1つ! 勘違いからの好感度獲得作戦! 統夜、頑張る!
2つ! 大失敗で傷心の統夜、プランBで結局決闘!
3つ! 最後の最後で詰めが甘い! 統夜の明日はどっちだ!
未だ春の陽気が降り注ぐ清桜学園の屋上
放課後の部活動の喧騒をBGMにデュエルディスクを構え向かい合う統夜、そして彩音
互いのライフポイントは削れ、いよいよ終盤といった状況で統夜にターンが回る
「――――――魔法“パワー・ボンド”発動! オレはフィールド、手札のサイバー・ドラゴン二体で融合! 現れろっ!!“キメラテック・ランページ・ドラゴン”!!!」
キメラテック・ランページ・ドラゴン 攻2100→4200
「この瞬間ランページの効果発動! 融合素材の数だけ場の魔法・罠を破壊する! “アヴァランチ・バースト”!」
「そんなっ!? ミラーフォースと魔法の筒が・・・・」
「ランページのさらなる効果、発動!デッキから“超電磁タートル”と“サイバー・ドラゴン・コア”を墓地に送り攻撃回数を増やす!!
バトルだ! ランページでガガガザムライ、ガガガガンマンに攻撃!!」
キメラテック・ランページの複数の頭から放たれた熱線が、ガガガモンスター達を破壊する
「きゃあぁぁぁぁっ!!!!」
彩音LP3700→0
先程とは、打って変わって向き合うのは水穂と彩音
またも決闘は最終局面を迎えていた
「――――――あたしは“ジャンク・シンクロン”を召喚! ジャンク・シンクロンの効果で墓地の“スピード・ウォリアー”を特殊召喚! 更に墓地の“ボルトヘッジホッグ”は場にチューナーがいるとき特殊召喚できる!」
水穂の場
ジャンク・シンクロン 攻1300
スピード・ウォリアー 攻900
ボルトヘッジホッグ 攻800
ソニック・ウォリアー 攻1000
ロードランナー 攻300
「あれは! 水穂をずっと支え続けてきたモンスター達!」
「レベル2のソニック・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
☆2+☆3=☆5
「“集いし星が新たな力を呼び起こす!光さす道となれ!”シンクロ召喚!いでよ!“ジャンク・ウォリアー!!!”」
ジャンク・ウォリアー 攻2300
「この瞬間、墓地に送られたソニック・ウォリアーの効果発動!あたしの場のレベル2以下のモンスターの攻撃力を500ポイントずつアップさせる!」
スピード・ウォリアー 攻900→1400
ボルトヘッジホッグ 攻800→1300
ロードランナー 攻300→800
「さらに!ジャンク・ウォリアーの効果、フィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分、自身の攻撃力をアップさせる!パワーオブフェローズ!!」
ジャンク・ウォリアー 攻2300→5800
「攻撃力5800!?」
「バトルよ! ジャンク・ウォリアーで彩音に攻撃! “スクラップ・フィストォォォォォォッ!!!!!”」
熱き闘志を纏った渾身の拳が、彩音のライフポイントを削り取った
彩音LP2100→0
これまた相手は変わって再び統夜と向き合う彩音
「――――――――オレのターンの開始時! 時空の支配者ディアボロスZの効果発揮! 場の3枚の封印をデッキに戻し、覚醒! 今こそ出でよ“最凶の覚醒者デビル・ディアボロスZ”!!!」
最凶の覚醒者デビル・ディアボロスZ P:23000
「え? 覚醒・・・・封印・・・・?」
「そして、今VV-8の封印はすべて外された!」
統夜の場の、青い体を持ったバイクのようなクリーチャーがその戒めを解かれ、ついに動き出す
「時間が止まろうと、世界が滅ぼうと、俺の永久機関は止められない!勝利の永久機関 エターナルマシンデュエル!!
