テスト勉強の時って、他の事に異様に集中できるじゃないですか
アレです(どれだ)
元から書いてたものを修正するだけ、という事もあり、早く上げられました
「―――――ん~~~っ!!! 終わったーーっ!!! いやぁ、今日の物理の授業は強敵でしたね・・・」
帰りのHRが終わり、水穂は席を立つと上に向かってぐーっと伸びをした
その隣の席では統夜が呆れたような視線を水穂に向けている
「霧が濃くなってきたな・・・ってお前、物理の時寝てたじゃねえか」
「まあ、そんな事はどうでもいいじゃない。大して重要な事じゃないわよ。 それより、後でいつものカードショップにでも行かない?」
「・・・・・お前、そんな余裕ぶっこいてて大丈夫なのか・・・?」
「何が?」
「・・・・・忘れてんのか」
「だから何よ?」
「・・・・・来週、実力テストだぞ」
その言葉に水穂はピタッと固まった
「―――――――い」
「い?」
「イヤアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
狂気に満ちた表情で、高らかに、水穂は叫び声を上げた
“実力テスト”
清桜学園の2,3年生を対象として行われるテスト
その内容は、前年度の総復習であり量はそれ程多くは無いのだが、範囲が広い分、一部の生徒の間では、期末試験以上に恐れられている
「―――――わ、す、れ、て、たぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
「・・・・覚えてたとしても勉強しないだろ、お前は」
「そうでもあるがぁぁぁぁっ!」
「駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・」
ぎゃあぎゃあと喚き散らしている水穂に頭を抱える統夜
喚いている暇があるなら、先ずは行動して欲しいものだ
「――――あ、統夜くん、前に貰った過去問の事なんだけど、わからない所があって・・・教えてもらってもいいかな?」
「あ、ああ、オレなんかで良ければ・・・」
「ちょぉぉぉっ!!? 大事な大事な幼馴染度外視して、なにちゃっかり彩音の好感度上げてんのよ! いつの間にそんなイベントあったのよ!」
「ほら、テストの問題の担当は一年の時の其々の教科担当だし、転校したての彩音にはちょっと不利かなと思って一年時の期末試験の過去問貸したんだよ。 あと、ついでに色々教えたり・・・・」
「統夜くんの教え方、すっごい分かりやすくて大助かりだよ。 本当にありがとう!」
「い、いやぁ・・・それほどでも・・・」
「これまでのヘタレっぷりを巻き返すかのごとく好感度上げてんじゃないっての!!!
酷いわよ統夜! 彩音ばっかり構って、あたしの事なんてあっさりと切り捨てるなんて! 分かったわよ、だったらあたしにも考えが――――」
「さっきからうっせぇぞ、どアホっ!」
「―――――へぶっ!!」
いい加減に我慢の限界だったのか、喚き続ける水穂の顔面に統夜が何かを投げつけた
水穂は、赤くなった顔を押さえ、悲壮感を漂わせながらしゃがみ込む
と、そこでぶつけられた物が一冊のノートだという事に気付く
パラパラと数ページ捲ってみると、様々な教科の要点が分かりやすく纏めてある
そして、表紙には律儀にも“テスト対策”の文字が
「これって・・・・」
「とりあえず、そこに書いてあること押さえれば、赤点と補習は回避できんだろ」
「統夜・・・・」
「オレが何年、お前の幼馴染やってると思ってんだ、切り捨てるなんて馬鹿な事言ってんじゃね」
「統夜様あぁぁぁぁっ!! ありがとー!! 統夜のそういう優しいとこ大好きよ!! 愛してる!!!」
「だぁぁっ!! 分かったから抱き着くな! あと簡単に愛してるとか言うな! どアホっ!! べ、別にお前の為にやった訳じゃないんだからな!!」
