side〜比企谷〜
歩いて、遺跡に向かっていた。遺跡まであと少しといったところで、ゴゴゴゴと地鳴りが鳴り、遺跡が徐々に傾きだした。ナツが、暴れているに違いない。狙ったのかはわからないが、この傾きで月の光はデリオラに当たらなくなっているだろう
ナツの居場所を確信し、傾く遺跡を見るために止めていた足を動かして歩こうとした時、周りがガサガサと音がなる
その音が聞こえたかと思ったら、草むらを焼き俺に向かって魔法が飛んできた。とっさに屈み、紙一重で避ける
飛んできた方向の森の中から、魔導士が何人も現れた。昨日、儀式をしていた魔導士だろう。よく見ると、なんとも怪しい格好だと思う。せめて、覆面くらい外せばいいのに…。まあ、数が多い。俺一人では相手にならない。俺は数の暴力に、逃げ出した。
その中のリーダー。いわゆる、中間管理職。零帝の命令を聞き、部下に伝え仕事をする。上司と部下の板挟みで、深夜に仕事とか社畜すぎる…。尊敬の念を込めて、リーダー(社畜)と呼ぼう。リーダー(社畜)は、他にも敵がいると勝手に解釈しその場にいた4分の1くらいの人を、俺を追いかけさせる。まあ、その中にリーダー(社畜)は入ってなかった
誰しも仕事は、したくないからな。俺だって、養ってもらえるなら養ってほしい
俺を追いかけてくる人たちは、走って逃げている俺の足に向かって、魔法を放ち足を削ろうとしてくる。
なんというか、まあアレだな。俺もよく使うが、やられる方だとこんなにもうざいんだな。使うのはやめないけど
それを左右にうまく避け魔法が当たらないように気をつける。ある程度距離を取れたところで、腰から銃を取り出し、走りながら撃つ。走りながらと当てるものを見ていないので、変な方向に弾が飛んでいく
撃ってはリロードを続けなんとか、一人の足に一発当たり脱落させる。だが、まだ三人俺を追ってきている
また、しばらく鬼ごっこが続いた。捕まった死ぬとか、どこのリアル鬼ごっこだよ
そして、しばらくしてまわりに回って追われ始めたところに着いた。そこには、ボロボロになっている追ってきている奴らの仲間と、エルザさんとルーシィとハッピーがいた
追ってきていた奴らは、その光景に動揺しているらしく、魔法を撃ってこなくなった。俺は、その間に何発か撃ち動けないようにした
「なに、遊んでんのよ」
「あれが、遊んでいたように見えたか?」
ルーシィが軽口を叩く。俺を馬鹿にしたかのように言っていたが、ルーシィはルーシィでボロボロだった
まあ、しかし先ほどまで、怒りをあらわにしていたエルザさんとその怒りの対象のルーシィが、普通に行動している。ルーシィさん少々、コミュ力高過ぎるのではないですか?俺だったら、喋らなくなり、だんだん疎遠になっていつの間にか消えてるくらいまである
ゴゴゴゴゴゴゴゴとまた地鳴りがなる。遺跡の方を見ると、傾いていた遺跡が元に戻ろうとしていた。どんな手段を使ったにせよ、早すぎる。どうやって直したんだ
「早く行くぞ!」
エルザさんが、指示し俺たちはそれについて行った
side〜ルーシィ〜
遺跡内に入り、グレイとナツを探していた
「何だ!?この音は!?」
「ひっ」
何者かが発した叫び声が、遺跡内に響き渡る。そもそも、声だったのかも疑わしい
「例のデリオラとかいう魔物か?」
「そんな、もう、復活しちゃった訳ー!?」
穴に1つの光の柱ができていた
「あの光は月の雫だ」
比企谷がそう言うと、また叫ぶ声が響き渡った。
「八幡は、下に行け。私とルーシィで儀式を叩く。急げ!」
あたしたちは近くの階段から上に上がり、比企谷は、遠くの方にある階段に向かって行った
急いで登り、すぐに頂上に着く。エルザは、もっと早く走りあたしが、そこに着くのと同時に、儀式をしていた一人の男を斬った。男は宙にまい、月の雫の光がなくなった
「やった!月の雫が止まった!」
「もう、遅ェんだよ!わかれよっ!」
男は生きていて地面に落ちて、倒れていた状態から少し起き上がってから、怒りをあらわにしていた
「儀式は終わったんだよ!」
その瞬間、穴から巨大な光の柱ができた。そしてまた、雄叫びが聞こえた
「そ、そんな」
光が弱くなった時、穴を覗き込んだ。氷が全て溶け消え、デリオラが動き出すのが見えた
「早く行かなきゃ」
エルザと一緒に、急いで階段から下に向かって行った。あたしが行ってもどうにもならないかもしれない。だけど、あたしも戦いたい
side〜比企谷〜
