、あれば包帯で止血し回復ポーション(水薬)を飲めば、後遺症も無く傷も癒えるだろう。

 

 もう少し丘を上がれば、稜線を利用して奴らの視界の外へ逃れられる。 目の前に同じ法国の部隊を眼にしたのは、そう考えた時だった。

 仲間だ、助かった。 ベリュースは息切れし、血中酸素濃度の低下でうまく回らない脳を働かせ、そう思う。

 

「襲撃部隊の生き残りか?」

 

 頬に大きな傷を持つ、部隊の隊長であろう人物がベリュースに問いかけた。

 ベリュースは、その隊長らしき男の前方3~4メートル付近まで歩き、立ち止まる。

 

「は、はいィ~! 襲撃部隊隊長のベリュースですぅ~ 我が隊は、謎の4人組によって・・・襲撃部隊のほぼ全てが捕らえられてしまいましたぁ~! で、でもガゼフを誘き寄せ足止めする事には、成功いたしましたぁ~! こ・・・ここまでやったんです! わたしの命だけは助けてくれますよねェェェ~~ッ それで、あの、ち、治癒のポーションを頂けないでしょうかぁ~ッ!」

 

 傷の男は小さく、だめだ。と呟いた後、ベリュースから興味を失ったように視線を外す。 その人物の感情を全く窺い知ることが出来ないその瞳は、人形以上に光は無く、ガラス球以上に濁っていた。

 その場にへたり込むベリュース。 意識は朦朧とし、足は鉛のように重く二度と動かせられそうに無い。 あれ?今日はこんなに寒かったっけ?と思いながら、ベリュースは失血で死んだ。

 生きて捕まり、情報を垂れ流す無能など、生かして置けるはずが無く、急いで始末せねばならなかった。 向かわせた天使は3体。 敵のド真ん中に送り込むには少なすぎるが、無能どもを始末するには十分だ。 これ以上の数を送り込んだとしても結果は変わらないし、無事に戻れないだろう。 天使の召還にかかるMPも温存したいので、3体がギリギリでちょうどいい数だった。

 多少、予想外な事が重なったが、任務遂行不可能ということはなく、当初の目的のガゼフの包囲に成功した。

 

「ニグン・グリッド・ルーイン隊長。 襲撃部隊の口封じ、終了いたしました。」

 

 ニグンと呼ばれた傷の男の少し離れた背後に、浮かび上がるように不自然に現れた一人の男。 全身を魔法のローブに包み、一切肌の露出は無い。 顔は不思議なデザインの布のようなフルフェイスの兜によって隠されている。

 

「少々肝を冷やしたが、我々が敗北するわけが無いな」

 

 浮かぶ表情は侮蔑の顔。 ニグンは着々と任務が成功に向かいつつあるのに安堵し、村を取り囲むように部下を散開させる。

 

 リ・エスティーゼ王国。 人間以外の種族やモンスターによって日々生存を脅かされるこの世界で、国王派閥と貴族派閥で争い国力を減少させる無能の集まりが住む国。 厄介なことに、国王派閥も貴族派閥も力が拮抗しており、お互いにお互いをすり潰す。 その1つの原因であるガゼフ・ストロノーフ。 平民上がりの剣の腕しか特に能のない男だと、ニグンはつくづくそう思う。

 ただでさえ滅びが目前に迫っているというのに、政争に国力を費やす王国を・・・法国は見限った。

 そして急激に力を付けた帝国に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ため、貴族派閥を工作員で思考誘導させ、ガゼフの装備を剥ぎ取り弱体化させ、始末する。

 ガゼフに頼り切っていた国王派閥は一気に弱体化し、自分が豊かになることしか考えていない無能な貴族派閥が国を動かすだろう。 そして帝国は王国の民が最小限の犠牲で済むように吸収し、人類は纏まる。 そう、法国の上層部は考えた。

 

 包囲は完成しつつある。 残るはガゼフの抹殺のみ。

 

「・・・作戦開始」

 