「ベタなツンデレ台詞頂きました!!!!」
なんだかんだと言いつつも助け合っているあたり、やっぱりこの二人は仲がいいんだなぁ
そう思った彩音は、そんな二人を見つめながら柔らかい笑みを浮かべる
――――その時だった
「―――――――統夜あああぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」
「ぐはぁっ!!」
突如真横から飛んできた黒い影が統夜にぶつかり、勢いのままに統夜は壁に叩きつけられてしまう
――――黒い影、基、一人の男子生徒は縋るような視線で統夜を見据えている
彩音は、少し考えてからその生徒の名前を思い出した
「えーっと・・・たしか、ひとりくんだったっけ?」
「ちげぇよ安藤ちゃん! “一人”って書いて、“かずと”って読むんだよ! それだとただ悲しい名前になっちまうから!」
「いってぇ・・・何すんだよ、カズヤ・・・」
「カズマだ!! じゃなかった、一人だ!」
カズマって誰だ、と言いかけたがそれは置いておくとして、とりあえず壁に叩きつけられたことについて文句の一つでも言ってやろうか
と、思った統夜だが、とりあえず必死な形相の友人の話を聞いてやることにした
―――因みに彼“孤空一人(こぞら かずと)”については、第一話を参照していただきたい(姑息なステマ)
「―――――俺が、前回の期末試験の成績がボロボロだったことは知ってるだろ?」
「ああ、ボロボロだったな、とりあえずジム神のマップ兵器ブチ込んだ後の相手ぐらいはボロボロだったな、全盛期ゼンマイのハンデス食らいまくった後の精神状態ぐらいボロボロだったな」
とりあえず、話ぐらいは聞いてやろうかと思った統夜
これまた悲愴感を漂わせて語る一人に、腕を組んでうんうんと頷く
「それで、母さんが言うんだ・・・・もし次のテストで半分以上、赤点だったら・・・・」
「だったら?」
一瞬、言いよどむ一人だったが意を決したように顔を上げ、再度語りだす
「――――俺の大事な宝を全て処分すると・・・・」
「宝・・・・っ!・・・まさか―――」
「ああ、大人気デュエルアイドルグループのメンバーの一人、東澤 絢のグッズだ・・・」
「―――っ! そんなバカな! 処分だと・・・アレにどれほどの価値があると思ってんだ!」
猛る感情をぶつけるかのように一人の胸倉に掴み掛り、声を荒げる統夜
「そんな暴挙が・・・・許されるわけがない!!」
「分かってる! 分かっているが・・・・俺の力では・・・絢を守ることはっ・・・」
「一人・・・・」
自分自身の不甲斐なさを痛感しているのか、硬く歯を食い縛っている一人
統夜だって、一人の気持ちが分からないわけではない、守りたいものを守れないその気持ちを
統夜は少し頭が冷え、手を離す
「・・・・俺は・・・・」
「いいんだ、一人・・・・お前の気持ちは分かってる。 オレが力を貸してやる・・・だから、一緒に守ろう。 オレ達はまだ、守れるんだ」
「・・・・っ! すまない、統夜・・・・」
「気にすんなよ、オレ達、友達だろ?」
「統夜・・・・・じゃあ、早速その対策ノートを――――」
「やらせるかあああああああぁっ!」
微妙に良い感じの雰囲気になっていたところで、二人の間を水穂の怒号が遮った
二人は邪魔するなとでも言いたげな視線で水穂を睨む
「んだよぉ水穂ぉ、折角良い所だったのにさぁ・・・」
「勝手に感動的な空気作ってるみたいだけど、要するに統夜のノート使って楽したいだけじゃない! そもそも、これは統夜が大事な大事な大事な幼馴染である、あたしの為に作ってくれたものなんだから!」
「(大事な・・・って自分で言うか普通・・・)」
「ていうか、色々言ってるけど結局のところ今まで勉強してこなかったアンタの自業自得じゃない!」
