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第零話『ファースト・ミッション』
「ふんふふ~ん♪」
四月九日、学校生活の区切りともいえる春休みの最終日
黒髪の少年、南部統夜は“休み”にも関わらず学校に来ていた
その手にはゴミ袋と火ばさみといった、いかにもゴミ拾いの真っ最中であると示されるような道具が握られている
「あ゛ー・・・」
その隣で、セミロングの茶髪の少女が低く唸るような声を出し、統夜同様ゴミ拾いに勤しんでいる
彼女は高倉水穂、統夜の幼馴染である
「どーした水穂?さっきから手が止まってんぞ」
「逆にアンタはどうしてそんなに上機嫌なのよ・・・・」
「は?」
統夜の「こいつ何言ってんだ?」とでも言いたげな視線に、一瞬本気で殴ってやろうかと考える水穂
「ゴミ拾いはボランティア部(オレら)の専門分野だろ?ここで張り切らねぇでどうするんだよ?」
「全国探し回ってもここまでゴミ拾いが好きな高校生はそういないわよ」
「そうか?十字傷の軍曹とか鼻のとこに横傷がある男とか青髪とハリセンが特徴の女とか結構いると思うぞ?」
「ねーよ」
即座に否定する
彼らの所属する部活“ボランティア部”は学園内の生徒や職員から様々な依頼を受け、こなす部活であり、その依頼内容は多岐にわたる
その中の最たるものがこのゴミ拾いである
「なんでよりにもよって春休みの最終日に・・・」
「仕方ないだろ。明日から通う新入生達に、綺麗な学園を見せるためなんだから。ほら、口より手を動かせ。用務員の多貫さんにどやされるぞ」
「うへぇ・・・そいつは勘弁」
そう言って、渋々とゴミ拾いを再開する水穂
「つーか、ぶちょー達はどうしたのよ。さっきから姿が見えないじゃない」
「朝宮先輩は行方不明、天羽ぶちょーは、妹さんに学園の案内するから後で参加だってよ」
「あー、そっかあの子今年入学だったかー。統夜よくあの子に勉強教えてたわよね」
「基本的に、年下の頼みは断らないのがオレの流儀です」
「安定と信頼のお兄ちゃん体質。―――つーかただのロリコン?」
「どっちでもいいだろ別に」
「――――ていうか年下趣味も良いけど、そろそろ彼女の一人くらい作りなさいよ。愛里おばさん最近よくぼやいてるわよ?“統くんのお嫁さん候補が見たいわねぇ”って」
「母さん・・・・」
何を心配してんだよ・・・、と水穂に相談している自分の母親の姿を思い浮かべながらため息を吐く
そして、新たな決意を胸に一言
「今に見てろ、一か月後には1年生にキャーキャー言われてるから」
「ねーよ」
即座に否定する
決意をまるで卵が割れるかのように簡単に破壊され、統夜が微妙に精神的ダメージを負ってる隣で、水穂が何かを思い出したかのようにポンッと手を叩く
「―――あ、そうそうこれ。統夜に見せようと思って持ってきてたんだった。 新聞部が1年生に学園紹介するために作った特集記事なんだけど、見る?」
「どこで手に入れたんだよそんなの」
「新聞部の友達が“快く”譲ってくれたのよ」
一部がやたらと強調されたことは気にしないでおこうか
「ほらここの“清桜学園生徒が選ぶなんでもランキング”のコーナー!統夜の事乗ってるわよ、しかも1位!」
「え?」
あまり良い予感はしないが自分の事、しかも一位と言われると気になってしまう
ちょっとした期待を抱きつつ、水穂が持つ記事をのぞき込むと――――
“嫌いではないが恋愛対象としては絶対の絶対に見れない男”
一位、南部統夜
――――泣きたくなった
「ブッ、アハハハハハ!!!何今の顔!?どんだけ期待してたのよ!」
「う、うっせぇ!!期待なんて―――」
「悔しいでしょうねぇ!!!つーか絶対の絶対って、どんだけ強調されてんのよ!」
「ぬ・・・・・」
「しかし笑えますねぇ、モテないとはいえここまでとは・・・ぷぷぷ」
水穂が腹を抱えて大爆笑していることが、統夜の精神に断続的にダメージを与えていく
「・・・・・・ふん」
そして、最終的には分かりやすくいじけてしまい、その場で体育座りして地面に“の”の字を書いている
「ごめんごめん、流石に言いすぎたわ!」
「・・・・・・・」
「いくら統夜が、彼女いない歴=年齢で、そのくせ気になる女の子には自分からはまともに話しかけられないヘタレで、バレンタインのチョコは義理しかもらったことが無くて、おまけにどうにか勇気を出して告白しても『恋人としてはダメだけど、お友達として仲良くしてください』って振られまくったせいで無駄に女の子の友達が多い残念男だからって―――」