さぁ、ブイブイ行くぞ! 禁断・・・・・・起動!!!! “禁断機関VV-8”!!」
禁断機関VV-8 P:12345
「VV-8の効果により、オレはエクストラターンを得る! そして、デビル・ディアボロスを進化! 現れろ!“超時空ストームG・XX”!!!」
超時空ストームG・XX P:24000
統夜の声とともに現れたのは両腕に剣を持ち、自身と同色の燃えるように赤い炎を身に纏った竜
「ここで、オレはターンを終了する・・・・・だが、VV-8の効果により、もう一度オレのターンが訪れる。 そしてオレのターンの初めに超時空ストームG・XXの効果発動!メテオバーン覚醒だ!」
「もう意味わかんないよぉ!!!!」
「そっちの手札増加によりバースト発動!“甲殻伯メタリフェル”!!!」
「ええええ!!???」
「絶対ブラムザンドより強いよなぁ・・・・」
「ストライドジェネレーション! 現れろ!“聖黒熾天使 ガウリール”!!!」
「あ、可愛いかも」
「だからアンタはイメージ的にディメポでしょうが」
「――――――はぁぁぁ・・・・・」
とてもとても深い溜め息を吐く彩音。
「そう気を落とすなって、たまにはそうやって負けが続くときもあるさ」
「そうそう、あたしだって中学の時全然統夜に勝てない時期があったし。 その内調子取り戻すわよ」
「うん・・・・」
二人の気遣いが今は素直に受け入れられない彩音
彩音は現在、絶賛スランプ中であった。 あの生徒会長、星城龍巳との決闘以降、ここぞという時に引きたいカードを引けない、詰めを誤ってしまう、と如何にも不調続きなのである
その結果、真の主役という身でありながら、開幕から敗北をハイライトで5つも見せられるような事態にまでなってしまった(内3つは違うが)
「というかオレ達もふざけすぎたな」
「ええ、ついテンションが上がってしまったわね」
「認めたくないもんだな、若さ故の過ちって奴は」
はぁ、とこちらはどうでもいい溜め息を吐く二人
しかし、今の問題は彩音だ
龍巳との決闘ではまだ、次の戦いへの意欲という物も沸いていたが、こう負けが重なってしまうと流石に凹んでしまう
「どうしたもんか・・・・」
統夜も水穂もどうにかしてやりたいという思いはある、だがこればかりは本人の問題という側面が強く、自分達ではあまり力になれないだろう
ボランティア部の部室に、微妙に重っ苦しい雰囲気が流れ始めたその時であった
突然、部室の扉がガラッと音を立てて開く
「やっほー!水穂ー、元気してるー?」
勢いよく部室に入ってきたのは、黒髪のショートカットで眼鏡をかけた活発そうな少女であった
「あれ?美咲、今日は部活行くって言ってなかった?」
「いやあ、その部活関係でいろいろありましてね・・・ちっと相談が」
「・・?まあ、よく分からんがとにかく座れよ」
美咲と呼ばれた少女はどうやら統夜達の知り合いらしく、お客様用らしき感じで置かれている椅子に座るよう促される
それに向き合うような形で彩音も椅子に座る
「紹介するわね、隣のクラスの“舛崎 美咲”、新聞部なのよ」
「よろしくね、噂の転校生ちゃん!」
「は、初めまして、安藤彩音です」
互いに自己紹介を終えた所で、彩音はニッと笑顔で挨拶してくる美咲に対して印象は決して悪くはないという第一印象を受けていた、
「ふっふっふっ、今日ここに来たのは他でもない、君に会うためなのだよ安藤ちゃん」
「私に・・・?」
「まぁ、話すとそれなりに長く・・・あっ、統夜くん、お茶」
統夜から湯呑を受け取りながら話す内容はこうだ
なんでも、最近新聞部の各記事の内容がマンネリ化しているとの意見があったらしい、このままでは新一年生からもあまりよい評価は得られず、同時に新入部員も得られない
その為、この辺りで少しでも印象に残るような記事を書きたい、という話だ
「そこで安藤ちゃんに取材に来たって訳!」
「なんで私なんでしょう?」
「いやぁ、なんたって安藤ちゃんは有名人だからね。 突如転校してきた謎の美少女転校生、更には生徒会長と激戦を繰り広げる! いまやすっかり話題の人物の一人だからね」
「お願いできないかな?」と尋ねてくる美咲、どうやら無理にとは言わないという事らしい
彩音は少し考えてから口を開いた
「分かりました、私なんかで良ければ引き受けます!」
「ほんと!?ありがとう! これで先輩に怒られなくて済むよ!じゃあ、明日から早速お願いね!」
そう言い残してそそくさと去っていく美咲の背中を見送る彩音
