今までで一番長い。疲れました。
( ;´Д`)
足して引いて引いて足して足して足して足してと頑張った私。
だ、大丈夫よ。
まだきっと間に合うわよ!
だから取り敢えず冷静にならなきゃ…。
3分経過、
冷静になっても変わらない…わね。
……うぅぅ、あんな約束…なんでしちゃったんだろう…。
「……えっと、灰原さん?」
「っ!わ、わかってるわよ!!」
「あ、いや…そうじゃなくて」
「いいから少し黙ってて!」
◇◇◇
1時間前、
……人って、死んだらどうなるのかな…。
意識とは…脳の活動によって生まれるのか?
元々あった魂の様なものの入れ物として脳が有り、魂に反応して脳が活動するのか?
これはいつの時代でも必ず誰かが考える疑問だ。
私達の意識は、脳の活動によって肉体に生まれた自我なのか?
それとは別に存在する何かによって存在する物なのか?
少し前の時代なら、
死んだらそこで終わるのか?
それとも見えないけど存在するのか?だ。
この問題に悩まされる人の心の拠り所として宗教があり、不安が解消される。
…まさしく『信じる物は救われる』だ。
少し前の私なら『人は死んだらそこまで』、と言い切っていたと思う。今まで生きてきて楽しい事なんてほとんどなくて、世界を怨んでさえいたから…。
けど、今なら分かる。
こんなの、信じなくちゃいられない。
この場所にいたら死ぬ。
それを分かってて、それでも私の側を離れようとしない男の子がいる。
ただの監視対象である私を説得に来て、説得は無理だと判断したはずなのに、動こうとしない彼がいる。
私を使って遊ぶくせに、何故か私に優しくて、色んな意味で私の心を掻き乱す男の子が、彼が、上野瑞樹がそこにいる。
たったそれだけ。
言ってしまえば、たったそれだけなのだ。
……でもそのたったそれだけで、
どうしようもなく心が暖かくなる。
胸がおかしくなる。
頬が緩みそうになる。
人が死んだ後の事を求めるのは、昔から変わらない。
なら、その理由も昔と変わらず漠然とした恐怖だけなのか?
……それは違う。
絶対に違う。求めてしまう理由が単純な恐怖だけなんて…有りえない。
幸せだから、怖いんだ。
大切だから、嫌なんだ。
一緒にいたいから、辛いんだ。
側にいてくれたから、嬉しいんだ。
希望があるから、悲しいんだ。
……そんな、どうしようもない感情が止めどなく溢れてきてしまうから、どうしても願ってしまうんだ。
『どうか、ここで終わりませんように。これからも世界は続いて、一緒にいられますように』
(……我ながら何を考えてるのかしらね。
…ふふ、でもこれを伝えたら彼は驚くのかしら?笑うのかしら?
もう最後なんだし、お礼も含めてーー)
◇◇
思考に耽っている私を現実に戻したのは彼から発される空気だった。
「っ!?」
……彼は、笑っている。
もしかしたら、これは最後の挑戦なのかもしれない。笑っている理由を推理しろという。
…いや、仮に違うかったとしても考えよう。私に此処までしてくれたのだ。彼の理解者、と言ったらおかしいけど黒の組織で優しい異端の彼を少しは理解したい。
今面白い事はあったか?
…ない。
なら何故笑ったのか。死にたかった?
…いや、彼には私と違って死ぬ理由はない。
……だめ。もっと遡って考える必要があるわね。
彼の今までの行動から考えると…、
……あれ?今更だけどなぜ彼は私に接触したのだろう。
私の正体を確かめるため?
いや、それなら指紋等を調べれば済む。
私で遊ぼうと考えた?……これね。
…あれ?なら私を旅行に連れて行った理由はなに?
私の息抜きって…今思えばおかしい。
いくら優しくても監視対象に息抜きを提供するなんて馬鹿げてる。
彼が行きたかっただけ?
…でもあの時私は強制参加でなかったはず。それに任務中にそんな事をするとは思えない。さらに言うなら私の思考を読んてまでするメリットがわからない。
そこまでして……。
……ん?いやいや。流石にそれはあり得ないわね。
うん。ないない。彼は小学生だし。
旅行の時になにかあったかしら?
…布団が同じだったわね。
………いやいや、だからないって。なに考えてるのよ私は。
そういえば、布団の中でめちゃくちゃ褒められたっけ?
……いやいやいや!だからないってば!!
あれ?旅行に行く前に確か吉田さんが……。
いやいやいやいや!!
あれは私と一緒に居ても違和感がないように画策しただけに決まってるわね!!うん!そうよ!
だめ、集中しなきゃ。
彼が残ってる理由…。
……いやいやいやいや!だからないってば!!
あれ?でも確か前にドラマでも……
だからなに考えてるのよ私は!!!
