第5部の敵キャラギアッチョから ザ・ビートルズのジェントリーウィープス!
40年以上愛されるのには理由がある!なんといってもこの曲は伴奏が哀愁漂っていてベネ!ディモールト ベネ!
少女は弱い朝日に目を覚ます。夜が明けたばかりの空気は、春を迎えたとはいえまだ肌寒い。少女はもう一度夢の中へと誘う暖かいベッドの誘惑を振り切り体を起こす。夜が明けたといってもまだ辺りは薄暗いが、魔法の明かりなんて無いこの村において、少女はその時間に起きるのがあたり前であるかのように身支度を済ませ、目を擦りながら眠そうにしている妹と共に1階へと降りていった。
「おはよう。お父さん、お母さん」
「ああ、おはよう。エンリ、ネム」
「おはよう。エンリ、水を汲んできてくれないかしら」
夜が明けたばかりだというのに少女の両親はすでに起床しており、手早く朝食の準備とこれからの農作業の準備をしていた。顔を洗いに井戸へ向かおうとするエンリにバケツを渡し、水を汲むように頼み事をするのも、いつもの日課であった。
エンリは小型の
「うん、今日もいい天気」
と、1日の始まりに、そう呟くのであった。
トブの大森林。直径45キロを優に超える、日本の四国(約1800平方キロメートル)に匹敵するほどの面積を持つ広大な森林の最南端に、少女たちの住まうカルネ村があった。人口はおおよそ120人。25家族からなる村の主な産業は、森から取れる薬草類の恵みと農産物だ。100年ほど前にトーマス・カルネという開拓者が切り開いた、王国に所属する村である。
村の真横に手付かずの大自然があるというのに村には防壁どころか柵すらない。カルネ村の真横の森林はトブの森の南側を支配する強大な『森の賢王』という魔獣の縄張りであり、めったにモンスターや猛獣は村へは来ないためだ。
森で採取される薬草類を、年に3回ほど商人が買い付けに来ることと、徴税にやってくる役人が年に1度くるだけの・・・時間が停止したような・・・そんな小さな村である。
エンリ・エモットは生まれてからこの16年間、カルネ村の一員として暮らしてきた。早朝に起て水を汲みにいくのも、畑の世話や危険な森へ入り手早く薬草を採取するのもいつものことだ。働かざるもの食うべからず。目立った特産品や資源があるわけでもないし、さほど豊かとはいえないこの村だが、少なくとも飢えることは無いし平和であった。
目が覚めてきたのかネムは姉のエンリを急かしながら元気いっぱいといった感じで外へ飛び出していく。エンリは口では咎めるがいつものことなので、歩いてネムの後を追う。
甕を抱えながら扉を閉め、振り向くとネムがなにやら地面に
だが
「うずくまって、おじちゃん。オナカ痛いの?」
聞こえてきたのは予想外な問い。どうやら妹は体調が優れない男性を心配し、話しかけていただけのようであった。エンリは真っ先に疑ってしまった妹に心の中で謝罪すると、蹲る男性へ視線を移した。
エンリが男性へ話しかけるよりも早く、男性はネムを見ると大きく肩を震わせ逃げるように去っていってしまった。
多少不審に思いながらも袋や鞄を持たず薄着であったため、物取りの類ではないと結論付けると、すぐ忘れてしまうのであった。
その日、いつもより少し時間がかかってしまったが、慣れた手つきでエンリは井戸から甕に水を移し家の大甕に運ぶ。1石2斗(約216リットル)の大甕を8割満たすためには3往復する必要があるが、今ではなれた作業だ。
「よいしょ・・・っと」
エンリは袖が濡れないようにうでを捲り上げると、甕を持ち上げた。丸い甕は持ち辛く、縁から少し水がこぼれる。
「おっと・・・うーんもう少し大きい甕のほうが楽が出来るかな?」
言葉とは裏腹にしっかりとした足取りでエンリは家までの帰路につく。
そのとき、耳に何か物音が聞こえる。何かが倒れる音だろうか。割れるような音かもしれない。粟立つような不安を感じ顔を動かす。
そこから聞こえてきたのはバキバキと木でできた何かが打ち砕かれる音。
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(な・・・なに?何がおこっているの?今のは・・・・・・悲鳴!?)
