「ルリ、今日学校休むんだってさ」
とある朝、水穂はそう言って、隣に座ってアンパンを頬張っている統夜に向かって言葉を掛けた
普段はキッチリと家での朝食を欠かさない統夜だが、今日に限っては寝坊してしまったらしく学校で遅めの朝食中だ
「そうなのか・・・・ん? 何でお前がそんな事知ってんだ・・・?」
「それがさぁ、さっきルリから電話があって―――――」
~~~~~~~~~
「―――――風邪ひいちゃったのか・・・ついてないわねぇ」
《・・・大した風邪じゃないんだけど、大事をとって休んどけってお姉ちゃんが・・・ケホッ・・・》
「今の咳、ちょっと可愛かったわね、もう一回やってくんない?」
《あんた何言って・・・・へくちっ・・・》
「おおお! くしゃみまで可愛いとは・・・さすがルリルリ、侮れんな」
《わけわかんないこと言ってんじゃないわよ、あとルリルリ言うな・・・》
「まぁ、今日の所はお大事にって事で―――。あっ、帰りにお見舞いがてらアイスでも買っていこうか?」
《いいわよ別にそんなの。それより――――》
《ルリちゃん? 入るよー?》ドアガチャ
《――――し、シン!? な、なんで!?》
《風邪で寝込んでるって聞いたから、様子を見に――――》
《ひ、人の部屋入るならまずはノックくらいしなさいよ!!このバカっ!!!!》
《痛っ! いや、ノックしても返事無かったから何かあったんじゃないかって・・・ちょっ、痛い!! ジャ○プもサ○デーも当たると地味に痛いから投げないで!》
《うるさいうるさいうるさーい!!!!》
「・・・・・・いちゃこらしてんじゃないわよ」
~~~~~~~
「―――――って訳よ」
「なるほど、だから今教室に入ってきたシンが頭にでっかいたんこぶ作ってるのか」
回想の間にアンパンを食べ終わった統夜が、イチゴ牛乳を流し込みながら納得する
教室の入り口を見れば、統夜の言う通りシンがまるで漫画のようなたんこぶを頭に作っていた
「ああ、統夜君、水穂さんおはよう」
「おはよーさん」
たんこぶを摩りながらも、ふにゃりとした笑いを浮かべながら朗らかに挨拶してくるシン
「水穂から聞いたぞ? お前も大変だねえ・・・いっつもルリルリにボコボコにされてよ」
「それがボクだから・・・って言う冗談は置いといて、そうでもないよ。ルリちゃんもちゃんと手加減してくれるし」
「(手加減・・・?)」
前回の理不尽な拳の数々を思い出し、冷や汗を浮かべる統夜
仮に、アレで手加減だとしたら一体本気だとどうなってしまうのか・・・そもそも、仮にも女子がそんな力を発揮できるわけが・・・
「ある、な・・・・」
「? 何よ」
「いや、何でも」
そう言って水穂から目を逸らす統夜であった
―――――
――――――――――
―――――――――――――――
場面は移り変わり、放課後、ボランティア部室
部室に備えられているやや大きめのソファで、彩音はマンガを読んでいた
この部室に同じく備えられている大きめの本棚には部員が各自持ち寄った本が置かれている
その中から適当に一冊、とって読んでいるのだがこれが中々に面白い、続きが気になるので続巻を取ろうかと思ったとき、ふと目の前の人物に目が留まる
「ぬぐぐ・・・・ぐぬぬ・・・・」
舞香が一組の金属の輪っかをガチャガチャと動かしている
所謂知恵の輪というものだ
どうやら、上手い具合に解けないらしく舞香の表情には苛立ちが見て取れ―――
「―――――だぁぁぁっ!!! 出来るかこんなもーーーん!!!」
「危ねっ! ぶちょー、そうやってすぐに物投げるの止めなさいって、いつも言ってるじゃないですか・・・」
「ふんっ! そんなの知るか!」
統夜の注意も気に留めず、口をへの字に曲げている舞香
呆れたように溜息を吐いた後、統夜は落ちている知恵の輪を拾い上げ自分もガチャガチャと動かし始める
