ブリテンは正史であれば、卑王ヴォーティガーンを討った時から破滅の時計が進み始める。ヴォーティガーンは島の守護竜でもあり、神秘を守らんとする者であったからだ。
では何故あのような発言が出たか。
「確かに…ブリテン島の意思と同化した魔竜ヴォーティガーンを倒したことで段々悪くなっていっている状況が段々と良くなり始めているが……何で知っているんだ?」この発言である。
確かに彼女の活躍があったからだが、それは並大抵のものではない。では何故そのようなことが出来たのか、それについては彼女との出会いの経緯を知ることが一番だろう。
▲▼
彼女がケルと出会ったのはフランにも会った後、彼女たちが一緒にいないときで彼が今の実力の八割程を持っていた時だった。
「あなたが、ケル…もう一つの名は◆◆◆。」
その瞬間ケルは当時持て得る限りの力を発揮するために戦闘態勢へと入る。
ただ名前を言ったならばそこまでの反応をすることは無かった。しかし、彼女の口からは当時
だからこそ彼はその言葉の真意を知るべく口を開く。
「なぜ知っている。その名前はいまだ誰にも教えてない筈なのに。」
「……
「
…そうよ。と返事をするがその受け答えの時もただこちらのことを見続けるばかり。
「誰に?」
「
「……………
彼女の言葉はどれも要領を得ない物であったが一つだけ彼女が今の問答で一切の嘘を俺に言っていないことだけは解った。
なればこそどういう意味なのか。それを尋ねようとしてそれよりも先に彼女は
「そう私はこの星、
「なっ…」
そう。嘘をついていないが故の驚き。彼女はその存在を
しかしこのように接触して来るということは既に俺は何らかの抑止力からの妨害などがあったということであろう。
本来であれば抑止力など力であり、このように人と意思疎通するような端末があるわけもない。
だからこそ一つ問わなければいけない事がある。
「なぜ、俺のところに来たんだ」
「……監視対象。あなたの行動を監視する」
「………それだけ?」
「それだけ」
これが彼女との出会いだった。やはり抑止力に産みだされた為に名前がなかった彼女に星の意味を持つスィエルからシエルという名前をつけた。
それからというもの彼女は段々と心を開いていくようになり、少ないながらも笑顔を見せるようになった。
しかし良い事ばかりでも無かった。やはり俺と仲良くしていることが悪かったのであろう。
間接的なものではあるが抑止力からの干渉があった。俺ではなく
だからこそやらなければいけない。大切なシエルを守るために。
そしてこのブリテンの滅びの運命から救うために。
▲▼
自分の部屋で一人シエルと会った時の事を考えていた。否、この表現は正しくない。思い出に逃げていたのだ現実から。
あの後カオスと化した部屋にケイ兄を置いて来て部屋に戻り早めの就寝をした筈だった。筈だったのだ。
なぜなら今横には幸せそうに俺の腕を抱いているフランと
確かにさ、つい最近というか昨日良くなっているっていうことをケイ兄に聞いたばかりなのにまさかもう終わらせていたとは……
そう、彼女にお願いした仕事は居なくなったヴォーティガーンの代わりにブリテンの守護者につくこと。ただしこれは一時の話であり、永久ではない。
だからこそ仮の登録というものだけで良いといったがそれでも予想よりも早かった。これなら
そうしている内にリーンとフランが起きてくる。因みにリーンは起きたらいつも通りの手乗りサイズになり肩に乗ってくる。
「おはようケル」
「おはよう、マスター!」
「おはようリーン、フラン」
「うぅん……おはよう…リーン、フウちゃん。あと……ケリー?」
「おはようシエル、あと俺の名前はケルだよついでみたいに言わないでくれよ…」
「知って……る…わざと…」
「猶更悲しいよ!…というかありがとう。まさかこんなに早く出来るだなんて思ってなかった…」
シエルは自慢するように胸を張り、上機嫌になったのか珍しくいつも眠そうにしている目を開いて
「ケルに頼まれたから、あとは気分」
と言いつつもを頭をこちらに向けて来る。これは頭撫でて褒めてほしいというサインで、昔から一緒にいるこの三人娘は頭撫でてほしいとそれぞれのねだり方をする。
リーンならこちらを盗み見ながら恥かしそうにおねだりをしてくる。普段のお姉ちゃん然とした態度から一転するリーンに毎回頬が熱くなるのは内緒である。
フランは二人と違い真っ直ぐにおねだりをしてくるのであまりそういう意味では恥かしくないのだが、撫でるといつも目を細める姿が猫に似ている。
