やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー 作:新太朗
これは俺が入隊してB級に上がって2年くらいたったところだった。荒船先輩と知り合ったのは。
いつも通りに防衛任務をこなして、ソロ戦でポイントでも稼ごうかな?と思っていると後ろから声を掛けられた。
「……お前が、ナンバー1オールラウンダーの比企谷八幡か?」
「ええ。……そうですが」
いきなり後ろか声を掛けてくるもんだから、危うく噛みそうになった。危ない危ない、笑われるところだった。ボーダーに入ってから、少しコミュ症は治ってきていると思う。八幡はやればできる子なんだ。
「それで、あなたは?」
「俺は荒船哲次だ」
とそれを聞いて思い出した。B級の部隊でアタッカー1人、スナイパー2人のチームでランク戦で中位にいることまで思い出した。しかし、なんでそんな人が俺を訪ねて来たんだ?
ちなみにこの時、比企谷隊はB級上位にいた。メンバーは俺、浅葱、シノン、夜架の四人で雪菜はまだ、加わってはいない。
「少し、話があるんだがいいか?」
と聞いてきたので少し考える。この人も俺を部隊に勧誘でもするのか?俺の部隊は戦闘員は俺だけだった時に俺を部隊に入れたいという勧誘は今までそれなりにあったが全部断ってきた。A級に上がろうとは、思わない。B級でも十分稼げるからだ。
「勧誘ですか?」
「いや、ちがう。それではなく、別のことだ」
「いいですよ。場所を変えましょうか?」
と俺に同意してラウンジに場所を変えた。
「じゃあ、改めて自己紹介を。俺は荒船哲次だ。16歳になる。B級荒船隊の隊長をやっている」
「えっと、B級比企谷隊隊長の比企谷八幡です。よろしくお願いします。15歳です。それで荒船先輩は、何が目的で俺に会いに来たんですか?」
「比企谷は、ナンバー1オールラウンダーなんだよな。パーフェクトオールラウンダーになる気はないのか?」
荒船先輩は、パーフェクトオールラウンダーに興味でもあるのか?でも俺はなろうとは、思わないな。
「俺は特になろうとは思わないですね。でもそれは戦術の幅が広がりそうですね。荒船先輩は、目指しているんですか?」
「まぁな。玉狛のレイジさんのようになりたいと思って。理論を作っていきたくて、オールラウンダーの比企谷に色々聞きたかったんだ」
そういう理由か。まぁ、確かにレイジさんは、強い上に料理が抜群にうまい。たまに、ボーダーの中にいる人で、弱点があるのか?と思わせる人が数人いる。レイジさんも俺の中では、その一人だ。
「そう言うことなら、協力してもいいですよ。普段からやっているトレーニングとかでいいならですが」
「マジか!?それは助かる。他にも色々と相談に乗ってくれるか?」
「構いませんよ。俺が暇な時ならいつでもいいですよ」
「あぁ~よかった」
と言うと荒船さんはほっとしたようすだった。そこで俺はどういう計画なのかを荒船先輩に聞いてみた。
「まず、荒船先輩がどのような計画なのかを教えてくだい。そこから、俺もトレーニングメニューなど考えていくんで」
「そうだな。まず、アタッカーでマスタークラスになったら、次にスナイパーでマスターになって、最後がガンナーでマスターになる予定だ。ここまでで、何か意見はあるか?」
「そうですね。それでいいと思います。まずはアタッカートリガーやガンナートリガーを何にするかですね。荒船先輩の理論を基盤に広めることが前提ですから。その辺をしっかり考えて、使いやすいようにしたいですね」
と俺の意見に荒船先輩は、頷いて同意して来た。
「たしかにそうだ。特定の一人だけでは意味が無いからな。そこの所もよく練っていかないと。ありがとう、比企谷。だんだん纏まってきた。また意見を聞いてもいいか?」
「いいですよ」
こうして荒船先輩のパーフェクトオールラウンダー育成理論製作計画は俺の意見を入れつつ完成に近付いていった。
そのことを鈴鳴のメンバーに話し終えると村上先輩が安心したようだった。
「……じゃあ、荒船は元々アタッカーからスナイパーになる予定だったんだな」
と村上先輩が泣き止んで、納得した様子だった。
「荒船君はすごいことを計画してしていたんだね。今日、比企谷君に来てもらってよかったよ。……鋼、もう大丈夫だよね?」
「……すいません。もう、いつも通りです。……ご迷惑かけました」
と頭を下げる村上先輩。それにしても、荒船先輩は何で弟子の村上先輩に何も言わなかったんだろう?まぁ、その辺はまた今度聞いておくか。
「さて、みんな。そろそろ時間だから、準備して仕事よ」
と今さんの言葉で気持ちを切り替えて防衛任務に集中しないとなと思いながら、防衛地点に向かった。
ちなみにその日の村上先輩の動きのキレが段違いだったの言うまでもない。
防衛任務が終わってから本部に村上先輩一緒に行き、そこで荒船先輩と会って、計画のことを荒船先輩が村上先輩に全部話した。