夏侯の鬼才   作:聖:

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オリ主の存在により、原作キャラの性格、思考が若干の違和感があるかも知れませんが、仕様ということでご容赦下さい。


第1話

最近、街を賑わす商人や民達の話題は専ら此処の所噂が絶えない黄色い装束を身に纏った集団である。

初めは只の賊徒の集団に過ぎなかったが徐々にその数を増やし今では五万を超えて、賊徒では無く国内に出来た最大の叛乱分子と認識されるまで然程時間は掛からなかった。

四百年続く漢王朝だが、その中には不満をもつ者らによる叛乱は存在したが、朝廷の力により早期鎮圧される。しかし今回の叛乱は今までの叛乱とは規模も勢いも違う。

今回の叛乱は漢王朝の地盤を揺るがしかねない程の規模になりつつあり、今もまだその規模は膨らみ続けている。

そんな黄色い装束の集団、”黄巾党”と呼ばれている者達を率いているのは張角という者だ。

その張角は黄巾党内部の一握りの者にしか姿を見せて居らず、黄巾党の中で情報規制されているようだ。

張角の人相顔は幾つもの県や郡の街に張り出されているが、その姿は人では無く、黒い剛毛で覆われた足を幾つも携え人の顔をした蜘蛛の様な姿が映し出されている。

こんな妖が存在するのかと思うが、姿が露見せず、奇跡の技により治療法の分からない病を治すと噂されている為、人では無い方が信用できる、というのが民達の見解だ。

そんな怪物が率いる黄巾党を実質率いているのが、その妹達である張宝と張梁だ。彼女らは太平道の力に魅了され、奇跡を信じて集まってきた烏合の衆を鍛錬し、唯の賊徒では無く軍としての統制を確保した。それからの黄巾党は飛ぶ鳥を落とす勢いで規模を拡大させている。

「とまあ、これが今話題の世の中の動きかね。」

今の世の状況を整理しながら、川辺に鎮座している大きな岩の上に腰を据え、釣竿から垂れる釣糸を眺める。座っている青年は黒髪を肩の下まで伸ばしており、紐で一纏めにしている。顔は整っており身に纏っている衣服は上質な絹を使っている事から、家柄の良さが分かる。

水面に吸い込まれている釣糸をボーッと眺めていると後ろから声を掛けられる。

「夏侯様、調子はどうで御座いますか?」

「ん?」

青年が振り向くと、老人が肩に釣竿を担いで立っている。老人が身に纏っている衣には所々に破れ空いた穴を塞ぐ為に色の違う布が縫い付けられている。青年の纏う衣と比べるてしまうと、身分の差が目に見えて分かってしまう。

「おう、延爺。今日はまだだな。そっちは……」

青年はチラリと延爺の腰にぶら下がる魚籠を見る。

「大漁の様だね。」

「ええ、今日は此処より少し下流の方が良さそうですぞ。」

延爺は魚籠を1度叩きニヤリと笑う。皺が多い顔が笑う事によりその皺が深くなる。青年は延爺を唇を尖らせ言う。

「……いい。今日は此処で釣ってみせる。」

「そうかい。一昨日やその前もそう聞いた気がするんじゃがな。」

カカカッと笑う延爺。

延爺と知り合ったのは5年前。青年は暇があれば釣竿を担ぎ、この岩の上で釣をしている。ある日、何時もと同じ様にここで釣をしようと来たら、岩の上には先客がおり、その先客が延爺だった。青年は気にせず少し離れて座り釣糸を垂らしたら、此方を見ずに延爺が話しかけて来た。話を聞いていると、農民の1人にしては世の中の情勢などに詳しい。延爺と世の中の動きや税がどうとか話をしていると、突然、延爺が驚きの声を上げた為そちらを見ると膝を地につけ頭を下げていた。

青年の正体を青年の羽織る衣と顔を見て分かったのだろう。

青年は苦笑しながら頭を上げる様に言い、此処にいる時は気にせず話す様にと言った。初め延爺は戸惑いながらも青年の言葉通りにしていたが、今では遠慮の影も無く話すようになった。