「お前が言うな」
ぺしん、と気の抜けた音と共に水穂の頭にハリセンが叩きつけられる
まったく以ってその通りである
ため息を吐く統夜の的確なツッコミに彩音も苦笑を浮かべている
「だったら水穂、統夜のノートを賭けて俺とデュエルだ!!」
「OK、まどろっこしいのは嫌いだし、決闘で白黒はっきりつけようじゃない!私が勝ったら、大人しく引き下がってもらうわよ!」
「おい、別にわざわざそこまで――――」
「統夜は黙ってて! これはあたしと一人の問題よ!」
「なんでオレが部外者扱い!?」
「統夜、お前の言いたいことは分かる。 ―――だが、俺と水穂は決着を付けなくてはいけないんだ、分かってくれ・・・」
「いや、なんでオレが我儘言ってるような雰囲気になってんの!? どう考えてもおかしいだろ!」
確かに、元々統夜のノートを奪い合うためにデュエルをしようとしているのだから、ここは統夜の言い分が正しい
が、そんな事お構いなしに二人は既に臨戦態勢である
「行くわよ一人! せいぜい懺悔の用意をしておくことね!」
「俺は負けない! 俺の望む未来のために!」
「「決闘!」」
―――――
――――――――――
―――――――――――――――
いつも通り始まった決闘
先行は一人
「俺のターン! モンスターをセットしてターンエンドだ」
一人 LP8000 手札4
モンスター 伏せ1
魔法・罠 なし
「伏せモンスターだけか・・・そういえば一人君のデッキ何だろう? ―――ってあれ? 統夜くん、どこか行くの?」
「ああ、ちょっとな。 すぐ戻るからちゃんと二人の決闘見といてくれ」
「あたしのターン! ドロー! 悪いけど、手加減無しの速攻で行くわよ
手札から“チューニング・サポーター”を召喚!さらに手札のモンスターを墓地に送り“クイック・シンクロン”を特殊召喚!」
チューニング・サポーター 攻100
クイック・シンクロン 攻700
水穂のフィールドに鉄鍋をかぶった小さなロボットとガンマンのような姿のロボットの二体が並ぶ
「チューニング・サポーターはシンクロ召喚に使う際、レベルを2として使うことができる!あたしはレベル2のチューニング・サポーターにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング!」
☆2+☆5=☆7
「“集いし思いがここに新たな力となる、光さす道となれ!”
シンクロ召喚!燃え上がれ“ニトロ・ウォリアー”!」
ニトロ・ウォリアー 攻2800
「チューニング・サポーターがシンクロ素材になったことでカードを1枚ドロー! そして、このままバトル! ニトロ・ウォリアーでセットモンスターに攻撃!“ダイナマイトナックル”!!」
「伏せモンスターは“おジャマ・ブルー”! このカードが戦闘破壊されたとき、デッキからおジャマと付いたカードを二枚手札に加える事ができる! 俺は“おジャマ・レッド”と“おジャマジック”を手札に加える!」
「あたしはカードを1枚伏せてターンエンド!」
水穂 LP8000 手札3
モンスター ニトロ・ウォリアー
魔法・罠 伏せ1
「一人くんのデッキは【おジャマ】なんだ・・・」
【おジャマ】
一見頼りないステータスの通常モンスターが中心となり、豊富なサポートカードを駆使するデッキ
おジャマと相性の良いカードから、【通常モンスター】や【ローレベル】としての側面も持つ
「俺のターン、ドロー! 速攻魔法“手札断殺”を発動! 手札を二枚墓地に送り、新たに弐枚ドロー! そしてこの瞬間、墓地に送られた“おジャマジック”の効果発動! デッキから“おジャマ・ブラック”“おジャマ・イエロー”“おジャマ・グリーン”を手札に加える!」
