「お、フェイトじゃん。なにしてんだー?」
休日にジュエルシードを探しに家をでると、多分俺と同様にジュエルシードを探している途中であろうフェイトと出会った。
「ジュエルシード探してるのか? つーかここ俺の家の近くだから、とっくに調べ終ってるぞ」
「あ、マコト。そうなの?」
「そうだぞー。あれだな、探索したとこ共有してたほうが無駄がなくていいだろ。どっかでお茶でもしながらその辺話そうぜー」
「俺が調べたのはこっからここまでとあとはこの辺だな」
「わたしはここからここまで」
本屋で地図を購入して適当な店に入る。
俺はアイスティーをストレートで、フェイトはコーラを頼んでいた。
炭酸を飲むのは初めてなのか、飲むたびにふみゅっとなるのが若干かわいい。
……しかし飲んだことないのに頼むとか、中々チャレンジャーなやつだな。
「結構かぶってるとこあるなー。まあいいけども。そういやフェイトって今どこにすんでるんだ?」
「わたしは……えっと……あ、ここ。ここに住んでる」
俺の家からは少し離れた、街中のマンションを指差す。
「んじゃ俺はこっち側で、フェイトはそっちな。家の位置から考えても効率いいだろ」
「そうする。そういえば……この間はごめんなさい」
そういえば全部防ぎはしたけど、すっごい魔法打たれたな。
「気にすんなよ。それに俺無傷だったろ」
「嘘。どういう仕組みかわからないけど、魔力をブーストしてたでしょ? あんな無茶して無傷なはずない」
「……ばれたか。魔力のオーバーフローでのダメージってすっげえ痛いけど見てわかる傷ができるわけでもないからばれないと思ったんだけどな」
心配されたい訳ではないが、体の状態に関わらず動ける能力だから余計に自分にしか辛さがわからないっていう。
「少しでも魔法に触れたことががあれば気づける。それにしてもどうやったらあんな高濃度の魔力を内包して普通に動けるの? 普通なら絶対に無理」
「ああ、それなら簡単だ。俺の能力で、簡単に言うと生きてる限りは動けるってやつのおかげだな。ただでさえ魔力の運用効率悪いのに、オーバーフローの痛みで気絶しないように覚醒魔法使ってるから、ブーストしてもあんまり魔力を防御に上乗せできないんだよなー」
カートリッジをつかうとオーバーフローで痛みを感じる。
それで気絶しないように覚醒魔法を使う。
覚醒魔法で魔力を使うから魔力が足りずにまたカートリッジを使う
なんという負の連鎖。
さらにカートリッジを使うたびに覚醒魔法の強度を上げなきゃいけないから、カートリッジのブースト効果はどんどん落ちていく。
こないだのフェイトとの戦闘で馬鹿みたいにカートリッジを使ってたのはそれが原因だ。
最終的にカートリッジでブーストした魔力の9割は覚醒魔法にもってかれてたしな。
「どうしてそんなに無理して……、それなのに協力してくれるの? 話も聞かないで行き成り襲ったっていうのに……」
あ、話きかなかったって自覚あったのか。
どっちかっていうと自覚有りのがたち悪いんだけどな。
「正直あれぐらいならなんも問題ない。それにこないだも言ったけど、俺はジュエルシードがこの街からなくなればそれで良い訳で、ぶっちゃけて言えば一人で探すのはめんどい」
「それだけ? 自分の能力も簡単に明かすし、どうしてそんな簡単に人を信じれるの?」
「……ノリだな」
「ノリ?」
正直自分でもどうかと思う俺の発言にポカーンとなるフェイト。
こんな顔でもかわいいってのは、きっとこの先生きていく上でだいぶ楽だろうなと羨ましくなる。
……じいさんめ。どうせなら超絶イケメンにしろよな。
「そう、ノリ。その場の雰囲気とか、俺の直感でフェイトなら信じてもいいって思っただけだ。それでもし裏切られたとしてもそれはそれ。自己責任の範囲だろ。それに――」
どう考えてもふざけているようにしか思えない発言に少量の真剣さを混ぜる。
そんな僅かな雰囲気の変化を感じたのか、少しだけ真剣な顔をするフェイトを見つめる。