「長い上に言いすぎなんだよ!!このどアホっ!!どんだけ人の心に追い打ちかければ気が済むんだよ!5世代のバンギか!?オレはラティですかコノヤロー!!」
まるで噴火したかのように怒りを爆発させる統夜
「オレと決闘だ水穂!この胸に湧き上がってくる気持ち、思いのままにぶつけさせてもらうっ!!!このオレ“炎の機械族使い”の怒りと嫉妬と怨念と悲しみを!!」
「と、統夜の後ろに炎が見える・・・・」
思わぬ迫力に後ずさりながらもデュエルディスクを構える
「行くぞ水穂っ!!!!」
「お、おう・・・・」
「「決闘!!」」
かくして、統夜の怒りに任せた八つ当たりデュエルが幕を開けた
―――――――――――――
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いきn・・・・自然な流れで始まったデュエル、先攻は水穂
「あ、あたしのターン!手札から“マスマティシャン”を召喚!効果によりデッキからレベル4以下のモンスターを墓地へ送る。そのままターン終了よ」
マスマティシャン 攻1500
水穂 LP8000 手札4
モンスター マスマティシャン
魔法・罠 無し
「オレのターン!ドロォォッ!」
統夜の気迫のこもったドローにより風が巻き起こったかのような錯覚を覚える
「オレは手札から“超重武者カゲボウ-C”を召喚!」
超重武者カゲボウ-C 攻500
「いくぜ水穂!カゲボウ-Cをリリースし、効果発動!手札から超重武者モンスター一体を特殊召喚できる!
“動かざること山の如し!不動の主、荒ぶる憤りをここに示せ!”
現れよ!“超重武者ビッグベン-K”!!!」
超重武者ビッグベン-K 守3500
ズズゥン・・・という重厚感のある音と共に刺叉状の武器を持った武者が現れる
因みに武者と言っても機械族である
「でたわね・・・ビッグベン-K、統夜の主力モンスター!」
「ビッグベン-Kは守備表示のまま、守備力を攻撃力として扱って攻撃ができる!ビッグベン-Kでマスマティシャンを攻撃!!“不動一閃”!」
「くっうぅぅ・・・・」
水穂LP8000→6000
「っ!だけど、マスマティシャンが戦闘破壊されたときデッキから一枚ドローできる!」
「関係ねぇ、オレはこれでターンエンドだ!」
統夜 LP8000 手札4
モンスター 超重武者ビッグベン-K
魔法・罠 無し
「やられっぱなしじゃ終わんないっての!あたしのターン、ドロー!
手札から“チューニング・サポーター”を召喚!さらに手札のモンスターを墓地に送り“クイック・シンクロン”を特殊召喚!」
チューニング・サポーター 攻100
クイック・シンクロン 攻700
水穂のフィールドに鉄鍋をかぶった小さなロボットとガンマンのような姿のロボットの二体が並ぶ
「チューニング・サポーターはシンクロ召喚に使う際、レベルを2として使うことができる!あたしはレベル2のチューニング・サポーターにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング!」
☆2+☆5=☆7
「“集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す!光さす道となれ!”
シンクロ召喚、吠えろ!“ジャンク・バーサーカー”!」
ジャンク・バーサーカー 攻2700
「チューニング・サポーターがシンクロ素材になったことでカードを1枚ドローするわよ」
「バーサーカーか・・・きっついなぁ【超重武者】に刺さりすぎだろ」
「悪いけど、あたしだってそうそう負けてやる気はないのよ!
さらに、手札から“二重召喚”を発動し、“シンクロン・エクスプローラー”を召喚!このカードが召喚に成功したとき、墓地の“シンクロン”を特殊召喚できる!甦れクイック・シンクロン!」
シンクロン・エクスプローラー 攻0
クイック・シンクロン 攻700
「レベル2のシンクロン・エクスプローラーにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング!」
☆2+☆5=☆7
「“集いし思いがここに新たな力となる、光さす道となれ!”
