side〜ルーシィ〜
「レビィちゃん…ジェット…ドロイ…」
今、あたしはマグノリア病院にいる。目の前に寝ている三人の名前を、呼んでいた。呼んだところで反応は、何もない
レビィちゃんたちは、今朝大怪我した状態で公園の木に貼り付けられていた。そして、ファントムのギルドの紋章がレビィちゃんのお腹に書いてあった。それにマスターは怒り、ファントムとの戦争の準備を他のギルドメンバーにさせ、あたしはマスターに頼まれてミラさんとここまで運んで治療してもらった。
レビィちゃんは頭を強く打っていて、ジェットは腕が折れ、ドロイは足が折れていた。他にもいくつか傷はあったが、三人とも共通して硬いもので殴られたようなアザが身体中にあることだ
「ヒドイ事するんだなぁ…ファントムって」
あたしは、まだギルドに入って一ヶ月しか経っていないが、たくさんの仲間が出来ていた。その中でも、特に親しくなったのはレビィちゃんだった。お互いに、共通点も多くとても話が合う。本の話をしたい時は、決まってレビィちゃんのところに行っていた。いつか、自作の小説を書きたいと話したら、読者一号になるって無垢な笑みで言ってくれた
「許せないよ、あいつら」
あたしは、戦争に行く決意をする。悔しくて泣きたい、目に涙を貯めるがそれ以上は、流れないようにせきとめる。あたしは、病室から出る。そして、左奥の病室を眺める。あそこには、比企谷が眠っている
「比企谷…」
レビィちゃん、ジェット、ドロイの三人の他に襲われていたのが、比企谷だった。この四人の中で一番重症だった。一人だけ血だらけで、比企谷だけは地べたに置かれていた。横腹を槍で、突き抜かれたような傷だったのだが、運良く臓器は傷ついていなかった。だが、思っていたより血を流しすぎていた
医者は、おそらく今日が峠だと言っていた。そして、比企谷だけ別室の個室で寝ている。そこには、ミラさんがついていてその様子を見守っている。あんたが、死んじゃったらエルザやミラさんが悲しむのよ。一番責任を感じてるのは、この二人だ。あたしも少しは、責任くらいは感じていた。たまに嫌な奴だとは思うけど、死んで欲しいなんて思っていない
「死なないでよ…」
あたしは、呟き。歩きだし、病院をから出る。そして、みんなが戦争の準備をしているギルドに向かう
あたしがギルドに行った時には、もうみんなはいなかった。そういうわけで今は、歩いて少しふてくされながらファントムのギルドに向かっていた
「なんでみんな、あたし置いてってちゃうのよ!?」
あたしが、足手まといだからなのだろうか。最近魔力が上がってきた感覚はあるし、ギルドに入る前よりかは強くなった。あたしだって戦えるのに…
ポツポツと雨が降ってきた。だが、空には雲がない
「やだ、天気雨?」
だんだん強くなってくる雨に頭を濡らしては、いけないと思い手を頭の上に置き、雨宿りをできる場所を探して走っていた時目の前に、雨の中から誰かが歩いてくるのが見えた
「しんしん…と」
だんだん近づいてくる人影が、女の人だとわかる。この雨の中、傘をささずに堂々と歩いている人は普通じゃないと思う。ただ、頭が弱いだけなのかもしれないけど
「そう、ジュビアは雨女。しんしん…と」
女の人は、あたしに喋りかけてきた。いきなりすぎて、言っている事の意味がよくわからなかった
「はあ?」
「あなたは、何女?」
また、意味のわからない事を言ってきた。初対面で、こんな会話するような人はそういない
「あの、誰ですか?」
「楽しかったわ、ごきげんよう。しんしんと…」
「え!?なんなの!?」
話が通じないし、何言っているのかもわからない。あと、何?そのしんしんとって?