彼は黒の組織の一員で私は監視対象!!
いくら小学生でも黒の組織なんだから…。
…あれ?
逆に、逆にいえば…黒の組織でも小学生…?
いや、でも小学1年生ってもうそんな時期なの…?
……でもこの前雑誌には幼稚園でって子もいるらしいし…。
いやでも、私は監視対象よ?幾ら何でもそんなドラマみたいな……。
「ね、ねぇ?」
「え?どうしたの?」
「あの、別に大したことじゃないんだけど…」
「……?」
「その…後悔してないの?」
「なにを?」
「……ここに来たことよ」
「あぁ。ないね。絶対にバスに残ろうって決めてたから」
「っ!……そ、そう…」
……彼は、私の考えを読んだ上でここに来ようと決めていた?死んでしまうと分かっていたのに?つまり、勢いじゃなくしっかりと考えてここに残ったって事?それってつまりそれだけ……。でも、なら尚更私は…。
「あの、やっぱり降りた方がいいわよ」
「灰原さんは?」
「の、残るけど…」
「なら残るよ」
「っ…。後悔はないの?」
「寧ろ今降りた方が絶対後で後悔するね。前回はだめだったけど今回こそ…」
「っ!!……そう」
彼が組織にいる理由は…誰かに何よりも大切に想われていたからこそ、って事ね。その人は彼を遺して逝った。例え組織に拾われる事になろうと、生きていて欲しかったから…。
……私には………出来ないわね。
一緒に残ってくれる……それが嬉し過ぎて、そんな事言えないもの。
「もしも、もしもよ」
「…?」
「仮に、やり直せるなら…貴方はまたここに来たい?」
「……そうだね。…うん。来たいかな。今度はもっと色々覚えてから」
「…ここに引っ越して来なければよかった。ならこんな事には…なんて考えないのかしら?」
「当然。俺はここに来てからいい事しかないから。暖かさってやつを感じてるよ」
……それは、私も思った事だ。
先生も、同級生も、博士達大人もみんな暖かい。組織の、それも私と違って実行する立場だった彼がそれを感じるのは当然だ。
「それにほら。灰原さんみたいな可愛い人にも会えたから!!…なーんてね」
「……そう」
……多分彼は気付かれないと思っているんだろう。
でも分かってしまった。
恐らく彼は……私の事が……
「……あれ?まだかな?」
彼の本当に小さな呟きが、私に聞こえた。
……あれ?本当ね。
最初に感じたのは違和感だった。
今までの事で明らかにおかしい事がある。
私が思い出に浸り始めたのが残り約40秒の時だ。
おかしい。
おかしいのだ。
違和感の正体。
簡単だ。
『遅すぎる』
犯人の女が言った時間は約1分。
爆発するのが明らかに遅い。
いやな予感がした。
それもこれまでで一番の嫌な予感だ。
さっきまでの推理が吹き飛びそうになる。
……寧ろその方が助かるとさえ思う。
声が震えそうになるのを我慢しながら口を開く。
「……ね、ねぇ。全然爆発しないわね」
「(……もう流石にこない…か?…多分そうだな。)何言ってるの灰原さん?ここ日本だよ?爆弾なんてそうそう出会わないよ」
……やられた。
最初の言葉は聞こえなかった。けどその後は満面の笑みで返して来た。
恐らく、
彼は元から今日の計画を知っていたのだ。
よくよく考えたら組織の情報網を使えばそれくらい簡単かもしれない。
彼が朝、
用事があると言っていたのはやはり今日出なくてはならなかった用事。
つまり、
爆弾の解体。又はすり替えだろう。
……私がこういう状況になったらこの選択をするって予想して動いてたわけね。
…でもこんな面倒な事をさて彼が得るメリットは何?
今までこういう時はーー
「……〜〜っ!?」
……最悪だ。今までこういう時は、私の間違った推理を…彼に伝えていた。つまり、彼の目的はこの推理を私に話させること?
……どうしよう。そんな事したら恥ずかしさで死んでしまう。
嘘を付くのはどう?
いや、絶対に見透かされる。
そ、そもそも!今回は彼から何も言われてないんだから彼にそんなつもりはないかもしれないわよね!
……あれ?もしそうなら彼は私を……?
そ、それはそれで……。
……ちょっとまって?私、彼に凄いこと言ってなかったっけ…?
…え?まって、本当にまって。つまり、私このバスから降りたら…。
ちょ!?
え?
……え??