本来ならば一枚分のディスアドバンテージであるが、おジャマジックの効果により手札増強をこなす
「行くぜ!俺は“おジャマ・レッド”を召喚し、効果発動! 手札からおジャマモンスターを特殊召喚できる! 現れろ!イエロー、ブラック、グリーン!」
おジャマ・レッド 攻0
おジャマ・イエロー 攻0
おジャマ・ブラック 攻0
おジャマ・グリーン 攻0
一人のフィールドに、何とも言葉ではうまく説明できないような姿のモンスターが並ぶ
攻撃力は0、今のままでは脅威と成りえない・・・・が
「俺はレベル2のおジャマ・イエロー、グリーンでオーバーレイ! 2体の獣族モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
☆2×☆2=★2
「“混沌と混迷の世を斬り裂く知恵者よ、世界を化かせ!” 現れろ!“No.64古狸三太夫”!」
No.64古狸三太夫 攻1000
「三太夫の効果発動!ORUを一つ使い、自分フィールドに影武者狸トークンを特殊召喚する! そして、このトークンの攻撃力はフィールドで最も攻撃力の高いモンスターと同じになる!」
影武者狸トークン 攻?→2800
「更に、俺はレベル2のおジャマ・ブラック、レッドでオーバーレイネットワークを構築!」
☆2×☆2=★2
「エクシーズ召喚! 現れろ!“ガチガチガンテツ”!ガンテツの効果で俺のモンスターの攻撃力、守備力はこのカードのエクシーズ素材の数×200ポイントアップする!」
No.64古狸三太夫 攻1000→1400
影武者狸トークン 攻2800→3200
ガチガチガンテツ 守1800→2200
「バトルだ! いけ!影武者狸トークンでニトロ・ウォリアーを攻撃! そして、そのまま三太夫でダイレクトアタック!狸流・無影斬!」
「くぅっ・・・・!!!」
水穂LP8000→7600→6200
「よし! 俺はこれでターンエンドだ!」
一人 LP8000 手札5
モンスター No.64古狸三太夫 影武者狸トークン ガチガチガンテツ
魔法・罠 なし
「どうだ、水穂! この鉄壁の布陣を突破できるか!」
「はっ・・・この程度で鉄壁ぃ? とんだロマンチストね!」
自信満々に言い放つ一人に、水穂は鼻で笑って返す
「見せてやろうじゃない・・・あたしの本気って奴を!」
「――――っ!? (な、なんだこの悪寒は!? まるでバイクと合体するという驚愕の展開の後、腹からもげて物理的に爆殺されるという衝撃的な最期を遂げてしまうような・・・)」
なんと具体的な予想だ
「あたしのターン、ドロー! あたしは自分フィールドにモンスターが存在しないことにより、“ジャンク・フォアード”を特殊召喚! 更に、“デブリ・ドラゴン”召喚し、墓地のチューニング・サポーターを特殊召喚する!」
ジャンク・フォアード 攻900
デブリ・ドラゴン 攻1000
チューニング・サポーター 攻100
「あたしは、レベル1のチューニング・サポーター、レベル3のジャンク・フォアードにレベル4のデブリ・ドラゴンをチューニング!」
☆1+☆3+☆4=☆8
「“集いし願いが新たに輝く星となる!光さす道となれ!”シンクロ召喚! 飛翔せよ! “スターダスト・ドラゴン”!」
スターダスト・ドラゴン 攻2500
白銀の光を纏った竜が水穂のフィールドに現れる
「この瞬間、シンクロ素材となったチューサポ、そして墓地の“スターダスト・シャオロン”の効果発動! デッキからカードを一枚ドローし、シャオロンを墓地から特殊召喚!」
スターダスト・シャオロン 攻100
「そして、罠発動“シューティング・スター”! フィールドに、スターダストがいることで場のカード一枚を破壊できる! 対象はガチガチガンテツ!」
「甘いぜ水穂! ガンテツはORUを一つ使い、破壊を免れる!
