FAIRY TAIL 孤高の男   作:空元気

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7話

side〜比企谷〜

 

キィィィィンと風を切る音、そしてうおぉぉっと言う、何というか人間の声みたいな騒音で、目覚める

何分意識が飛んでいたかは分からないが、俺は生きている。あの時は死んだかと思った。起き上がろうとするが、起き上がる事ができない。背中が痛く、体がまともに動かせない。

だが、俺は体に鞭を打ち、無理やり体を起こし、線路の上まで戻る。

そして、エリゴールを追って線路上を歩き、クローバーの街を目指す。何歩歩き、倒れる。また、立ち上がり、歩き出す。俺は基本ただの人間なんだよ。ナツたちみたいに頑丈じゃないし、強くもない。それでも、俺はやらなければならない事がある。俺にしかできないわけではない。それでも、俺にはしなければならない。死んでいったあいつらの為に

 

 

side〜ルーシィ〜

 

あたしたちは、バルゴに、穴を開けさせてを魔風壁から抜け出して来た。今線路の上を魔動四輪者で走っている。運転しているのはエルザで、グレイと鉄の森カゲヤマと一緒にのっている。話してみてはいるのだが、すごく暗い。急に魔動四輪者が停車する。その衝撃で、あたしのお尻が、カゲヤマの顔に当たる。

「でけぇケツしてんじゃねーよ」

事故とはいえ、その発言は乙女に対して言うには、いささかよろしくない。

「ひーっセクハラよ!グレイ、こいつ殺して」

グレイに向かってそう言うが、グレイは反応せずに、魔動四輪者から降りて前方に走って行った。不思議に思い、あたしは前方を見る。そこには、傷だらけの比企谷八幡が歩いていた。グレイが比企谷に追いつき、話をしていた。途中で、比企谷がグレイの話を無視し、歩いて行こうとし、倒れこんだ。グレイは説得しても、絶対乗らないと思い、倒れている比企谷を担ぎ魔動四輪者の元まで歩いてきた。グレイと比企谷を乗せ、魔動四輪者は走り出す。

あたしは、比企谷の事がよくわからない。ボラの時の、異様な強さ。だが、ハコベ山であった時は血だらけになっていて、今も傷だらけになっている。比企谷を寝かせるため、椅子を一列分開け、そこに横たわせる。

「はっは、やっぱりエリゴールさんは強いんだ!ナツって奴も多分今頃負けてるぜ」

カゲヤマはそう言う。確かにその通りなのかもしれないが、あたしはナツが負けるとは思ってはいない。

あんなに強いナツだもん、負けるはずがない。あたしは、寝ている比企谷の傷の手当をした。出血の割に、外傷が少なかった。ほとんどが皮膚が切れているだけだったが、背中だけは、重症だった。何よ、こいつ。黙っていれば、結構いい奴なのに

しばらく、魔動四輪者を走らせる。そしてナツと合流した。ナツの横には倒れているエリゴールがいた。様子を見るに、ナツはエリゴールに勝ったのだろう

「遅かったじゃねぇか。もう終わったぞ」

各々が、各々の感想を言う。あたしは、今にも倒れそうな、エルザを支えていた。エルザは、ちょっと気分が落ち着いたのだろう、あたしから離れる

「何はともあれ見事だ。ついでに、定例会の会場へ行き、報告と指示を仰ごう」

そう言った瞬間に、魔動四輪者が走り出す。カゲヤマが、魔動四輪者を動かしたのだった。あたしたちは向かってくる魔動四輪者を避ける。

「ララバイはここだーー!油断したな妖精ども」

カゲヤマがあたしたちが乗ってきた、魔動四輪者に乗ってララバイを奪い、クローバーの街まで行ってしまった。まだ、あそこには比企谷が乗っている

 

 

side〜比企谷〜

 

突然の荒い運転に、目を覚ました。今日は、こんな起き方ばっかりな気がする。傷は手当てされていて、少しは楽になっていた。周りを見るが、誰もいない、いるのはカゲヤマと呼ばれていた男だけだった。カゲヤマは油断しているのか、ぶつぶつ呟いていた。

腰に付けてある、銃を取り出し、構えた。ここで、仕留めれば楽なのだが、この魔動四輪者を運転する人がいなくなり、俺は死んでしまう。

俺は諦め銃を降ろし、目をつぶった。

しばらくして、魔動四輪者は止まり、カゲヤマが降りる。と同時に、魔動四輪者の上をにマスターが乗っていた。マスターはカゲヤマの肩を叩き、振り返った時にほっぺに指をさす。

「なっ!」

カゲヤマはびっくりして、距離をとった。マスターは笑い、むせてしまう

「いかんいかん、こんなことしてる場合じゃなかった。急いで、あの3人の行き先を調べねば」

マスターは怖いものを見たような顔をして言っていた。あの3人ってエルザとナツとグレイのことか。あの3人がチームを組んだら、何が起こるか分からないからな。

「お前さんもはよぉ帰れ。病院に」

マスターはそう言って、魔動四輪者から降りて、歩き出す

「あ、あの一曲聴いていきませんか?病院は楽器が禁止されているもので」

マスターはララバイに気づいたのだろうか?俺には分からない。

「気持ち悪い笛じゃのう」

「見た目は、ともかくいい音が出るんですよ」

俺は、見ているだけだった。先程、マスターがカゲヤマに話しかける前に、俺に、何もするなと合図が出していた。俺は、平社員なので、上の命令には逆らえない。よって、見守ることしかできなかった。