「そもそも、ぶちょーこういうの大っ嫌いなのに珍しいですね」
「だって・・・フウの奴が、こんなのもできないのかって言ってくるから・・・」
「また風香ちゃんですか・・・ぶちょーもお姉さんなんですから、そうやって簡単に挑発に乗るのもどうかと――――。あ、できた」
統夜がポツリと、そう言った
その手には見事に分解された知恵の輪が
「えぇっ!? おまえ、どしてそんなんできるんだよ!」
「中学のころ、一時期クラスで流行ってたんですよ。――――水穂なんかは力尽くで壊していましたけど」
そう言いながら、分解した知恵の輪を元の形に直して舞香に返す
舞香は受けとったそれを舐めるように見回すが、その表情を納得いかないようにしかめる
「おまえにもできるなら、わたしに出来ない筈がない!」
「妙な意地張らないで下さいよ・・・誰にだって得意不得意はありますって」
「田舎の祖母ちゃんが言ってたんだよ! “ぶちょーより優れた部員なぞ存在しねぇ!”って! だから、できなければいけないのだ!」
「ぶちょーのお祖母さんはどんな世紀末を生き抜いてきたんですか・・・・ああ、そうじゃないですって――――」
そう言って舞香の隣で解き方のコツを教えている統夜、舞香も口では文句を言いながらも大人しく言う事を聞いている
そんな兄妹みたいな二人を見て、微笑ましいなぁと彩音は思う
と、そこで部室の扉が開き、なぜか紙袋を抱えた水穂が部室に入ってくる
「うーっす! 良いもの持ってきたわよー!」
いつもの快活な笑顔でそう告げると、テーブルに紙袋を置いて中身を取り出す
その中身を見た舞香が即座に飛びつく
「―――お! 購買のメロンパンじぇねーか! でかしたぞ水穂! とーや、お茶」
「へいへい」
「新聞部の友達に貰ったんですよ、毎度のネタ提供のお礼だって」
「ああ、良くも悪くも話題性には事欠かないからな、うちの部活は」
「ほらほら、彩音も食べよ? うちの購買のメロンパンって結構評判良いのよ」
「うん、ありがと」
手渡されたメロンパンの袋を開け、半分に割ってから、ちぎって口に含むと、強いのだが決して諄くない、なんとも心地よい甘みが口中に広がった、
一言で表すのならば、単純に美味しい
これならば評判というのも素直に頷ける
そうやって女子三人で黙々とメロンパンを食べ進めていると、舞香が何か思い出したように口を開く
「――――そーいえばさ、半年くらい前に一時期購買でパンが売られなくなったことあったよな」
「そんな事があったんですか?」
まだこの学校に来て一か月もたっていない彩音だから、知らないのも当然といえば当然なのだが、少し気になったので舞香に聞き返す
「わたしも細かいことは知らないんだよなぁ・・・・アレ、何だったのかね?」
「あ~、あの事件ですか」
次に舞香の言葉に返したのは統夜だ
4人分のお茶を準備する手は休めずに、肩ごしに舞香たちに声を掛ける
「あれって、確か朝宮先輩が購買で騒ぎ起こしたんだよ。 な?水穂」
統夜の問いかけに、水穂は無言で頷いて返す
「騒ぎって・・・?」
「発砲」
「・・・・・・はい?」
統夜の口から飛び出た予想外の一言に、彩音が固まる
「―――昼休みに購買で激しい争奪戦になってた所で、その人がパン!と一発、発砲して言ったんだよ―――」
「『コッペパンを要求する!おとなしくコッペパンを出せ! さもなくば・・・・射殺する!』だっけ? ていうか統夜が先輩にフルメタのDVD貸すから・・・」
「ま、先輩が使ったのはただの改造エアガンだったわけだが」
「あいつ、どんだけバイオレンスなことやらかしてんだよ・・・」
舞香の指摘も尤もだ、彩音もそう思ったがそれ以上に驚きで声が出せない
それでもなお、統夜、水穂、舞香はいつも通りと言わんばかりの態度である
