確か…一夏が死んだ?はず…いや、セリスがファントムになった…だったっけ?(すっとぼけ)
三人が寝返ってから二日後。
学園は既に夏休みに入っていた。三人がいなくなった事については、家の事情と一夏が何とか誤魔化してくれたお陰で、学園の方は何とか誤魔化すことには成功していたが、三人の方は一向に見つからないでいた。
古参メンバーの鈴と途中参加メンバーの簪は、町中を出て三人の行方を探しに歩いていた。
「全く…どこに行っちゃったのかしら…」
「織斑君…ボロボロになって帰ってきてた…とても悔しそうで…辛そうだった…」
「ええ。一夏もだいぶ回復はしたみたいだけど、私達の方でもなんとか手がかりを見つけないと…」
と、鈴と簪が並んで話しながら歩いている二人を陰から見つめている二人組がいた。今や眼魔の戦士と化したセリス、シャルだった。
「セリス、分かってる?」
「ええ、もちろんよシャル。これからが楽しみだわ♪」
「うん、僕も楽しみだよ♪研究部が眼魔世界の活動の一翼を担えるなんて…嬉しいよ」
虚ろな瞳のシャルとセリスの手には、セリスの中に存在する同型の眼魔眼魂が一つずつあった…
そしてセリスとシャルは、嬉しそうに二人を見つめるのだった…
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「お身体の方は大丈夫ですか?一夏さん」
「ああ。何とかな」
「だが無理をするな。あれから二日経ったとはいえ、まだある程度は疲労は残っているはずだ」
「分かってるよ。さて、そろそろ鈴と簪が言ってた場所に着くな」
一夏は、研究部の新入りとなったセシリアとラウラを連れて、ある場所へと向かっていた。
「セリスさんとシャルさんが何処にいるかの手がかりが見つかったと言っていましたが…」
「呼びつけるって事は、何かデカいものとかって事か?」
それは、数分前に鈴と簪から送られてきたメールに記されてあった場所で、そこにセリス達が何処に行ってしまったかの手がかりがあると言われている場所だった。
しばらく歩き、一夏達は指定されていた場所へと着いた。
「ここがその場所?」
「何にもないぞ…」
「しかもここはあまり使われなくなった採掘場だぞ。この辺りは確かあまり何も無いはず…」
そこは今では使用がされなくなった古い採掘場だった。しかしそこには何も無く、鈴と簪の姿すらなかった。
と、
「ふふ…待ってたわ一夏」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。一夏達は声のする方向に振り向いた。そこには眼魔の紋章を模した魔法陣が出現し、そこからセリスとシャル、そしてベルの三人が現れ、背後には以前戦った仮面の少女五人を引き連れていた。
「セリス、シャル!なんで眼魔なんかと…!それにお前は…」
「こうやって面と面を合わせるのは初めてだっけ?お、セリスから聞いてたけど、やっぱり新入りさんもいるみたいだね」
ベルは咳払いをしながら、セリス達の前に出る。
「ベルだよ。仮面ライダーネクロムの変身者で、セリスとシャルを私達眼魔の仲間にした張本人でーす」
軽く答えるベル。
「なっ…!お前が二人を…!二人を返せ!」
「ちょ…いやいや…」
声を荒らげる一夏。それに対してベルは呆れた顔をする。
「それで"はい返しますよ"、なんて言うわけないっしょ。今日はあんたに取り引きをしに来たの」
「取り引きだと?」
「そ」
ベルは一人だけでゆっくりと一夏達に近づく。
「研究部を私達眼魔の傘下に加わってほしいんだよね。そうすれば一夏の仲間を返したげるよ」
「ふざけんな!」
一夏は激昂する。が、そんな一夏をセリスとシャルはクスクスと笑う。
