side〜ルーシィ〜
あたしが、一番疑問に感じた事は、マスターはギルドを壊された事にそこまで怒っていないって事だった。このギルドに入ってまだそんなにも経ってないあたしでも、ファントムに怒りを感じている。あたしがそう思っているってことは、ほとんど全員がそう思っていても不思議ではない
一つのギルドの長であるギルドマスターが、この調子で、他のギルドメンバーたちは、消化不良で持っている怒りをどこにぶつけていいのか分かっていない。だから、みんなお酒を飲んでファントムの事を言っていた
マスターが怒ってないのは、襲われたのが誰もいない夜中のギルドだったことによるものだと、ミラさんは言っていたがあまり納得はいかない。だが、ファントムの件もあってか、あたしたちの罰は軽く済んだ。最悪、破門されると思ったからそれだけは、助かったと思う。なんというか、複雑だ
「なーんか、大変な事になっちゃったなー」
空気が重いギルドから出て、キャリーバックを引いて家に向かっていた。隣には、プルーを出して話をしながら歩いていた。プルーに話ができるかはわからないが、あたしが一方的に話しかけていた
そういえば、ファントムと妖精の尻尾は仲が悪いで有名って話を聞いた事があった。噂では、ギルド創立時の時から仲が悪いらしい。それは、尾ひれがついで、大きくなっただけの噂だろうと思っている
あたしは、ファントムと妖精の尻尾のどっちに入ろうか迷っていた時もあった。同じくらいぶっとんでいるって聞いていたし、ぶっとんでいる方が楽しいと思っていたから
「まあ今は、こっちに入ってよかったと思ってる。だって妖精の尻尾は」
住んでいるアパートに入り、階段を登りあたしの部屋の鍵を開けドアを開く
「サイコーーーッ!!!」
普通に最高と言うだけだったのが、大声もあげて驚く
「おかえり」
「いい部屋だな」
「よォ」
まさか、帰ってきたら家の中に、ナツ、エルザ、グレイ、ハッピーがいるなんて誰が想像しているのだろうか
てか、どうやって入ったの?部屋鍵かけてたよね?え?もう、わけわかんない…なんでいんのよ
机の上には、パンやパスタが置いてあり、少し汚れていた。多分ナツが食べ散らかしたのだろう。そのナツは、まだムスッとしていた。人の部屋を汚しておいて、機嫌悪くしないでほしい
「多いってのー!」
持っていたキャリーバックをナツに投げつける。見事にナツの顔に吸い込まれるように飛んで行った
「ファントムの件だが、奴らがこの街まで来たという事は、我々の住所も調べられているかもしれないんだ」
「え?」
「まさかとは思うが、一人の時狙ってくるかもしれねえだろ?だから、しばらくはみんなでいた方が安全だ。ってミラが」
「そ、そうなの?」
ミラさん、そんな事話してたの?あたし聞いてないんだけど
「今日は、みんなお泊まり会やってるよ」
「へーそうなんだ。じゃあ、比企谷はどうするんだろう?」
ハルジオンからマグノリアまで歩いて帰ると言っていた比企谷の事がを、なんのけなしに言ってみた。距離的に言えば、もうそろそろマグノリアに着いていてもいいのだが、ファントムが襲ってくるってなると今でも一人ではさすがに危ないと思う
「ああ、それならミラが八幡の家に行って帰りを待っている。家に着いていれば、一人ではないから大丈夫だと思う」
エルザの言葉には、少し後悔が混じっている。歩いて帰らさなければ、危険な目にあう可能性を減らす事ができたからなのか。無理矢理にでも、金を貸していればと思っているのだろうか
「え?それ大丈夫なの?えっと、その、女の子1人でなんて…」
「ん?エルフマンが付いているから、ファントムに襲われても大丈夫だぞ」
エルザがそう言うなら大丈夫なのだろう
「大丈夫だといいな」
比企谷が、安全に家に帰れる事を願う。もし、襲われでもしたら、エルザはもっと後悔しなければならなくなる。そんな心配をよそに、好き勝手に、あたしの家を荒らしているメンバーにため息が出る
side〜比企谷〜
やっと、マグノリアに着いた
着いたのは夜で、だいたい予報通りだとはいえ疲れた。列車を使えばよかったのだが、金が頼りない。生きるために働く。働いたら負けだと思っているが、何をするにしても金が必要で働かざるおえない。とはいえ、明日から、また仕事をしなければいけないと考えたら、憂鬱となる
「はぁ」
つい、ため息をこぼしてしまう。今日だけでこの事について、5回くらい考えてその度にため息をしている
ため息をつくと幸せが逃げていくと言うが、俺は、ため息をつかなくても幸せが逃げて行っている気がする。俺の幸せのためにも、誰か俺を養ってくれる人はいないのかな。たまに、家に何日もいなくても怒らない人がいいな。いないと思うけどな
着いたのは家のあるところとは反対側で、街中を歩く事になる。この時間なら、まだギルドはやっているはずだ
明日やるクエストを、選んで行こうかと思って寄る事にした