 そして・・・ニグンとその部下は、魔法で自らが生み出せる最高の天使を召還した。

 

 

 

 

 

 

 3体の天使が、口封じの目的で飛来し始末し終えるまでの約20秒間で、元騎士の工作員はほとんどが死亡し、混乱による工作員の逃亡者数名の大損害。 生き残ったのは、口から血を流して転がっていたロンデスただ1人という皮肉な結果に終わった。

 ガゼフの部下が、天使の襲撃と同時に状況確認のために村の外へ偵察に駆け出す。 家屋によって遮られていた視界を確保するためだ。 壁に寄り添うように慎重に頭を出し、外の様子を確認する。 なだらかな丘陵の頂上に、ポツポツと等間隔に並んだ人影と・・・()()()()()使()が確認できた。 ある程度の情報を収集すると、部下は(きびす)を返し戦士長の元へ帰還する。

 

「ガゼフ戦士長! 村外の丘陵頂上に、複数人数の人影が確認できました! 先ほどの天使を引きつれ、村を囲みながら低速で接近しつつあります!」

 

 部下の報告に、元から険しい顔をさらに険しくするガゼフ。 承太郎達四人とガゼフは、遮蔽物に身を隠しながら移動し、村の外に展開した謎の部隊を確認する。

 見えるのは、等間隔で並んだ人影とその後ろに先ほどの天使が、ゆっくりと距離を詰めてくる光景。

 同じ見た目の天使が複数存在することに、疑問を感じる承太郎達。

 承太郎は忌々しそうにチッ、と舌打ちをすると、「天使みてえな見た目か・・・趣味の悪いスタンドだな・・・」と呟いた。

 

「スタンドは1人1体のはずですよね? 重ちーのような『郡体型のスタンド能力』でしょうか?」

「郡体型にしちゃあよー 高いパワーとスピードだったなぁ~ 『自動操縦型のスタンド』じゃあねえのか~?」

「オメーの兄貴みてーにウジャウジャいるのにあの大きさは、ちっと不自然だぜ~? それによー さっきの襲撃の時も近くに本体が居なかったのが気になるっつーかよー」

「仗助くんのいうとおり、攻撃が正確すぎるよね! もしかしたら『遠隔操縦型のスタンド』なのかな?」

「『遠隔操縦型のスタンド』にしてはガンジョーだった。 数が多いのも不自然だ。 あれは未知のタイプのスタンドだぜ・・・」

 

 四人が意見を出し合う中、黙っていたガゼフが口を開く。

 

「貴方がたに心当たりが無いとのことならば・・・ おそらく・・・あれらは私の命が目的だろう」

「なるほどな・・・ 戦士長の地位にあんたが居るのがよほど迷惑なヤツがいるようだな・・・」

「普段使用している装備は、今回の任務に使えないよう貴族共に妨害された。 裏で糸を引いているのも貴族の連中だろう。 やれやれ・・・貴族共もここまで腐っていたとはな・・・」

 

 呆れたというように肩をすくめるガゼフを見て、承太郎は少しの間考え込むと、ガゼフに問いかける。

 

「ストロノーフは国王直属の部隊だったな?」

「そうだ」

「王国の貴族がストロノーフを暗殺しようとしている?」

「直接は法国だが、1枚噛んではいるな」

「この焦土作戦が罠だと最初から気が付いていたようだが、なぜ王や貴族に抗議しない?」

「私はあくまで王の剣。 命令とあらば、何処へだろうと行く」

「なるほど。 つまり王国貴族は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()テロリスト。 と、いうことか。 つまるところ国家反逆罪ってわけだぜ」

 

 これで貴族とやらに一泡噴かせられるな。 と、軽口を叩く承太郎を、その手があったかと眼から鱗が落ちたとでも言いたげな顔で絶句するガゼフ。 そして、フッ と微笑を浮かべた。

 

「ならば、なんとしてもこの包囲を抜けなくてはならなくなったな」

「いや、囮の部隊を速効で口封じする思い切りの良さから見て・・・ 村人達もどうせ殺害するつもりだろう。 オレ達も見逃すはずがないな」

 