「駄目だよベル。だから僕は言ったんだよ。一夏は絶対に取り引きには応じないってさ」
「一夏は仲間の事しか見えてないおバカさんなんだから♪眼魔は良いわ…とても幸せよ…研究部も…一夏も眼魔に下れば…幸せになれるわ♪」
「くそっ…!セリス…シャル…!(二人は操られているだけだ…!二人は絶対…こんな事言うはずが無い!)」
二人がベルに洗脳され、見るに堪えない状態になり、一夏は拳を振るわせた。
「絶対に許せないぞベル…!」
一夏はロストドライバーを装着し、エターナルメモリを取り出す。
「お、やる気?いいよ、やったげる…って言いたいとこだけど、悪いけど一夏にはこの子達と遊んでもらうよ」
そう言うと、セリスとシャルはベルの前に出た。
「ベルの言う事を聞かない一夏は…」
「あたし達がお仕置きしなくちゃ♪」
《スタンバイ》
シャルはゴーストドライバーと出現させると、胸のあたりからシャルを操る元凶であるネクロムゴースト眼魂が現れ、シャルはそれを手に取る。
一方セリスは、左手にプロトメガウルオウダーを装着し、銀色の変身用の眼魔眼魂を取り出し、スイッチを押した。押すと眼魂にはウィザード・フレイムスタイルの顔が描かれていた。
「変身」
「変身♪」
《カイガン!ネクロム!》
《ローディング》
シャルはネクロムの力を宿した亜種形態、ネクロムゴーストに。そしてセリスは、プロトメガウルオウダーにウィザード眼魔眼魂を装填し、仮面ライダーウィザードをそのまま眼魔にしたような怪人…ウィザード眼魔へと変身した。
「くっ…変身!」
《エターナル》
一夏もエターナルに変身し、構える。が、
(エッジは奪われたままだ…そんなので二人を相手できるか…?)
エターナルエッジは、前回の戦いで奪われたままであり、今のエターナルでは仮面ライダーでもある二人を相手にするには厳しい状況である。そんなエターナルの状態を見透かしたのか、ウィザード眼魔は。
「ふふ…エッジが無くて困ってるんでしょ?一夏♪」
一夏を嘲笑いながら、ウィザード眼魔は横に手をかざす。すると、いつもコネクトの魔法で出現する魔法陣が現れ、そこに手を突っ込み、引き抜くと、ウィザード眼魔の手にはエターナルエッジが握られていた。
それに合わせてネクロムゴーストは、ドライバーからネクロムが使うのと同型のガンガンキャッチャーを出現させ、構えた。
「これが欲しいんでしょ?でもあ〜げない♪」
「そうしたら一夏が強くなっちゃうもんね」
「まさに絶体絶命、てとこだけど…これでも応じる気ない?」
「無い!絶対に二人を元に戻してみせる!」
「だってさ。じゃ二人共、やっちゃって」
エターナルは強く叫ぶと同時に、ベルの合図でネクロムゴーストとウィザード眼魔はエターナルに向かって襲い掛かった。
「一夏さん…!」
「助太刀するぞ!」
「おーっと。そこのおまけのお二人さんはこの子と遊んでもらうよ」
「「っ!」」
不利な状況を見て、セシリアとラウラは加勢しようとしたが、二人の足元に突然何かの衝撃が走った。
「二人の楽しみは…」
「邪魔させない…!」
上空から声が聞こえ、二人は上を向く。するとそこには甲龍とクオリディアを纏い、虚ろな瞳で二人を見つめる鈴と簪がいた。
「なっ…!」
「お二人まで…!」
セリス達だけでなく鈴と簪までもが眼魔の支配下に置かれた事に驚く二人。そんな二人に鈴と簪は再び襲いかかる。
「「くっ…!」」
咄嗟にISを展開し、それぞれの武器を構えるセシリアとラウラ。
エターナル、ネクロムゴースト、ウィザード眼魔、そしてIS装者達。全員を見渡し、ベルはほくそ笑んだ。
「面白くなってきたね〜。ゆっくり見物させてもらうよ」
信頼し合ったはずの仲間同士の、ただ傷つけあうだけの無意味な潰し合いが、今始まった。