研究部オワタ\(^o^)/
「ふわぁ〜…つまんないねぇ〜…」
ベルは研究部の仲間同士の戦いを眺めていた。だがその戦況は、実につまらないものだったのか、欠伸がでてしまっていた。その実、エターナルの戦いは一方的で、ただウィザード眼魔とネクロムゴーストの攻撃に対して反撃出来ず、ひたすら受けてばかりでいたのだ。
「はぁ…はぁ…」
エターナルは既に息が上がっていた。ローブもボロボロで、ローブの能力すらも使えない状態だった。
「うふふ…あたし達を盾に取られただけでこんなワンサイドゲームになるなんてね。やっぱり一夏は弱いわ」
「そうだね。セリスの言う通りだよ。そもそもベルの言う事を聞かないからこんな目に合うんだよ、一夏」
対してウィザード眼魔とネクロムゴーストは、擦り傷一つ付いていない状態だった。更にウィザード眼魔には、エターナルの所有するガイアメモリが握られてあった。エターナルがメモリを使おうとも使わず、その隙を狙い、奪い取って自身の持つエターナルエッジに利用して攻撃していたのだ。既にエターナルの所有するメモリの大半はウィザード眼魔とネクロムゴーストの手中に収まっている。
「くっ…うぉぉっ!」
《ダミー・マキシマムドライブ》
「やめて一夏!」
「っ!」
ウィザード眼魔はエッジにダミーのメモリをセットし、マキシマムを発動する。そしてウィザード眼魔は大切な仲間の一人である鈴へと姿を変えた。咄嗟の出来事にエターナルは攻撃をやめてしまう。
「うふ♪お馬鹿な一夏」
「だからこんな隙も出来るんだよ!」
《ダイカイガン!オメガクラッシュ!》
「なっ、しまっ…ぐぁぁっ!!」
その隙を見逃さなかったネクロムゴーストは、オレゴースト眼魂をセットしたガンガンキャッチャーのオメガクラッシュでエターナルを攻撃した。エターナルはそのまま吹き飛ばされてしまった。
(駄目だ…!やっぱり俺にはセリス達を…仲間を傷つけることなんて絶対に出来ないっ…!)
フラフラになりながらも、立ち上がるエターナル。しかし、今のエターナルには戦意がなくなってしまっていた。
「じゃあこれで…あなたはあたし達の操り人形♪」
《パペティアー・マキシマムドライブ》
「うぐっ!?か、身体が…!」
元の姿に戻ったウィザード眼魔は、パペティアーのマキシマムを発動し、エターナルの身体の自由を奪った。メモリを操りし戦士がメモリに操られるというのは、一夏にとっては屈辱的であったが、今となってはそんな事を考える余裕もなかった。エターナルはウィザード眼魔に操られ、指一つ動かす事も出来ず直立不動で立たされていた。
「さぁ…あなたのメモリを全部あたし達に差し出すのよ」
「くっ…!や…やめてくれ…!」
二人に操られ、エターナルはなす術も無く指を鳴らす。そしてエターナルはジョーカーメモリを生成してスロットに入れる。
《ジョーカー・マキシマムドライブ》
ジョーカーのマキシマムを発動して残ったメモリが現れる。ウィザード眼魔とネクロムゴーストは、エターナル以外のメモリを全て回収した。
「うふふ…哀れね一夏」
「これだけ痛めつけてあげたらベルに従ってくれるかな」
ウィザード眼魔はエターナルに近づき、ドライバーからエターナルのメモリを抜き取った。エターナルは変身が解除され、縛られた一夏が姿を現す。一夏はボロボロとなり、戦う力も気力も奪われてグッタリとしていた。
「そっちが先に終わっちゃったか〜。ま、こっちもそろそろ終わりそうだけどね。正味こっちの方が見応えあったけど」
ベルが上空を見上げると、そこには眼魔の戦士になってしまった鈴と簪、研究部の新入りのセシリアとラウラがISを纏って戦っていた。
が、セリス達といった強力なIS装者達の元におり、片やアイルランドの技術力を詰め込んだクオリディアを纏い、代表候補の中でも高い実力を持つ鈴と簪相手にセシリアとラウラは苦戦を強いられていた。
「一夏!」
「一夏さん!」
「余所見してていいのかしら?」
「隙あり…!」
一夏が倒された事に動揺したせいで隙を見せてしまうセシリアとラウラ。その隙を当然鈴と簪は見逃すことも無く紅龍とクオリディアの強烈な一撃を叩き込む。眼魔眼魂を体内に得た影響か、二人の身体能力も少し向上しているのだ。
「きゃあ!」
「ぬあっ!」
