やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのは間違っている。-改訂版ー 作:新太朗
雪ノ下隊と葉山隊の合同防衛任務に参加する事になったが、正直メンド臭かった。
陽乃さんはまだ、いい。
だが、残りが問題だ。葉山、由比ヶ浜、戸部の三人が。
由比ヶ浜に関しては文句しか言っていない。あいつの文句に付き合っていたら他にもグチグチと文句を言いかねない。
それにしても防衛任務の最後の方に葉山から相談があると言っていたが、一体なんだろうか?
戸部がガッツポーズを取っていたのと関係がある気がするな。それはそれは面倒な事だな。だが、俺の知らない所で何かが起ころうとしているなら話だけも聞いて置いたほうがまだマシだろう。
「それにしても隼人の相談ってなんだろうね?比企谷君」
「それはこれから聞くんですよ。陽乃さん」
防衛任務が終わって報告書を書き終わって葉山達が来るまでどう時間を潰そうと考えていると陽乃さんが来て、「暇だから構って!」とまるで幼い子供のような理由でやって来た。
ちなみに緑川はソロ戦をしにブースに行った。出水と米屋が来て居るらしい。俺も誘われたが、葉山の相談があるので後で向かうと言っておいた。
それにしてもこの人が隠れ弟子になってからよく俺に絡んで来る。まあ、真面目に俺の話を聞くし俺が指摘した問題点は出来るだけ直そうとするから素直でいい。
これが由比ヶ浜だと「え?どう言う意味?ヒッキーキモッ!」と何度も聞き返しては罵倒して気そうなのは容易に想像出来る。アホだからな由比ヶ浜は。
ピンポーン!
呼び鈴が鳴ったので葉山が来たようだ。俺は扉を開けて葉山を中に入れた。
「やあ、待たせてすまないね、ヒキタニ君」
「いいから入れよ。葉山」
「ああ、それじゃお邪魔します。ほら戸部も」
「お邪魔しますべ~」
葉山に続いて戸部が入ってきた。どうやら俺の予想は当たっていたらしい。話だけ聞いて早く追い出さないとな。
「お、隼人だ。ひゃはろー」
「ど、どうして陽乃さんがここに?」
「私は比企谷君にトリガーの事で相談に来たんだけど?」
「…………ッ!!」
葉山が俺を強く睨み付けてきた。俺が何をした?この人が居ると不味いのか?
「……陽乃さんが居るなんて俺は聞いていないぞ。比企谷……!!」
「ああ、言っていないからな。それとも何か、この人が居ると相談出来ないなんて言わないよな?だったらお引き取り願おうか」
俺は葉山の後ろの扉を指差した。葉山は戸部の顔を見てから俺に向き直した。
「……いや、相談に乗ってくれ……頼む……」
「そうか。とりあえず座れ」
葉山は頭を下げてきた。それから葉山と戸部はそれぞれ椅子に座った。俺の隣が陽乃さんで俺の正面に葉山、その隣に戸部が座った。
「それで相談って何だ?戸部が居るが関係しているのか?」
「ああ、ほら戸部」
「隼人く~ん。ヒキタニ君に相談するのかべ~」
「そうだ。彼ならきっといい方法を見つけてくれると思うからね」
葉山は俺に一体何を期待しているか分からないが、そう言うのは辞めてもらいたい。
「それで相談って何だよ?早く話せよ」
「すまない。戸部、早くした方がいい。ヒキタニ君の機嫌を損ねるのは不味い」
「隼人君がそう言うなら……実は俺、修学旅行で海老名さんに告白しようと思っているんだべ~だから振られないように協力して欲しいんだべ!!」
「…………え?」
俺は戸部が言っている事が分からなかった。告白?誰が誰に?
「比企谷君。フリーズしていないで答えてあげなくちゃね」
「……あ、はい。……ちょっと待て、相談する相手を間違っているだろ」
陽乃さんに声を掛けられて戻ってきたが、戸部もそうだが葉山も相談する相手を間違えている。俺が恋愛経験豊富に見えるのか?
これまでの人生で彼氏彼女として付き合った事があるのは浅葱だけなんだぞ!