エンリの脳裏に不安が広がる。良くない想像が次々と浮かんでくる。
(まさか・・・そんな・・・!あの方角はッ・・・!)
「私の家がある方角じゃないのオォオオ!」
持っていた甕を投げ捨てる。地面に衝突しバラバラに砕けてしまった甕を一瞥すらせずに全力で駆け出す。
「うわあああああああああああ!」
「キャアアアアアアアア!」
再び悲鳴が聞こえてくる。浮かび上がってきた想像が現実味を帯びてくる。
視界の端に鎧を着た男が見える。振るわれた剣は村人を切り裂き、悲鳴を上げながら倒れた男性に何度も突き立てられる。
視界が涙で滲み前が見辛い。
歩きなれた道が普段の何倍もの距離に感じられ、絶望に足を止めてしまいそうになる。
心臓は張り裂けんばかりに鼓動を打ち、全身に疲労を伝えてきていた。
「お父さん! お母さん! ネム!」
愛しい家族を呼ぶ。必ず生きていると信じて足に力を入れ全力以上の力で駆け抜けた。そしてようやく家が目視できる距離に入った。
破るようにドアを開け、中へ入る。
エンリは室内に見慣れた三人を見つけると安堵の表情を浮かべる。
「エンリ!無事だったか!良かった・・・本当に良かった・・・!」
父の腕がエンリを強く抱きしめる。
「さあ、エンリも来た!早く逃・・・」
ガチャリ。開け放たれた扉の横から金属が擦れるような音が間近から聞こえてくる。
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ガントレットで覆われた腕が扉の枠を掴んだ。長剣を持ち全身を鎧で覆った男が4人の命を絶とうと進入してくる。
「うおおおおおおおおお!」
父が男に掴みかかり、そのまま倒れこむように外へ転がり出た。
「行くんだ!早く!」
「きいいいさあああむあああ!離せええええッ!」
鎧の男は長剣から短剣へと持ち替えると父へ突き立てようともがく。
「エンリ!ネム!」
母が叫ぶ。エンリは幼い妹の手を握りながら母と一緒にトブの森へと駆け出した。
襲い来る者たちから見つからぬよう、物陰に隠れながら移動する。
至る所から悲鳴や怒号が聞こえる。
心臓が早鐘を打ち、うるさい。周りに鼓動が聞こえてしまうのではないかと思ってしまうくらいに。
あの角を曲がればあとはずべて直線だ。今の所自分達は発見されていないようで、全力で走れば
ドスゥッ!
何かにぶつかり急に前を走っていたエンリの母が硬直する。
「・・・・・・・・・」
背中の腰の辺りから何か突き出ている。母の腰にはあんな尖った物、生えてもぶら下げてもいなかったハズ。
エンリの母は
(クッ・・・このままでは・・・だが敵は1人。1人だけなら何とかなるかもしれない。せめてエンリだけでも・・・)
ギリッ・・・強く歯を噛む締めて心を奮い立たせると、手に持った短剣をおもいっきり握り締める。残り少ない体力を振り絞り、腕を全力で振るう。衝突によって体勢を崩した騎士の左目に、兜の隙間から進入した刃が突き立った。一瞬で意識と命を刈り取られた騎士は、そのままのけぞるように倒れピクリとも動かなくなった。
「エンリ。 よく聞いて。 ここから先はあなた達2人で行くのよ」
「お母さんッ! 何を言っているの!? 止血を! 早く止血をして――ッ! 」
「聞くのよエンリ・・・ お父さんが自分を犠牲にしてみんなを守ってくれたから私達は・・・かろうじて生きている。」
ドクドクと心臓の鼓動に合わせて血がながれていく。
「エンリ・・・私は行けない・・・ この傷では足手纏いになってしまう。 きっと追いつかれる」
背中を家屋の壁にもたれさせながら、ゆっくりと崩れ落ちるように座り込む母。壁には信じられないほど大量の血。
「わたしがいたらあなたは
「だから何言っているのかわからない―――ッ! そんな・・・
くすりと少し笑みを見せ、今までの生で楽しかったことや辛かったことを思い出を思い出していく。その中で特に・・・最後になるであろう言葉は何だろうと霞みゆく意識の中で考える。