「毎度毎度、あの人の突飛な行動には振り回されっぱなしでしたからね・・・」
「アイツはうちのガッコでも規格外中の規格外だからなぁ・・・・リアルに異能生存体だし」
「あの・・・前から気になってたんですけど、その“朝宮先輩”っていうのは・・・?」
今回はやたら知らない人名が飛び交っていた為少し疎外感を抱いていた彩音だったが、ここに来てようやく話題に割り込めた
「この部のもう一人の三年生よ」
水穂が答えてくれる。先輩、というくらいだからそれくらいは予想できたが聞きたいのはもっと別な事だ
「そういえば、三月の頭くらいから、あの人来てませんよね」
「なんでも今はどっかの山奥にいるらしいぞ? そこに居る決闘仙人とかいうおっさんから、伝説のドラゴンのカードを奪ってくるとかなんとか」
「なんですか、その決闘仙人って? ていうか学校来てないんですか、その人」
「あの人に関しては本当に滅茶苦茶だからねぇ・・・」
遠い目をしてそう言っている水穂に――――なんとなくだが、これ以上何かを聞いても分からないだろうと察する
まあ、部員であるというならその内会う事もあるだろうと、大人しくメロンパンを再度口に運んだ時―――
「――――ああああっ!?」
統夜が叫んだ、驚愕やら悲壮感やらそんな感情がこもった叫び声だったように感じる
何事かと統夜を見ると、メロンパンが入っていた袋を見て固まっている
「――――――オレの分が・・・・無い、だと・・・」
「え? あ、ほんとだ。 栞の事だからいつもの癖で3つしか買わなかったのね、ドンマイ統夜」
「ドンマイじゃねえよ、どアホっ! オレがどんだけ楽しみにしてたと思って―――おい、そのヾ(´∀`)って顔やめろ! 冗談抜きで腹立ってくるから」
「そこまで言うなら買ってくればいいじゃない、今なら一つくらいは残ってるでしょ」
「お前なぁ・・・」
あまりにも適当な言い草にちょっとイラッとした統夜
実際のところ、仕方ない、の一言で済ませてしまえばいいのかもしれないが
と、そこで舞香が一つ溜息を吐いて立ち上がる
「――――しゃーねぇな、わたしが買ってきてやるよ、たまには先輩らしいことさせてもらう」
「ぶちょー!?」
「ぶちょー、あたしが確認しなかったのも悪いんですし、私が行ってきます」
「水穂・・・・」
あれ? このままじゃオレ悪人じゃね? と、そんな考えが統夜の頭を過る
そして、
「――――――いや、よく考えてみれば、これはオレの勝手な問題だし、自分で行きますよ」
「「どうぞどうぞ」」
「おおおおおおおおいっ!!! ずいぶんと懐かしいネタ放り込んできたなぁっ!!!?」
―――――
――――――――――
―――――――――――――――
「・・・・なんだってオレが・・・」
深い溜め息を吐きながら廊下を歩く統夜
「そもそも、最近のオレの扱いが酷過ぎるような気がする・・・・」
ちょっとひどい扱いが続いたからって挫けていてどうする
それに、酷いも何も、君は元からそういうのが売りの残念系ヘタレキャラだろう
「おい、ナレーター。それどういう意味だコンニャロウ」
・・・・・・
「おい、無視すんな」
―――――そして、統夜は無事に購買部にたどり着いた
遠目から判断するに、メロンパンはラスト一つ、ギリギリ運が残っていたということだろうか
「こいつ・・・。―――まあいい」
どうにも納得しきれてはいないような表情の統夜だが、無理矢理割り切るとポケットから財布を出しながらカウンターに歩み寄る
「おばちゃん、メロンパン一つ」
「メロンパンください」
「・・・ん?」
おい、誰だこのタイミングで声かぶせてくるとか
そこまでオレの邪魔したいのかメロンパンの神は
どうしてオレに気持ちよく主人公させてくれねぇんだ!
