FAIRY TAIL 孤高の男   作:空元気

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21話

side〜ルーシィ〜

 

 

飛び降りた。あたしの命は、ここでなくなる

あたしの耳に、風を切る音が聞こえる。景色がゆっくりと、動いていく。妖精の尻尾の一員として、最後までいれた事は誇りに思う

あたしは、目を瞑り地面に体が打ち付けられるのを待っていた

「ぬおああっ!」

体が地面に落ち切る寸前、誰かに体を抱かれる。力強く、優しい感じがした。真横から、抱かれたためか落ちてきた勢いを殺しきれずに、何回も回転しながら移動する

最終的に、壁にぶつかる事によって止まる事はできた 。当たった壁は、穴が空いた

「ま…間に合ってよかった…」

ナツが、あたしの下敷きになっていて息を切らしていた。あたしを助けるために、どこまで頑張ったのか…

「あ…あ…」

「なんだ?どうした?ジョゼの野郎に何かされたのか!?」

涙が、ボロボロとこぼれ落ちていく

「あたし、生きていてもいいのかな?妖精の尻尾にいてもいいのかな?」

「あたりまえだろ。とっとと帰ろうぜ」

泣きやまないあたしを、座ったまま立ち上がれないあたしを、ナツは、背負ってギルドまで送ってくれた

 

 

 

ギルドに帰ってきて、見えたのは傷ついたギルドメンバーと次の戦いに備えて、武器を用意する光景だった

それに加えて、マスターまで倒れたと聞いた。初めはなんかの冗談かと思ったが、ギルド内にマスターがいないのと、他のギルドメンバーも顔が下がったので、冗談とかじゃないとわかった

それが、あたしの所為かと思うと罪悪感で押しつぶされる

あたしが家に帰れば済む話なんだろう。だけど、もう引き金は引かれている。このギルドに帰ってきてそう思った。もうあたしが、何かしたところでもう、この戦争は終わらない

あたしが死んだ事によって、妖精の尻尾の怒りが増すだけだろう

もしあたしが、妖精の尻尾に入らなかったら、もし家出なんてしなかったら。そんな変えられない過去の事を常に考えてしまう

「妖精の尻尾は、ルーシィの帰る場所はここだ。俺たちが守ってやる。ルーシィもギルドも」

そんな事言われたら、泣きそうになる。だんだんと目に、涙が溜まっていく

ナツは、本当にかっこいい。この男には、家族を守るみたいな感情なだけで、あたしを好きとかじゃないんだろうけど、そう聞こえるから勘違いしてしまいそうになる

 

 

side〜ミラジェーン〜

 

 

みんなが、ギルドに帰ってきた。その後遅れて、ナツとルーシィが帰ってきた。ルーシィは、ミラさんに責任はないよって一番悪いのはあたしだって言っていた。そんな、事はない。だけど、少し救われた気がした

みんな怪我こそあったが、マスター以外は軽傷だった

だが、マスターが抜けて、戦力的に圧倒的にこちらが不利。マスターの穴を埋めるのには、ラクサスやミストガンが必要だった

カナには、通信用魔水晶を持っていないミストガンをタロットカードの占いで探してもらっている。期待は薄い

「ダメ!ミストガンの居場所はわからないっ!」

カナは、タロットカードを投げ捨てる。やっぱり、見つからなかった。ギルドに来る時、私たちをわざわざ眠らせるのだから、身バレなどを、なんらかの魔法で防いでいるのだろう

こうなってくると、不本意ではあるのだけれどもうラクサスに頼るしかなかった。通信用魔水晶にラクサスが映る

「ファントムとの戦争で、マスターは重傷。ミストガンの行方もわからない。頼れるのは、あなたしかいないのよ…」

「あ?」

「お願い…戻ってきて妖精の尻尾のピンチなの」

「あの、クソじじいもザマぁねえなぁ!」

ラクサスは、魔水晶の向こうで笑っている。ラクサスは、妖精の尻尾のメンバーが傷ついても何も思わない。それどころか、最低な言葉を続けていく。聞くに堪えない。少しずつ、怒りがこみ上げてくる

その怒りが頂点に達した時、通信用魔水晶は割れてしまった。あたしが壊してしまった

「信じられない…こんな人が…本当に妖精のの一員なの…?」

目から涙が流れる。これ以上の増援は望めない。ファントムは、攻めてくる。ルーシィだけをさらった前回とは違い、私たちを潰した後にルーシィを捕まえるだろう。それを、傷ついたギルドメンバーではルーシィを守りきる事なんてできない

「こうなったら、次はわたしも戦う!」

「な…何言ってんのよ!」

カナが、私の肩をつかむ

「ダメよ。今のあんたじゃ足手まといになる。たとえ、元S級魔導士でもね」

カナは、冷静だった。救援が望めない状況で、私は冷静でいられなかった。ただ、私はこれ以上傷つく人を見たくなかっただけなんだ

「戦いは、私たちに任せて。ミラは、比企谷くんのお見舞いでも行ってきな」

カナがキメ顔で、私にそう言ってきた。もう私には、そんな資格なんてないと言うのに、もう八幡に合わせる顔なんてないのに

その時、ズシィーンと何回も何回も聞こえた。それに伴って地面が揺れ始めた

 

 

side〜ルーシィ〜

 