残念だったな、影武者狸トークンを狙えば、三太夫の戦闘破壊にも繋げられたのに・・・」
「いや、これでいいのよ! あたしは、手札を一枚墓地に送ることで墓地から“ジェット・シンクロン”を特殊召喚!」
ジェット・シンクロン 攻500
「レベル1のスターダスト・シャオロンにレベル1のジェット・シンクロンをチューニング!」
☆1+☆1=☆2
「“集いし願いが新たな速度の地平へ誘う!光さす道となれ!”シンクロ召喚! 希望の力、シンクロチューナー、“フォーミュラ・シンクロン”! 効果により、シンクロ召喚成功時に一枚ドロー!」
フォーミュラ・シンクロン 攻200
「シンクロチューナー・・・・!」
水穂の連続シンクロに彩音は瞳をキラキラとさせテンションが上がっている
一方で水穂は目を閉じ精神を集中させる
「――――見えた!!クリアマインド!! レベル8、スターダスト・ドラゴンにレベル2シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング! さあ、皆もプラシド処刑曲を歌おう!」
☆2+☆8=☆10
「“集いし夢の結晶が新たな進化の扉を開く!光差す道となれ”!!」
まるで平面上のフィールドから輪切りされたようなフォーミュラ・シンクロンのレベルの環にスターダスト・ドラゴンが疾走し、水穂も光に呑まれる
「―――消えたっ!?」
「アクセルシンクロオオオオォォォォォッ!!!!!!
招来せよ!“シューティング・スター・ドラゴン”!!!」
シューティング・スター・ドラゴン 攻3300
現れたのは白い光を纏ったドラゴン
「シューティング・スターの効果発動! デッキトップを5枚めくり、そのカードの中にチューナーがあればその枚数分、バトルフェイズ中に攻撃できる!」
「そう簡単に出るわけが・・・・」
「いくわよ・・・」
デッキトップに手を置く水穂
そして
「――――まずは1枚目!チューナーモンスター“エフェクト・ヴェーラー”! 2枚目!チューナーモンスター“ジャンク・シンクロン”!3枚目、チューナーモンスター“ジェット・シンクロン”!4枚目!チューナーモンスター“BF-朧影のゴウフウ”!5枚目、チューナーモンスター“ゾンビキャリア”!」
「・・・・・・ゑ?」
「出たチューナーは5枚! よって、シューティング・スター・ドラゴンは5回攻撃ができる!」
「なにいぃぃぃっ!? つーかチューナーの内容ガッチガチじゃねえか! ドリルとかターボとかハイパーとか何処行った!?」
「問答無用! これこそが遊星様のカードに宿る真性の運命力! さあ、その身を以って味わいなさい! “スターダスト・ミラージュ”!!!」
「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!!」
水穂の声と共に5体に分裂したスターダストは、ガチガチガンテツを二回攻撃で破壊した後、トークン、三太夫と続けて破壊していき、最後に一人にダイレクトアタックを決めた
一人LP8000→7500→5200→1900
「あたしは、カードを2枚伏せてターンエンド」
水穂 LP6200 手札2
モンスター シューティング・スター・ドラゴン
魔法・罠 伏せ2
「くっ・・・・なんて奴だ、俺のモンスターをたった一ターンで・・・」
現在の手札では、シューティング・スター・ドラゴンを倒すことが出来ない
このターンのドローが勝敗を分かつこととなる
その事が、一人に迷いを生じさせる
「駄目なのか・・・・俺では、水穂には――――」
「――――この、バカ野郎!!!!!」
一人の言葉を遮り、怒号が響き渡る
「統夜・・・・」
「大事な物を守るんだろう? それなのに、何諦めようとしてんだ、お前は!」
「無理なんだ、統夜・・・所詮、俺の実力では」
「ふざけるな! お前、愛はそんなものだったのか!!!?」
「・・・・愛・・・」
