Re:IS~深緑の狙撃姫~   作:風来のがばお

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前回のあらすじ



哀れ一夏。


望み

「うっ…あ…ここは…?」

 

一夏は目を覚ました。覚ました目に映っていたのは、自分がよく見慣れるいつもの場所、研究部の部室の天井だった。

 

「何で俺はここに…?…っ!これって…」

 

一夏はゆっくりと身体を起こした。そして自分の頭に包帯が巻き付けられているなど、手当てを受けた痕があるのに気がついた。

 

「助けられたのか…俺は…」

「気がついたようね」

 

と、一夏は声のする方向を向く。そこには何故かここに居るのには相応しくない人物、ミサキがそこにいた。

 

「あんたは…?」

「加賀 ミサキ。仮面ライダースペクター…あなたの仲間の一人のシャルをネクロムゴーストに…眼魔の戦士に変えた張本人よ」

「あんたが…シャルをっ…!!うっ…!!」

 

シャルを洗脳した人物と知り、飛びかかろうとするも、まだ先の戦いのダメージが残っている為、全身に激痛が走り、動く事は出来なかった。

 

「クソッ…」

「殺してやりたい気持ちは分かるわ。ごめんなさい、なんて言葉で済むならこんな事にはなってないでしょうね。でもあの時の私には…あの選択しかなかったの。いえ…他にも選択肢はあったのに、選ぼうとしなかったと言うべきでしょうね…哀れね…私は…」

 

ミサキは自分のしでかした事を後悔しながら語った。

 

「あんたの都合は知らない…けど、敵対してたあんたがなんで俺を助けたんだ?」

 

一夏は横になりながら訊ねた。

 

「…贖罪、ってとこかしら。あなた達を犠牲にした事で、私は私の大切な人達へと脅威を取り除く事が出来たの。けど結局はその大切な人達から非難されちゃったのだけれど…」

「………」

「許して欲しい、なんて言わないわ。後悔してる。だからあなたの仲間を助けさせて。それが今の私に出来る…償いだから…」

 

そう言ってミサキは一夏に向かって頭を下げた。

 

「…頭を上げてくれ。謝ってる暇があんならどうやって皆を助けるか考えてくれ…」

「…ありがとう」

「勘違いしないでくれ。あんたを信用した訳じゃない。俺の仲間を救うにはあんたの力が必要だからだ。もし裏切るような真似をすれば…大体は分かるよな」

「ええ。もちろんよ。そんな事…毛頭ないわ。…よろしく」

「…ああ。よろしく」

 

とりあえず、協力の証として二人は握手をした。と、一夏はここで先程から思っていたある事を聞いた。

 

「タイミングがあれなんだけどよ…あんた…どうやってここに来たんだ?ここは研究部のメンバーにしか知らない秘密の場所だったはずなんだが」

「シャルを洗脳した時にシャル自身から全てを聞いたわ。眼魔側もその事を知ってるわ。実質研究部は眼魔側に堕ちたし、こちらの世界のライダーシステムやIS技術も解析されてるでしょうね」

「くそ…」

「分かってると思うけど、"こっちの世界"にとってはあなた達が秘密にしてる事は全てバレてるわ」

 

一夏は悔しい気持ちでいっぱいになった。解析されたということは、魔法使いの奇跡やガイアメモリの能力だけでなく、ISの技術をも手に入れたに等しい。仮面ライダーがそこらのスーパーで売っている食品のように並べられると思うと、一夏はゾッとした。

 

「早く回復してセリス達を助けないと…」

「でも今のあなたはISしか持たないただの人間。あなたのIS…プライム・サイファーでも仮面ライダーの力には勝てないわ、ましてや相手は研究部。当然あなたのサイファーの能力も全て知られてるでしょうね」

「分かってる…セリス達を救うにはエターナルの能力が絶対だ。けどそのエターナルすらもベルの物に…どうすれば…」

「その為に私達がいるんだよ」

 

と、また新たな人物の声が聞こえた。一夏がそこを見ると、そこには二人の少女がいた。

 

「お前達は…?」

「この子達はミライとリコ。あなたの協力者達で、眼魔世界の住人よ」

「眼魔の人間だと!?」

 

一夏は身構える。

 

「待って待って!私達は味方だよ!確かに眼魔だけど、あなたに危害は加えないよ!」

「…どういう事なんだミサキ。説明してくれ。眼魔の人間が協力者なんだ?これから相手すんのは眼魔なんだろ?なのに…」

「ええ。言いたいことは分かってるわ。彼女達はベルのやり方や眼魔世界自体に不信感を抱いてる人間なのよ」

「ええ。実は私達は…こっちの世界の人と友達になって…それでこっちの世界をきちんと調べて、眼魔の世界もきちんと知ろうとしたの」

「そしたら私達が教えられた事とかに辻褄が合わないような記録とかがチラホラ出てきて…」

「それで眼魔世界自体に不信感が出てきたって訳か…」

 

一夏の言葉にミライとリコは頷く。

 

「うん…それにベルの…今の眼魔世界のやり方は…間違ってると思う。人を無理矢理眼魔眼魂で操って世界を平和にするなんて…」

「どういう事だ?眼魔世界は俺達の世界をどうしたいんだ?」

 

一夏は眼魔である二人に問うた。それに対しリコは答えた。

 

「私達もあまり詳細は分かってはないんだけど…眼魔はこっちの世界の人間達に眼魔眼魂を埋め込んで操ろうとしてるの」

「何…!」

「なるほどね…そうすれば眼魔世界が掲げる争いのない…ベルの言う完璧な世界の思想を植え付けることが出来るって訳ね。確かに悪くない考えね。女尊男卑の思想が蔓延してるこの世界を正して且つ世界を平和にするには」

「あんた…!」

 

冷静に分析するミサキに一夏は憤慨する。が、ミサキはその反応を読んでいたのか、一夏を制止する。

 

「考え、よ。あくまで。けど人間の自由意志を奪ってまで得た平和なんて…間違ってるわ。ただ争いも無く、眼魔の世界の意志に従って行動する平和なんて…」

「うん…最初は私達も眼魔のやり方が正しいと思ってた。でもこの世界の人達と触れ合って分かったんだ。無理矢理思想を押し付けて…平和な世界を作っても…それが良い方向に進むとは思えない、って」

「だから私達は…変えたいの。こっちの世界だけじゃなくて…私達の…眼魔の世界も…だから私達はあなた達に協力する。出来る範囲で私達もサポートするわ」

「……恩に着るよ」

 

仲間を失ったが、新たな仲間を得た一夏。反撃の時は、近い…

 

 

 

そして…

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「ふん♪ふふ〜ん♪」

「随分嬉しそうね、ベル」

 

眼魔の宮殿の広間のベンチでベルは嬉しそうに横になっていた。そこにイオナが通りかかり、ベルに声をかけた。

 

「まぁね。今回はかなりの収穫があったからね〜」

「ミライとリコは?最近あの二人を見かけないのだけれど…」

「さぁね?ま、今はあの二人はどうでもいいよ。今は…研究部を…特に"セリス"を手に入れたんだし…ウハウハなんだよ」

「ねぇ…私も上からあまり教えられてないのだけれど…セリスって何者なの?」

「さぁ?でも…セリスはね…私の世界を支配してるジェノバにとって…とても大切な存在だって事なんらしいよ。そんなセリスを眼魔が支配してるとなれば…?」

 

ベルは嬉しそうに笑う。

 

自分の信じた平和への理想が現実となるまで、あと少し…

 

 

 

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