「ノンノンノン。ノンノンノン。ノンノンノンノンノンノンノン」
変なリズムを取っている音が聞こえる。そして、ジュビアと名乗ったひとの前の道が、少し盛り上がった
「3・3・7のNOでボンジュール」
そして、盛り上がった地面から男が生えてくるように現れた。その現れ方といい、体をくねくねとさせながら、動いている姿に寒気がする。あの女といい、この男といい今日はなんでこんなに変な人と出会うのだろう
とりあえず怪しいから、鍵に手を伸ばし、いつ襲われても対処できるようにする
「ジュビア様ダメですなぁ、仕事を放棄は」
「ムッシュ・ソル」
ジュビアは、お嬢様でこの男はその執事なのかな?じゃあ、別にあたしに関係ないかな。お嬢様とかって変な人が多いし、執事でも変な人は珍しいがいない事はないと思う
「私の眼鏡がささやいておりますぞ。そのお嬢さんこそが愛しの標的だとね〜え」
「あら、この娘だったの?」
「え?」
今、この人たちはあたしの事を標的と言った。よくわからないがやはり怪しい、鍵を一本握りいつでも星霊を出せるようにする
「申し遅れました。私の名はソル。ムッシュ・ソルとお呼びください」
男は、不可解な動きをして挨拶をする。体がどのように曲がっているのだろうか。おおよそ、あたしの知る人間の関節の可動域を超えている
「偉大なる、幽鬼の支配者よりお迎えにあがりました」
「ファントム!?あ、あんたたちがレビィちゃんたちを!」
ファントムという言葉に少し驚くが、それよりも倒さなければならないという思いがそれを上回った。あたしは、手に持っていた鍵を前に突き出す
「開け!金牛宮の扉、タウロス!」
「MOーー!」
タウロスを出し、女の方に攻撃をさせる。タウロスは、上半身と下半身を分断するように斧で切った
「え?」
「ジュビアの体は、水でできているの。しんしんと…」
「水!?」
間違いなく切ったはずなのに…なんで!
「水流斬破!!」
女は、水の斬撃みたいなものを出しタウロスに攻撃をした。タウロスは、地面を転がり気絶する。タウロスを閉門して、新しい星霊を出すために鍵に手を伸ばす
その瞬間、突如と水の球体に包み込まれる。突然の事で、息ができない。必死にもがき、なんとか空気を体に取り込もうとする
「ぷはっ!な、何、これ!」
「ジュビアの水流拘束は決して破られない」
なんとか、水の球体から顔だけ出す事ができたが、また水の球体の中に戻される。水の球体があたしを逃さない。もう、抵抗する事ができないそして、あたしは水の中に溺れた
「ん〜!トレビア〜ン」
「大丈夫、ジュビアは、あなたを殺さない」
女は、水の中で気絶したあたしを見ていた
「あなたを連れて帰る事が、ジュビアの任務だから。ルーシィ・ハートフィリア様」
二人の足音は、雨の中に消えていった
side〜ミラジェーン〜
昨日の私は、なんであんなにのんきだったのだろう。自分で、一人で行動するのは危険だって言ったのに、八幡を迎えに行っていれば、何も起きなかったんじゃないか、もしかしたらみんな怪我なんてしなかったんじゃないか
寝ている八幡を見ていても、罪悪感しか生まれない。だんだん見ているのが辛くなっていく。涙が出そうになる。ここにいたら、もっと涙が出るだろう
ルーシィと話をすれば少しは、気分が晴れるかな?八幡が起きた時辛気臭い顔だけはしていたくない、少しでも心を落ち着かせたかった。私は、八幡の病室から出てレビィちゃんたちのいる病室に向かった
「ルーシィー、いる?…いないの?」
病室に行くと、レビィちゃんたちが寝ているだけで、ルーシィの姿が見えなかった。いや、トイレとかいろいろあると思うから、もう少ししたら帰ってくるだろう
少し待っていようかな。レビィちゃんたちも心配だし
それから、数時間が経った。だが、ルーシィ帰ってこなかった。もしかしたら、昨日の八幡のように何かのトラブルに巻き込まれているのではないの?考えすぎなのかな?でも、もしかしたら…
「…どうしよう」
どうしたらいいのか、わからない
ここでも、涙がこぼれ落ちそうになる。私に何ができるのかわからない。何をしたらいいの…
私は、戦う事ができない。だから、ファントムとの戦争にも行けずに、行かせてもらえずにここにいる。戦えるなら、戦いに行きたかった。フラフラとした足取りで八幡の病室に向かい、中に入る。そして、ベット横の椅子に座った
「たすけて…八幡…」
私は泣きながら、傷ついて眠っている八幡に縋った。それは、とても情けなくて、でも縋らずにはいられなくて、そんな私の事を嫌いになりそうになる
私を、いつも助けてくれる八幡に縋りたかったんだ。本人は、その場にいただけとか、私じゃなくて私に何かあったらギルドの雰囲気が悪くなるとか、お前のためにやったんじゃない俺のためにやったんだとか、捻くれた事いいそうなんだけど
だがその人は、私のせいで大怪我を負い寝ている。そんな人に頼ろうとしてしまったと言う後悔が、さらに胸を締め付ける
…ギルドに戻ろう。これ以上、ここにいたら心が壊れてしまう。後悔に心がほみこられてしまう
私は立ち上がり、歩いていく。重い、重い足取りだった
八幡の事を、レビィちゃんたちの事を医者や看護士に任せて、ギルドに戻っていった