夏侯の鬼才   作:聖:

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投稿間隔を記載していなかったですね。週一更新でいきたいと思っています。


第2話

翌日。

華琳率いる二千の軍は、洛陽から約百里ほど離れた潁川へと行軍した。

黄巾党の頭目である張角は冀州にいるのだが、朝廷は張角よりも洛陽に近い弟の張宝、張梁を怖れている。

(ふん。哀れね。)

華琳は心の中で笑う。張角を討たなければ治まるはずがないというのに。

出立から二日で潁川に入った。直ぐに陣営を整え、大将である皇甫嵩と朱儁へ挨拶を行った。

そして交戦が始まり二日、官軍が押し始め、黄巾軍が徐々に後退していく。

「なんと…」

皇甫嵩は曹操軍の配下の勢いを見て、感嘆の息を吐く。前線で敵を一刀両断していく七星餓狼を振るう春蘭、姉ほどの派手さはないが陣形の取り方、軍の動かし方、そして彼女の得物である餓狼爪で幾人もの黄巾軍の兵を射抜いていく秋蘭。

将としての才能をまざまざと見せつける二人。

だが、そんな二人よりも目を引き、味方である筈の自分ですら恐怖を感じる猛威が黄巾軍を襲っている。

 

性を夏侯、名は晋、字は慈燕。

 

青の衣を身に纏い、微かに形の違う真紅に燃えるかのような剣を両手に握り、戦場を舞う。男にしては綺麗過ぎるほどの美貌のせいか、戦場に似合わないほど美しい。

だが、黄巾軍からしたら堪ったものではない。近づく事も許されず、矢は斬り落とされ、駆けながら徐々に近づいてくる。

慈燕率いる五百の兵は慈燕を中心に吹き荒れる双剣の嵐に巻き込まれないよう左右から黄巾軍を駆逐していく。

「あれが夏侯姉妹の師であり、夏侯家きっての鬼才と恐れられる夏侯慈燕か。」

慈燕軍が黄巾軍を駆逐し終わるまで皇甫嵩は、その舞のような戦に魅了されていた。

 

 

 

「廉、お疲れ様。」

「いえ、有難き御言葉。」

華琳からの労いに慈燕は仰々しく礼をとる。

2人きりや身内だけの場では、砕けて話すが今は兵達の手前、華琳が主である事を印象強くする為に言葉遣いには気をつけている。

「しかし、張宝並びに張梁は取り逃してしまったようです。」

「そうね。次は冀州で張角もろともってところね。」

華琳は視線を慈燕から外し東の原野を見る。交戦中、突如騎馬に乗った百騎ほどの義勇兵がおり慈燕も其方に見る。

「…先頭で戦っていた2人。春に引けを取らないほどの実力を持っていたように見えた。」

「……ええ、そうね。廉、付いてきて頂戴。」

「御意。」

慈燕は後ろにいる春蘭と秋蘭に、明日からの行軍の準備と兵に休息と酒を少しなら許すと指示する。

2人とも華琳がわざわざ行くのが気に入らないらしく不機嫌そうだったが、慈燕が頭を撫でてやると気が紛れたのか指示通りに兵の元へ駆けて行った。

慈燕は華琳と共に義勇兵の幕へと歩みを進めた。

 

 

「廉、天の御使いの噂は知っているかしら?」

華琳は唐突に慈燕に話しかける。

「知っている。少し前に街の者達が話していた。確か管路という占い師が流布していたとか。だが、それから何かあるわけでも無く、只の噂だったと思うが?」

「ええ、でも先程の戦いの中で、義勇兵の最後尾に見慣れない衣を着た者がいたわ。」

「…へえ、前線の2人に注目していて気がつかなかった。」

「……因みに、大きいのと小さいの、どちらの方に注目したの?」

「黒髪の方だな。」

「…………廉、後で私の幕まで来なさい。」

「…………何故怒っている?」

そんな話の中、義勇兵の幕に着いた。

「失礼するわね。」

華琳と慈燕が幕の中に入る。中には先程、前線にて勇猛果敢に戦っていた2人、見た目からして10歳ほどだろうと思われる少女が2人、桃色の髪におっとりとした表情の女性、そして、