だが、ギルド付近は暗かった。いつもなら、ギルドの明かりが着いていて、ある程度賑わって明るい雰囲気がある
「何があったんだ…」
ギルドは半壊していて、誰もいなかった
一体何があったというのだ…
ドンと、人間の体に何かが当たるような鈍い音が聞こえた
俺は、音が聞こえた公園付近の路地裏に行った
「なっ!」
そこにいたのは、妖精の尻尾のシャドウ・ギアのメンバーである、ジェット、ドロイが倒れていて、レビィ・マクガーデンが首を掴まれ持ち上げられていた 。俺は、シャドウ・ギアとあまり関わりはない。むしろあまり関わりを持とうと、思ったこともない
だから仲よさそうで、羨ましいなんて、思ったことなんてなくはなくない。チームを組むということは、メリットもあるがそれ相応のデメリットもある。例えば、今みたいに三人なら勝てると油断してしまう、その結果がこれなんだろう
「ギヒッ」
その犯人である者が、こちらを向いて不気味に笑う。レビィ・マクガーデンは俺に向かって口を小さく動かしていたが、音にはなっていない。そして、言い切ったのか、目を瞑り意識を手放した
何を言っていたのかはわからないが、俺もこの犯人と戦わざるおえない状況にいることくらいわかる。その犯人は、さっきからずっと俺を見ている
犯人は、レビィ・マクガーデンを俺と反対方向に向かって投げ捨てる。ドサッと音がなるのと当時に腰にある、銃に手を伸ばす。いきなり俺の目の前に、何が飛んできた
体を無理矢理捻り横に飛び、顔面に当たろうとしていた物を避ける。
それは、太い鉄の棒だった。その太い鉄の棒は、その者の腕にくっついていた
これが魔法だとしたら、鉄の造形魔法か鉄の滅竜魔法もしくは変形系の魔法。立体文字もありえるが、それならわざわざ鉄にしなくてもいいはずだし、もともとあまり攻撃的な魔法ではない
候補の鉄の造形魔法なんて聞いたことがない。それは、俺が知らないだけかもしれないが、鉄の滅竜魔導士ならいると聞いたことはある
路地裏は、暗闇で月明かりだけが頼りだった。まだ、暗闇に慣れていない俺の目では姿は、ぼやけて見える。そのため攻撃も、直前になるまでよく見えない。油断していると攻撃がモロに当たってしまう可能性もある
そのぼやけて見える者に、早めに二発くらい撃ち込み倒してしまおうと、もしくは隙をつくろうと、引き金を引く。一発目が銃口から飛び出す。もう一回引き金を引く。だが、弾は出ていかなかった
一発撃ち込んだところで弾切れになってしまっていた。リロードしようにも、もう予備の弾もない。ガルナ島での戦闘でほぼ全てを使い果たしていた。さらに、このことは不測の事態だったので、まともな準備もできていない。もう武器になる物は…
撃った弾は、弾かれた。体に当たったと思ったら、火花を上げて弾かれる
「鉄竜槍!」
さっきの攻撃より、速く、鋭い攻撃が向かってくる。俺は避けようとするが、体勢が崩れており、完璧に避けることができなかった
それは、俺の横腹を突き刺し、貫通する
「がはっ」
なんとか、致命傷にはならなかったが、急激な痛みに襲われ、立っていることができなくなり、倒れ込む。皮膚が裂けて、血がだらだらと流れている。俺の血で、地面は真っ赤に染まっていた。俺は、攻撃を受けた場所を手で押さえる。痛い、痛い、痛い、痛い
押さえた場所は、穴が空いている。触るたび、グチュグチュと不快な音がする。奴は、俺を見下すように見ていた。そして、傷口を抉るように、横腹を蹴った
「ギヒッ」
やはり、そいつは不気味な笑い声を上げる。そこで、俺は意識を手放した
side〜ミラジェーン〜
私は、エルフマンと一緒に八幡の家にいる。今日はファントムの件もあり、ここで泊まるつもりだ。前に来た時に鍵は、家の前の植木鉢の下にあるのを確認していたためそこを探す。やはり、そこに鍵があった。それを使って中に入る。物はきちんと整えてあって、綺麗だった。というか、全てがこの前来た時と同じだった。あの日から、家に帰っていないんだなと、なんとなく思ってしまう。綺麗なのだが、何日も家に帰ってないから埃だけは、溜まっていた
私は、エルフマンに掃除をしようと提案した。姉の言うことだからだろうか、エルフマンは素直に従ってくれた。掃除と言っても、箒で掃いて、埃を取るだけなので時間はそうかからなかった。ただ時々、エルフマンがニヤニヤしているのが謎だった
部屋の掃除は終わったので、エルフマンにお風呂の掃除と準備をさせる。私は、疲れて帰ってくるであろう八幡の為に、家に久し振りに帰ってくる八幡の為に、料理を作り始めた
あと、八幡には少しお説教しなきゃ。グレイを手伝ってナツたちを止めて欲しかったのに、何やってるのって。本当は、あまり怒っていないけど、たくさんお話をしたい。いつもどこで、何をしているのか聞いてみたい。もっと知りたい…知りたいな、知れたらいいな
私は、八幡の帰りを楽しみに待っていた
だが、その夜八幡は帰って来ることはなかった