side〜ミラジェーン〜
三人目のエレメント4を倒したグレイと合流して、四人目を倒すべく走っていた。あと一人なら、なんとか間に合うかもしれない。早く倒して、早く八幡を助けに行かなくちゃいけない
いきなり、床が揺れ始めた。エレメント4と私たちとの戦いで傷ついていた、天井や壁から小さな石の破片が、瓦礫が落ちてくる
「なんだ!?」
「ナツの奴がやったのか!?」
ロボットが止まり、それに伴って煉獄破砕も消滅した。動力源を失ったロボットは、自分の体を維持する事が出来ずに崩壊していく
だが、まだ安心する事が出来ない。マスタージョゼはもちろんガジルも倒せていない。それに加えてあの少年も残っている。八幡が負けるとは思ってないけれど
エレメント4との戦いで消耗しきった私たちにとっては、正直きつい。勝ち目なんて、ないに等しい
突然、スピーカーから音が鳴った
『妖精の尻尾の皆さん。我々は、ルーシィを捕獲しました』
そんな…隠れ家がばれたの……なんで…あそこは、誰にもわからないはずなのに…私のした事が裏目にでたの…
『一つ目の目的は、達成されたのです』
ドコッと鈍い音と共に、ルーシィの悲鳴が聞こえた。ごめんなさい…ごめんなさい。心の中で何回も何回も謝る
『聞こえただろ?我々に残された目的はあと一つ。貴様らの皆殺しだ。クソガキども』
そこで、放送が終わった。ルーシィがまた攫われたという事実が、耳に、頭に残る。私は心ここにあらずのまま、エルフマンたちに引っ張っていかれるように歩いていく
なんでだろう私のやる事なす事全てが、悪い方向に行っている。私が、一人で行動しないでと言った結果、チームシャドウギアが傷を負った。そして、ルーシィを隠れ家に連れて行ったから捕まって、今はジョゼの所にいる。リーダスだってどうなっているかわからないけど、多分傷ついている。もしかしたら、戦場にルーシィを置いておいたほうがよかったんじゃないかと思う。そして、今八幡だって…
罪悪感、自己嫌悪、後悔、それらが全て頭の中で渦巻いている。私の感情はグチャグチャに、ドロドロと
side〜比企谷〜
地面に打ち付けられる前に、なんとかしなければならない
幸運な事に今は限界解除中だ。これなら、なんとかできるかもしれない
「腐魔の激昂!」
口から、下の地面に向かって撃つ。無論、硬い石材が、腐る事はまずない。ただ、落ちる勢いを殺すために使う
俺の考えた通り、ある程度の勢いを殺す事に成功した
「痛っ」
背中を、地面に少し打った。あの高さから、落ちてこの程度ならまだマシか。俺は立ち上がり、服の汚れを払う。その時、地面に、血が一粒落ちた。鼻から血が出ていた。腕で鼻をこすり、拭き取る
そういえばと思い、限界解除を解いた
「ゴホッ、ゴホッ」
突然の咳に俺は口に手を当て咳き込む。当てていた手があったかいなと思って、手のひらを見ると血がべっとりと付いていた。さすがに無理をしすぎたからなのか。だがまだ、終わっていないのだ。体に鞭を打って壁に手をつけて歩き出す
歩いてほど近い場所に、広い部屋があった。エルザさんが、瓦礫に背中をつけて座っていた。なんというか、傷だらけで、少し押せば倒れてしまいそうなくらい痛々しい姿だった。いつものエルザさんなら、どんな状況でも敵地でこんな姿になることなんてない
「八幡!」
後ろから、二人以上が走ってくる音と俺を呼ぶ声が聞こえた。振り返ると、そこにはミラさんとエルフマン、グレイが走ってこっちに向かってきていた。俺は、自分は大丈夫だという事と手で伝える。それよりもとエルザさんの方を指差す
「何で、こんな所に!?」
三人とも、エルザさんを見て、驚いていた
ん?いや、エルザさんならここにいても不思議ではないだろ。むしろ居なかったらエルザさんじゃないまである
「八幡か、大丈夫…なのか?」
「あ、ああ、まあ大丈夫だといえば大丈夫だ」
エルザさんが、俺の心配をしてくる。俺の心配より、自分の心配をした方がいいと思うぞ。近くで見るとさらに痛々しくなる。そんな、俺を見てエルザさんは笑った
その瞬間、全員に悪寒が走る
「な、何だ。この感じは!?」
「いやいや…見事でしたよ皆さん」
この部屋に入ってきた入り口から手を叩きながら、賞賛する言葉ととんでもない量の魔力と共に、ジョゼはやってきた
「まさか、ここまで楽しませてくれるとは、正直思っていませんでしたよ」
向かいあってるだけで吐きそうになるような魔力だ。さすが、聖天十大魔道の一人なだけはある。魔力がオーラとして出ている
「さて…楽しませていただいた、お礼をしませんとなァ」
すぐさまエルフマン、グレイが先頭に立つ。それは、本能的に戦えないミラさんを守るための盾になったようだった。だが、ジョゼの力の前では、それの盾は意味をなさなかった。ジョゼの撃ち出した魔法は、地面をえぐり真っ直ぐに飛んできた。範囲が広く直撃したエルフマンとグレイは打ち上げられ、後ろの壁に激突した。ミラさんは、その衝撃で、吹き飛ばされた
俺とエルザさんは、その魔法が届かない安全圏にいた為被害を受けるなかったが、ジョゼにとったの軽い挨拶みたいなものが、この威力なんだと思うとゾッとする
スタッと後ろの方で、上から下に人が飛び降りてきたと思えないような軽い音がした。振り向くと、そこにはあの少年がいた
ここでくんのかよ。あの圧迫感がまたやってくる
後ろには、あの少年が前には、ジョゼがいる。もう、無理だろ。土下座すれば許してくれっかな?