確かに俺の隊の他のメンバーに逆告白された。それで四股ってそれははたから見たら最低な男だろ。
そんな俺に恋愛相談とか間違っているだろ。
「でも君の隊は君以外は皆、女性だから慣れていると思ったんだけど?」
「……確かにそれなりには慣れているとは思うが、それと告白を手伝えって話が違いすぎているだろ!そもそも修学旅行で告白とか黒歴史を作るようなものだろ。失敗したらどうするんだ?」
「そうならないために協力して欲しいんだべ~」
戸部はこう言うが、こいつは分かっていない。告白が100%成功するなんてそれは相思相愛でなければありえない。
それが分からないと言う事は無いと思うが、戸部の表情を見て分かる。これは分かっていない顔だ。
「……それだったら奉仕部に行ったらどうだ?あそこの自称完璧超人部長ならきっと俺なんかより凄い解決策を教えてくれるだろう」
「……奉仕部にはもう行ったよ。でも、他の人の意見も聞いた方がいいと思ってね」
奉仕部には行ったのか。でも葉山の顔を見る限り良い答えは得られなかったようだ。
俺はふと隣に座っている人を見た。この人はモテそうだしそれなりに恋愛経験がありそうだな。
「雪ノ下さんはどうなんですか?告白くらい何十回も受けた事あるでしょ?」
「比企谷君、一つ訂正があるよ。何十回じゃなくて何百回だよ♪」
「……マジですか?」
「マジだよ♪ちなみに高校生の時ね」
陽乃さんの一言に信じられないと思った。告白された回数が三桁にいっている人なんているんだな。
「……ちなみに告白して来た人達は?」
「もれなく全員振ってやったけど?」
「さいですか……」
陽乃さんは振った人の事なんて覚えていないだろうな。振ったと言った顔はもの凄くいい笑顔だからだ。
振られた人に黙祷を捧げたい。無事に成仏してくれ。……死んでいないか。
「雪ノ下さんから何かアドバイスはないですか?」
「当たって粉砕しろ?」
「当たって砕けろと言いたいんですか?後、それアドバイスじゃないです……」
陽乃さんってもしかしなくてもまともな恋愛していないじゃないだろうか?まあ、社長令嬢だしな。その辺り見ていなかったな。
葉山も戸部も陽乃さんの話を聞いて引いていた。
「ちなみに戸部は修学旅行のどこで告白するつもりなんだ?」
「三日目のホテルにある林道で告白するつもりだべ~あそこなら雰囲気バッチリだべ」
三日目のホテルの林道か。そう言えば、修学旅行の『旅の友』にあったな。
それにしてもどうして戸部は修学旅行で告白なんてしようと思ったんだ?下手をしたら黒歴史を作るだけじゃなく、その後のグループでの付き合い方だって大きく変わってくるのにな。
こんな事になる位だったらやっぱり話を聞くんじゃなかった。100%成功する告白を手伝えって、それどんなギャルゲーだよ。
そう言えば、前にシノンが俺に貸してくれたゲームがギャルゲーだったな。
あれは中々楽しめた。けど、リアルとゲームは違う。
「そう言えば、三浦はこの事知っているのか?」
「……いや優美子は知らないよ」
「え?知らないのか?」
葉山グループと言えば三浦優美子と言っても過言ではない。あの女王がこんな事黙っている訳ない。それで葉山に聞いてみたら知らないと言ってきた。
三浦が知らないと言ってきた葉山に疑問を持った。
「やっぱり相談する相手を間違えたな。俺じゃなくて三浦に相談するべきだったな。それとこの話は無かった事にしてくれ。他人の恋愛事情に首を突っ込みたくないからな」
「ま、待ってくれ!頼む、ヒキタニ君!!君にしか頼れないんだ!」
「俺からもお願いしやっす!ヒキタニ君が良いって隼人君も言っているし力を貸してくれだべ!」
葉山と戸部は俺に頭を下げてきた。それにしてもさっきから俺の苗字を間違いすぎだ。ケンカを売っているのか?
それが人にものを頼む態度かよ。ここは一先ず帰した方がいいな。
「……とりあえず、今は帰れ。受けるかどうかはもう少しだけ待ってくれ。何か策があれば伝えておくから」
「ああ、よろしく頼むよ。ヒキタニ君」
「それじゃよろしくっす!ヒキタニ君」
葉山と戸部は頭を下げてから部屋から出て行った。ようやく鬱陶しい奴らが出て行ったよ。
「それで、比企谷君はどんな策を考えているのかな?」
「何も考えていませんよ。それどころか俺は協力する気すらありませんから」
「へぇ~そっか。まあ、絶対協力するなんて言っていないしね」
俺が葉山に協力する気が無い事を伝えると陽乃さんはそれ程興味を示さなかった。
「……興味なさげですね?知り合いなんでしょ?」
「知り合いって言うか幼馴染だけどね。それに隼人って詰まんないんだよね。まあ、それに比べて比企谷君は数千倍面白いけどね♪」
「それはどうも……あんまり嬉しくないですね」
「ホント、比企谷君って、つれないよね。でもお姉さんとしてはそっちの方がいいよ」
この人は何を言っているんだ?それに死んだクソ親父から美人には気を付けろと散々言われてきたからな、幼稚園の時に。
幼稚園のガキに何を教えているんだよ、あの親父は。
「俺はソロ戦して帰りますけど、陽乃さんはどうしますか?」
「私は帰るね。あんまり遅いとお母さんが勘付きそうだからね」
「そうですね。その辺りは任せているんで俺からは何も言いません」
俺と陽乃さんの『計画』は順調に進んでいる。気付かれた様子は無いので予定通りにいきそうだな。もう少しで雪ノ下の悔しがる顔が見られるな。
「うん。それじゃ、またね。比企谷君」
「ええ、また。それと次来る時は事前に連絡してください」
「気が向いたらね~」
部屋から出て行く陽乃さんはする気はないと言わんばかりな表情をしていた。ホント、もう少しあの性格を何とかして欲しいな。
……無理か。妹が死んでも直らなそうな性格しているからな。
とりあえず俺はブースに行って出水達とソロ戦をして帰るかな。それにしても葉山は相談する相手を本当に間違えたな。
俺は最初から協力する気などない。あのグループが壊れるなら大歓迎だ。
「……ヒキタニ君」
俺がブースに向かう途中で後ろから声がしたので振り向いてみるとそこには海老名姫菜がいた。