「オレは知っている、お前がどれ程、嫁の為に頑張っているかのか! ライブの為に一週間学校休んだ事もあった! あまりにグッズに貢いだせいで、一か月昼飯を抜いてる時だってあった! ライブチケット購入のために家でバイトした時だってあった!」
「・・・・・・・・・!」
「オレは、そこまで一つの事に一生懸命になれるお前をすげえ奴だって思ってた! 周りに何て言われようと、信念を貫き通すお前を尊敬していた! だから―――」
「統夜・・・・俺は・・・!」
「――――だから、勝て! 一人! 誰の為でもない、お前自身の愛の為に!」
「――――おぅっ!!!!」
統夜の檄に、一人の心は晴れていった
もはや、何物にも迷うことはない
愛するものを守るために闘っているというのに、自分の些細な同様でそれをふいにしていいはずがない
男の友情が生み出す謎の感動が渦巻くフィールドで、一人は決意を新たにデッキに手を置く
「――――このドローは激しく重いぜ・・・だが俺は引く!たとえこの指が、ペッキリ折れようと!!見せてやるぜ!燃え上がる絢ちゃんへの愛!ついでに決闘魂を!」
「そこがついでじゃ駄目でしょ」
「いくぜっ!!ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロトロ・・・ドロォオォォォォォォッッ!!」
信念を込めたドロー、それは確かに一人の思いに応えた
先ずは下準備、一人は一枚の魔法を発動した
「俺は魔法カード“トライワイトゾーン”を発動! 墓地から、レベル2以下の通常モンスター3体を特殊召喚する! 現れろ!おジャマ・イエロー、ブラック、グリーン!」
おジャマ・イエロー 攻0
おジャマ・ブラック 攻0
おジャマ・グリーン 攻0
「俺はレベル2のおジャマ三体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
☆2×☆2×☆2=★2
「“執念纏いし黒炎よ、黒き摂理と成りて絶望を示せ!”現れろ!No.96!漆黒の闇からの使者、ブラック・ミスト!」
No.96 ブラック・ミスト 攻100
「ブラック・ミスト・・・確かにそいつの効果は強力だけど、シューティング・スター・ドラゴンには―――」
「まだだ! 俺は手札から“RUM-ヌメロン・フォース”を発動! このカードは、自分フィールドのエクシーズモンスター一体をランクアップさせ、CNo.を特殊召喚する!
俺はランク2のブラック・ミストでオーバーレイネットワークを再構築!」
★2→★3
「現れろ、CNo.96!混沌なる漆黒の風と共に舞い降りよ!ブラック・ストーム!」
CNo.96ブラック・ストーム 攻1000
「この瞬間、ヌメロン・フォースのさらなる効果! ブラック・ストーム以外のフィールドの表側表示のカードの効果をすべて無効にする! これでシューティング・スターは戦闘から逃れる事は出来ない!」
「くっ・・・・・」
「バトルだ! ブラック・ストームでシューティング・スター・ドラゴンを攻撃! この瞬間、ORUを一つ使い、ブラック・ストームの効果発動! 相手モンスターの攻撃力を0にし、
はその相手モンスターの元々の攻撃力を自身の攻撃力に加える! “シャドードレイン”!」
シューティング・スター・ドラゴン 攻3300→0
CNo.96ブラック・ストーム 攻1000→4300
「やれ! ブラック・ストーム! “ブラック・ミラージュ・バイト”!」
「うあぁぁぁっ!!!」
水穂LP6200→1900
「よし! 俺はこれでターンエンドだ!」
一人 LP1900 手札4
モンスター CNo.96ブラック・ストーム
魔法・罠
勢いづいたところでターンエンドを宣言する一人
すると、水穂が突然パチパチと拍手を始める
「いやぁ見事ですねぇ・・・・男の友情から生み出される力、実に素晴らしい!」
「(あ・・・・スイッチ入った・・・)」
「あたしのターン、ドロー!一人、アンタのデュエルは素晴らしかった!ランクアップも、戦略も!