シンクロ召喚!燃え上がれ“ニトロ・ウォリアー”!」
ニトロ・ウォリアー 攻2800
水穂の場に緑の体を持った厳つい戦士が現れる
「バトルフェイズ!ジャンク・バーサーカーで――」
「待った!メインフェイズ終了時に手札から“エフェクト・ヴェーラー”の効果発動!ジャンク・バーサーカーの効果を無効にさせてもらうぜ」
「げ・・・・」
ジャンク・バーサーカーは守備表示のモンスターを攻撃した場合にダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する効果を持っている
主力モンスターが守備表示で動く【超重武者】にはとても効果的である
故に統夜は対策を怠ってはいなかった
「・・・・ターンエンド」
ぐぬぬ・・・、と悔しげにビッグベン-Kを睨みつけながらターンの終了を宣言する
水穂 L6000 手札2
モンスター ニトロ・ウォリアー ジャンク・バーサーカー
魔法・罠
「オレのターン、ドロー!どうした水穂、そんなんじゃオレには勝てねえぞ!
オレは手札から“超重武者ワカ-O2”を召喚!このカードは召喚したとき表示形式を変更できる!」
超重武者ワカ-O2 守2000
「さらに手札から“超重武者装留グレート・ウォール”をワカ-O2に装備する!これによりワカ-O2の守備力は1200ポイントアップ!」
超重武者ワカ-O2 守2000→3200
超重武者装留、と分類されるモンスターは自身が装備カードとなることで超重武者モンスターをサポートすることができるのだ
「そして、ワカ-O2もまたビッグベン-Kの効果で守備表示のまま攻撃ができる・・・」
「そう・・・その通り!だがまだだ!オレは手札から機械族モンスターを合計レベルが8以上になるように捨てることで―――」
「この召喚条件は!?」
特殊な召喚条件、ここから現れるのは統夜のフェイバリットカード
「“鋼の体に勇気を乗せて、放て正義の一斉放火!!
機甲要塞マシンナーズ・フォートレス!!ご期待通りにただ今参上!!”」
マシンナーズ・フォートレス 攻2500
「それではお待ちかねのバトルフェイズだ!ビッグベン-K、ワカ-O2でそれぞれジャンク・バーサーカーとニトロ・ウォリアーに攻撃!」
水穂LP6000→5200→4800
ジャンク・バーサーカーの効果は自身が攻撃したときしか発生しないため、あっけなく破壊される
「そしてまだフォートレスの攻撃が残っている!フォートレスでダイレクトアタック!」
「くっ・・・・」
水穂LP4800→2300
「オレはこのままターンエンド!」
統夜 L8000 手札1
モンスター 超重武者ビッグベン-K 超重武者ワカ-O2 マシンナーズ・フォートレス
魔法・罠 超重武者グレート・ウォール(ワカ-O2に装備)超重武者装留マカルガエシ(ビッグベン-Kに装備)
「あたしのターン、ドロー!
(――――それにしても強い・・・怒りや嫉妬、負の感情がそのまま統夜の力になってるみたい・・・・これがモテない男の執念の力だっていうの!?)」
「なんか失礼なこと考えてんだろ・・・」
「き、気にしない気にしない」
「まあいい・・・で、どうする?為す術無しでサレンダーか?」
統夜の言葉を水穂は鼻で笑って返す
「はっ、冗談じゃないって!こんなピンチで引いたら女が廃るってもんよ!ここで燃えてこその決闘でしょうが!」
「言うと思った・・・」
「準備は整ったし、やってやろうじゃん!!ホントの本気の逆転劇!
魔法カード“貪欲な壺”を発動!墓地の“マスマティシャン”“クイック・シンクロン”“ニトロ・ウォリアー”“チューニング・サポーター”“シンクロン・エクスプローラー”をデッキに戻して二枚ドロー!
あたしは“シンクロン・キャリアー”を召喚!」
シンクロン・キャリアー 攻0
「キャリアーがフィールドにいるとき、もう一度シンクロンを召喚することができる!“ジャンク・シンクロン”召喚!効果により、墓地のレベル2以下のモンスター、“ソニック・ウォリアー”を特殊召喚!更に、墓地のボルト・ヘッジホッグの効果発動!場にチューナーがいるとき、このカードを墓地から特殊召喚する!」
ジャンク・シンクロン 攻1300
ソニック・ウォリアー 守0
ボルト・ヘッジホッグ 攻800
水穂の場に一瞬のうちにモンスターが出そろう
「大したもんだな・・・」
「そいつはどうも!