(確かに変わった衣を着ているな。)

背丈から歳が15くらいかと思える青年がいた。

「この中で主は誰かしら?」

「は、はい!」

華琳の質問に慌てて答え此方に駆け寄る桃色の髪の女性。揺れる胸が目に毒だ。………思考を読まれたのか華琳に腕を抓られた。

「私は曹孟徳。貴方は?」

「は、はい!劉備玄徳と申します。」

「劉備玄徳ね。其方の前線で戦っていた2人、いい戦ぶりだったわ。」

「ありがとう御座います。私は関羽雲長。こちらは張飛翼徳といいます。」

「にゃはは、褒められたのだー。」

関羽はこちらを少し警戒しながら答えるの反して張飛は嬉しそうに笑う。

「関羽雲長に張飛翼徳ね。3人の名、心に刻んでおきましょう。」

「ありがとう御座います!…えっと…。」

「どうかしたの?」

劉備何か言いたい事があるように華琳を見つめる。それに気が付いた華琳が促すと劉備が話し出す。

「私が主というのは間違っていないのですが、もう1人主がいます。」

「へえ。それはそこにいる天の御使いさんかしら?」

「え!?何でわかったんですか!?」

華琳が少しカマをかけたら劉備が全力で引っかかった。やはり天の御使いと呼ばれているらしい。その御使いが劉備の横に歩み寄ってきた。

「俺は北郷一刀。よろしく。」

軽々しく握手を求めて北郷は右手を差し出してくる。

ピクリと華琳の眉が1度動いたのを慈燕は見逃さなかった。

余りにも馴れ馴れしい。そして華琳は基本的に男は好きではないため、気安く触れ合おうとした北郷に苛立ちを覚えたのだろう。

そんな中、関羽が発言の許可を得たいと申し出る。

「あの、発言よろしいでしょうか?」

「……ええ、許しましょう。」

「ありがとう御座います。其方の、曹孟徳様の隣にいる御仁。先程の戦いで前線にて戦っておられた御方ですね?」

慈燕はチラリと華琳を見ると華琳は小さく頷く。

「劉備殿、発言よろしいかな?」

「あ、はい。どうぞ。」

「ありがとう御座います。私は夏侯慈燕と申します。関羽殿の仰る通り、先の戦で前線にて戦っておりました。」

「やはり!貴方があの夏侯慈燕殿ですか!」

関羽が嬉しそうに近づいてきて握手を求めてきたため、慈燕は戸惑ったがその手を握る。

北郷は自分の握手は取らなかったのにと顔を顰める。

「お噂は聞いておりました。夏侯家の鬼才。1度お目にかかりたいと思っておりましたが、まさかその武を間近で見れるとは!」

「えっと…ありがとう。関羽殿。」

「愛紗ちゃん。落ち着いて。」

「え……、ああ!す、すいませんでした。」

「大丈夫ですよ。」

劉備に諭され、関羽は興奮から冷め慌てて慈燕の手を話した。

「んんっ!少しこれからの事を話したいのだけどね。」

成り行きを見ていた華琳が不機嫌そうに切り出す。

「貴方達もこれから黄巾討伐の為に冀州へ向かうのでしょう?」

「はい。そのつもりです。」

「なら、私の下で共に戦わないかしら?」

「それはーー」

「すいません!その提案に乗る事はできません。」

劉備が答える前に、先程から後ろに控えていた2人の少女の1人が発言する。華琳が声のした方へ視線を向ける。少女は華琳の威圧にビクビクとしながらも少女は視線を離さない。