◇◇◇
現在、
「灰原さん?」
「〜〜っ!分かってるわよ!!」
あの後、
なんと灰原さんと瑞樹君はバスから降りてきた。
そしてそれを見て大人達は血相を変えて駆け寄っていった。
灰原さん達が怒られた後、私達と合流し、博士は保護者の方と話があると言われ、コナン君は何故か現場に来ていた高木刑事達のところに行ってしまった。
そして今、
灰原さんは地面に座っている瑞樹君の前に屈んで肩に手を置きながらジッと瑞樹君を見つめている。
後ろの2人はよくわかってないみたいだけど、
こんな事してたら同じ女の子には何をしようとしてるかなんて分かる。
そして、男の子で分かりそうなコナン君も保護者の博士もいない。
……つまり、灰原さんがやろうとしている事をするなら今しかない。頑張って!灰原さん!!
(お、落ち着きなさい私!
これぐらい何よ!一瞬じゃない!!
…でも、なんでこの子達の前なんて言っちゃったんだろう)
1分経過、
(…だ、だめよいい加減覚悟を決めないと!さっきから5分くらいこの体勢だし。吉田さんからの視線が凄いし)
「……こ、これは約束だから、仕方なくだから!」
「あの、灰原さんーー」
「っ!わ、分かってるわよ。…でも確かに言ったのは私だけどこんなこと予想してなかったし…」
「いや、だからさーー」
「っ!悪かったわね、確かに言い訳よ。でもここだけは譲れない。いつもならともかく今回は、あの子達の前では例え何を言われてもこれだけは譲れないから」
(あ、あはは〜。灰原さんが話を聞いてくれないんだけど。ていうかそんなに嫌ならしなくて良いと思う。なんか無理やりさせてる感じでキツイわぁ)
(!!?またあの笑み…でも今回は譲れない。幾ら何でもここで折れたら私のこの後の生活が…。)
「灰原さん。…落ち着いて聞いてね?」
「な、なにかしら?」
「あの約束なんだけどさ」
「え、えぇ」
「言ったのは灰原さんでしょ?だからさ……別に……ね?」
「っ!……そうね」
(確かに私が言った事。そして、彼は別に気にしないと言っているが、あの笑みで言ってるのだから逆の意味だろう。尚且つ周りには私が自分の意思でしたと印象付けれる。…この後の事を考えると彼に約束を破る奴の思われるのはまずい。……うぅ。でもそれは…)
(うんうん。分かってくれたかな?嫌ならやめよう。そうしよう!)
「だから…ね?灰原さん」
「〜〜〜〜っ!!!」
「……?」
「わかったわよ。分かったわよ!わ、私がしたいの!だ、だから動くな!!」
「…………え?灰原さーー」《チュッ》
「……ぇ?…」
「「「えぇぇぇえええええ!?!!?」」」
「キャーーーー!!!」
「〜〜〜〜っ!!!」
「皆さーん。此方が呼んだバスが来たので順番に乗ってくださ〜〜い!!」
「じゃ、じゃあ私先に行ってるから!!」
「…あ、はい」
「灰原さん!歩美も行きたい!!」
「だ、だめ!1人にして!!!」
◇◇◇
バス移動中、
(とある女の子side)
どうしよう、どうしよう。
大丈夫よね?問題ないわよね?
約束、あれは約束だったんだから!!
問題ないわよね??
監視する者とされる者。それだけの関係だし。
お互い何も……。
……あれ?そういえば推理の事言われてない?
え?つまり、どういうこと?そういうことなの?
彼は私に?え?ほんとに?
いやいや、ないわよね?
私の感違いよね?
そうじゃないとこのあーー
(とある男の子side)
え?どう言うこと?
また呼び出しの時パターン?
いやでも……いややっぱどう言うこと??
……もう忘れ…は勿体無いから気にしないようにしよう。
(とある女の子side)
灰原さんが1人だけ前の方に座ってる。
ソワソワしてるし耳が赤いのがここからでもわかる。
灰原さんって大人っぽいから分かりにくかったけどやっぱり女の子なんだね!
今度から哀ちゃんって呼ぼうかな。そっちの方が今は似合ってると思うし!
……あとキスがどんな感じなのか聞きたいなぁ。
(とある男の子s、side)
………え?
(とある老人side)
哀くんだけ何故か前の方に座っている。
やはり今回の事を気にしておるのかのぅ?
普段から大人びているから考えてもみなかったが、確かに18なんて儂からしたらこの子達と変わらん。
今回も何か思い詰めていたようじゃし、帰ったらじっくりと話さんといかんのぅ。
取り敢えずソワソワしてる上に耳まで真っ赤になる程の事があるようじゃし、帰ったらその事から聞くべきじゃな。
しかし哀君が儂を頼ってくれるじゃろうか?