「あ、そうだ延爺。最近話題の黄巾党は知ってるかい?」

「ああ、知っているよ。」

よっこいせと青年の隣に座る延爺は、青年の持つ釣竿から垂れる釣糸を見つめながら答える。

「漢王室に反旗を翻しておる奴等だろう?」

「そうそう。」

「若い者達が惹かれていると聞いた。この国は終わりだと。自分達で変えてやるんだと。」

延爺は憂いを込めたため息を吐く。”蒼天は死す、”と黄巾党の頭目である張角は言い、朝廷に不満を持つ民達を煽っている。それに賛同する者が後を絶たないのは不満を持つ者がそれほどまでに多いという事だ。

「確かに最近、役人共は私腹を肥やすことしか考えず、民達から不当に税を巻き上げておる。あ、儂等の太守はそんな事はしとらんのは分かっておる。」

「そうだな。その役人共の行為も賄賂として貰っている為、太守も見て見ぬふりだ。」

青年は持つ釣竿を2回軽く動かす。

「税の重さに不満が溜まっていたものを、発散する所ができたんだ。そりゃ魅力的に見えるだろうな。」

「じゃな。」

それから2人は口を開く事無く、水面に垂れる釣糸を見つめる。流れる川の音が耳に届く。2人共そこまでおしゃべりではない為、無言で釣をする事の方が多い。だが2人共、そんな時が嫌いでは無い。

暫くの間無言の時が続いていたが、突然の来訪者によりその静寂が破られる。

「兄上!」

「……来たか。」

青年が振り向けば長い黒髪を風に靡かせ、眉間に皺を寄せて怒ってます!と言わんばかりの目で睨んでいる女性が立っている。

「またこんなとこに居て!戻りますよ!」

「春、お前も座れ。」

「駄目です!連れて帰って来いという命令ですので!」

「ほら、市場で買った珍しい菓子があるんだ。これを食ったら帰ろうじゃないか。」

「……それを食べたら帰りますよ。」

女性は青年の隣に腰を下ろし青年から菓子を貰い食べ始める。その姿を見て青年は計画通りと内心頷く。

それと同時に延爺が立ち上がり頭を下げる。

「では、夏侯元譲様、夏侯慈燕様。私は失礼致します。」

「ああ、それじゃまた。延爺。」

「ああ。」

延爺は岩から下り、釣竿を担ぎ川辺の道を歩いて行った。

夏侯慈燕。青年の性と字。

女性は夏侯元譲。名は惇。そして自分の最大限の信頼を表す為に使われ、許しを得ていないのにその名を口にしたら、首を刎ねられても文句を言えないと認識されているものがある。それは真名と言う。

