やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー   作:新太朗

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比企谷VS葉山・三浦②

雪ノ下から始まった俺の実力への疑いに乗っかる形で暴言を言ってきた三浦。

そこからの俺対葉山・三浦の対決。

でもこれは俺の想定した流れと言えるだろう。

三浦は戸塚のテニスコートでの一件から俺への復讐を考えていたのは普段の教室での視線で分かっていた。

 

だから俺は策を用意して迎え撃つ準備を進めていた。まぁ使わない事とに越した事はない。

それにこれをやった際に俺は更にクラスでボッチになってしまう恐れがあるからだ。

でも、戸塚がいたな。まぁ少なくとも一人はいるからいいか……。

由比ヶ浜?誰それ?

 

おっと話がなんだかズレたな、とりあえずは葉山と三浦に集中しないとな。

手を抜いてもいいと最初は考えたがそれでは今後も舐められる恐れがあるのですぐにその考えは捨てた。

やはり、完全勝利が一番いいと思う。あの二人……特に三浦はその方がいいな。

そして俺、葉山、三浦の三人はブースに入ってフィールドに転送された。

 

「場所は市街地Aと言ったところか。時間帯は昼間か……。天候は快晴だな、雲一つないな……。まぁ変な設定でなくてよかった」

 

たまにランダムだと暴風とか積雪になったりするからな。その際は動きづらいからな。

まぁなんにしても、勝たないと俺の気が収まらない。さて、潰すとしますか。

未だに葉山と三浦は俺の手のひらの上で踊らされているとは思いもしないだろうに。

 

今回の戦いも俺の手のひらの上で踊っているようなものだ。今回は二人だし、三浦に関してはじっくりと料理したい。

葉山はできるだけ早くに倒しておきたい。

その方が三浦への精神的ダメージがデカイはず、あいつは葉山が居てこそのあのデカイ態度が取れているようなものだしな。

葉山が先に倒されたら、きっとどうしたらいいか分からなくなるはずだ。

 

(まずは、二人の位置確認だな。三浦が近いといいけど……)

 

これからの行動方針を決めてから、俺は耳を地面に付けた。

菊地原ならこんなことしなくても位置くらいすぐに分かるけど。俺はあいつほど耳が良いわけじゃないからな。って俺は忍者かよ!とノリツッコミしたくなるな……。

だから二人が地面を蹴るときに出る振動を聞くことにした。

 

(一人近いな……葉山か、三浦……どっちか確かめないとな……)

 

位置を確認するため、俺はアクション映画さながらの動きで家の屋根から屋根へ飛んでいき近くにいる人物に向けて進んだ。

 

「おっ!近くにいたのは三浦か。バイパー」

 

俺はトリオンキューブを出現させて、それを8分割して三浦の手前に向けて放ち、動きを止めた。そして三浦の正面に回りこんで挑発した。

 

「よぉ、三浦。倒しに来たぞ」

 

「ふん!何が倒しに来たぞだし。アンタなんかあーしと隼人でボコボコにしてやるんだから。……あーしをコケにしたこと後悔させてやるし!」

 

「そうか……。それは楽しみだな。倒せるものなら倒してみろよ」

 

それが戦闘開始の合図かのように三浦は弧月を抜刀して連続で俺に切りかかってきた……が、俺はそれを余裕で回避している。

 

「どうした三浦。さっきから一太刀も当たってないぞ?本気でかかって来いよ」

 

「黙れだし、避けずに当たれだし!!」

 

「いや、避けずに当たれで当たるバカは居ないだろ?……あぁ、そうか。お前がバカだったな。すまん、気が付かなかったわ」

 

俺の挑発に完全に我を忘れたように三浦は怒り狂った。沸点低いな……。

 

「!!黙れだし、ボッチの分際で!!あーしに立て付くなんて生意気なんだし!!いいからとっと死ねー!!」

 

「ホント。バカな奴だよ、三浦」

 

俺は三浦の攻撃を避けて、顔面を殴り飛ばした。思いのほか、飛んでいた。

殴られた三浦は唖然として、こちらを見ていた。まさか殴られるとは思いもしなかったんだろう……。

 

「どうした、ボーっとして。ゲームは始まったばかりだろ?もっと楽しませろよ。でないと、折角用意したのに無駄になるだろ?」

 

俺が三浦に言っていると背後から葉山が現れた。

 

「優美子!!アステロイド!!」

 

葉山は、トリオンキューブをだして、それを8分割して俺に向けて放ってきた。さすがに素人に27分割以上は無理か……。

 

「バイパー」

 

葉山のアステロイドを俺はバイパーを8分割して迎え撃った。

葉山のアステロイドをギリギリまで引き付けてからバイパーを放つ。アステロイドを押しのけてバイパーが葉山に迫っていったが葉山はそれを器用に回避した。さすがサッカー部次期主将だな、運動神経は抜群か……。

 

「よく避けたな葉山。正直、驚いたぞ……」

 

「どうして、君の弾が俺の弾を押しのけたんだい?」

 

葉山が疑問に思うのも無理ないか。

 

「それはな、ボーダーの射撃トリガーでシューターが使う弾の性能を調整することが出来るからだ。10あるパラメーターをそれぞれ、威力、弾速、射程の三つにトリオンを振り分けることが出来るんだよ。お前はおそらく、その三つを均等に振り分けている。対して俺は射程と弾速を2にして威力を6にしているからお前の弾を押しのける事が出来るんだ」

 

葉山は驚愕と言わんばかりの顔をしていた。……滑稽だなその顔。

 

「死ねー!!ヒキタニ!!」

 

葉山に話していると三浦が背後から切りかかってきたので、サイドステップで右に避け三浦の顔面に二回目のパンチを食らわした。ホント、面白いくらいに飛んで行くな……。

 