そんなことを考えながら隣を見る
「統夜くん?」
「シンか・・・・」
そこに居たのは前回凄まじいリア充っぷりを発揮してくれた、同じクラスのシンだった
頭の痛々しいたんこぶは未だに圧倒的存在感を放っていた
どうやらギャグ補正による、消滅には至っていないようだ
「お前もメロンパンを買いに来たのか・・・・」
「うん、今朝ルリちゃんに頼まれてね」
「パシリか、ルリルリの下僕として働くことに喜びを感じているお前にとやかく言うつもりはないが、時には自分の意志で行動するのも良いもんだぞ?」
「いや違うからね? なんかボクが可哀想な存在みたいになってるけど。ルリちゃんが風邪で寝込んでるから買っていくって言ったわけで・・・」
「無理しなくても良い、何かあったらボランティア部に相談に来てくれても—————————」
「行くとしたら“友達が話を聞いてくれませんどうしたらよいでしょう?”って相談だね」
流石にそろそろふざけすぎたかと話を本題に戻す
要するにシンも最後の一つのメロンパンを買いに来たという事
という事は必然的に――――――――
「言っておくが譲る気なんて毛頭ねえからな、こんだけ引っ張ってきてメロンパン食えないとか惨めすぎる」
実際の所メロンパンがどうのこうのと言うより、単純に引き下がったら負けたような気がするだけ、というのが統夜の本心である
「ボクだって、ハイそうですかって譲ってあげられるほど、お人好しじゃないよ」
「ここは引けよ、ルリルリにはコンビニので我慢してもらえ」
「そうはいかないね。 購買のカリモフメロンパンを買って行くって約束したんだ、ここで引き下がるわけにはいかない」
「ちっ・・・・」
「・・・・・・・」
ピリピリと緊張感のある空気が二人の間に流れる
「―――――だったら、やることは一つしかねぇよな・・・・」
「・・・・そうだね」
「――――――カードファイト!ヴァンガードで勝負だ!」
「いや、なんでさ!?」
「オレのギアクロニクルデッキの力みせてやるぜ!」
「あ、うん、分かった。――――じゃなくて! ボク等デュエリストだろ!? 何でそっちの勝負になるのさ!」
「だってオレ、一年の時、決闘でお前に負け越してるし・・・ヴァンガードなら逆に勝ち越してるし・・・・」
「ていうかなんでギアクロニクル!? 統夜くんのイメージ的にはディメンジョンポリスでしょ!? 特に次元ロボ!」
「ギアクロニクルの方が強いから使うに決まってんだろうが!」
「少なくとも主人公が言うような台詞とは思えないよ!」
「さぁ、勝負を受けるんだ、シン! ――――というか受けてください!」
「くっ・・・・なんというメロンパンへの執念・・・プライドも何もあったもんじゃない!」
「・・・・人は、何かを得るためには、他の何かを捨てなければならん時がある! そして、今がその時――――」
「――――ライジング・メテオォォォォォォォッ!!!!」
「ぐはぁっ!」
突如飛来した水穂による跳び蹴りが統夜に炸裂した
「まったく、やたら遅いと思ったら何バカなことやってんのよ! アンタも決闘者なら、さっさと決闘で決着つけなさい!」
「いきなり必殺技食らわしてきた女の台詞かよ・・・」
「あ゛ぁっ?」
「さあシン、決闘だ!」
「切り替え早っ!?」
今、下手に水穂に反抗でもしようものなら間違いなく銀河の果てまでかっ飛ばされる
そう判断した統夜は、デュエルディスクを構える
「面倒な事になったが・・・・ふん、まあいい。 なんであろうと勝てばいいだけだ、どんな手を使ってでもなぁ!」
「(台詞が完全に悪役だよ・・・統夜君)・・・・ボクだって、ルリちゃんとの約束があるんだ! こんなところで負けるわけにはいかない!」
「行くぞ!」
「「決闘!」」
ちなみに、購買部で決闘したら他の生徒の邪魔になるという事で決闘場に移動した事を追記しておく
―――――
――――――――――
―――――――――――――――
シン LP8000
統夜 LP8000
「ボクのターン! ボクは“E・HEROブレイズマン”を召喚!効果により、デッキから“融合”を手札に加える! 更にカードを一枚伏せてターンエンド!」
E・HEROブレイズマン 攻1200
シン LP8000 手札4
モンスター E・HEROブレイズマン
魔法・罠 伏せ1
《―――――さあ、始まりました! 南部統夜VS高槻シン! 実況は私、況崎実! そして、解説には高倉水穂さんにお越しいただいております!》
《アンタ、随分と久しぶりね・・・てっきり存在自体が無かったものになったのかと・・・》
《お、恐ろしいこと言わないで下さいよ・・・あ、南部君のターンですよ!》
その言葉に、一度視線をデュエルステージに移す水穂
「――――オレのターン、ドロー!
