あの後。
バスに乗った一行は、空の紹介など軽い話をした。
千歌は途中で降り、市内に用事があった空はそのまま市内へ。
そこで、ノートを届ける用がある花丸達とも別れて今に至る。
「で、何で付いてきてるんだ?」
「へへ、まぁいいでしょ?」
そして曜は空にくっ付いて来た。
空が歩く隣に曜も歩み寄る。
「スポーツ量販店?」
「何でわかった?」
「空ちゃんが市内に来るのってそれくらいしかないでしょ?」
「失礼な。俺だって他の用事で来ることだってある」
「例えば?」
「……」
「はは、潔く認めなって」
曜は笑って言った。
曜の言う通り、普段から空は市内に行くような用事も無ければ、遊びに行く気も無い。
「でもちょうど良かった〜。私も水着変えようと思ってたんだ〜」
「まだあれ使えるだろ?」
「うーん……、まぁ使えるちゃ使えるんだけど……」
そして、曜は少し躊躇いながらも、頬を人差し指で掻きながら言った。
「キツイんだよね……」
「キツイ?」
「まぁ空ちゃんには分からなくても良い話かな?それより、空ちゃんも水着?」
曜ははぐらかすように空に訊く。
「あぁ。新しい水着が出たらしいからな。良い感じだったら買うつもりだ」
「前買ったのはどうなの?」
「あれも悪くないが、締め付け感が少し不満だな」
「そうなんだ。締め付け悪いと私も嫌かな〜。……と、ごめん。電話だ」
そう言って会話を中断し、曜はケータイを取り出して電話に出た。
「あ、千歌ちゃん。どうしたの〜?」
どうやら電話の相手は千歌のようだった。
「今度の日曜日?うん、大丈夫だよ。……空ちゃんも?わかった、訊いてみるね」
そう言ってケータイを耳から離すと、曜は空に訊いた。
「千歌ちゃんが今度の日曜日、暇?って」
「何もない」
「果南ちゃんの処に行ってダイビンクするって。どう「行く」……だよね〜」
ほぼ分かっていたのか、曜は笑いながらそう言い、再びケータイを耳に付ける。
「空ちゃんも行くって。……そうなの?分かった。じゃあね〜」
曜は電話を終了し、ケータイを仕舞いながら空に言う。
「転入生も来るって」
「例の?」
「うん、例の」
空は千歌がしつこく誘っていると言う女生徒の事を思い浮かべながらそう言うと、曜は苦笑しながらそう答えたのであった。
○○○
そして日曜日当日。
千歌と曜は例の転入生と一緒に来る予定なので、空は先に果南の祖父が営むダイビンクショップに来ていた。
「久しぶり、果南姉」
「うん、久しぶり空ちゃん」
「果南姉もか……」
ちゃん付きで自分の名を呼ばれたことに空は小さく溜め息を吐いた。
「手伝う?」
恐らく今日自分達が使う物の準備をしているであろう果南にそう言うが、本人は首を横に振って言った。
「もう終わるから大丈夫。それよりも先に着替えちゃったら?更衣室はもう開けてあるよ」
「ありがとう」
果南の提案を受け、空は更衣室へと向かい、自分で持ってきたダイビンクスーツに着替え始めた。
流石の空でも、まだ4月の海に水着一丁で入るのはキツい。
空が着替え終わって果南がいる所に戻ると、ちょうど千歌達が来ていた。
千歌、曜。そしてもう1人は……
「桜内……?」
「えっ、七瀬さん?」
梨子であった。
「もしかして例の転入生ってのは桜内なのか?」
近くに来た曜にそう訊くと曜は「そうだよ」と答えた。
「あれ?空ちゃん梨子ちゃんと会ったことあるの?」
不思議に思った千歌が空にそう訊いたので、空は首を縦に降る。
「世の中って狭いねぇ〜」
「あの……、高海さん」
「どうしたの?」
「もしかして空ちゃんって……、七瀬さんのこと?」
「そうだよ?あれ?」
「すまない。下の名前は言ってなかったな。空、七瀬空だ」
改めて梨子にそう自己紹介すると、梨子は何故か驚き――
「ごめんなさい!」
――突然、空に向かって謝り出したのだ。
これには4人共ビックリし、果南は空に視線を送りながら「何かしたの?」と言いたげである。
「えっと……、梨子ちゃん?」
千歌は梨子に近寄ると、梨子は頭を上げ、空を見る。
「高海さん達が空
そして恥ずかしそうにそう言った。
それに千歌達は笑い始め、空は溜め息を吐いて梨子に言った。
「気にすんな。もう馴れてる」
ここで切ります。
なので予定よりも1話多くなっちゃいますね。
許してください何でもしまむら!