だが、しかし!まるで全然、このあたしを倒すには程遠いんだよねぇ!」
「どこの銀河美少年風決闘者だ、お前は!」
「いくわよ! 二枚の罠を発動! “ロスト・スター・ディセント”、“エンジェル・リフト”! 墓地から、スターダスト・ドラゴンをレベルを1つ下げ、守備力を0にして、そしてスピード・ウォリアーを特殊召喚!」
スターダスト・ドラゴン 守0
スピード・ウォリアー 攻900
「この構えは・・・・まさか!?」
「あたしは、手札から“救世竜 セイヴァー・ドラゴン”を召喚!」
救世竜 セイヴァー・ドラゴン 攻0
「見える! 私にも敵が見えるわ! 遊星様! レベル7となったスターダスト・ドラゴン、レベル2のスピード・ウォリアーに、レベル1の救世竜 セイヴァー・ドラゴンをチューニング!」
☆7+☆2+☆1=☆10
「“集いし星の輝きが、新たな奇跡を照らし出す!光さす道となれ!”シンクロ召喚! 光来せよ! “セイヴァー・スター・ドラゴン”!!」
セイヴァー・スター・ドラゴン 攻3800
今、星屑の翼は進化した。その身を纏う光は輝きを増し、水穂の元へ舞い降りてゆく
その輝きは邪な思いに染まってしまった一人を照らすかのようだ
「あたしは、セイヴァー・スター・ドラゴンの効果発動! 相手モンスター1体の効果を無効化する。そして、その効果を自身の効果として使用できる! “サブリメーション・ドレイン”!!」
CNo.96ブラック・ストーム 攻4300→1000
実際の所、ブラック・ストームの後半の効果にはORUが必要となるので使用は出来ないが・・・
「そんな・・・・俺のブラック・ストームが・・・」
「――――バトル! セイヴァー・スター・ドラゴンでCNo.96ブラック・ストームに攻撃! “シューティング・ブラスター・ソニック”!!!!」
「う、うわああああああああ!!!!」
一人LP1900→0
―――――
――――――――――
―――――――――――――――
「一人おおおおおおおっ!!!!」
「と、統夜・・・・・・・」
「しっかりしろ! 一人! 傷は浅いぞ!」
「俺は・・・・もう駄目だ・・・後は、任せた・・・お前の決闘で、皆に笑顔を・・・」
「いい加減にしろ! このバカコンビ!!!! 決闘中から思ってたけど、何時までくだらない三文芝居やってんのよ!」
ぐしゃっと豪快な音を立てて水穂の拳骨がさく裂する
「なんにせよ、これで統夜のノートは私の物って事――――」
「あ、お前らがデュエルしてる間にコピーとってきたぞ」
「何ですと!?」
「あ、さっき居なくなったのはそういう理由だったんだ・・・」
「じゃ、じゃあ、あたし達のデュエルって・・・何だったのよ・・・」
「人の話を聞かずに決闘を始めたお前が悪い」
膝をつきガックリと項垂れている水穂にバッサリと言い捨てる統夜
確かに、決闘前に統夜は何か言おうとしていたような気がしないでもない
こんな大したオチも無く終わる、何気ない平和なひと時
これが、彼らの日常
――To be next turn・・・
次回予告
統夜「色々ありましたけど、テストも終わって一安心ですね」
舞香「テスト自体は省くんだな」
統夜「まあ、そこは追々って事で」
舞香「結果は・・・・ま、お前なら問題ないだろーな」
統夜「そんな中、オレの下に叩きつけられた挑戦! 前回負けた分、炎の機械族使いの名誉挽回と行きますか!」
舞香「次回、遊戯王OGR第十話『生徒会現る!』正義の力が嵐を呼ぶぜ!」
と、言う訳で第九話、読んでくださり、ありがとうございました
今回は裏主人公水穂VS友人A一人の決闘回、どうでしたでしょう?
二人は良くも悪くも真っ直ぐなキャラなので勝手に動いてくれてとても書きやすいです
ではではまた次回