 ガゼフがどうしたものかと押し黙っていると、康一が手を挙げて、

 

「どうせ戦うことになるんだったら、共闘しませんか?」

 

 と言った。 その言葉を聞いて、ガゼフの笑みはますます深くなり、

 

「その提案、こちらとしても是非ともお願いしたい」

 

 と返答する。 そして残された時間が少ないことも。

 

「我々はこの包囲を食い破るつもりでいる。 奴らの目標が私である以上、この村に長く留まれず、おそらく<暗視>(ダーク・ヴィジョン)の魔法を使えるだろう。 そうなるとこちらに不利だ。」

「ふーん 暗視ねぇ・・・ まほーってーのは便利だなぁ」

「あの、ぼく思うんですけど~ 距離取って戦うってことは遠距離攻撃の手段があると思うんですけど、どうやって近付きましょう?」

「康一君。 君の予想は正しいと見ていいだろう。 距離をとって戦うってのはそれが利点であり、弱点だ。 なんとかして攻撃をかいくぐり近付けば、勝機はある」

「1人づつやられねーように纏まって突っ込むしかねえッスかねー?」

 

 フム、と腕を組み少し思案する承太郎。 結論が出るのは早かった。

 

「1つ案がある。 ストロノーフ達が突撃する際に、オレが同行しよう。 そして騎兵にはやって欲しいことがある」

「了解した。 承太郎殿には私の馬に相乗りすればいいだろう。 それと仗助殿、貴方の能力を信頼して、1つして欲しいことがある。 聞いてはいただけないだろうか?」

 

 

 

 

 

 

 ニグンは焦れていた。 遅い、遅すぎると。 ガゼフの性格から考えて、村人に危険が及ばぬようにと、村から飛び出てくるはずだった。 日が暮れれば<暗視>(ダーク・ヴィジョン)の用意があるこちらが有利だと知っているのに、あと5分もすれば完全に日が沈む。 

 

「不可解だ。 篭城するつもりか? 有り得ない・・・ 謎の四人組の出現が気がかりだが・・・ まさかその四人組が集団で逃げられる(すべ)でも持っているというのか・・・?」

 

 ニグンの心に焦りが生まれ、心をジリジリと追い立ててゆく。 闇が、ガゼフ達のいるカルネ村を包み隠すように覆おうと、背後まで迫る。

 闇と光が混ざり合い、視界が悪い。 もしかして、いやそんなはずが、とニグンの心は嵐が来る前の海のように激しくざわめき立つ。

 口封じのために突撃させた天使で、ある程度の威力偵察は出来ていたが、視界を共有していたわけではない。 細かなことは解らずじまいだった。

 そんな焦りに追われる様に、ニグンは部下に指示を出す。

 

「総員、<暗視>(ダーク・ヴィジョン)を使用しろ」

 

 ニグンの部下はよく訓練されており、命令されなければ魔法を使わず、許可が無ければ返答すらしない。

 命令によって、部下達はいっせいに<暗視>(ダーク・ヴィジョン)の魔法を詠唱し、発動させる。

 ニグン自身も<暗視>(ダーク・ヴィジョン)を発動させ、闇に包まれていた視界が一斉に明るくなる。 明順応によって明るさに慣れ、しだいに物が見えるようになる。

 昼間のようにはっきりと輪郭が確認できる。 数秒の間、周囲の確認が不可能だったため、ニグンは油断無く視線を巡らせる。

 

   ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 

 ―――違和感―――

 

 

 先ほどと違う所がある。 どこだ、と焦る心を押さえつけて必死で探す。

 

 村――変化なし。

 左――変化なし。

 右――変化なし。

 地――変化なし。

 空――・・・!!

 

「うおおおおおおおおおおッ!!」

 

 ニグンは思わず叫ぶ。 予想外の状況に。

 空中を飛来する何か・・・ 放物線を描いている。 大きさは人ひとりくらい。 形は丸い。 近付いてくるため加速度的に肥大する『それ』はッ!