「春、どうだ?美味いか?」

「ああ!美味い!兄上も食え!」

「ああ。…買ったの俺だし。」

春蘭。それが夏侯元譲の真名。

春蘭から菓子を受け取り口に放り込む。うむ、甘くて美味いな。

「兄上。」

「ん?どうした?」

「兄上は何故、よく釣に来るのだ?」

春蘭の純粋な瞳が此方を見る。慈燕はその瞳に飲み込まれる様な錯覚を覚えた。

「……ん?」

「…ああ、いや。釣はついでだ。俺はこの川を見に来ている。」

「川を?面白いのか?」

春蘭は首を傾げる。

「いや、面白いから見に来ているのでは無くてな。川を見ていると自分の心から悩みが流れて行く様な気持ちになってな。」

「悩み?何か悩んでいるのか?」

「まあ、人並みにはね。」

「うむ…そうか。私は何か悩んだ事は無いから分からんが、私が聞いてやってもいいぞ?」

「そうかい?なら今年に取れる税の量なんだけど、前年より少しーーーー」

「兄上、その話は秋蘭が聞く。」

「えー、春は聞いてくれないのかい?」

春蘭の掌返しに苦笑する。

「そうそう、先程延爺とも話していたんだが春は黄巾党は知っているかい?」

「ああ、それぐらい知っているさ!」

春蘭はえへん、と胸を張る。そんな春蘭の可愛らしさに微笑みながら慈燕は続ける。

「さすが春。それじゃ春は黄巾党をどう思ってる。」

「賊だな!此処には居ないが、もし近くに現れたら私が成敗してくれる!」

「はは、賊か。そうだね、確かにその通りだ。」

春蘭の純粋な答えに頷く。元譲みたいに簡単に考えられたら良かったなと慈燕は思う。

「じゃあ春。何故、そんな賊が出たと思う?この黄巾党という賊は今まで現れていた賊とは規模も強さも違う。何故、大きくなる前に誰も黄巾党を潰さなかったのか。」

「うーん…。わからん。」

首を傾げ考えるのは一瞬、すぐに分からないと考えを放棄した。

「もうちょい考えようよ。」

「私では幾ら考えてもわからん。そういうのは兄上が考えくれるだろう?」

「……俺が何時も春と一緒にいるとは限らないぞ?」

「……えっ…」

元譲が悲しみを帯びた瞳で慈燕を見る。

「…兄上はいつか、いなくなってしまうのか?」

「…え?」

慈燕は春蘭の言葉に驚き、釣糸に向けていた視線を春蘭に移す。悲しみを含んだ表情で潤んだ瞳で此方を見る春蘭に慌てて否定する。

「いやいや、違う。俺と春が別々の任務を任された時、春が考えなければならない事があるということを言いたかったんだ。」

「……そうか。兄上がいなくなるのかと思ったではないか。」

「そんなわけ無いだろ。」

慈燕は安心した様にホッと息を吐く春蘭の頭を撫でる。感情が表に出やすいのは、武人としてはまだまだだなと思いつつ、そんな妹を可愛いと慈燕は思う。

「……姉者、兄者。」

「おっ、秋。来たのか。」

と、背後から声を掛けられる。慈燕が振り向くと、もう1人の愛しい妹である夏侯 真名を秋蘭という。秋蘭は溜息を吐きながら近づいてくる。

「いつまで油を売っているのですか。姉者は兄者を呼びに行った筈だったが?」

「ん?…あ、そうだ!また兄上の策略に嵌る所だった!」

「……いや、見事に嵌っておられるよ姉者。」

慈燕は妹達のいつものやり取りを聞きつつ、腰を上げる。釣糸を水面から上げ、釣竿で釣糸を巻き取る。

「さて、華琳がうるさいから行きますか。」

「……兄者がこんな遠くに来ていなければ、華琳様も怒らないのでは?」

「はは、そうかもね。でも怒っている華琳も可愛いだろ?」

「そんな事で華琳様を怒らせるのは兄者だけです。」

春蘭は諦めた様に溜息を吐く。春蘭が早く行こうと言い、岩を下りて道を駆け足で進んでいく。

「俺たちも行こうか。……ん?。」

慈燕は春蘭の後を追おうと駆けようかとした時、服が引っ張られる。秋蘭が慈燕の袖を掴んで少し拗ねた顔をしている。

「……兄者はいつも姉者ばかりだ…少し狡いと思ってしまう。」

何を、とは言わない。慈燕には秋蘭の言いたい事は分かっている。

「そんなつもりは無いんだがな。…だが、秋もよくやっているよ。」

慈燕は秋蘭の頭を撫でてやる。秋蘭は目を細め擽ったそうにしているがもっとしてくれとばかりに慈燕に擦り寄ってくる。秋蘭が見せる少し嫉妬深い所も可愛いと思ってしまう俺は大丈夫かなと、ふと思ってしまうが妹達が兄離れするまでなら大丈夫かなと無理矢理納得する。

「さて、本当にそろそろ行かないと怒られるな。」

「……あ…。んんっ、そうだな。」

慈燕が撫でるのを止めると秋蘭は一瞬、とても名残惜しそうな顔をしたが、すぐに咳払いをして気を引き締めた。

遠くから叫んでいる春蘭に2人とも苦笑いをしながら、川辺の道を駆けていく。

 

