だいぶ日が開きましたが、覚えてますか?
「きゃああああっ!!うっ…!」
蠍の尻尾のようなものに捕まれ、別の場所へと連れ去られたウィザード。ウィザードは尻尾に捕まれたまま地面へと叩きつけられる。
「ぐっ…!っ!?あなたはエターナルが…あぐっ…!?」
ウィザードは拘束から解放され、自分を捕まえた相手を見た。それはかつてエターナルが倒したスコーピオンドーパント、それを模したパーカーのようなものを着た眼魔スペリオル、スコーピオン眼魔がいた。スコーピオン眼魔のパーカーの身頃は、スコーピオンドーパントと同じ蠍の尻尾になっていた。
ウィザードは立ち上がろうとするが、解放したと見せかけたスコーピオンの尻尾の針によって、背中を刺されてしまった。
「………」
「ぐっ…うっ…ああっ…///」
スコーピオン眼魔は、ウィザードの背中にあるものを注入し、ウィザードはそれを注ぎ込まれ、悶絶する。
「ぐっ…この…!」
《エラー》
「っ!?嘘っ…魔力が…上手く…操れない…!」
針を抜かれたウィザードは、フレイムドラゴンへと強化変身しようとするが、毒の影響で魔力が上手く使えず、変身する事ができなかった。
そんなウィザードを陰からベルが観ていた。
(スコーピオンドーパントの毒は結構キツイはずなんだけどねぇ…よく戦えてるよ。フレイムスタイルでどれだけやれるか…さぁてセリス…倒せるかなぁ…?)
ベルはニヤリと笑った。ベルにとってはセリスが勝とうが負けようが関係ないようだ。
《コネクト・プリーズ》
「うっ…魔法自体は使えるけど…身体が思うように…頭も…バカになっちゃいそう…」
「私の毒を受けてよく立てますね。抵抗せずに倒されていればいいものを…」
「ぐっ…!」
フラフラになりながらも、ウィザードは何とかウィザーソードガンを取り出してスコーピオン眼魔へと立ち向かう。スコーピオンは尻尾を操り、ウィザードへ連続攻撃を叩き込む。ウィザードはそれをソードガンで防ぐが、毒の影響で最初の数発は防げても、後の数発は防げず攻撃を食らってしまう。
「ぐあっ…ううっ…!くそっ…!」
視界もぼやけてくる。ウィザードは頭を強く横に振り、何とか立ち上がり、ソードガンを構える。しかしやはりふらつき、片膝をついてしまう。
《バインド・プリーズ》
「ハァッ!」
「っ!ふん…こんなもの…」
ウィザードはバインドの魔法でスコーピオンを拘束するが、簡単に振りほどかれる。スコーピオンはゆっくりと近づいてくる。
「このっ…!」
《アロー・プリーズ》
「ふっ…痒いですよ」
次はアローの魔法で反撃を仕掛けるが、スコーピオンはものともせず近づいてくる。
「ふん…」
「きゃあっ!!」
そしてスコーピオンの強烈な一撃をもろに食らってしまい、ウィザードは吹き飛ばされ、ソードガンを落としてしまう。ソードガンはスコーピオンの足元に転がり、スコーピオンはそれを拾い上げ、まじまじと見つめた。
「ほう…悪くない剣です…ねっ!」
「うっ…!ぐっ…きゃあああっ!」
スコーピオンは奪ったソードガンでウィザードを斬りつける。眼魔に操られてるとはいえ、変身者は真耶。IS使いということもあり、剣術も並の人間よりは上だ。ウィザードはスコーピオンのソードガンによる連続攻撃でボロボロになり…
「ぐっ…くそっ…」
崩れ落ちるように膝をつき、変身が解除される。
「あー…やっぱダメだったみたいだね〜」
戦いが終わったのを見て、ベルが現れてセリスの元へと近づく。
「まっ、よく頑張った方だよ。毒くらってあれだけ動けたんだしね。えらいえらい」
ベルはスコーピオンからウィザーソードガンを受け取り、慰めのつもりかセリスの頭を撫でてあげた。