そんな攻撃力のモンスターを棒立ちとは、随分と舐められたもんだなぁ!」
《(統夜、それフラグよ・・・)》
「行くぜ! 手札からフィールド魔法“転回操車”を発動! 効果により、手札の“無頼特急バトレイン”を捨て、デッキからレベル10機械族“深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト”を手札に加える!」
「今回はそのデッキか・・・・」
「オレは手札に加えたナイト・エクスプレス・ナイトを、攻撃力を0にして召喚!更に、自分フィールドに機械族・地属性モンスターが召喚・特殊召喚された場合に手札の“重機貨列車デリックレーン”は特殊召喚できる!」
深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト 攻3000→0
重機貨列車デリックレーン 攻2800→1400
《おぉーっと! 南部二年生、大型モンスターの高速展開! レベル10ものモンスターをいとも容易く並べたぞぉぉ!!》
《今回の統夜のデッキは【列車】か・・・中々に派手な決闘になりそうね・・・》
「オレはレベル10のナイト・エクスプレス・ナイト、デリックレーンでオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」
☆10×☆10=★10
「鉄路の彼方より、地響きと共にただいま到着! 現れろ! “超弩級砲塔列車グスタフ・マックス”!!!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス 攻3000
「グスタフ・マックスの効果発動! ORUを一つ使い、相手ライフに2000ポイントのダメージを与える! “発射オーライ・ビッグ・キャノン”!」
「なっ・・・うわぁぁぁぁっ!!!」
シンLP8000→6000
「まだだ! ORUとして取り除かれたデリックレーンの効果発動! 相手フィールドのカードを一枚破壊する! 対象はセットカードだ!」
「くっ・・・・“ドレインシールド”が・・・」
「このままバトル!グスタフ・マックスでブレイズマンを攻撃! “突進エクスプレス”!」
シンLP6000→4200
「ブレイズマン・・・」
「オレは、カードを2枚伏せて、エンドフェイズにさっき墓地に送られたバトレインの効果発動! デッキから機械族・地属性・レベル10のモンスター、エクスプレス・ナイトを手札に加え、ターンエンドだ!」
統夜 LP8000 手札2
モンスター 超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
魔法・罠 転回操車 伏せ2
《攻撃力3000に2000のバーンダメージとは、なんという高火力デッキ・・・》
《元々はそこまで展開が得意じゃないデッキだったんだけど、転回操車やデリックレーンの登場で大幅に強化されたのよね・・・シンはどう迎え撃つのかしら・・?》
「――――ボクのターン、ドロー! よし、手札から魔法カード“融合”を発動!手札の“E・HEROフェザーマン”と“E・HEROバーストレディ”を融合!
融合召喚!現れろ“E・HEROフレイム・ウイングマン”!!!」
E・HEROフレイム・ウイングマン 攻2100
シンの掛け声と共に現れたのは、赤と緑を基調とした1人のヒーロー
しかし、その姿を見ても統夜は余裕の笑みを崩さない
「それがどうした! 融合召喚したところで攻撃力は2100、オレのグスタフ・マックスには遠く及ばない!」
「それはどうかな?」
「何!?」
「特別に教えてあげるよ!“ヒーローにはヒーローに相応しい戦う舞台があるんだ!”って事を! ボクはフィールド魔法“摩天楼-スカイスクレイパー”発動!」
シンがデュエルディスクにカードをセットすると同時に周りに高層ビル群が現れる
HEROに相応しい舞台と言うだけあり、その効果はシンプルに強い
「さぁ、舞台は整った!フレイム・ウイングマンでグスタフ・マックスに攻撃!」
「そうか・・・スカイスクレイパーの効果は・・・」
「自分よりも攻撃力が高いモンスターとヒーローが戦う場合にその攻撃力を1000ポイントアップさせる! これによりフレイム・ウイングマンの攻撃力は3100! いけぇっ“スカイスクレイパー・シュート”!!!」
フレイム・ウイングマンは攻撃の直前に高々と飛び上がるとグスタフ・マックスに向けて急降下していく
「―――――させるかよっ! 罠発動“和睦の使者”!これにより、このターン戦闘ダメージは0になりグスタフ・マックスは破壊されない!」
「えっ・・・・!?」
《ちょっ!? この流れでなんでそんなカード使えんのよ! ここは大人しくやられときなさいよ! 主にGX的なノリで!》
「GX~?何それ、これ☆OGs。 ――――つーかそっちの事情なんて知ったこっちゃねえ! オレはこのデュエル、何が何でも勝たなきゃいけないんだよ!」
「統夜くん、君は・・・・・・・だけど、ボクだって負けるわけにはいかない! ルリちゃんと約束したんだ! 必ず買って帰るって!」
「ふん・・・・たった一枚の手札で何ができる!」
「やってみせるさ・・・魔法カード“一時休戦”を発動、互いに一枚ずつドローする!