 

 

 

 

「遅い!何やってたのかしら?」

予州の沛国譙県にある曹家の屋敷。慈燕は川辺の道を進み、この屋敷に辿り着いた。この屋敷には幾度となく来た事があるので、勝手知ったると屋敷の主こと曹孟徳がいるであろう広間に一直線に進んだ。広間に入るなり、その主に怒鳴られ横にいた春蘭が肩を震わせる。広間には他に7人程、老人や中年の男女が部屋の左右に向かい合い座っている。

「すまない。春と秋と世の中の動きについて話していた。」

華琳の怒りなど気にする素振りを見せない慈燕に、華琳は眉をピクリと動かす。

「…へぇ。それは私の呼び出しを遅らせる程の有意義な意見交換が出来たんでしょうね?」

「…まあ、そうだね。」

老人達の後ろを通りよっこらせと慈燕は主の右手前に座る。そこがいつもの慈燕の定位置だ。主の左手前には春蘭、慈燕の隣には秋蘭が続けて座る。

「…ではその意見交換の結果は後で聞きましょう。今はこれからの事を話すわ。」

「うむ。方針が決まったのですね。」

「ええ。といっても今はこれしか選択肢は無さそうね。」

華琳は姿勢を正し1度咳払いをして告げる。

「今世を騒がせている黄巾党の討伐をする為、各国の大小様々な英傑達が集まり大連合を組むようね。私達も黄巾党討伐の大連合に加わりましょう。」

「華琳様!やっと戦なのですね!」

「ええ、そうよ。」

春蘭は戦を心待ちにしていたようで、目をキラキラさせながら力強く拳を握る。慈燕は春蘭を見て微笑みながら華琳に聞く。

「いつ頃出立ですか?」

「明日よ。」

「……なるほど。」

華琳の答えに老人達の何人かは早すぎると反対の声があがる。

「いえ、早すぎる事は無いわ。逆に私は遅いと思っているくらいよ。」

「確かにな。」

華琳に続くように慈燕が頷くと華琳がチラリと視線を向けて来た。後は貴方が話しなさいと目で語ってきている。

「昨日や一昨日にはもう挙兵し討伐へ向かっている者達も多いだろう。明日はまだ早いなど言っていると着いた頃には黄巾党が討伐し終わっている可能性がある。」

「む?討伐しに行くのだろう?戦えないのは悔しいがいい事では無いか?戦えないのは悔しいが!」

「…春、2回も言わなくていい。討伐自体は連合の目的ではあるのだが、我々がこの連合に加わる理由がもう1つある。」

「なんと!……んー、なんだ?」

春蘭は首を傾げながら唸る。と、慈燕の横から答えが出る。

「……名を売る、ですか?」

「その通り。」

慈燕は横に座っている秋蘭の頭を撫でる。春蘭と華琳がジト目で睨んでいるような気がするが、気がつかなかった事にし続ける。

「黄巾党の台頭…。黄巾党に限らず今まで反乱の予兆というのは幾度もあっただろう。だが、漢王室はそれを事前に、又は迅速に反乱を武力により潰していた。しかし、今世を騒がせている黄巾党には完全に後手に回り過ぎている。その所為により黄巾党は今までに無い程の規模での反乱を漢王室が許してしまっている。」

「だから皆で戦うのでは無いのか?」

「そうだ。連合というのは前にもあったそうだ。しかし、今回の連合は余りにも遅い。これは偏に漢王室の力、威厳の衰退だと俺は考えている。故に連合の情報の伝達も遅ければ集まりも遅い。」

