Tales of the World~Trinity Wish~【君に意思を託すRPG】 作:愚民グミ
※この小説は、テイルズシリーズの二次創作です。
※一応、TOP~TOZのキャラが出ますが一部出ないキャラ、名前だけのキャラ有り。ファンの方はご了承ください
※ベースはTOWRMシリーズですが、主人公はカノンノで、ディセンダーは主人公ではないです。ただし、独自の設定が追加されています。
批評、ご意見があれば、よろしくお願いいたします。
ーーーその世界は、世界樹を中心とした世界、オルテインーーー。
世界樹を中心に、4つの大陸が存在し、多くの国と種族が存在している。そして世界は火、水、地、風、雷、氷、光、闇の精霊達とそれらを統べる精霊の王・マクスウェルが調和をとっている。
そんな世界に、突如として「それ」は現れた。
「それ」は、七色の尾を引く大きな流星となって海に落ちてきた。
流星が落ちてきた衝撃で大きな津波が起こり、幾つかの村や港が波に飲まれて甚大な被害が出た。多くの者が命を落としたが、誰もがこれで終わったと思っていた。これだけで、災厄は終わりだと、そう思い込んでいた。
ーーー流星となって世界に降り立ったものが、海より姿を現したのは、それから1ヶ月程後のことだったーーー。
地を揺らし、海を真っ二つに割って現れたのは、天を衝くほどの巨大な11も首がある多頭の龍だった。
龍ーーー後に【ティアマト】と名付けられたその龍は、現れたと同時に、一つの国とその国がある島を一撃で吹き飛ばして見せた。
その光景を見ていた誰もが叫ぶことも忘れ、ただその光景を、邪龍の姿を目に焼き付けていた。まるで宣戦の狼煙を上げるかのように、島を吹き飛ばしたことに満足したかのように、自らの存在を誇示するように、次はお前達だと告げるように、世界中に響き渡る咆哮をあげる悪魔の姿を、食い入るように見ていた。
ティアマトは、余りにも強大だった。
ティアマトは11の口からそれぞれ全く違う災厄を放った。炎の渦を吐いては海を蒸発させ、雷を吐いては山を砕き、吹雪を吐いては森を凍らせ、土砂を吐いては村を埋め、鉄の槍を吐いては魔物を切り裂き、嵐のような風を吐いては地を削り、呪詛を吐いては人を狂わせ、黒いイナゴを吐いては草木を根まで食らわせ、津波を吐いては船を転覆させ、奇っ怪な怪物を吐いては町を襲わせ、酸の霧を吐いては動物を骨まで溶かした。
その身から瘴気を放ちながら、ティアマトは東の果てから西の果て、北の終わりから南の終わりまでもを蹂躙する。
ティアマトは最初は弱く小さな国ばかりを狙い、大きな国を無視しながら侵攻していった。多くの民は流石の邪龍も大国には手は出せないのだと喜んだが、ある王は震えながらその行動をこう表現した。
「……まるで掃除だ。奴は塵を塵取りに集めるように、敢えて、人を大きな場所に、大きな国に集めてまとめて滅ぼすつもりなのだ」と。
事実、多くの大国は流れ着いた難民で溢れ返り、兵士達もまともに動くことができないほどに、町も道も人に埋め尽くされていた。
誰もが恐怖と絶望にうち震えた。それは人や獣人だけでなく、聖なる森に守られているはずのエルフや精霊達、そればかりか魔物までもが怯えていた。
恐怖のあまり無意味な争いを起こす者達を嘲笑うように吠えるティアマトと、ティアマトが運んでくる滅亡に、人々は絶望していた。
滅びの深淵に立たされた世界、オルテイン。しかしその時、世界樹は邪龍から世界を守るため、一人の戦士を生み出す。
世界の守り手、救世主【ディセンダー】である。
ディセンダーは生まれたばかりなので、何一つ知らない状態だったが、すぐに仲間を見つけ、世界のことや戦い方を教わりながら少しずつ力をつけていった。やがて自身の正体と使命に目覚めたディセンダーは、世界を巡り様々な国の王達に会って援軍を求めた。しかし、多くの王達はこれを断った。
当然だ。突然、ディセンダーだと言われても信用出来る筈もなく、仮にディセンダーだからといって、兵士を出すのは無謀だと考えたからだ。仮にディセンダーがいたとして、どうやってあの悪魔に勝つというのか。勝てる見込みなど、全くといっていいほどにないのだから。
……結局、彼の下には僅かな仲間達しか集わなかった。
そして、ディセンダーは世界を守るために、邪龍ティアマトとの決戦に挑む。
ディセンダーと仲間達と、ティアマトの戦いは長く続いた。
圧倒的な「天災の集合体」のようなティアマトの力に、勇者達は一人、また一人と傷付き、地に伏せる。しかし彼らの命を賭した戦いの末、ティアマトの11の首を一つずつ切り落としていく。
長く辛い戦いの末、ついに、ティアマトは討たれ、その巨体を海に沈めることとなった。……ディセンダーが放った、己の全てを擲った一撃による、壮絶なる相討ちによって。
最後まで生き残った勇者達が目にしたのは、全ての首を切り落とされた恐ろしき絶望の龍の最期と、胴体を真っ二つ引き裂かれた希望の戦士の最期だった。
こうして、世界は救われた。後に残ったのは、ディセンダーの力でなんとか再生することができた世界と心身共に傷付いた人々、そして瘴気を放ち続ける龍の遺骸だった。
生き残ったディセンダーの仲間達はその後、ディセンダーの行方を追ったが、ディセンダーの遺体はどこにもなかったという。