「あ、あなたは…?」
「あれ、シャルから聞いてなかったのかな…?わたしはベル。シャルのね…まぁ親友だよ。っと、毒くらって苦しんでるとこ悪いんだけど、ちょっとお話したいんだよね」
ベルはセリスに顔を近づけながら言った。
「いっ…たい…何を…」
「グリーンカラーズ」
「…っ!!」
その言葉にセリスはビクッと身体を震わせた。
「小規模でありながらその実力は折り紙付きで、傭兵集団のなかでも最強クラスの集団。セリスの事は色々と調べさせてもらったよ。セリスは小さい頃にそこに所属してたんだってね?」
「…だ、だから何…?」
セリスは平静を装いつつも淡々と答えた。
「いきなりなんだけど…セリスってさぁ…何でIS乗ろうと思ったの?」
「そ、それは…ここを出て会社を…事故で死んだお義父さんとお義母さんの会社を継ぐため…そのための知識を…」
それを聞いて、ベルは笑った。
「うふふ…それっておかしいんじゃないかな?」
「な、何がおかしいのよ…?」
セリスは明らかに呼吸が大きく乱れ、顔が真っ青になっていた。そんなセリスにベルは更に追い詰める言葉を言う。
「違うね。セリスは戦いを楽しんでるんだよ」
「ち、違う…あたしは…」
「じゃあ聞くけどさ、なんでセリスは仮面ライダーとして戦ってるの?そもそもさ…なんでIS装者になってんのかな?会社継ぐんなら技師の方を目指せば良かったんじゃあないの?」
「っ!そ、それは…」
セリスはその言葉を聞いて目を見開く。それはセリスでも思いもしていなかった事だからだ。
「戦いしか知らないんでしょ?誰かを殺したいんでしょ?戦いをしたくてたまらない…だから人を殺す代わりに怪人を倒してるんでしょ?ISを使って誰かと戦いたいんでしょ?」
「違う…やめて…」
セリスは頭を抱えだす、普段のセリスからは想像がつかないくらい追い詰められていた。ベルはセリスの後ろに回り込み、囁くように言った。
「所詮セリスはね…」
「嫌…」
「戦う事や命令される事しか知らない…」
「…やめて下さい…」
「お人形さんなんだよ」
「嫌ぁぁぁぁぁっ!!」
セリスは頭を抱えたまま叫び、糸が切れたように頭を垂らした。それと同時に、腰についているウィザードライバーと指に装着していたウィザードリングが地面に落ちた。
「…あたしは…だぁれ…?おしえてよ…セリス…セリスって…なに…?あたしって…なんなの…?」
虚ろな瞳のセリス。それを見てベルはニヤリと笑い、懐から真耶に使ったのと同じ眼魔眼魂を取り出した。
「ありゃりゃ、壊れちゃったか〜。ま、こっちの予想した通りなんだけどねぇ…」
ベルは持っていた眼魔眼魂を手放す。眼魔眼魂は、セリスの身体の中へと入っていった。入っていったのを確認すると、ベルはセリスの正面に立った。
「大丈夫だよセリス。セリスも眼魔の一員になれば…苦しまずに済むし…みんな幸せになれるんだよ」
そう言ってベルはセリスに救いの手を差し伸べる。壊れてしまったセリスは、その手を見つめた。
「…えへ♪」
セリスは喜んでその手を取った。苦しみから解放してくれる、自分を救ってくれる、その手を。
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「はぁ…はぁ…セリス…何処にいるんだ…」
数分後、一夏はボロボロになりつつも、セリスがいたであろう場所へとやって来ていた。だがそこにはセリスの姿も、敵の姿も居ず、そこにはウィザードライバーと、フレイムウィザードリングだけが残されていたのだった。
次回、社会人になるので遅れます。の巻。