「…貴方は誰かしら?」

「は、はひ。諸葛孔明と申します。劉備様の軍師として仕えさせて頂いております。」

「そう。なら貴方の今の発言は劉備軍の総意ということでいいのかしら?」

華琳は劉備に視線を戻す。劉備はおどおど目線を彷徨わせるが自分で決めるしかないと思ったのか小さく頷いた。

「はい。そうとって貰って構いません。」

華琳はふう、と溜息を1つ吐く。主が自分で判断することもできないのかと落胆の色が出ていた。

「そう。ならもう話すことは無いわ。失礼するわね。」

華琳と慈燕が幕を出ようとした時、北郷が呼び止める。

「ちょっと待って!曹操さん。交渉があるんだ。」

「………何かしら、御使いさん。」

北郷の馴れ馴れしさに慈燕は、春がいたら斬りかかっていたな、と置いてきて正解だったと思った。

「交渉と言ったわね。貴方達に此方が得るものを提供できるの?」

「ああ。此方が提供するのは兵だ。」

「兵……つまり、劉備軍であることは変わらず、指揮は私達に預けると?」

「ああ、前線で戦うことになってもいい。そして見返りとして武器や防具、兵糧を分けて欲しい。」

北郷の提案に華琳は怒り額に青筋を立てる。北郷はどうやら自分の発言の危うさに気づいていないようだ。

「北郷殿、発言よろしいか?」

「………ああ。どうぞ。」

華琳の怒りが表に出る前に慈燕は北郷との間に割り込む。

「北郷殿が提供すると言ったのは兵でしたね。それは先程我が主が、主の下で戦わないかと提案したからでは無いでしょうか?」

「………まあ、そうだ。」

やはり、と慈燕は思った。

(しかし、この天の御使いさんは交渉が下手だな)

華琳が先程提案した理由は確かに兵が欲しいというのがあった。関羽や張飛の戦力は魅力的である。だが、御使いが此方の足元を見たと思い込んで提案したのならそれは阿呆だ。そして提案の対価が余りにも馬鹿げている。

「確かに兵が欲しい。しかし、絶対に必要という訳ではない。我々だけでも充分に戦える。」

「だが、俺たちが前線で戦えば…。」

「ええ。此方の被害が少なくなる。それは分かります。だが……」

慈燕は後ろにいる軍師を見る。ここまで止める素振りも見せないことからするとこの提案は恐らくあの軍師の知恵なのだろうと推察する。現に諸葛亮は先ほどから顔を上げようとしない。諸葛亮も分かっていてこの提案をするようと進言したのだろう。

「対価が大きすぎる。割に合わなくては了承は出来ない。」

「何故?余っているのなら貰っても……っ!!」

慈燕の背後から物凄い圧が放たれている。慈燕は咄嗟に手を後ろに回し華琳の手を握る。掌から感じる華琳の体温が伝わってくると同時に、華琳の放つ覇気が薄れていく。

「北郷殿、兵糧がどれほど重いかご存知ないのか?」

「………。」

北郷は華琳の放つ覇気に呑まれ、頷くことしか出来ない。

「兵糧は民の命そのもの。農民が1日の半分以上の時を毎日、過酷な肉体労働によって作物を育て、年に1度、収穫物の一部を税として徴収します。商人達からは安全に商売が出来るようにして、その対価として税を徴収する。

我々は税を取る代わりに民を守り、その対価として民は税を納める。

その命の重さと同等である兵糧を、簡単に譲るなど民の命を軽視するのと同じでしょう。」

「………。」

「武器や防具も同じ、税で鍛冶屋が血と汗で作った物を買取ります。故に、此方もおいそれと渡すわけにはいかないのです。」

「………う…。」

「兵糧は兵の命と同等なほど重い。何故なら兵達が生き延びるために必要不可欠だからです。武器や防具も兵の命を守るために必要である。貴方はそれらを軽く見ておられる。」

北郷は何も言えなかった。自分は何も知らないと。慈燕は北郷の知識不足に溜息が出る。

兵糧の重さなど考えた事もなかったのだろうか。天の国は食べる物に困らないほど裕福なのか。

「…ですが、少々お待ちを。」

慈燕は後ろを向き、華琳と話し始める。北郷達は慈燕により華琳の表情は見えないのが恐ろしさを感じた。

そして、話が纏ったようで慈燕が再び北郷を見る。

「そちらの提案した兵の提供に対する対価ですが、其方の兵全体の6割の兵糧と武器、防具の提供で如何でしょうか。」

「………えっと…もーーー。」

「その条件で構いません!」

北郷の言葉を遮り、諸葛亮が大きな声で条件をのむ。他の者達が突然の諸葛亮の大声に驚く。知らないようなので兵糧の重さを北郷に教えてやったが、交渉は最初から北郷とするつもりは無い。