一度三人の注目を集めるように手を叩く。
「そういえば、
「誰にいって…るの…?」
「すでに出来てるわ。」
「マスターは私たちをよく知ってるでしょう?そんなことはぐ、ぐ…愚妹です!」
「愚問でしょう?」
「そう!愚問だよ愚問!流石リーン!」
そう本来なら用意するどころかそれを作ろうとすること自体魔術師が聞けば発狂するようなもの。当然そのような物は製作難易度はとてつもなく高く、よしんば出来たとしても後天的に馴染ませることは難しい物。それを自信満々に自慢してくるということはそれだけこの三人の頭がお花畑なのか、それとも天才的なのか、勿論後者である。
では俺がこの三人に頼んで自分も少しだが協力して創り上げたものが何なのか。それは別の種類だが、かの
そう、魔眼の類である。
結果それによって生み出されたこの魔眼。今目の前に液体の入った瓶の中にあり、その目は片目だけである。理由としては彼女たちのスペックが高く、思いつく限りの効果をこれに入れてやってみたがそれでも片目で十分らしかった。というより両目でやってしまうと強すぎて制御が出来なくなってしまうかもしれないらしい。
「じゃあ、ケルに入れていくけど別に目を一度くり抜いてから移植する、という訳じゃなくて置換魔法でケルの目にこっちの疑似魔眼に付けた能力を簡単に言えば移しちゃうから一度目を閉じてて頂戴。」
そう言うリーンの言葉に従い、目を閉じる。瞬間、視界が真っ白になったかと思うと目を開けていいと声が聞こえて開けてみると先程と変わったところはない。いや、目が眼へと変わっているのだろう直感でそう判断する。
「違和感はある?能力もしっかり使える?」
「…っあ、あぁ違和感は無い。それに能力は大丈夫だろう。というよりもこんなところで使ったらここら一帯大変なことになるかも知れないからな」
「確かに…最初の方はベンちゃんの中で練習するのが一番ね。そこから少しづつ馴らしていきましょう。」
「じゃあさ、他の奴を試してみようよマスター」
「そうだな…リーン頼んでいたのはどうなった?」
「ん?あぁ、それなら時間制限ありだけど出来たわよ。っていうかこんなの考えるのはあんた位だし、創れるのもあたし達揃っていないと無理だから感謝しなさい。」
「本当に感謝しておりますとも。」
色々言ってはいる物の実際は褒められりことを待っているようだったので感謝しながら頭を撫でた。するとやはり
「ん……。」
「マスター!私も褒めて!」
「わかってるよ、二人ともありがとう。」
そういってリーンから手を放して二人を撫でる。とたん二人は嬉しそうにするが、リーンは少し物足りなかったのか不満そうにしている。だから今度はフランから手を放してリーンを撫でると今度はフランが不満そうになり、シエルから手を放すと……。
以上ループ化。
あの後、何とか三人を満足させて落ち着いたところで
「んでどうよ何とかなりそうなの?」
「何とかなる。一応これが無いことも視野に入れていたからな。」
こう言いながら俺はつい最近魔眼となった左目を上から手で擦りながらリーンの疑問に答える。
それに…と言って
「何とかなるじゃなくて、出来るんだよ。俺はシエルと会う前から少しは考えていたんだから。」
そう。昔ブリテンを救おうなんて子供ながらに思っていた時に思っていたのだ。病気を治すなら根本から治した方がいいと。だからこそ少しだけ本当に少しだけ考えていた抑止力の破壊。ただ人一人で出来る訳もなく、この三人がいたからやろうと思った。と思っていたが一つ不思議に思ったことがある。
「そういえばリーン、」
「ん?どうしたのよ」
「精霊っていろんなこと出来るんだな?」
「え?それってどういうことよ?」
「いやだってベンちゃんとか創ったのはお前だろ?だから精霊っていろんなこと出来るんだなって思ったんだけど……どうした?」
俺が聞くのも当然で俺が精霊って言うたびに手で顔を覆いながら蹲ってしまった。すると珍しくいつもなら無言のシエルがただ一言
「……馬鹿?」
「うっ…そこまで言わなくてもいいだろ…」
普段無口のシエルから言われた真っ直ぐな罵倒に心は硝子なのだぞと言いたくなったが、フランが口を開こうとしているのを見つけ、あっ慰めてくれる!といつもでは思わ無い様な事を考えながら待っていると
「えっとね、マスター…今回はマスターが馬鹿だと思うよ?」
グハッ!あ、あれ?俺どこで選択肢間違ったっけ?