慈燕はここで1度言葉を切り、この広間にいる人の顔を見る。華琳や秋蘭はいつも通りの表情をしているが、老人達の何人かはこの先に何があるのかを察し顔を蒼白にしている。

「ここで1つの推論。漢王室の衰退により何が起きるか。お上の力が弱くなると同時に下の者達が力をつけていく。よってこの先……。」

「…群雄割拠の戦乱、乱世が始まる。」

華琳の答えに広間が一瞬、静寂に包まれる。そしてその静寂を打ち破る様に慈燕が続ける。

「そこで今回の連合には、名を売る事が重要である。この地、この世に曹孟徳この人ありと世に知らしめる為に。」

慈燕は話し終えると居住まいを正す。

「よって、明日の明朝には出立するわ。各々、戦の準備を始めなさい!」

華琳が柏手を1つ打ち軍議は終幕する。老人達はいそいそと広間を後にして行き、残ったのは華琳や慈燕、春蘭、秋蘭の4人。4人以外の者が出て行くと慈燕は華琳に話しかける。

「華琳、いよいよだな。」

「ええ、私達はこれから始まる乱世の地に立ち、私達の手で乱世を終わらせるわ。」

華琳は口角をあげる。その表情は自信に満ち溢れており、美しい。慈燕はそんな華琳の表情が好きだ。見惚れてしまう。

「……ああ。我ら夏候兄妹。曹孟徳の歩む覇道、その道筋を築く礎として全力を持って貴方様について行きます。」

慈燕は片膝を立て、拱手礼をとる。春蘭と秋蘭も続けて礼をとる。

「……ええ。貴方達の力、この曹孟徳が貰うわ。」

華琳が笑う。このやりとりはもう2度目だ。初めは仕える時に誓った。

そしてコホンッ、と華琳が咳払いを1つ吐く。

「これはこれで良いとして、まだ貴方達に聞きたいことがあるわ。」

「……ん?なんだい?」

「軍議が始まる前に言っていた事よ。もう忘れてしまったの?」

「………。」

慈燕は冷汗が一筋、背を伝うのを感じた。春蘭と秋蘭はできるだけ華琳と視線を合わせない様に目を逸らす。華琳はうふふ、と妖艶に笑い上座から立ち上がり慈燕の前まで近づく。

「さて、この事は”廉”に聞くことにするわ。2人は明日の準備をしてちょうだい。」

「「御意!」」

見捨てないでくれ!……そんな視線を妹達に向ける慈燕。だがそれも叶わず、妹達はチラリと慈燕に目を向けるが直ぐに逸らされそそくさと広間を出て行った。

(ああ、無常かな…)

2人が出て行ったのを確認した後、華琳は慈燕の手をとる。

「廉、此処に座りなさい。」

「……はい。」

慈燕は引っ張られ上座に座る様に促されてそこに座る。いつもの様に胡座をかくと華琳は慈燕の上に座り背を慈燕の胸に預ける。

「どうせ貴方の事だから川に釣れもしない釣に行っていたのでしょう?」

「……そう言われると否定したいが、その通りだよ。」

慈燕は軽く華琳を抱く。華琳の温かな体温が伝わり、鼻腔をくすぐる女の、華琳の匂いに心が跳ねる。

華琳も前に廻された慈燕の手に自分の手を重ねる。慈燕の手はゴツゴツとしており、大きい。その手に男を感じる華琳もまた心が跳ねる。

「……華琳、軍の編成をしなくてはいけないのだが…。」

「大丈夫よ。見越して兵の徴兵も少し前からしていたし、編成も秋蘭がしてくれたわ。」

「……そうか。優秀な妹を持つと兄は楽ができるな。」

ははは、と慈燕は嬉しそうに笑う。慈燕が妹達の話をする時は本当に嬉しそうだ。そんな春蘭達に嫉妬してしまう自分が少し嫌だと感じてしまう華琳。

「………ん…。」

そんな華琳の心情を察してか慈燕の華琳を抱く腕の力が強くなる。側にいると言われている様だと華琳の心は躍る。

「……廉…。」

「……なに?」

華琳が甘い声で慈燕の真名を呼ぶ。

「戦を前にして気持ちが昂っているわ。少し鎮める為に今夜、私の閨に来なさい。」

「……分かりました。我が主の思いのままに。」

今日は大変だなと思いつつ、慈燕は腕の中にいる愛おしい者に心躍らる。

 




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