 

地鳴りに、みんなが混乱する。その混乱の中、外からコネルがやってきて、みんなを外につれだした。みんな、外に出て呆然とする。建物が、こっちに向かって歩いてきていた

その建物の頂点には、ファントムの旗が掲げてあって、さらにあたしが、捕らえられていた高い塔が見えた

門が開き、砲台が出てくる。その発射口に魔力が高い濃度で集まっていく

「マズイ!全員ふせろォオォ!」

エルザは、あたしたちの前に出て、体を包んでいたバスタオルを脱ぎ捨て、鎧を換装する

「うぁ…」

あんなのが、ギルドがなくなってしまう…。そんなのに当たろうとしているエルザを全員が、止めようとするがもう発射までには間に合わなかった。発射口から、魔力の塊が飛んでくる。一瞬だけ、周りが光に包まれる

あたしは、頭を抱えてしゃがみ衝撃に備える

その魔力の塊は、エルザに直撃し、鎧を砕き、エルザの体を軽々と飛ばす。エルザは、ギルド近くまで飛ばされて、倒れ込む。ギルドは、この砲撃では無傷だった。エルザのおかげで、ギルドは壊れなかった。だが、それ以上に

『マカロフ…そして、エルザも戦闘不能』

ファントムのギルドのスピーカーから、ジョゼの声が聞こえる

『もう、貴様等に凱歌はあがらねえ。ルーシィ・ハートフィリアを渡せ。今すぐだ』

その言葉には、怒りが隠せないほどに入っていた。私と話していた時のような余裕で小馬鹿にしたような雰囲気は、もうなかった。それにギルドメンバーたちは、反論する。あたしにとっては、嬉しいようででも、これから起こるであろう事に辛さも感じる

「あたし…」

「仲間を売るくらいなら死んだ方がマシだっ!」

エルザが血だらけの体を起こして、叫ぶ。それに、ギルドメンバーたちが雄叫びをあげる

「オレたちの答えは、何があってもかわらねぇ!おまえ等をぶっ潰してやる!」

『ほう…ならば、さらに特大のジュピターをくらわせてやる!装填までの15分恐怖の中であがけ!』

もう、隠しきれていなかった。ジョゼは怒鳴り散らした。あの砲撃がまた、撃たれると聞き、全員が騒めき出す

ファントムのギルドからは、兵が出てきた。みんな戦おうとしている。あたしだって、戦う。あたしの所為でこうなっているのだから。みんなだけが傷つくのは、もう見たくないよ

 

 

 

side〜比企谷〜

 

 

「ゲホッ…ゲホッ…」

苦しくなって、目を覚ます。今は、何時だ。部屋に時計はない。窓からの景色は、明るかった。少なくとも、あれから半日以上は経っている

そういえばと、俺は横腹をさする。なかった。貫かれて抉られていたはずの横腹は、もう治っていた。それは、もうそこには最初から傷がなかったかのように、綺麗だった

「はっ」

その事実に、息が漏れる。笑えてくる。ガルナ島での悪魔化のせいでここまで進んでしまったか…

いよいよ、化け物じみてきたと思う。こんなに回復が早いなんて、漫画や小説の主人公くらいなもんだ。普通なら、ギリギリ死ぬか死なないかくらいの傷をあの時負ったと思っていた。ということは逆説的に考えて俺、主人公だな。うん。笑えないわ

まあそんなことより、ここがどこなのかわからない。窓にカルディア大聖堂が見えているので、ここがマグノリアである事はわかるのだが…

とりあえずはやく、ギルドに行って状況を確認したい。ギルドに何が起こったのか、なんで襲われたのかわからなかったら対策のしようがない。ベットから出る。足元が少しふらつく、まだ血が足りてない証拠なんだろう。しかし、歩くのに邪魔な輸血機器を取り外し壁の方により、慣れるまで、壁伝いに歩く

扉を開け部屋から出て、一本道を歩く。ちょっと歩くと、扉か開いている病室にジェットやドロイ、レビィ・マークガーデンが寝ていたのが見えた。こいつらも無事だったのか。まあ、死んでなくてよかった。こいつらが死んでしまったらギルドの空気が少し重くなる。

二年前もそうだった。良くも悪くも、妖精の尻尾は、仲間想いだと思う。襲撃者が誰かはわからないが、今頃ナツやエルザさんに殺されていてもおかしくないだろう。マジ哀れ

俺以外にも怪我人や白衣を着ている人がいることから、病院だと確信を持てた。ギルドの誰かがここに、運んできたのだろう

 

病院から出ると、地鳴りを感じる。巨大な何かが、歩いているかのような音と振動が地面から俺の体に伝わってくる。その音源を探すため、ゆっくりと一回転するように周りを見渡す

街の中心のカルディア大聖堂の向こうには、大きな湖がある。その湖の前に妖精の尻尾のギルドが立っている。ここからでは、他の建物が邪魔をしてギルドは見えないが、多分湖の上なんだろうか、大きな建物が建っているのが見えた。数年、この街に暮らしていたがあんな建物は見た事がない。しばらく注目していると、そこからとてつもない濃度の魔力の塊が飛び出した。その場所一帯が光に包まれていた

 

 

着弾点からは、砂煙がもくもくと巻き上がっていた

 

 

 

 

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