そんな中、水穂が心配げに声を掛ける
「よかったの、彩音? 引き受けちゃって」
「うん。 だって舛崎さん困ってたみたいだし、私で力になれるなら、それがいいかなって。 何といっても私もボランティア部の一員だもんね」
「もう、お人好しというかなんというか・・・・」
「全くだ」
「(それ、水穂ちゃんや統夜君にはあんまり言われたくないかも)」
何処か呆れたような二人であったが、一方の彩音も二人のこれまでの行いから苦笑いを浮かべながらそう思うのであった
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「――――じゃあ、私こっちだから」
そう言って、分かれ道で去っていく彩音
一方で、統夜と同じ帰路に着く水穂は少々考えたような面持ちで話し始める
「結局、美咲のせいであやふやになっちゃったけど、彩音のこと何も解決してないのよねぇ・・・」
「問題がただの不調、だからな本人が調子を取り戻すのを待つしかないだろ」
「彩音の事だってのに冷たいわね」
「その通りなんだから仕方ないだろ、実際の所」
何処か素っ気なく返す統夜
しかし、水穂は意味深な笑みを浮かべながら問う
「で、本音は?」
「直接的に力にはなれなくとも、如何にか切っ掛けだけでも見つける手伝いをして上手い具合に好感度を上げていきたいと思います」
「随分と欲にまみれてるわね・・・・・だけど、私好みの返答よ」
これまでの事から、ようやく統夜も分かって来たらしい
幼馴染の成長に内心感動を覚える
前回の失敗をぜひとも取り戻してほしいものだと水穂は思う
前回の一件は水穂にも責任があることに触れてはいけない
「そうと決まれば早速統夜ん家で作戦会議よ!」
「オレの家かよ」
「あ、今日兄さんも正樹も帰り遅いらしいからそのまま晩ご飯もご馳走になるわよ! 今日は確か鶏のから揚げだったかしらね」
「平然と人の家の晩飯の内容を記憶してんじゃねぇよ! 」
「後デッキ調整も手伝ってね、シャドウパラディンの」
「おい、デュエルしろよ」
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次の日
穏やかな朝の陽気に包まれながら歩く統夜と水穂
しかし、そんな穏やかな空気をぶち殺すかのような轟音が後ろから響く
振り向けば、何かが砂煙を上げながらものすごい勢いでこちらに迫ってくるのが見えた
「み、水穂ちゃぁぁぁぁぁん!!!!!!」
「あ、彩音!?」
その正体が彩音だと気付いたのも束の間
バッと水穂の後ろに回り込み何かから逃れるように隠れてしまう
「たたたた助けて!!」
「ど、どうしたのよそんな慌てて!? 借金取りにでも追われてるの?」
「何処の天秤座だ、どアホ」
「ようやく見つけたよ~、安藤ちゃ~ん!!!」
「ほぇぇぇぇっ!!??」
何処からともなく現れたのは、舛野美咲
様子から察するに、彩音は美咲から逃げ回っていたらしいが一体全体何がどうなってこんなに怯えているのか、理解できない
「ちょっ、どうしたのよ彩音。 美咲になんかされたの?」
「何もしてないってば、ただちょっと密着取材をさせてもらおうかと・・・」
「いくらなんでもアレはびっくりだよぉっ!!!」
事の顛末を話すとこうだ
朝、彩音の目が覚めた時からどうにも視線を感じていたらしい、最初は気のせいかと思っていたがどこか引っかかるためふと外を見てみると、そこには庭先でカメラを構える美咲が「――――――って、ただの盗撮じゃねぇか!!!」
「そんな人聞きが悪いなぁ。 昨日ちゃんと言ったじゃん、“明日から早速お願い”って」
「確かに言ってたけど、いくらなんでもアレは・・・・」
「ふっふっふ、おかげで良いもんが撮れましたぜぇ」
「もはや犯罪一歩手前だろ、それ」
誇らしげに語る美咲ではあるのだが、統夜は冷静にツッコむ
実際の所彩音が自分ではなく水穂の陰に隠れてしまったのが少し悔しかったりする
「まぁまぁ、私の事はお気になさらず、どうかいつも通りの生活を送ってよ。 その様子をこっちでとうさ・・・好きに撮らせてもらうからさ」
「今普通に盗撮って言いかけてんじゃねぇか!」
「申し訳ないとは思っているよ・・・・しかし私も溢れ出るジャーナリスト魂を無視することは出来ないのだ!!!」
「んな腐った魂捨てちまえ!!!」
最早ただの危ない存在と化してしまった美咲に頭を抱えるしかない
こんな事なら安請け合いするのではなかったと心の底から公開する
しかし、本当の地獄はここからであった