何も知らないのなら話していても時間の無駄だ。初めから後ろにいる諸葛亮と交渉するつもりだった。

「そうですか。ではその条件で交渉を詰めていきましょう。では後ほど、何方か私の幕に来て下さい。具体的な数を出しておきますので。……できれば軍師殿に来て頂けると有り難いです。」

「は、はひ。私が伺います。」

「分かりました。では、後ほど。」

華琳は無言で振り向き幕を出る。慈燕もその後を追う様に幕を出る。

華琳達が幕を出ると劉備達は皆安堵の息を吐く。

「……朱里ちゃん、あれで良かったの?」

「はい。と、言いますかあそこで条件をのまなければどんどん引き下げられていったと思います。」

「なるほどー。なら良かったのかな。」

劉備は固まった筋肉を伸ばす為に背伸びをする。

「それにしても、曹操さん。凄かったね。生きた心地がしなかったよ。」

「……確かに曹操殿も凄まじかったですが、最も恐ろしかったのは慈燕殿です。」

「え……?」

関羽の言葉に劉備は首を傾げる。

「慈燕さんは冷静だったと思うけどなー。」

「……いえ、違います。」

関羽が首を振る。

「慈燕殿は怒り狂う寸前だったと思います。我々があれ以上曹操殿を刺激する事を言えば、我々の首は飛んでいました。」

「え…?ほんと?」

「はい。桃香様とご主人様は私と鈴々が命に代えてもお守りしようと試みますが、正直我々の首を飛ばした後すぐに桃香様達の首も飛ばされていたかもしれません。」

関羽の言葉に劉備と北郷は顔を蒼白させる。諸葛亮も慈燕の心を少し感じて、北郷の言葉を遮り条件をのんだというのもある。

「今後、慈燕殿へは注意しなくてはなりません。我々の命の為にも。」

皆、その言葉に静かに頷いた。

 

 

 

幕を出て、華琳は前を無言で歩く。慈燕は特に何も言わず、華琳から離れない様に後ろをついて行く。見えてきた我々の幕の前に七星餓狼を握りしめる春蘭とそれを宥めている秋蘭が立っていた。

「華琳様!!大丈夫でしたか!」

春蘭は華琳に駆け寄る。

「……ええ、大丈夫よ。少し休むわ。」

華琳は振り向き、慈燕をみる。怒りは完全に鎮まりはしていないがだいぶ落ち着いている。

「廉、後は任せるわ。終わったら私のところに来て頂戴。」

「分かった。」

慈燕が頷くのを見て華琳は幕へ歩いていった。

「春、華琳の側にいてあげて。」

「兄上…。わかった。」

春蘭が急ぎ足で華琳に駆け寄る。

「兄者、何があったんだ?」

「……ああ、その事も含めて少し兵糧や武器の残りを見ておきたい。」

「……わかった。」

秋蘭は慈燕が隠している感情の狂いを微かに感じた。

 

 

 

 