……いや、きっと儂に気を使って言わんだろう。しかしそこで引いたらこれまでと同じ。きっと直ぐには言わんじゃろうが、これを気に儂を頼っていいと伝える為にも今回の事は無理矢理にでも聞き出さんといかんな。…今日の夕食後にじっくりと話そう。
(とある男の子side)
灰原の奴はバスの中に居た。
爆弾が爆発しなかったからいいものの爆発したら当然命はなかったはずだ。灰原の事をもう少し支えていかないといけねぇな。取り敢えず最近の悩みから聞くか?今も情緒不安定みてぇだし。取り敢えず熱があるっぽいな。あいつの事だし心理的な理由の可能性が高そうだから、もし渋っても今回は無理矢理でも吐かせて不安を取り除いてやんなきゃな。…流石に今日は疲れただろうし明日の午後にするか。
(とある女性side)
可愛いわ。本当に可愛い。
あの女の子の気持ちが凄く伝わってくる。
これを青春っていうのよね。
私が望んだ理想的な子供時代。ああいう子達を見ると守らないといけないって思うわね。
そういえばあの気配は誰だったのかしら。やはり組織の人間?
(とある男性side)
ふむ。
髪型や雰囲気、声からもしかしたらと考えたんだが、どうやら杞憂に終わったようだな。
周りの子を隠れ蓑にするほど器用ではなかったはずだし、あれは明らかに恋をする年頃の女の子だ。
それよりも重要なのはあの気配。
一瞬組織の人間かとも思わせるほどだ。だが組織の人間であそこまで強い圧迫感を与えられるのは恐らく幹部レベル。だが俺はあった事がない。俺が知らないだけか抜けた後に入ったのか、それとも全く別の存在なのか。興味深いな。
(とある男性(女性)side)
バスから降りてきた時はまさか見つけたか、と思ったのに違う見たいね。
シェリーはそれほど演技は上手くないはず。あれは明らかに恋をしていたし。
……まさか本当に惚れた?
…いや、幾ら何でもそれはないわね。小1に惚れるなんていくらシェリーでもないでしょ。
もしそうなら……消さないといけない理由が増えるわね。日本と為っていう意味で。
というかそれって、
誰かを支配するという支配欲が強い最低の女か
年下にいいようにされて喜ぶM女か
本当に相手の内面が優れているかのどれかだけどどれなのかしら?
って、なんで彼女がシェリーって決めてるのよ私は。
確か周りを気にする性格だったはず。追われてる身で周りにはあまり関わらないでしょう。
なのに彼女の周りには彼と他の3人がいる。それ以外のクラスメイトとも小学1年生らしい付き合い方をしている。それも自然と仲良くなった付き合い方だ。
その点ならあの男の子の方がよっぽど可笑しい。
それにしてもあの気配は誰だったのかしら?
私と同等に近いほどの強い圧迫感。
一体誰なのかしらね?
まぁ、探してみろって事かしら?
いいわ、その挑発買っておいてあげる。でもシェリーの件が終わってからね。
さぁシェリー、あなたはいったい何処に居るのかしら?
◇◇◇
夕食前、
『希望は捨てちゃダメだよ。奇跡が起きるかもしれないし』
『灰原さんは可愛いからね。きっと何処かの誰かが助けに駆けつけるよ。』
『どっかの王子様でも来てくれるのかしらね。』
『それだけありえないって事よ。私は、ここまで』
『ないね。ないない。かけてもいい』
今日の彼との会話を思い出す。
終わってから、しかも事実を知ってから考えると彼も私も相当恥ずかしい話をしていると思う。
悶えそうだ。
……奇跡……王子様……。
……あれ?でもさっきの流れだったら彼が私の王子様になるのかしら?
彼が……王子様……。
……彼が……私の……王子様。
……確かに、救ってくれては…いる。
…そういえば、彼が送ってきたデータにもあったはず……
……王子様って…確かSで……
…彼も……少しS…
…あの中の私は……Mで…
…そして私もすこ………
っていやいやいや!!
何考えてるのよ私は!!
私はMじゃないわよ!!
いやそこでもないけど!!
それに、
確かによく彼に弄られるけど!
私は彼に弄られても嬉しくなんてないわ!
確かに慣れてきたけど!流石にあれ以上なんて望んでないもの!!
………あれ?何か違和感が…??
……もしかしてあのデータ、私と彼の性格を基にしてるのかしら?
……いやいやいや、その考え方でいったら彼の中での私の性格凄い事になるわね。
……まぁいいわ。
明後日が少し怖いけど、
吉田さんは言いふらしたりはしないだろうし、男の子2人には別れる時に釘を刺した。というか刺そうとしたらその前に刺されてた吉田さんに。
工藤君と博士に伝わる事はないしいない時にしたんだから聞かれる事もまずない。そして広がる事もないはず。取り敢えず今日の事は忘れることに限るわね。彼が何かしてきたらまたその時考えればいいし。というか学校も明後日からだから今日と明日はリラックスしよう。
今日の事は何かあった時に………今日の事……。
「〜〜っ!」
……き、記憶を失わないかしら…。
…頑張って忘れなきゃ。