そして“カードガンナー”を召喚!」
カードガンナー 攻400
「カードガンナーの効果発動!デッキから三枚カードを墓地に送り、一枚につき500ポイント攻撃力をアップさせる!」
カードガンナー 攻400→1900
落ちたカード
・E・HEROシャドー・ミスト
・ネクロ・ガードナー
・E・HEROネクロダークマン
「なん・・・だと・・・」
一切の無駄のないカードの落ち方に驚愕する統夜
これこそが、彼、高槻シンの強さである
主に逆境でのカードの落ち方やドロー運が凄まじいのだ
「(HERO使いは運に恵まれた奴が多いって事か)」
「シャドー・ミストの効果でデッキからエアーマンを手札に加える!ボクはこれでターンエンド!」
シン LP4200 手札0
モンスター E・HEROフレイム・ウイングマン
魔法・罠 スカイスクレイパー
「オレのターン、ドロー! (墓地のカードが厄介だな・・・このターンはダメージも与えられないし・・・)」
内心、敗北フラグの立て過ぎで負けてしまうのでは、と少しビビっていたりする統夜
(べ、別にビビってねえよ! By統夜)
「オレはさっき手札に加えたエクスプレス・ナイトを召喚し、転回操車のさらなる効果発動! デッキからバトレインをレベル10にして特殊召喚! この効果を使ったターン、相手の戦闘ダメージが0になる・・・が、今は関係ないか」
無頼特急バトレイン 攻1800
「オレは、レベル10のエクスプレス・ナイトとバトレインでオーバーレイ!」
☆10×☆10=★10
「現れろ!ランク10!“超巨大空中宮殿ガンガリディア”!」
《おぉーっと! ここに来て二体目のランク10エクシーズの登場です!》
《ガンガリディアか・・・となると狙いは・・・》
「オレはORUを一つ使い、ガルガンtジャナカッタ・・・ガンガリディアの効果発動!相手フィールド上のカード1枚を破壊し、相手ライフに1000ポイントダメージを与える! ダメージは無いがな! 対象はスカイスクレイパーだ!」
「くっ・・・・」
《ここはモンスターを確実に破壊しに行くべきではないのでしょうか・・・》
《そうでも無いわ、スカイスクレイパーの1000ポイントアップは無視できる数値じゃないし、それにたぶん統夜の手札には――――》
「更に更にぃ!手札から“RUM-バリアンズ・フォース”を発動!」
「なっ!? 既に手札にあったのか!」
「オレはランク10のガンガリディアでオーバーレイネットワークを再構築! カオスエクシーズチェンジ!」
★10→★11
「現れろ!ランク11!“CX超巨大空中要塞バビロン”!!」
CX超巨大空中要塞バビロン 攻3800
「さあ、バトルだ! バビロンでカードガンナーを攻撃!“デステニー・バスター”!」
「ボクは・・・・いや、そのまま受ける! そして、破壊されたカードガンナーの効果でカードを一枚ドロー!」
「バビロンの効果発動! 戦闘でモンスターを破壊した時、ORUを一つ使って、もう一度攻撃ができる!“マルチプル・ランチャー”!!」
バビロンの攻撃によりシンのフィールドのモンスターは一掃される
《一時休戦の効果が無かったら、そのままゲームエンドだったわね・・・》
「オレは、エンドフェイズにORUとして墓地に送られたバトレインの効果で最後のエクスプレス・ナイトを手札に加えてターンエンドだ」
統夜 LP8000 手札2
モンスター 超弩級砲塔列車グスタフ・マックス CX超巨大空中要塞バビロン
魔法・罠 転回操車 伏せ1
「・・・ボクのターン!―――来た!魔法カード“融合回収”発動!墓地の融合とフェザーマンを手札に加えるよ!」
これによりシンの手札は4枚まで増える
「反撃開始だ!“E・HEROエアーマン”を召喚!デッキから“E・HEROオーシャン”を手札に加え、融合を発動!手札のオーシャンとフェザーマンで融合!
