やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー 作:新太朗
最近、仕事が忙しく残業の日々で疲れていまして、更新が出来ずにすいません。
更新頑張るのでよろしくお願いします。
葉山隊&雪ノ下隊
文化祭が終わり、総武の2年生は十一月にある修学旅行の話題で持ちきりになっていてクラスメイトはどこか浮かれていた。俺も浮かれている一人なのだ。
修学旅行三日目の自由時間にどこに行くか等の事は浅葱が考えると言う事なので俺は何も考えていない。
それは彼氏としていいのか?と思ったのだが、浅葱が『私に任せておいて』と言ってきたのでそれなら別にいいかなと口を挟まない事にした。
そして修学旅行が後一週間ほどに迫っている。そんな日に俺は忍田本部長に呼ばれていた。
俺の横に居る少年とセットでだ。
「ねえ、ハチ先輩。オレ達、何か不味い事でもしたかな?」
「さあな。俺も心当たりが無いからな。お前なら心当たりがあるんじゃないかと思ったんだがな。緑川」
緑川駿。
A級草壁隊アタッカー。
中学生でありながらA級部隊のエースを担っている期待の隊員だ。
対ネイバー戦闘訓練で4秒を叩き出した天然系実力派のアタッカーだ。実力と才能を兼ね備えた後輩だ。
かつてネイバーに襲われそうな所を迅さんに助けられてからと言うもの迅さんのファンになっている。
あの暗躍大好き人間の何処がいいのかは俺に分からない。昔、緑川がB級に上がってすぐに俺にソロ戦を挑んできた。
緑川が上がって来た時にたまたまブースに俺がいて丁度いいと思って挑んできたらしい。
その時、俺は緑川をボコボコにしてやった。それ以来、妙に懐かれてしまった。
「そんな事、言ったって分かんないよ~」
「……行ってみれば、分かるか。……そう言えば、何でお前は残ったんだ?」
A級の草壁隊と片桐隊はつい先日、他県にスカウト遠征に出発した。しかし何故か緑川だけが残っていた。
俺はそれがどうも気になっていた。俺、気になります!……って、俺は何をやっているだ?まったく……。
「遠征に行く前に迅さんが言っていたんだ~。『緑川、お前は残れ。そうすれば、面白い事があるぞと俺のサイドエフェクトが言っている』って」
「……迅さんがそんな事を……」
あの人がサイドエフェクトを持ち出すとロクな事が起こりそうで嫌だな。警戒は必要だな。
「お前は防衛任務はどうするんだ?」
「しばらくの間は他の隊に混ざってやるよ」
「そうなのか……」
他の隊と言っているが、どこの隊に入れるのだろうか?もしかして忍田本部長がこれから言うのか?
だとしたら俺は必要ないような気がするが?まあ、行ってみれば分かることだな。
俺は緑川と本部長室に少しだけ早く歩いて向かう事にした。
「比企谷隊隊長比企谷八幡ならびに草壁隊隊員緑川駿。ただいま到着しました」
『入りたまえ』
「はい」
忍田本部長の許可が出たので、俺と緑川は本部長室に入った。
「やあ、比企谷君、緑川君」
「唐沢さん?」
唐沢克己。
民間組織ボーダーの資金調達を一手に担う営業部長だ。
冷静に物事を把握し、ネゴシエーションに類まれな才持つ人だ。昔、ラグビーをしていたと聞いた事がある。
「何で唐沢さんが?」
「何、忍田本部長に頼んで君達二人を呼んだのは俺だよ」
「どうして俺達を?」
「君達二人にやってもらいたい事があるんだ」
唐沢さんが俺と緑川を忍田本部長を通してやってもらいたい事とは一体何だ?
「先日、新に三つの部隊が出来たんだ。川崎隊、雪ノ下隊、葉山隊がね。それで二人には雪ノ下隊と葉山隊の合同防衛任務に加わってもらおうと思ってね」
「……どうして俺と緑川なんですか?そもそもどうしてその二部隊に俺達を加えるんですか?」
「まあ、当然聞きたいよね。雪ノ下隊の隊長の雪ノ下陽乃君は雪ノ下建設の社長令嬢だ。彼女のご機嫌を取ってボーダーへの出資金を上げてもらいたいってのが、君達二人にやってもらいたい事。もちろん、拒否してもいいよ。その判断は君達に任せる」
唐沢さんが言っているのはようは『接待』と言う事だろう。お嬢様のご機嫌を取りボーダーへの資金を増やして貰うという事だ。
それに誰だって、命懸けとは言わないが戦っている以上タダと言う訳にはいかない。
「緑川はどうする?」
「オレは別にいいよ。ハチ先輩は?」
「……まあ、俺もいいか。……お受けします」
「ありがとう、二人とも。それじゃさそっく明日からよろしく。それと比企谷隊の防衛任務は君抜きでしてもらうようになるから」
まあ、そうなるよな。元々、比企谷隊の戦いは俺が単騎で他の三人が連携で相手を倒すから俺が抜けても問題はないだろう。
「分かりました。それじゃ失礼します」
「失礼します」
俺と緑川は本部長室を後にした。それにしても厄介な事になりそうだな。
「そう言えば、ハチ先輩ってさっきの部隊の事知ってたの?」
「……まあな。あの二部隊のメンバーは俺の高校のクラスメイトと卒業した先輩がいるからな」
「ふ~ん……あ、そうだ!久々にソロ戦の相手してよ。ハチ先輩」
「ああ、いいぞ。とりあえず十本でいいよな?」
「OK。それじゃ早く行こうよ」
俺と緑川はソロ戦のブースに向かった。正直、あの部隊との防衛任務は面倒な事になりそうだが、仕方ない。
なるようになるだろう。
ちなみに緑川との十本勝負は俺の9勝1敗で勝った。その後で、緑川がもう十本してくれと言うのでした所、8勝2敗と言う結果になった。
そして次の日、葉山隊と雪ノ下隊の合同防衛任務に加わる時がついに来た。俺と緑川は防衛地点もすでに来ており待っていた。
「ひゃっはろー比企谷君♪」
「……どうも、雪ノ下さん」
来て俺に挨拶をしてきた陽乃さん。一応弟子にしたがそれは隠しているので下手に名前で呼ぶと葉山や由比ヶ浜に怪しまれるので苗字で呼んだ。
「あ、ヒッキー!やっはろー!」
「やあ、ヒキタニ君。今日はよろしく」
「ヒキタニ君~よろしくべ~」
陽乃さんに続き由比ヶ浜、葉山、戸部が挨拶をしてきた。相変わらず葉山は俺の苗字を間違っている。戸部も葉山同様に間違っているが、指摘はしない。
面倒だからだ。それに注意した所で直すとは到底思えない。
「……ああ、よろしく」
「ハチ先輩、こいつら……」
「いい、気にするな」
緑川がさっそく葉山達の俺の呼び方が気に食わなかった様だったが、俺が止めた。関わると面倒な事になる。
そう言えば、葉山隊や雪ノ下隊のオペレーターは誰なんだ?