ああ、そうか、これだ・・・
「幸せに・・・おなり・・・」
母の肝臓付近の腹部から大量の血液が流れ出していた。どうやら太い血管を傷つけてしまったようだった。エンリに手で去るように合図する理由に思い至り、エンリは嗚咽を漏らす。
2度と母に会えなくなる覚悟などしたくなかった。
「うっ・・・グスッ・・・」
きびすを返し別ルートから森林へ向かう2人を、目ざとく見つけた鎧の男達が後を追う。
妹の小さな手を握り、追跡してくる男から逃れるためさらに足に力を入れる。
だが幼い妹は体力の限界だったのか、歩幅の違うエンリについていけず足をもつれさせてしまった。
「早く立って!」
「うん」
一瞬立ち止まったエンリとネムへと金属の軋む音が近づく。振り返ったエンリの目に長剣と全身に返り血を浴びた騎士が映った。
エンリはとっさに妹を庇いながら立ち上がると騎士をにらむ。
「クックックック・・・お前の両親は・・・
騎士は兜のなかで嘲笑を浮かべながら森の中まで走らされた少女に向かって吐き捨てる。
「おまえがいなけりゃ死ななかったかもなぁ フッフフフ」
エンリの心に炎が灯る。目の前の『敵』が憎い。憎い。憎いッ!心のそこからッ!
「だが悲しむ必要はないぜェ 喜ぶべきだ・・・すぐに面会できるじゃぁないか・・・えぇ?」
右手を自分でも信じられないほどの力で握り締める。手が白くなり爪が食い込んでうっすらと血がにじむ。
「お前も死んで あの世で・・・マヌケな面を晒してな・・・フフ・・・フハーッハッハハハァ!」
髪が重力に逆らったかのようにザワザワと逆立ってゆく。エンリの心は限界だった。
「あの世で再会したら聞かせてもらえよ
もう我慢の限界だった。エンリはついにキレる。状況も相手も何もかもを一瞬で忘れ、硬く硬く握り締めた拳を前へと突き出す。
狙うはクソみてーな言葉をひり出したッ!便器に向かったケツの穴みてーな口へ!
「殺人が趣味のブタ野郎がてめーの都合だけしゃべくってんじゃねェーぞ このタコがァアア!」
脳のリミッターが外れ、限界を超えた拳速により腕の関節が外れる。
ゴギィ!メギッ!と音を立てて外れた腕の関節は、腕のリーチをググーンと伸ばしたのだ!
<ズームパンチ!>
バギャア!と人が立てる音とは到底信じられない音を立ててエンリの拳が
拳の骨が粉々に砕け、皮膚を裂いて飛び出している。この一撃は完全な不意打ちだった。たとえ無事な左手でも次が命中する可能性は無い。見るからに痛々しい手を庇おうともせず、エンリは無事な左手でネムの手を取り走り出そうとする。
「――はやく!」
「うん!」
激痛を訴える右腕を無視して走り出そうとして―――エンリは背中に焼け付くような熱を感じた。
「うぐううう!」
「やりやがったな このボゲメスがぁあ!!」
逆上し、冷静さを欠いた男が振るう剣は適当に振るわれ偶然エンリの背中を切り裂く。鋭い剣先は服を切り皮膚を裂き肉を絶ち骨にまで達する。
「ハハ――ッ!刃が骨まで達した音!もう逃げられねェぞこのメスブタがァ!」
エンリの心を再び絶望の色が塗りつぶす。せめて妹だけでもと、細い腕の中で震える命を逃がすために思案する。
「オイオイオイ!あの剣、刃が付いてんじゃねえかよ!」
その時だった。目の前に見慣れぬ服を着た男達が現れたのは!
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|to be continued・・・ >
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――没ネタ――
~DIOがジョナサンの恋人にちょっかい出すシーン~
「クライム・・・ラナーとキスは済ませたのか?
すきなとこ:絶望感がすごく良く表現されているとこ
ボツりゆう:書いててつらい