―――――
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―――――――――――――――
「・・・・・・・はぅぅ・・・」
放課後、教室の机に突っ伏し溜息をもらす
安藤彩音は疲れ切っていた
「大丈夫か、彩音?」
「うぅ、全然だいじょばないよぉ・・・・・」
今日一日、彩音にとってはまさに神経をドリルですり減らすような思いばかりであった
「授業中も外からずっと見られてるような気がしてたし・・・・」
「あいつ自身の授業はどうしてんのかしら・・・」
「お昼ごはんの時も・・・・・」
「わざわざ屋上まで行ったのにな」
「休み時間のたびにたくさん質問されたし・・・・」
「明らかにどうでもいいようなことも聞かれてたわよね」
「オマケに体育の着替えの時も・・・・・」
「そうそう着替え・・・・・・・って、マジか!?」
「統夜! 何想像してんのよ!」
統夜の想像はどうでもいいとしてもだ、流石にここまでくると多少問題になるであろう
このままでは彩音自身のプライバシーも何もあったものではない
「やっほー! 安藤ちゃん! このまま部活の様子も取らせてもらうよ!」
「ひぃっ!!!!???」
美咲の登場に、何処ぞの外務大臣かのような悲鳴を上げる
ここまでくるとトラウマレベルである
「あのなぁ、美咲。 確かに取材に協力するとは言ったけど、流石に限度ってものが――――――」
「いやぁ、流石に更衣室の一件はやりすぎたかなって思ってさ。 データは消したから安心していいよ」
「そこもだけどそこじゃないよぉ・・・・」
消え入りそうなか細い抗議の声がでる
ここまで元気がない彩音は初めてであり、いよいよ心配になってきた水穂
――――――しかし、次の美咲の発言が遂に彩音に反撃の狼煙を上げさせることとなる
「――――――それにしても・・・・私の見立てでは今後に期待ってところかな。 まあこのサイズでも一部には希少価値だって言ってる人もいるけど」
「ばっ! み、美咲お前何言って・・・!!!!」
「おやぁ? もしかして統夜くん気になるの? だったらここだけの話、上から――――」
「――――――舛崎さん・・?」
「「「っ!!??」」」
瞬間、まるで背筋が凍りつくような錯覚を覚える三人
更には教室の気温が一気に氷点下にまでなったような気さえした
それだけ今の声が冷たく突き刺さった
「いくらなんでも、言っていい事と悪い事があるって分かるよね・・・?」
「は、はいぃっ!!!」
思わず姿勢を正してしまう
それ程までの迫力が、今の彩音にはあった
「私だって・・・私だって、牛乳飲んだり、腕立て伏せしたり努力してるんだよ! なのに・・・!」
ゆらりと立ち上がり、美咲を見る目は仇敵を見る目そのもの
「あ、安藤ちゃん・・・?」
「こうなったら、私・・・・・・私・・・・・・」
と、そこで言葉が詰まったかのように止まってしまう
何をどう言ったらいいのもか迷ったような感じでもあった
そ、そして意を決したかのように口を開く
「わ、私っ!! 堪忍袋の緒が切れたんだからねっ!!!!」
「「「っ!!??」」」
もう、完全にダメだった
完全にシリアスなマジギレな空気を出していたというのに、三人は目の前で顔を真っ赤にして必死に怒りを伝えようとしている少女に心を射止められてしまった
先程までの怖さなど、銀河の果てに吹き飛ばされてしまった
三人の彩音を見る目は、完全に小動物を見るそれである
「・・・え、えっと、とにかくっ! 決闘だよ! 私が勝ったらこれ以上の取材はストップしてもらうから!」
「う、うん。 じゃあ、私が勝ったら・・・・・とりあえず今日の残りは大人しく取材を受けてもらうよ」
斯くして、彩音自身の平穏と尊厳を掛けた決闘が幕を上げるのであった
「あんな条件で良かったのか? お前なら“あと一週間密着させて!”とか言いそうなもんだと思ってたが・・・」
「・・・・・さっきので満足しちゃって」
「「それな」」
《後半に続く》
大変間を開けてしまい申し訳ありません
作品の方向性に迷っていたり、遊戯王のモチベが下がっていたりと色々な言い訳がありますが、何はともあれ楽しみにしていただいた方には謝罪させていただきます
これからは、少しずつでもちゃんと投稿できるようにしたいと思います
今回の、前編後編体制もそういった理由です(決闘パートはどうしても長くなってしまうので)
後半もそう遅くならないうちに上げたいです
内容の話は後編でまとめて