「……雪ノ下隊と葉山隊のオペレーターって、誰なんですか?」
「雪ノ下隊はめぐりで葉山隊が海老名?って子だよ」
「そうですか……」
俺が聞いた所、陽乃さんが答えてくれた。めぐりって、うちの生徒会長かよ!?それで葉山隊は海老名ね……どうせ、今頃良からぬ事を考えていそうだな。
「ねぇヒッキー。その子は誰なの?」
「……こいつは草壁隊の緑川駿。俺と同様にしばらくの間、雪ノ下隊と葉山隊の防衛任務に加わる事になった奴だよ」
「へぇ~そうなんだ。じゃあ、ミドりんだね!」
由比ヶ浜のネーミングセンスは壊滅的だな。あの緑川が顔をもの凄く嫌そうにしていた。分かるぞ、緑川。
「そう言えば、比企谷君の所は誰がオペレーターをしているの?」
「俺と緑川のオペレーターは『モグワイ』がするんで気にしなくていいですよ」
「『モグワイ』?」
陽乃さんが首を傾げてきた。そうか、この人は知らないのか。一応教えておくか。
「『モグワイ』ってのは俺の隊のオペレーターが作った『AI』ですよ」
「『AI』作ちゃったの!?凄いね!君の隊のオペレーター」
「まあ、あいつは凄いですからね」
陽乃さんは『モグワイ』が『AI』だと分かると声を出して驚いていた。
『旦那!ゲートが開くぞ。バムスターが3、モールモッド6だ』
「分かった。それじゃ頑張って倒してくれ」
『モグワイ』からゲートが開いたと伝えてきたので、俺は葉山達に向かってエールを送った。葉山、由比ヶ浜、戸部はキョトンした顔をしていた。
「え?ヒッキーは倒さないの?倒さないとお給料貰えないんじゃないの?」
「それはB級だけだ。A級は固定給があるからそんなに倒す事は要らないんだよ」
「ず、ずるい!?何でA級だけネイバー倒さないで貰えるの!?」
ホント、由比ヶ浜はバカだな。これでよく総武とボーダーの試験合格出来たな。
「文句があるなら俺じゃなくて上層部に言え。例え言った所で聞き入れてはくれないだろうがな」
「うっ……」
由比ヶ浜は言葉を詰まらせた。こいつのバカは例え世界がひっくり返っても治る事はないだろう。
「お~い!皆、もう終わったよ~」
由比ヶ浜達がぼう然としていると陽乃さんが一人で全部倒してしまった。流石に早いな。まあ、教えたかいがあると言うものだ。
「は、陽乃さん……一人で倒しちゃったんですか?」
「そうだよ、ガハマちゃん。これ位、出来ないと比企谷君の弟子になれないよ?」
「が、がんばります!!」
俺は少しホッとした。陽乃さんが余計な事を言うんじゃないかと心配していたが、そんな事もなかった。
それからゲートは開く事はなく今日の防衛任務が終わりかけた時に葉山が俺に近付いて来た。嫌な予感がする。
「ヒキタニ君、少しいいかな?」
「今はまだ防衛任務中だ。私語は慎め葉山」
「それはすまない。だけど、相談したい事があるんだ。話を聞いてくれないかな?」
ここで断ってもいいが、後で面倒な事になりそうだ。千葉村での鶴見の事があるから話だけでも聞いておかないといざと言う時に動けないからな。
「……分かった。後で、比企谷隊の作戦室に来い。そこで聞いてやる」
「ありがとう。恩にきるよ」
葉山はそう言って俺から離れて戸部と少し話を始めた。しばらくして戸部がガッツポーズをとっていたが気にしない事にした。
そして雪ノ下隊と葉山隊の合同防衛任務は無事に終わった。
来週は更新出来ません。
すいません。でも、再来週からは更新していきますので、よろしくお願いします。