 

バッギャアアアッ!!

 

 ニグンの付近へ着弾した『それ』は『樽』だったッ!

 辺りに広がる不快な油の臭い。 地面へ衝突し砕け散った樽の中には、騎士に持たせていた錬金術油や生木などの可燃物が詰められていた。 よく見れば火種がチロチロと燃えており、次々と飛来してくる可燃物が詰められた樽は、着地と同時に砕け、一斉に燃え上がる。

 不可解なほどに黒煙を吐き出す樽に詰められていた可燃物の中に、一度も見たことの無い素材で作られたカードが裂かれて入れられていた。

 

 

 ―――プラスチック―――

 

 

 合成樹脂と呼ばれるその素材は、天然樹脂のゴムやロジンと異なり、人工的に石油から作られる。

 広く日常的に使われるこの素材は、当然のことながらよく燃えるが、不完全燃焼する際に非常に大量の黒煙・・・ススを発生させる。

 承太郎達は、自らの財布に入っていたプラスチック製品―――クレジットカード等―――を裂いて樽に、これまた煙を良く出す生木と一緒に油をかけて詰めたのだ。

 火種を(ともな)って飛来した樽は、着地した衝撃でバラバラに砕け、空気と接触する面積が増えた可燃物は、火種によって一気に引火する。

 発生した煙は視界を遮り、生じた硫化物は目の水分と反応して目を刺激する。 一斉に咳き込み、目も開けていられない。

 事態を収拾しようと指示を飛ばそうとした時だった。 樽が砕ける音にまぎれて別のものが近付いてくる。

 

 

   ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

 

 

 ニグンは涙があふれ、痛む目を無理矢理開き、前方を睨む。 少しずつ大きくなる音の正体は、ガゼフ率いる戦士団の騎兵が上げる蹄の音だったッ!

 

「煙に紛れ、距離を詰めるつもりかッ! 小賢しいぞッ! ガゼフ・ストロノーフ!」

 

 してやられ、先手を取られた悔しさに吼えるニグン。

 混乱する部下に激を飛ばし、纏めると臨戦態勢へと移行させた。

 

「全部隊員に告ぐッ! ガゼフが突っ込んでくるぞッ! 天使を自身の元へ呼び戻し、防御を固めろッ! 迎撃だッ!」

「うおおおおおッ! 来いッ! <アーク・エンジェル・フ(炎の上位天使)レイム>ッ!!」

 

 口頭で命令を受け、指示通りに動く部下と天使達。

 燃え上がる炎で辺りは明るい。 <暗視>(ダーク・ヴィジョン)の優位性は失われ、魔法による遠距離攻撃も煙によって当て辛い。

 ガゼフは真っ直ぐこちらへ突撃してくる。

 だが、自身の背後にいる<プリンシパリティ・オブザベ(監視の権天使)イション>は動かすことが出来ない。

 <プリンシパリティ・オブザベ(監視の権天使)イション>の特殊能力は、視認する自軍構成員の防御能力を若干引き上げる効果だが、移動していない時に限るのだ。

 

「遠距離魔法攻撃は効果が薄いッ! 天使を四体突撃させよ!」

 

 煙によって下がった視認率で、無駄撃ちを恐れたニグンは部隊に命令する。 浮かび上がるように<アーク・エンジェル・フレイム>(炎の上位天使)が飛び立ち、炎の剣を翻しながらガゼフに突撃していった。

 

 

 

 

 

_________|\

|to be continued・・・ > 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/

 




ダイオキシンが発生するので緊急時以外にタイヤとか燃やしちゃだめだよ! ぜったいだぞ!


――没ネタ――

~アインズ様がニグレドに子供の人形渡すシーン~

ニグレド「あたしィィィの赤ちゃあァァァん」 ビーン

すきなとこ:すごくホラー&コメディ

ボツりゆう:人形はたべものではありません
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