ーーーそして、ディセンダーとティアマトの最終決戦から、10年の月日が流れたーーー。
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【ニルタス山脈】
「カノンノ!そっちいったぞ!」
「任せて!虎牙破斬!」
「ピコハン!ジーニアス、お願い!」
「任せて!ライトニング!」
「ギャアアアア!」
ここはニルタス山脈。険しく切り立った岩山で多くの魔物が生息する場所の一つとして有名だが、キムラスカ王国とマクシア連合国の国境に存在するため街道は整備され、多くの行商人がこの山に足を踏み入れる。
そんな山の中で、4人の少年達がそれぞれ得物を持って魔物の群れと対峙していた。
少年達はそれぞれが得意とする剣技や魔術を使って魔物を撃破していき、既に群れのほとんどが撃破されていた。そして
「これで最後!獅子戦吼!」
「ピギャアァ!?」
青い光が刃となっている大剣を構えたピンクの髪を雪ダルマの髪飾りでサイドテールにした若葉色の瞳の少女が、ガルーダという大きな鳥の魔物の胴体に、飛び膝蹴りとともに獅子の形のピンク色の闘気を叩き込む。それがとどめとなり、ガルーダは断末魔をあげながら地に堕ちた。
どうやらそのガルーダがリーダー格だったらしく、ガルーダの敗北を悟ると、魔物達は恐れをなして散り散りに逃げ出した。
「ふぅ……よし!」
戦闘が終わったことを確信した少女は、息をつくと青い光の刃の大剣の柄を捻る。すると光の刃はフッと消え、少女は柄だけになった剣を腰のポーチにしまう。
「カノンノ、お疲れ様ー」
「コレット、お疲れ!ロイドとジーニアスもお疲れ!」
「ああ!これで依頼達成だよな!」
「そうだね。リーダーも倒したし、しばらくは大人しくなるんじゃない?」
カノンノと呼ばれた少女に、金髪に白い法衣の少女・コレットと茶色のツンツン頭に赤い服の少年・ロイド、銀髪に青い服の少年・ジーニアスが近付く。
「でも変だったよね、さっきの魔物の群れ。前から色んな種類の魔物が群れを作ってることはあったけど、さっきのは別のところの魔物も混じってたね」
「だよね。プチプリってもっと東のほうの魔物だったよね」
「うん。魔物の移動自体、珍しいことじゃないけど、最近なんだか頻繁だし、妙に気が立ってたよね」
コレットがふと、先程の魔物のことを話題に出した。彼女達は、とある【ギルド】に所属しており、最近この山の魔物が凶暴化しているので退治して欲しいと依頼を受けてやってきた。その凶暴化した魔物が先程の群れである。しかし、他の地方の魔物も混じった先程の妙な群れに、コレットだけでなく、カノンノ、ジーニアスも同じような疑問を浮かべていた。
「んー。まぁ、良いんじゃねぇか?そんなの?」
「いや、ロイド。ちょっとは疑問に持とうよ……」
ロイドは能天気に伸びをしながら3人の疑問にそう答える。あまりに楽観的な発言にジーニアスがつい苦言を言うと、
「でも、ここで考えてても答えなんて分かんないし、それに依頼人も待ってるんじゃないか?」
「あっ!」
「そうだった!」
ロイドの発言で3人はすぐに依頼人のことを思い出す。今回の依頼は急ぎの荷があるから急いで欲しいという依頼だったのだ。
「ロイドの言うとおりだね。早く依頼人に報告にいかなきゃ」
「よっしゃぁ!そうと決まれば早く行こうぜ!【バンエルティア号】まで競争だ!」
「よーし!負けないよ!」
「あっ、待って待って~」
「ちょっと!?いきなりはズルいよ!」
競争を持ちかけ、早速ダッシュするロイドとカノンノ
、二人に続いてコレットと、出遅れてジーニアスが山道を下って麓を目指す。
彼らの次の目的地は彼らが所属する中立自由ギルド・【アドリビトム】の本拠地、空中移動拠点【バンエルティア号】である。
ーーー突如、オルテインに現れた邪龍ティアマトと、救世主ディセンダーの戦いーーー。
ーーーそれは、序章に過ぎないーーー。
ーーー遥か彼方の宙より来る真の滅亡の危機の、ほんの序章でしかないーーー。
ーーーそしてこの時、少女・カノンノは知らないーーー。
ーーー自分と、そして彼女の仲間のアドリビトムの元にやって来る運命をーーー 。
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【?????】
「……………うぅ……………」
「……………お……………れ………………?」
「お………………れ…………ディセ…………ンダ……………ァ…………………?」
「お…………………れ………………ま…………る」
「…………にん………げん……………まも…………る………………」
「それ………………おれ…………り…………ゆう…………」
「……………………おれ…………にんげん……………まもる………………!」
【?????】
「………………………」
「私は……………………」
「……ディセンダー……」
「………私の、使命……は……」
「………………世界の……………調和………………」
「…………確認、完了」
「……………最優先排除対象、確認…………………ティアマトの残骸」
「…………………ディセンダー」
「これより、使命の遂行に移ります」
「……障害となるものは、全て排除します……」
ーーーそして、カノンノは知らないーーー。
ーーー彼女の前に、朱と蒼の相反する二人の救世主が現れることをーーー。