side〜ルーシィ〜
あたしは、冷たい地面の上で目を覚ました。両腕を後ろできつく縛られていて、横に寝かされていた。自力で立つ事も難しい
「え?え!?」
体を起こし、周り確認する。周りは、石の壁で、一部に蜘蛛の巣がはってある。その中では自分の声だけが響く
「何これ!?どこぉ!?」
「お目覚めですかな?ルーシィ・ハートフィリア様」
扉の向こうから声が聞こえた。鉄格子から、少し顔を覗かせ、あたしを見ている。顔は見えるが、その顔は見た事がない
「誰!?」
扉が開き、その人物が入ってくる。言葉遣いは、あたしを尊敬しているようでバカにしているようだった。それが何より、気にくわない。もし鍵や鞭があるなら、ぶん殴ってやりたいくらいだ
「幽鬼の支配者のギルドマスタージョゼと、申します」
その言葉で、あたしが寝ていた。いや、気絶していた理由を思い出した。あのファントムの二人組に負けたからだ。でも、なぜあたしはここにいるの
「このような、不潔な牢と拘束具、大変失礼だとは思いましたが、今はまだ捕虜の身であられる理解のほどをお願いしたい」
「何が捕虜よ!レビィちゃんたちをあんな目にあわせておいて!」
捕虜だとしても、別にあたしじゃなくてもそれは、成立するはずだし。捕虜が欲しいだけなら、レビィちゃんたちを傷付ける必要はなかったはずだ。だが、あの二人組はあたしの事を標的と言った。あたしには、何かしらの利用価値があるのかもしれない。それが、何なのかはまだわからない
「あなたの態度次第では、捕虜ではなく“最高の客人”としてもてなす容易もできているんですよ」
「何それ…」
やはり、そうだった。だが、依然としてバカにしたかのような態度が気に入らない。そして、フェアリーテイルを襲ったことをあたしは、許さない。あたしは、ジョゼを睨んだ。その間少し沈黙が訪れる。その沈黙を破ったのは、カサカサという音とともにあたしのふとももに、登ってきたムカデだった。こそばゆいのと、虫特有の気持ち悪さに体が拒絶反応を起こす
「ひあっ」
手が使えないので、足を振ってムカデをふとももから、振り落とす
「ね?こんな牢はいやでしょう。おとなしくしていればスイートルームに、移してあげますからね。ハートフィリア家のお嬢さん」
「な、何でそれ知ってんの?」
さっきまでの怒りは消え失せ、急に恥ずかしくなっていく。あの時代は、今のあたしからしたら黒歴史みたいなものだ。もしかしたらだけど、未来のあたしは、今のあたしの方が黒歴史だと思うかもしれないけど
そんなことより、恥ずかしい過去を隠したいと思うのは普通だ。だから、隠していた。ギルドのメンバーにも、今まで出会った人にも
ハートフィリアと名乗ってこなかった
「誘拐…って事?」
「いえいえ、めっそうもございません。あなたをつれてくるよう以来かれたのは、他ならぬあなたの父上なのです」
「そんな…うそ…何であの人が」
あの人があたしの事を探すわけがない。あたしなんて気にするわけがない。あの人なら、あたしを探すより養子をとるそんな人だ
「あたし、絶対帰らないから!あんな家には帰らない!だから、今すぐあたしを解放して」
「それは、できません」
まあ、それはそうだろう。依頼で受けている以上、達成するのが仕事だ。お金が絡んでいる、言う事を聞かせたいなら、あたしは最低限、それ以上のお金を持ってこなければならない。あたしは、そんなにお金を持ってはいないし、仮に出せたとしてもここまでやってしまっていたら、あの人はさらに上乗せしてくる
なら、逃げるしかない。今なら鉄の扉は、開いている。幸いにも、すぐそこに外の景色が見える。それなら、ジョゼさえ何とかすれば逃げれるかもしれない
「まあ、あなたには感謝しています。あなたのおかげで、妖精の尻尾を潰せる事ができます」
依頼主がお父さんの時点で、少しわかっていた。だけど、信じたくなかった。あたしのせいで、この戦争が始まった事を。そして、レビィちゃんたちや比企谷を傷つけたのは、あたしの責任だと
他人の口から聞いて、確信に変わった
責任に、罪悪感に押しつぶされる。あたしが妖精の尻尾に入っていなかったら、みんな傷つかなかった
みんなに謝らないと、謝って許してもらえるかわからない。だけど、許してもらいたい。そのためにここから、抜け出す方法を考える
「ト、トイレ行きたいんだけど」
この作戦を考えついた時は、少し恥ずかしかった。この方法は、小説とかでよく見るから試さずにはいられなかった
「これは、またずいぶん古典的な手ですね。それじゃあそちらに」
まあ、案の定ばれていた。そして、ジョゼが指差した方向には、ボコボコに凹んだバケツがあった
「バケツかぁ…」
「するんかいっ!!」
あたしの予想外の行動に、ジョゼは動揺している。顔の表情がだんだんと苦しくなっていく。ついに、後ろを向き、あたしから目を逸らした
「な、なんてはしたないお嬢様なんでしょう!」
バケツがあった事は、起きた時に確認済みだ。そう言われるのも計算しての行動だった。そして計画どおりにジョゼは、後ろを向いた
「えいっ!」
「ネパァーーーー!」
後ろを向いて、油断しているジョゼの股間を思いっきり蹴る。いきなりの事で、ジョゼは叫び声を上げる。そして、股間を押さえ地面に倒れこむ
「それじゃ!お大事に」
倒れているジョゼを放っておいて、外へ向かう。その一歩手前で、立ち止まった
「え?」
そこは、8階の建物の最上階だった。目の前に見えていた景色は、空中だったのだ。
このまま走って外に行っていたら、間違いなくここから落ちて死んでいた。あと一歩のところで、逃げ出す事ができない。周りには、階段というものも見当たらない
「残念…だったね…ここは、空の牢獄」
ジョゼは気力で立ち上がり、あたしに迫ってくる。飛び降りる事はできない。だが、後ろにはジョゼがいる
「さぁ、こっちへ来なさい。お仕置きですよ」
このタイミングを逃したら、もうこんなチャンスは二度と来ない。このまま飛び降りるのは、死ぬ可能性がある。だけど、このまま捕まっていたら、あたしを人質として扱われたらギルドメンバーに迷惑がかかってしまう。なら…
あたしは、意を決して飛び降りた
side〜ミラジェーン〜
八幡から逃げて、ギルドに帰ってきた
ギルドは、昨日鉄の棒の撤去を行っただけで中はまだ、瓦礫まみれだ。八幡の事、ルーシィの事を少しでも忘れるために、ギルドの中の瓦礫を掃除していく。ただの現実逃避だ。最低だ
いつの間にか、ギルド内の瓦礫は全て片付ける事が出来ていた。もう、何もする事がない
壊れていない椅子と机のところまでまで行き、それに座り机にうつ伏せになる。
何かをしていても、何もしなくても、今は何も考えたくないのに、いろいろ考えてしまう。頭中では常に、八幡やルーシィの事を考える。もしあの時こうしていたら、もしあの時こんな事が出来ていたら。どんなに考えても、どれだけ目を背けても、変わるはずのない現在を私は、まだ見れていなかった
こんにちは
読んでいただきありがとうございます
もう夏休みが終わったという事で、忙しくなるので三日更新から週一更新させていただきます
次回もよろしくお願いします