「あんたねぇ、普通だったらここまで出来ないわよ。私はそうね…簡単に言うと精霊以上神様未満?」
「ん?ど、どういうことだよ?」
俺の質問にリーンは少し悩みながら
「えっと…そうね精霊王って感じで良いわ多分。」
「精霊王ってあの?」
「どの精霊王かは解らないけれど精霊の王っていう意味ならあってるわよ?だってベンちゃんの中にいる私の分身みたいのだって元精霊だもの。」
……うちの娘精霊の王らしいです……
その場の空気が変な方向に行きつつある中少し焦ったように
「ケル」
「どうしたシエル?」
「来る」
「何がって聞く方が馬鹿だよな」
「ん…本体が来る。」
「このタイミングか…やるだけやらないとな…」
「本体からの干渉は出来るだけ抑えるけど…それでも、それでも駄目なら三人だけでも…イタッ!」
その言葉を聞いたとき頭の中が真っ白になって今までに感じたことの無い様な感情がこの身体を走ったのを感じた。頭は真っ白なのにどこか冷静で人事のようにこの感情が怒りであると感じることが出来た。
「馬鹿なこと言うな、シエルお前だけなんてことは無いし何があろうと
だからこの言葉は何も隠すことのない心の声と純粋な
「そういうこと。言いたいことは大体ケルに言われたけど大丈夫、みんな一緒よ。」
「そうだよ!だからシエルは安心して私たちと一緒に居ればいいの!マスターが居てリーンもいる、もちろん私もねだから何が来ようと問題ないよ!」
そう答える二人も明るい口調に俺と同じように隠すことの出来ない怒りを含んだもので続く。
「な?だから大丈夫だ。そのためのこの眼で、そのための今までの努力だ。だからその涙は終わってからのうれし涙の時に見せてくれ。」
すると静かにシエルの足元には小さな染みが出来ていた。床から上へ、彼女のその可愛さにどこかに感じさせる艶やかさにある青色の瞳から流れる涙。それから彼女は嗚咽を抑えながら
「あ…、あり……が、と…う、み…んな……」
そう答えるシエルは気づいたら俺と同じぐらいの大きさに変化したリーンとフランに抱き付かれていた。一瞬俺もそれに混ざろうかと思ったが、その光景はどこか神々しさを感じるもので開いていた窓からの光もそれを助長させる。これから俺たちは地球に挑むとは思えないほど長閑で何時もの変わることのないかけがえのない『日常』だった。
しかし時間は刻一刻と過ぎ、運命との邂逅が始まろうとしていた。
それが終わりなのか始まりなのか、それともただの人生の通過点なのかそれは当人たちしかわからない。
ただし、これから語るこの物語は
第八話
斯くして彼等は運命へ立ち向かう
終
如何でしたか?
最近はfgoのイベントが忙しくてほったらかしだったりしました‥申し訳ないです(。>д<)
次もぜひ読んでみてください。お願いしますm(__)m
新版でした。