地面へと叩きつけられ、二人のISは解除されてしまう。鈴と簪は地上へと降り、ボロボロの二人を取り押さえた。
「鈴さん…簪さん…目を覚ましてください!」
「簪、セシリアの言うことは聞かないでよね。ベルに従えばこの世界は平和な世界へと生まれ変わるんだからね」
「うん…分かってる」
セシリアの説得も無駄に終わってしまう。
「おっ、終わったみたいだね。さてさて…」
戦いが終わり、ベルは縛られたままの一夏へと近づいていった。
「さーて一夏、どう?これでこっちの力ってのが理解出来た?自分達が如何に無力なんだって事をね」
「くっ…!ベル…!」
ベルは余裕の表情で一夏を見て、一夏から腰に装着していたロストドライバーを没収した。一夏はベルを憎悪の目で見たが、今の自分では何も出来ない自分自身にも憎悪していた。
「怒っても無駄だよ。実際一夏は眼魔の力に負けたんだよ。力のない正義じゃ世界は平和にはなせない。でも眼魔にはその力がある。だから一夏…一夏も私達の…『研究部』の仲間にしてあげる」
そう言ってベルは一夏にセリス達と同様に眼魔眼魂を一夏の体内に吸収させようとする。それに合わせて鈴と簪もセシリアとラウラにも眼魔眼魂を吸収させようとした。
力ずくで逃げようにも、周囲にはダークネクロム部隊が囲んでおり、逃げ場はない。屈服するしかない。研究部は眼魔の傘下に加わろうとしていた。
「待って!」
一人の少女が、制止するまでは。
「ん?誰?」
「この…声は…」
ボロボロの一夏は、この声の主が誰か分かった。自分達の仲間の一人…
「まだ一夏を眼魔の戦士にするのは早いわ」
ティアナ…リッカだった。
「ティアナ…」
「リッカじゃん。なんでここに居るの?」
「あなたがセリスとシャルを連れて行って研究部に会いに行ったって聞いて来たのよ」
「私が教えた途端飛び出して行くんだもの。びっくりしたわ」
リッカの後ろから声が聞こえた。イオナだ。一応見張り役として基本的に共に同行しているのだ。
「イオナも来てたんだ。てか"まだ"ってどういう事?」
「本当にいいの?セリスもシャルも無理矢理眼魔眼魂を取り込ませたんでしょ」
「無理矢理ってのは心外だなー」
「そんな事を繰り返していいの?ここまで一夏を痛めつけたなら、もしかしたら一夏も自分から考えを改めてくれると思わない?眼魔の勢力に加わるべきだって」
「うーん…まぁ確かにそうかもしれないけど…」
リッカの提案にベルは考え込む。
「確かにベルって無理矢理なところがあるわよね」
「イオナまで酷いんですけど〜…まぁ…確かにこのまま自由意志無しで一夏も眼魔の仲間入りってのも芸がないちゃあ無いよねぇ…うん。よし決めた」
イオナの言葉にも押されたのか、ベルは決意した。ベルはセリスに合図をすると、セリスはダミーの効果を解除する。跪いた一夏にベルは覗き込むように言った。
「あなたのお友達に感謝だね。5日あげる。その間にどうするか考えといて。諦めて私達の仲間になるか…抗って痛めつけられて私達の仲間になるか、ね。それまでの間は二人は預かっておくよ。心配しなくてもいいよ。眼魔眼魂とか取り込ませたりしないからさ。一夏の行動次第、だけどね。じゃ、良い返事を待ってるよ」
そう言ってベルはセリス達を連れて去っていった。残されたイオナとリッカ。リッカは一夏に近づく。
「ティアナ…どう…して…お前が…」
「ごめんなさい一夏。私は皆に隠し事をしてた。私は…元々眼魔世界の住人なの。一夏が憎む…眼魔の人間なの」
「っ!?そんな…」
「だからもう…一緒にはいられない…」
リッカはそう告げ、イオナの元へと歩いていく。
「ティアナ…!」
「それと…私はリッカ。ティアナは私の…偽りの名前。皆を騙してた…最低な人間の名前よ…さようなら」
リッカは別れを告げ、イオナと共に眼魔世界へと消えていった。
「なんで…お前まで…うっ…」
一夏は消え去るリッカに手を伸ばすが、やがて意識を失ってしまう。
しばらくして、気絶して倒れている一夏に近づく者が現れた。
「………」
その人物は、一夏を見下ろす。
「今度は…間違えないわ」
その人物は、ミサキだった。ミサキは一夏の身体を背負い込む。
「…あなた達もそこで見てないで手伝ってくれるかしら?」
ミサキは近くにある岩場に向かって言った。するとそこから二つの影が現れた。