行くわよ!レベル2のソニック・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
☆2+☆3=☆5
「“集いし星が新たな力を呼び起こす!光さす道となれ!”
シンクロ召喚!いでよマイフェイバリットカード!“ジャンク・ウォリアー”!」
ジャンク・ウォリアー 攻2300
「シンクロ召喚成功のこの瞬間、墓地に送られたジャンク・ウォリアーの効果、そしてそれにチェーンしてソニック・ウォリアー、シンクロン・キャリアーの効果発動!シンクロン・トークンを特殊召喚し、フィールドのレベル2以下のモンスターのレベルを500ポイントアップさせる!」
ボルト・ヘッジホッグ 攻800→1300
シンクロン・トークン 攻1000→1500
シンクロン・キャリアー 攻0→500
「そして、ジャンク・ウォリアーは自分のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分、自身の攻撃力をアップさせる“パワー・オブ・フェローズ”!!!」
「じゃあ、攻撃力は・・・」
ジャンク・ウォリアー 攻2300→5600
「攻撃力・・・5600!?」
「統夜・・・あんたに教えてあげるわ、人の力になるのは怒りや憎しみなんかじゃない。仲間や友との絆・・・つながる心が力になるって事を!」
「水穂・・・」
やたら芝居がかった口調で謎の感動を生み出そうとする水穂
人間、テンションが高まっているとこうなる物である
「バトルフェイズ!ジャンク・ウォリアーでマシンナーズ・フォートレスに攻撃!
“スクラップ・フィストォォォォッ!!!!!!!”」
ジャンク・ウォリアーが拳を突き出し、まっしぐらにフォートレスへと突き進む
「(あたしの手札には“ラッシュ・ウォリアー”がある!これであたしの勝ち―――)」
しかし、突然虹色のヴェールがジャンク・ウォリアーを包み込んだかと思えば、その動きを完全に拘束してしまい攻撃が中断された
「悪いな水穂・・・オレは手札から“虹クリボー”の効果を発動させてもらった」
「なん・・・だと・・・」
してやったり、といった笑みを浮かべる統夜
虹クリボーは、相手モンスターの攻撃宣言時に相手に装備しその攻撃を封じる効果を持つカード
今の水穂では打つ手などあるはずも無く
「・・・ターンエンド」
水穂 L2300 手札0
モンスター ジャンク・ウォリアー ボルト・ヘッジホッグ シンクロン・キャリアー シンクロン・トークン
魔法・罠
「オレのターン!これで終わりだ水穂!ビッグベン-Kでシンクロン・キャリアーを攻撃!」
水穂LP2300→0
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―――――――――――――――――――――――――
「――――なんか、どっと疲れたな・・・・」
「あそこで虹クリとか・・・・期待してくれた読者の為にも綺麗にやられときなさいよ」
「まだ言ってんのかよ・・・つーかメタ発言すんな、期待してる人なんているわけねーだろ」
あの後、用務員の多貫さんにデュエル終了直後にゴミ拾いをサボって決闘していたところを見つかり、こってりと絞られた二人。その後は掃除を真面目にやって一区切り、現在は休憩中である
「ほれ、そろそろぶちょーも来るだろうし再開すんぞ」
「ええ~・・・もうちょっとぐらい良いじゃん」
「――――うちの店のオムライス奢ってやろうかと思ったんだが」
「あたしが食べ物なんかで釣られるような安い女だとでも―――」
「じゃあ、いらねーんだな」
そう言って、一人で再開しようとする統夜
「わああ!!!!釣られます!大人しく釣られますから奢ってください!!」
「素直でよろしい」
統夜は小さく笑いながら、ぐ~っと背伸びをする
「――――んじゃ、新年度初めのボランティア部の活動、とっとと終わらせますか」
「オムライスのために!」
「そこは新入生のためって言っとけよ・・・」
※没案※
水穂「シンクロ召喚!来なさい!“スターダスト・ウォリアー”! 超重武者がフルモンである以上、コイツが居れば———————」
統夜「“サタンクロース“で」
水穂「ヤメロォ!!!」
ご意見ご感想待ってます