エルザさんたちと別れ、地下に続く階段を降りる。しばらくして前に、傷だらけになっている男がみえた。歩くのもこともままならない様子で、壁に寄りかかりながら階段を降りていた。このまま、放っておいて先に行ってしまうのは、少し気が引ける
その男の隣まで行き、肩を貸す。その男は、俺の肩を見ると意外そうな目で俺を見た
「なんだよ?」
「おまえ…は…あいつらの…仲間なんだろ?だったら…なんで…俺を助ける」
息が荒くなっていて、言葉が途切れ途切れになっている
「お前をこのまま前に進ませるより、肩を貸した方が早く着くと思ったからだ」
ただでさえ狭い階段で、時折フラフラして歩いているのは邪魔でしかない。殴り飛ばして先に進むのもありだと思うが、俺はこいつになんの恨みもないからな
「で、どうするんだ?」
「貸して…もらう」
その男は、俺の肩に手を回し寄りかかってくる。多分もうからだに、殆ど力が入ってないのだろう。ほぼ全体重を、俺が支える。男は地下に行く途中、戦闘の傷と疲れもあり俺にそれ以上喋りかけてこなかった。それだけは、助かった。勢いに任せたところもあるので、まあ少し後悔はしている。いつも、勢いだけで行動しているナツのことを少し尊敬した
そして、二度目の雄叫びがなった。その時には、もう地下についていた。
デリオラを包んでいた氷は、全て溶けきっていた。少し見とれていた隙に、肩を貸していた男が勝手に這いずって、デリオラの方に行っていた
「おまえ…ら…には無理だ…あれは…オレが…ウルを超えるために…オレが…」
と言って、ナツたちに近づいて行っていた。男は、最後の力を振り絞り立ち上がった。デリオラを倒す。その執念だけが彼を動かしている
「もう、いいよ。リオン」
グレイは、その男の後ろに回り込み首もとを軽く叩き倒す。もう力を失っていた男は、地面に倒れもう起き上がることが、できなくなっていた
「あとは、俺に任せろ。デリオラは俺が封じる!」
グレイが、腕を自分の前でクロスさせる。俺は、あれが何を意味するのか全くわからない。だけど、とてつもない量の魔力を含み、倒れている男はとても取り乱す
「オレは、アイツと戦う」
ナツが、グレイとデリオラの間に入り込んだ。俺も、階段付近から動きだす。声は聞こえなかったが、グレイからとてつもない量の魔力が消えた
デリオラが、腕を振り上げナツに向かって振り下ろす
「よけろー!」
「オレは最後まであきらめねェぞ!」
グレイが叫び、ナツは拳に火を纏う。俺は、走るが振り切る前に間に合わない。俺は、少なくともナツは、死んだと思った
だが、いつまでたっても振り下ろされることはなかった。デリオラが力を加えた腕に亀裂が入り砕ける。腹にも亀裂が入る。そして、顔、足、肩と全てに亀裂が入り、砕けていった
「そんな、まさか…デリオラは…すでに死んで…」
デリオラの残骸が落石のように落ちてくる。デリオラはもう死んでいたのか、なら。先ほどまで負の感情まみれで強張っていた顔が、少し緩んだ気がした。全員が、デリオラに集中しているなか、仮面を被った男が、地下から抜け出していくことに、遠目から見ていた俺以外、誰も気付かなかった
side〜ルーシィ〜
急いで階段を降り、地下に着く
そこには、もうデリオラはいなかった。だが、喧嘩していたはずのグレイとリオンが仲よさそうにしていた
エルザはナツを見つけると少し顔が怖くなるが、もうそこまで怒っていない気がする
「いあー!終わった終わったーっ!」
「本当、一時はどうなるかと思ったよ。すごいよね、ウルさんって」
S級クエストの達成に、あたしたちは喜ぶ。夢を見ているみたいだった。大金に金の鍵。だが、その隣には怖い顔をしたエルザがいた
そこで、現実に戻される
「そうだ!お仕置きが待っていたんだ!」
「その前に、やる事があるだろう。S級クエストは、まだ終わっていない」
「だ、だってデリオラは死んじゃったし。呪いだってこれで」
「いや、月の雫の膨大な魔力が人々に害を及ぼしたのだ。デリオラが崩壊したからといって、事態が改善するわけないだろう」
「そんなぁ〜」
じゃあ、本当に月を壊さなければ呪いは解けないって事なの?それなら、絶対無理だと思う
「んじゃ、とっとと治してやっかーっ!」
ナツの能天気さに少しイラっとした
「どうやってだよ」
「まあ、とりあえず。村に行ってみよう。何かわかるかもしれない」
村人たちに一旦話を聞くために、村の資材置き場に向かう。でも、村人は月を壊してくれとしか言わないし、エルザはどうやって解決するんだろう