「葉山、三浦。お前らに言っていないことがあるんだが、聞く気あるか?」

 

「……なんだ?」

 

「お前らは俺がブレードを使ったからアタッカーだと思ってるけど、実は違うんだ」

 

「じゃあ、なんだと言うんだ?君のポジションは?」

 

「オールラウンダーだよ」

 

「オール、ラウンダー?それって嵐山隊の人と同じ……?」

 

「少し違うな。嵐山隊はガンナー型のオールラウンダーだが、俺はシューター型なんだわ。この二つの違いは、射撃トリガーの違いだな。嵐山隊は全員が銃を使うが俺はトリオンキューブを出現させて攻撃する。違いがあればそのくらいか」

 

「も、もしかして、君は……」

 

「お!やっと気が付いたか?俺がバイパーを苦手としていないことに」

 

「そ、そんなのズルだし!!卑怯なことすんなだし!!」

 

三浦がキレてきた。ホント……沸点が低い……。

 

「俺は始まる前に聞いたよな?『それでいいのか?葉山』って、それでズルだの卑怯だの、後からグダグダと文句を言ってくるんじゃねぇよ。だったら、俺か嵐山さんにでも俺のトリガーのことを聞けばいいものを……。だけど、お前ら二人はまったく聞いては来なかった」

 

その事を指摘してやると二人揃って唖然としていた。

俺はさらに二人を絶望させるためにボーダーでの俺の肩書きを教えることにした。

 

「さらに付け加えると、俺はボーダーでナンバー1オールラウンダー、個人総合5位なんだわ。……言っている意味が分からないって顔だな。つまりオールランダーで一番強いってことだ。個人総合はポジションに関係なく個人の実力のことで俺は五本の指に入るほど強いってこと。……わかったか?お二人さん」

 

俺の皮肉を込めた説明を聞いて葉山と三浦は悪い夢でも見ているかのような顔をしていた。

 

「もし、俺に使いにくいトリガーで戦わせたかったらレイガストにするんだったな。使った事がないから、こんなことにはならなかったかもしれないぞ」

 

俺は右手を頭より高く上げてトリオンキューブを出現させた。

その大きさが一・五メートルほどのトリオンキューブを、64分割して構えた。

 

「64発のバイパーの弾だ。……一人辺り32発だな。じゃあな……」

 

ドドドドドドドドンという爆音と砂煙が葉山と三浦の居た所から立ちこめ、それが晴れた時に二人のトリオン体は穴だらけで亀裂が走っていた。

 

『トリオン体活動限界ベイルアウト』

 

音声と共に葉山と三浦は光となって飛んでいった。

俺がブースを出て見ると生徒のほとんどが俺を見て引いているのがわかった。

 

「出水。俺、なんか不味い事したか?」

 

「いや、しただろ。女子の顔面を殴る奴がいるか?」

 

「先に喧嘩を吹っかけてきたのは向こうだし、自業自得だ」

 

「でも、いいのか?」

 

「何が?」

 

「いや、だから。彼女が言ったお前への暴言のことだよ。このままでいいのかなって思ってさ」

 

「あぁ、そのことね。大丈夫だ、出水。三浦の処罰は決定事項だから」

 

「ま、待ってくれ、ヒキタニ君。君は俺達との約束を破る気なのか?」

 

「そんなことはしねぇよ。けど、『俺は』報告しないと言っただけであって他の人……つまり嵐山隊のメンバーは報告するかもしれないぞ?」

 

「ど、どうして嵐山隊の人たちが報告するんだ?」

 

「……今日、嵐山隊は職場見学の説明役だけじゃなくて、監督役でもあるんだよ。……つまり、今日の職場見学のことをまとめて、上層部に報告する義務があるわけだ」

 

「つ、つまり、俺達と君の戦いは全くの無意味だったってことか?だったらなんで、俺達と戦うように提案したんだ?……」

 

「そんなの俺のストレス発散が目的なのと三浦への制裁に決まってるだろ」

 

「制裁だと?君はそのためにクラスメイトを騙してこんなことをしたと言いたいのか。君は最低の人間だ!」

 

「それを言ったら、三浦はどうなるんだよ?プライドを傷つけられただけで、周りを巻き込んで俺を見下していい理由にはならないだろ?」

 

「そ、それは……だけど!君は……」

 

「それにな葉山、俺は別に俺に対しての暴言に関してはなんとも思って無いんだ……。でも、会ったことも無い俺の隊のメンバーを暴言したことに関しては結構怒ってるんだ」

 

「それでも、君のやり方が卑劣だ!!」

 

「はぁ~話にならんな葉山。そもそも三浦は俺に貸しがあるんだぞ」

 

「……貸し?なんだ、それは……?」

 

「テニスコートのことだよ」

 

「え?!なんでそれが?」

 

「あの時、三浦は勝手にラケットを使ったよな?」

 

「で、でも、それは君との対決をするのに必要で……」

 

「だが、使っていいと許可を出した覚えはない。つまり、三浦は許可なく、テニス部の備品を使ったことになる。授業または放課後以外で部の備品を使うには学校と生徒会の許可が必要なんだ。でも三浦は許可を取ってない……その時、校則違反をしたんだよ。それを俺が学校に報告すると三浦の処罰はさらに重くなる」

 

「それは、そうだけど……」

 

「葉山、お前らがここで妥協すれば少しは三浦への処罰は軽くなるかもな。でもそうでないなら……俺は容赦をしない」

 

俺は最後の方の言葉を葉山だけ聞こえるように言った。それの言葉が効いたのか、葉山はそのまま引き下がっていった。

すると葉山と入れ違いで何故か雪ノ下が近付いて来た。……嫌な予感しかしない。

 

「比企谷君。私とも戦いなさい」


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