カゲヤマはララバイをなかなか吹かなかった。

「どうした?早くせんか」

だが、カゲヤマはララバイを吹かない

「さぁ」

それでも、カゲヤマは吹けなかった。今まで信じていたものが、グレイやルーシィやエルザ、ナツが壊した。何が変わると信じていた

「何も変わらんよ。弱い人間は、いつまでたっても弱いまま。もともと人間なんて、弱い生き物じゃ。1人じゃ不安だから、ギルドがある。仲間がいる。寄り添いあって歩いていく。不器用な者は、人より多くの壁にぶつかる。そこに、寝ている者も含めてな。しかし、明日を信じて踏み出せば、おのずと力は湧いてくる。強く生きようと、笑っていける。そんな笛に頼らなくてもな」

カゲヤマは、ララバイを落とし膝を地面に付け、手も地面に付けて

「参りました」

と言った。その瞬間に、ナツたちがやって来た。エルザはマスターを引き寄せ、抱く。マスターは、鎧に頭をぶつける。これで、この一件は終わりなのだろうか?ララバイは、ゼレフの悪魔ではなかったのか?そんな疑問の答えは、数秒後に出た。

笛がいきなり、喋りだしたのだ。笛から、紫色の煙が出て、段々大きくなっていく。そして、怪物を形成した。

「ワシが自ら、貴様等の魂を喰ってやる」

ゼレフの書の悪魔が出てきた。ゼレフの魔法である、生きた魔法それが、ララバイである。

俺は体を起こし、軽く準備を始めた。今から、第2ラウンドが始まる。

ララバイが、口から何かを出そうとすると同時に、ナツ、エルザ、グレイが走って、接近する。エルザは換装して、足を斬る。それに、ララバイが反応している間に、ナツが駆け上り、火を纏った足で、ララバイを蹴る。ララバイの体勢が少し崩れるが、ララバイは負けじと、口から魔法弾を出す。ナツはそれを避けるが、軌道上に他のギルドマスター達がいた。

そこに、グレイが走り込み、盾を一瞬で出し、ギルドマスター達を守る。そして、氷の槍を作り、ララバイに当てる。すごい破壊力で、ララバイの体を削り取る。

「今だ!!」

その掛け声を聞き、エルザはまた換装し、一撃の破壊力を増加させる鎧に、ナツは右手と左手の炎を合わせる。

それをララバイに叩きつけ、エルザは下半身を切り落とす。ララバイは後ろに倒れ込み、建物を壊す。砂けむりが舞う。徐々に煙が晴れていき、ナツとグレイ、エルザの姿が見えた。だが、その後ろには、切り落としたはずの、削り取ったはずの、倒したはずのララバイが、無傷かのようにいた。

エルザは魔力切れのようで鎧が消え、そこに倒れこむ。ララバイはエルザに向かって、殴り込む。ナツとグレイは走り込み、グレイは盾をはり、ナツはエルザを抱える。

だが、グレイのはった盾にヒビが入っていく。もう少しで、割れそうだった。やっと、準備が終わった。ルーシィは、今にもララバイに向かって行きそうだった

「お前じゃ無理だ」

と、俺はルーシィに言い、ララバイに向かって走りだす

「限界解除」

と呟き、疾風の如く走り手を握り、思いっきりララバイを殴る。ララバイはその衝撃で、少しよろめいた。

「グレイ、ナツ、遠くに行ってろ!」

俺は、そう言って、ナツ達を後退させる。ナツ達が行ったのを、横目で確認し、ララバイの攻撃を躱し、ララバイの足に触れる

「腐魔の腐乱掌」

俺が触れたララバイの足が急速に腐っていく。それがララバイの体全体に広がっていき、崩れ落ちる。

「うぐぅ。バ、バカな。ワ、ワシに、何をした」

そして、ララバイは消滅した。

それと同時に、俺は血を吐き倒れこんだ。

 

side〜ルーシィ〜

 

あんなに強いナツやグレイ、エルザの攻撃を受けたにもかかわらず、ララバイは立っていた。ナツ達ならまた何とかしてくれる、そう思っていた。だがエルザは魔力が切れて動けなくなっていて、グレイが出した盾はもう崩壊寸前で、絶体絶命だった。だけど、あたしは動けなかった。あたしなんかが、敵うはずがない。じゃあ、誰がマスター達を守るのか、あたしが、あたしが行くしかないんだ。足は震えている。あたしは、自分の顔を叩き気合いを入れる。

「お前じゃ無理だ」

と、隣から声が聞こえた。振り向くと、誰もいない。前方には比企谷が、ララバイに向かって走っていた。

「何なのよ、あんただって弱いじゃない」

ナツ達でも、敵わなかった敵に比企谷なんかが、勝てるはずがない。あたしはそう思った。

しかし、あたしの予想とは違い、比企谷の攻撃でララバイはよろめき、ララバイの攻撃はいとも簡単に躱す。そして、ララバイは比企谷の手によって倒された。

あたしは、今見たものが信じられなかった。夢なのかなとも思った。だが夢ではない。そして、比企谷は血を吐き倒れる。グレイが比企谷の下に行くが、あたしは動くことさえできなかった。

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