「八幡、背中を任せてもいいか」
エルザさんは、諦めてはいなかった。それよりも戦う事を選んだ。それにあのエルザさんが、言ったことを断るなんて死を選ぶのと同じだ。やるしかないか
「あんまり、期待すんなよ」
武器は、もうない。撃てないが、この銃を鈍器として使うしかない。銃を二丁両手に持つ。多少なりに威嚇にはなるかもしれない。そうして、俺とあの少年の第二ラウンドが始まろうとしていた
side〜ルーシィ〜
あたしは、今壁に貼り付けられていた。レビィちゃんたちと同じように貼り付けられていて、頑張って固定している物が取れないか抵抗していた。その間、あたしを貼り付けた人、ガジルは鉄のナイフを投げつけてきていた。初めは、あたしから遠かったものがだんだんと回数を重ねる事で、近づいてくる
投げられたナイフは、風を切ってあたしの顔めがけて飛んでくる。当たるかと思ったあたしは、目を瞑り顔を背けた。そのおかげで、ギリギリ当たらなかった
「あっぶねー!今のは、当たっちまうかと思ったぜ!ギャハハハ」
ガジルは、あたしを使って遊んでいるのだ。周りの人間は、もうやめろと強くなったのか、ガジルの説得にかかる
だが、ガジルはそう言った奴に頭突きをする。頭突きをくらった人は、地面に亀裂が入れ、頭からめり込んだようになっている。ただの頭突きなのに、あんな風になるなんて、無茶苦茶だ
「ったく、くだんねえな。この女が金持ちって知って尻尾の奴等も必死だぜェ」
また、ギャハハハとガジルは笑った。なぜか、笑いがこみ上げてきた。クスと小さく笑う
「んー?何か言ったか?女ァ」
耳がいいのか、ガジルが反応してきた。レビィちゃんや比企谷は、こいつにやられた
「アンタたちって本当にバカね。かわいそうで涙が出てくるって、言ったのよ」
少しくらい、皮肉を言わせてもらいたい。何かで、どうしても一矢報いたかった
「へぇー…この状況で虚勢がはれるとはたいしたタマだ」
「アンタたちなんか、少しも怖くないし…」
あたしが言い切る前に、ナイフが飛んでくる。また、顔の近くに当たる。足が震える、これ以上言ったら今までの遊びとは違い、確実にナイフを当てに来るだろう
それでも、あたしは言葉を続ける
「あたしが、死んだら困るのはアンタたちよ。妖精の尻尾は、決してアンタたちを許さない!そういうギルドだから」
ファントムみたいな、ギルドじゃないから。ナツは、あたしに妖精の尻尾にいてもいいと言ってくれた、守ってくれると言ってくれた
「世界で一番の恐ろしいギルドの影に毎日怯える事になるわ。一生ね」
あたしは、これで言い切った。最後まで、抵抗できてよかった。ナツが、そう言ってくれなかったらとっくのとうに諦めていた
ガジルはナイフを投げる、やはりさっきまでとは違いあたしに確実に当てに来ていた
目を瞑り当たる瞬間を待つ
突然目の前から、大きな音が鳴り、鉄の音が砕かれる音が響き、爆発音の後に多数の瓦礫が勢いよく落ちる音がした
あたしは、瞑っていた目を開けた
そこにはナツがいた。炎を体に纏い、まるで竜のようだった。まだ、短い付き合いだが今までにあんなナツを、見た事がない
次の瞬間ナツは、ガジルを殴り飛ばした