現れろ!幻惑のHERO!“V・HEROアドレイション”!!」
E・HEROエアーマン 攻1800
V・HEROアドレイション 攻2800
「更に“ミラクルフュージョン”を発動!墓地のフレイム・ウイングマンとシャドー・ミストを除外することで、新たに融合召喚を行う!
現れろ!吹き荒れる烈風のHERO!“E・HERO Great TORNADO”!」
E・HERO Great TORNADO 攻2800
「TORNADOの融合召喚に成功した時、相手のモンスターの攻・守を全て半分にする!“タウン・バースト”!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス 攻3000→1500
CX超巨大空中要塞バビロン 攻3800→1900
「更に、アドレイションの効果発動! バビロンの攻撃力をTORNADOの攻撃力分下げる!」
CX超巨大空中要塞バビロン 攻1900→0
「バトル!TORNADOでバビロン、アドレイションでグスタフ・マックスを攻撃!」
統夜LP8000→5200→3900
「更に、エアーマンでダイレクトアタック!」
「罠発動!“次元幽閉”!エアーマンは除外させてもらうぞ!」
《なぜ、エアーマンを!?TORNADOかアドレイションならダメージを減らすことができたのに・・・》
《蘇生系のカードでエアーマンを使いまわされることを警戒したって事かしらね・・・》
「・・・ボクは、これでターンエンド」
シン LP4200 手札0
モンスター E・HEROGreat TORNADO V・HEROアドレイション
魔法・罠
「オレのターン! ――――シン、お前はよくやった・・・だが、ここいらで幕引きと行こうか」
「――――っ!?」
「転回操車の効果発動! 手札を一枚捨てデリックレーンを手札に加える! そして、エクスプレス・ナイト、デリックレーンを召喚! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!
再び現れろ!超弩級砲塔列車グスタフ・マックス!!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス 攻3000
「ORUを一つ使って、効果発動! ビッグ・キャノンをくらいやがれ!!」
「うわぁぁぁぁっ!!!」
シンLP4200→2200
「墓地に送られたデリックレーンの効果でアドレイションを破壊!
更に、墓地のエクスプレス・ナイトとデリックレーンを除外し、装備魔法“機関連結”を発動! グスタフ・マックスの攻撃力は倍になり、与えるダメージも倍、更に貫通効果を持つ!」
グスタフ・マックス 攻3000→6000
「さあ、終わりだ・・・・言い残すことはあるか?」
「まだだ・・・まだ決まった訳じゃない! ボクは・・・ボクはルリちゃんと、約束したんだ!」
「ふん、くだらん・・・・・・・ならば、その約束を果たせぬまま・・・死ねぇ!!!!!」
《いや、死なないって。 つーか完全に悪役よアンタ》
「バトル!グスタフ・マックスでTORNADOを攻撃!!!これで・・・終わり―――」
「墓地のネクロ・ガードナーの効果発動! このカード除外し、その攻撃を無効にする!」
「――――ゑ?」
突然、予想外の出来事に統夜はピタッとフリーズしてしまった
「言ったじゃないか、決まった訳じゃないって・・・ていうか、ネクロ・ガードナー完全に忘れてたでしょ?」
「・・・・う、うるせえ! オレはこのままターンエンド!」
統夜 LP3900 手札0
モンスター 超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
魔法・罠 転回操車
「攻撃を止めたって言っても、オレのモンスターの攻撃力は6000! ちょっとやそっとで超えられるような数字じゃない! 何より今のお前には手札が無い、どうあってもオレの―――」
《もうやめて統夜ぁっ! アンタの負けフラグはもういっぱいいっぱいよ!!》
水穂の悲痛な叫びが響く
ここまで行くと統夜が哀れに見えてくる
「ボクのターン! 魔法カード“貪欲な壺”! 墓地のカードガンナー、アドレイション、フェザーマン、バーストレディ、オーシャンの5枚をデッキに戻し、2枚ドロー!」
言わずと知れた定番のドローカード、困った時のなんとやらとは本当に良く言ったものである
「――――行くよ、統夜くん! バトルフェイズ!TORNADOでグスタフ・マックスに攻撃!」
“攻撃力の低いモンスターで攻撃だと!?”と、言いかけた統夜だったがその言葉をぐっと飲み込む
これ以上負けフラグを立てるのは危険と判断したのだろう
「この瞬間、速攻魔法“決闘融合-バトル・フュージョン”を発動!」
もう手遅れだが
「TORNADOの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする!」
TORNADO 攻2800→8800
「攻撃力・・・8800!?」
「いけぇっ!!!TORNADO!“スーパーセル”!!!」
統夜LP3900→1100
「ぐ・・・・だが―――」
「まだまだぁっ!!! 速攻魔法“フォーム・チェンジ”発動!TORNADOをエクストラデッキに戻し、新たなHEROを特殊召喚する!