……どうしてそのエアリード能力をこないだ生かせないかな。さっきは問題ないっていったけど、痛いもんは痛いんだからな。
「それに、フェイトは裏切るようなやつなのか?」
こんなに協力的なのにひどいやつだな――
わずかばかりの意地悪を込めた笑顔で見つめる俺に、フェイトはブンブンと首を横に振る。
「マコトは、私の話をちゃんと聞いてくれた。私はマコトの話なんて全然聞こうともしなかったのに……。それに母さんにジュエルシードを譲ってくれるって約束してくれた。そんな人裏切れる訳がない」
いや、交渉はするけど譲るって決めたわけじゃないからな。
いい話っぽいから空気読んで訂正しないけど、割とそこ重要だからな。
「ま、それならいいだろ。これからもよろしくな」
「うん」
気恥ずかしさを感じたのか俺から顔を逸らして再びコーラを口に含むフェイト。
あ、またふみゅってなった。学習しない奴だな全く。
「……これ、もうやだ」
瓶ごと提供されるタイプの店だしな、炭酸初心者にはちと厳しかったか。
……まあ知ってても教えなかったけどな。
「んじゃこっち飲むか? あんまり飲んでないし、なにも混ぜてないから平気だろ」
そういって飲みかけのアイスティーをフェイトのコーラと交換する。
「炭酸系は瓶で飲むのが一番うまいと思うんだけどなー」
そう言ってフェイトの飲みかけのコーラを口に含む。
「ん? どうかしたのか? 顔赤いけど」
「なんでもない」
アイスティーを飲むフェイトの顔は少し赤い。
子供じゃないんだから、まさか間接キスを気にしてるとかないよな?
……そもそもフェイトの育ったとこでそんなこと気にする習慣ってあんのか?
「さて、これからどうす――」
〈マスター! ちょっと遠いけどジュエルシードの反応だよ!〉
「マコト!」
「わかってる!」
急いで会計を済ませ、店の外に出る。
反応があった方を見ると、世界樹と呼んで差し支えないような巨木が立っていた。
《バルムンク。あの木をみてくれ。あいつをどう思う?》
〈すごく……大きいです……〉
そういえば念話つかったの初めてな訳だが、こんなお約束をするために使うのは正直念話の無駄遣いかもしれないな。
だが後悔はしない。
「フェイト、ジュエルシードの場所分かるか?」
「サーチャーを使えば分かるけど……、範囲が広すぎて時間がかかる。広範囲を攻撃できる魔法を使ったほうが早い」
「それだと街の被害がなー」
だが、こうやって対策を練っている間にも巨木は成長を続けていく。
「あんまり考えてる時間もなさそうだな」
しかし二人で頭を抱えていたのもほんの僅かな時間だった。
桃色の閃光が巨木に向かって放たれ、ジュエルシードを封印したからだ。
「あれフェイトの知り合いか?」
「一緒に探している人はいるけど、あんな長距離からの砲撃なんてできない。私に聞くってことはマコトの知り合いでもないんだよね?」
「心当たりが無い訳じゃないんだが、確信があるとは言えないな。魔法使えることを隠してるからそいつに聞くわけもいかないし……」
ちなみに俺が疑っているのは当然なのはだ。
「まあ向こうの目的もジュエルシードってんならいずれどっかで会うだろ。とりあえず俺の心当たりの名前教えとくな。なのは、高町なのは。俺の予想通りならこいつだし、多分名乗ると思うからそん時は俺に教えてくれ。まあ間に入るぐらいはできるから」
「……女の子?」
「そうだ。一応俺の幼馴染になるのかな」
小1から小3の付き合いって幼馴染って呼べるのか?
「……ふーん」
ジト目で俺を見つめるフェイト
いや、そんな目で見られる要素なかっただろ。
「ま、まあ折角会ったんだし、今日は一緒に捜索しないか? 一人で探すのも飽きるからな」
「……わかった。じゃあいこ」
そんな簡単な一言で機嫌を良くし歩き出す、あまりにも素直な少女の背を追いかける。
二人で捜索しているところを忍さんと高町兄に見つかり、気まずいことになったのはまた別の話。