陽も傾き掛けた時、慈燕の幕に諸葛亮が関羽を伴って来た。

先程秋蘭と確認した譲る兵糧と武器や防具の具体的な数を竹簡に記し、それを諸葛亮に渡す。

竹簡に目を通した諸葛亮は礼を言い、頭を下げる。

恐らく納得はしていないだろう。だが、交渉決裂により得るものが何もないよりはマシだと考えているのか。

「さて、冀州での戦いなのだが、やはり君達には前線に出てもらう事になる。」

「……はい。」

「詳しい事は冀州に着いてから、両軍の主がいる軍議にて決めよう。」

「はい。兵糧や武器、防具。誠にありがとう御座います。」

「ああ。だが、礼は主である曹孟徳に言ってくれ。最終的に決断したのは彼女だから。」

「分かりました。次お会いした時、改めて御礼申し上げます。……では失礼致します。」

諸葛亮が頭をもう1度下げ、幕を出ようとしたが慈燕が呼び止める。

「少しいいか?」

「……はい。何でしょうか?」

「うむ。口出しできる立場ではなく余計な御世話も甚だしいのだが……御使い殿と劉備玄徳殿にこの世の事を学ばせるべきだと思ってな。」

「…………。」

「御使い殿は余りにも無知だ。あれではいつか死ぬ。劉備殿にも戦を知ってもらった方がいい………いや、忘れてくれ。ただのお節介だ。」

「……いえ。」

諸葛亮が首を振る。

「先程の交渉は余りにも対価が見合わない物でした。曹操様がお怒りになったのも当然だと思います。夏侯様もお怒りだったはず。我が主達の首を飛ばす事も容易だったのではないでしょうか?」

「………。」

慈燕は沈黙で答える。諸葛亮は慈燕の沈黙を肯定ととり構わずに続ける。

「ですが夏侯様はそれをせず、交渉によりあの場を治めて頂きました。我らはそれに感謝し、私は夏侯様の忠告をありがたく頂戴致します。」

「……そうか。」

「はい。では失礼致します。」

諸葛亮は幕を出る。慈燕は諸葛亮の認識を改めた。ただの幼い少女ではない。あれは天下に名を轟かす程の軍師になるのではないかと。

「……ふっ…。」

自分はこれから傑物となる者に成長の機会を与えてしまったのではないのかと思ったが、後悔ではない笑みが零れる。敵になる事は望まないがもし敵になったのならば、全力を持って戦いたい、という思いが湧き上がる。

「……さて。」

慈燕は椅子から立ち上がり幕を出る。向かう先は華琳の幕。幕の前にいる守兵に挨拶をし、中に入る。

「来たわね。此処に座りなさい。」

机に向かい書物をしていた華琳が慈燕が入ってくるなり立ち上がり、床に座るよう促す。

「…書物は良いのか?」

「ええ。急ぎでは無いわ。」

指示のまま、慈燕は床の上に座ると自然な動きで華琳が慈燕の胡座の上に座り、背を預ける。

「……少しは落ち着いた?」

「……ええ。」

華琳を抱き締めながら慈燕は聞く。

「良かったよ。あれ以上華琳が怒ってたら、俺は迷わず斬り殺していた。」

「……そうね。廉の荒れ狂うような怒りを感じたわ。そのお陰で怒りに身を任せずにすんだ。」

「…そうか。」

慈燕は華琳ともっと触れ合うように華琳の頬を撫でたり、髪の匂いを嗅いだりする。華琳は擽ったそうにするが嫌がる事なく、されるがままとなっている。

慈燕は華琳の顎を指で軽く掴み顔を此方に向けさせる。潤んだ瞳で慈燕を見上げ、艶のある唇から吐息が漏れる。慈燕は誘われるかの様に唇を奪う。最初は触れ合うだけ。次第にもっと深くという思いがお互いを支配し、華琳から慈燕の口の中に舌を入れる。

慈燕もそれに応えるよう華琳の舌に自分の舌を絡めたり、華琳の口の中を蹂躙する。お互いの唾液を交換し合う。いつの間にか華琳は慈燕と抱き合う様に胡座の上に座っていた。

慈燕が華琳を押し倒そうとした時、不意に華琳が唇を離す。

「……貴方が欲しいけど、今は戦の途中。これ以上は駄目よ。」

「……生殺しですか。」

「ふふ。帰ったら1日中でも付き合うわ。その時は貴方の好きなようにしていわよ。」

耳元で甘い言葉を囁かれた慈燕は背筋にぞくりとした震えを感じた。

「分かった。帰ったら華琳を俺の好きなようにするから。覚悟しとけ。」

「ふふ…ええ。でも今夜は一緒に寝ましょう。」

華琳は慈燕の首に腕を回して引っ張り、抱き合う様に倒れる。

「……おやすみ、華琳。」

「……おやすみ、廉。」

互いに抱きしめ合いながら眠りに落ちていった。

 

 




終わりがワンパターンになるのは避けたいですね。
あと、慈燕の名は晋(シン)と読みます。
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