現れろ!“M・HERO カミカゼ”!!!」
M・HERO カミカゼ 攻2700
「そんな・・・このオレが――――」
「HEROは逆境でこそ、その力を発揮するんだ! M・HERO カミカゼで統夜くんにダイレクトアタック!」
「――――――――くっそぉぉぉぉぉ!!! メロンパアアアアアアン!」
統夜LP1100→0
《(あ・・・・・メロンパン争奪戦だって途中から忘れてた)》
―――――
――――――――――
―――――――――――――――
「・・・・・・・・」
「いや、そんな落ち込まなくてもいいじゃない」
「だってよぉ・・・・正直なとこ、メロンパンがどうこうと言うより、あれこれ好き放題やって負けたことが恥ずかしいというか・・・・」
「確かに」
「フォローしろよ!」
薄情な幼馴染にちょっと泣きそうになる統夜
と、その時・・・
「――――統夜くん? やっぱり買えなかったの?」
「彩音・・・・まぁ、色々あってな・・・」
ガックリと分かりやすく落ち込んでいる統夜
すると、彩音は鞄からあるものを取り出し、統夜に差し出す
「はい、半分は食べちゃったけど、それでもよかったら」
「メロンパン・・・・・いいのか、彩音?」
「まぁ、なんといいますか~・・・元はと言えば、私が入部した分取り分が減ったと考えることもできるわけなので。
――――って、統夜くん!? 何で泣いてるの!? 何処か痛いの!?」
「な、泣いてねーよ! これは、最近ちょっと酷い目にあってた分、彩音の優しさが身に染みて、その影響で涙腺が少し緩んで涙が出てきただけだって・・・」
「それを泣いてるっていうのでは・・・」
それから暫く、統夜の涙が止まらなかったので、それにイラついた水穂が統夜に腹パンを喰らわせることで、今回の“メロンパンの乱”と呼ばれる事件は終幕を迎えることとなった・・・・
――To be next turn・・・
舞香「第八話しゅーりょー! ここまで読んでくれた皆さん、ありがとう!」
統夜「ここまで無敗だったオレにもついに黒星が・・・」
舞香「無敗っつっても、まだ数回しか決闘してないけどな。 まあ、アレだ、元気出せよ。次回はお前活躍するっぽいぞ?」
統夜「え!? マジですか!?」
舞香「――――と、いう噂があるという話だがな」
統夜「どっちなんですかそれ!!!曖昧すぎますよ!!」
舞香「てなわけで次回、遊戯王OGR第九話『スターダストな予感!』次回もこの小説にアクセス!」
今回も好き勝手やらせてもらった感じの内容でしたね・・・詰め込みすぎたかな・・・
正直、これほどまでメロンパンという単語が出てくる文章を書いたのは初めてです
なんというか勢いのまま書いた感じですね
今回のメインキャラ、シンくん
彼はアレです。典型的な正統派主人公といった要素を詰め込んでみたキャラです
使用デッキも【E・HERO】と主人公っぽく、ただしバハシャ餅みたいなカードはたぶん使わない・・・たぶん
ではまた次回(^_^)/~